いかがお過ごしでしょうか。
僕は花粉症で死にそうです(切実)。
じゃあ、本編どうぞ。
廊下を引きずられる霊斗は途中で再び以外な人物と出会った。
「あれ、ジャガンにキラ?」
「む、第五真祖か」
「お久しぶりです」
「久しぶり。あと、校内では霊斗でいいから」
「了解した。ところで霊斗、その女は?」
「あれ、気になる?気になっちゃう?」
「当たり前だ。お前と同じ魔力の気配だからな」
「もしかして、血の従者ですか?」
二人は引きずられる霊斗に付いて来ながら聞いてくる。
「ご名答。アスタルテ、自己紹介しといたら?」
「はい、第五真祖の血の従者のアスタルテです」
「アルデアル公爵ディミトリエ・ヴァトラーの配下、トビアス・ジャガンだ」
「同じく、キラ・レーベデフ・ヴォルティズラワです」
「よろしくお願いします。ところで、お二人は何故ここに?」
「閣下の命令で、第四真祖の護衛に来たのだが……」
「なるほど、古城がヴァトラーに好かれているのが気に入らないと」
「なっ!?そ、そんなわけがあるか!」
「トビアスは素直じゃないなぁ……それで、霊斗様。これはどういう状況ですか?」
キラが苦笑いで今更な事を聞いてくる。
「あー、あれだ。日本では有名なかかあ天下ってやつだな」
「なるほど、勉強になります」
「霊斗は将来的に嫁の尻に敷かれる生活をしていそうだな」
「否定できないな。何せ俺は女の子には暴力を振るわない主義だからな」
「第三真祖を滅多うちにしていた奴の言うことではないだろう」
「そうだっけ?まぁ、売られた喧嘩は倍返しの主義でもあるからな」
「お前は鬼か。お前の力で倍返ししたら明らかにオーバーキルだろうが」
「霊斗様は強いですからね。……ではそれを尻に敷く従者とは一体……」
「普通の女の子ですよ?」
「「「普通?」」」
三人の声がぴったり揃った。
それを聞いたアスタルテは霊斗を立ち上がらせる。
「はぁ……やっと解放され(ギュッ)ん?」
「霊斗さん……私、普通ですよね……?」
涙目+上目使いのコンボで言葉に詰まる霊斗。
「おぉ、霊斗が圧倒されている」
「なかなかレアなシーンですね」
ジャガンとキラがなにか言っているが、霊斗は固まったまま動けない。
「霊斗さん……」
「え、あ……」
「私、普通ですよね……?」
「……(ギュッ)」
「!?」
霊斗が急にアスタルテを抱き寄せる。
「ワォ」
「意外と大胆だな」
茶化す二人。
「あの……れ、霊斗さん?」
「……」
「あの、霊斗さん、少し、痛いです」
「……」
「霊斗さん?」
アスタルテが何度か呼び掛けるも、反応がない。
茶化していた二人も何かおかしいと気づいたのか、霊斗をアスタルテから引き剥がす。
「霊斗!?どうした!」
「霊斗様!何があったんですか!」
二人の呼び掛けに、霊斗は首を振り、壁に背中を預けて座り込む。
「あぶねぇ……完全に意識持ってかれるとこだったぜ……」
「何があったんですか?」
「いや、ただの吸血衝動だけど」
「吸血衝動であんなことになるのか?」
「アスタルテが可愛すぎるから悪い」
「「えー……」」
「なんだよ、悪いかよ」
霊斗の不満そうな質問に答えたのは二人ではなくアスタルテだった。
「なにも悪くないです。むしろ嬉しいです」
「そ、そうか」
「でも、TPOはわきまえてくださいね?」
「すまん。気を付ける」
「昼休みとかの屋上でならいくらでも良いですから」
「いや、良くないだろ」
霊斗はアスタルテに突っこみながら立ち上がる。
そしてジャガンとキラに向き直ると頭を下げる。
「すまん、迷惑かけた」
「気にしていない」
「僕らは大丈夫ですから」
二人の言葉に安堵したような表情で顔をあげる霊斗。
「では、俺達は第四真祖の元に行く」
「それではまた、後程」
「ああ。ジャガン、あんまり古城に悪く絡むなよ」
「……努力はする」
二人は去っていった。
廊下には霊斗とアスタルテだけが取り残された。
「……どうする?」
「戻っても自習ですし、屋上にでも行きますか?」
「そうだな……あ、その前に凪沙のクラスを覗きに行くか」
「体調が心配ですからね」
「ああ。じゃ、行くか」
霊斗とアスタルテは中等部の校舎へと向かった。
あー、疲れた。
ではまた次回!