ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

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新章開始です。


愚者と暴君編
愚者と暴君編Ⅰ


霧の立ち込める闇。

そこに、二つの影が現れる。

一人は黒いコートを着た、ブルネットの髪の女吸血鬼。

そして、もう一人は制服を着た少年だった。

二人の眼前には、巨大な氷塊がある。

その中には美しい少女が眠っている。

「……早くしないと、警備ロボットが来るぞ」

少年がそう言うと、吸血鬼は頷き右手をあげる。

その手の中にはクロスボウが握られている。

そしてクロスボウには、全金属製の矢が装填されている。

「……目覚めなさい、十二番目の"焔光の夜伯"……アヴローラ・フロレスティーナ」

吸血鬼はそう言うと、クロスボウの引き金を引いた。

放たれた矢が氷塊に突き刺さり、少女の封印が解かれる――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古城が目を覚ますと、そこは薄暗い部屋だった。

「どこだここ……つか、縛られてるし……鎖?」

力を入れてみるが、鎖は壊れない。恐らく魔術的に強化されているのだろう。

しかし古城は諦めずに暴れる。

すると、すぐ近くから誰かの声が聞こえた。

「ん……?え、どこよここ」

「浅葱?お前も縛られてんのか」

古城が声をかけると、浅葱が自分の身体を確認する。

「ってなによこれ!亀甲なんですけど!?」

浅葱が叫ぶと、暗闇から霊斗が現れた。

「なんだ、古城が喜ぶと思ったんだが……」

「んなわけあるか!」

古城が叫ぶと、霊斗は肩を竦める仕草をする。

そしてもう一人、霊斗の後ろにいた。

「全く……捕らわれていると言うのに緊張感の無いやつらだな」

「な、那月ちゃん!?」

古城が名前を呼ぶと、那月は扇子を一閃する。

次の瞬間、古城の首が横に九十度曲がる。

「古城……貴様は何度言ったらわかるんだ!教師をちゃん付けで呼ぶな!」

「うごぉ……首が……」

古城が呻いていると、浅葱が古城に聞く。

「ねぇ古城、あんたが第四真祖になったって本当なの?」

「あ、あぁ。そうだけど」

古城が肯定すると、霊斗が補足する。

「因みに雪菜は古城の監視者な」

「あー監視者……でも姫柊さんの場合はどちらかというと……」

浅葱が言葉を濁す。

その先を古城が続ける。

「どっちかっつーと……ストーカーだなありゃ」

古城が苦笑すると、不意に不機嫌そうな声が聞こえてくる。

「誰がストーカーですか……先輩が危なっかしいのがいけないんです」

「うげっ、姫柊!?いつからそこに……?」

「最初からずっとです」

先程までは完全に気配を消していた雪菜が古城を睨んでいる。

すると、浅葱が雪菜に話しかけた。

「ねぇ姫柊さん、あなたならわかるわよね。あたしたちがなんで縛られてるのか」

浅葱の質問に、雪菜が淡々と答える。

「先輩方にはここで記憶を取り戻してもらいます」

「取り戻す?」

古城が怪訝そうに聞くと、霊斗が説明を引き継ぐ。

「ああ。第四真祖復活の儀式――"焔光の宴"の記憶だ。しかも、俺が話ても記憶は戻らないみたいでな」

霊斗がそう言って肩を竦めると、那月が偉そうに言う。

「仕方なく、可愛い教え子の為に私が出てきたというわけだ。感謝しろ」

那月の台詞を聞いて、古城が何かを思い出したように言う。

「じゃあ、この場所は……」

古城の視線を受けて、雪菜が頷く。

「はい。ここは南宮先生の魔術で作り出された世界――」

雪菜はそこまでいうと、古城を真っ直ぐに見据えて続きを言う。

「――監獄結界です」




眠い……。
あ、ではまた次回。

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