霊斗達はゴゾ島に上陸し、軍用の四駆に乗り込む。
しばらくリアナの運転に任せて走っていると、遺跡が見えてきた。
このゴゾ島でも特に有名なジュガンティーヤと呼ばれる遺跡だ。
「ジュガンティーヤは、今から五千五百年以上昔に 建てられた遺跡です」
「へぇ……そんな昔にこんなでかい神殿をつくったのか……」
「この島の伝承では、サンスーナっていう名前の巨人が建てたんだって」
「霊斗さんは詳しいですね。来たことがあるんですか?」
「あ、はい。かなり昔に一回だけですけど」
すると、凪沙がいきなりリアナに話しかける。
「あの、リアナさんって魔族の方なんですか?」
「はい、戦王領域出身の吸血鬼です」
「わあ!ほんとに吸血鬼なんですね!あ、日光とか大丈夫なんですか?」
「凪沙、ほどほどにね」
「リアナさんも困ってるだろ」
霊斗と古城が凪沙を制止し、霊斗がリアナに謝る。
「すいません、昔っから、口数が減らなくて……」
「いえ、大丈夫ですよ。それにしても、やっぱり博士のお子さんなんですね。変わっているところもそっくりです」
リアナの言葉に古城がむすっとした表情で言い返す。
「絶対ほめてないですよね」
「バレましたか?ごめんなさい」
古城の反応に笑うリアナ。
そこで、霊斗の顔色が変わる。
「霊斗さん?大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫です。ちょっと……」
「そういえば、霊斗さんも霊能力があったんですよね」
「ええ、
「霊斗、寝とけよ。身体に障る」
「僕は大丈夫。凪沙に何かあったらお願い」
「わかった」
「もうすぐで調査隊と合流しますから、キャンプのベッドで休むと良いでしょう」
「すいません、気を使わせちゃって」
「いえいえ。今回の調査には、凪沙さんと霊斗さんの力が必要なんです。だから、しっかり休んでください」
リアナがそう言って車を停める。
「着きましたよ。霊斗さん、大丈夫ですか?」
「ええ、なんとか……」
霊斗がふらつきながら車を降り、続いて凪沙、古城が降りる。
すると、男が近づいてくる。
「よぉ凪沙!元気だったかぁ!」
「牙城君!元気だよ。霊斗君と古城君もいたから」
「ん?霊斗に古城?」
牙城は霊斗と古城を見て怪訝そうな顔をする。
「霊斗はわからんでもないが、古城。なんでお前がいるんだ?」
「なんか俺だけ扱いが雑だな」
「まぁ、邪魔すんなよ」
「わかってるっつの。あと、霊斗が死霊術の気配がするってよ」
「オーケー、解呪させとくわ」
「父さん、ここにあるのは……何?」
「あー……気付いたか。それは明日の朝話す。今日はもう寝ろ」
古城が空を見ると、もう日が暮れかかっていた。
「わかった。凪沙、明日は朝から沐浴だからな」
「わかってるよ。霊斗君も一緒だよね」
「うん。ゆっくり休んで明日に備えとこう」
「はーい!」
一行はキャンプのテントに入っていった。
部活の大会が一段落したので、また連日投稿を再開します。
ではまた次回!