ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

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かーくーぞー(やけくそ)。
本編どうぞ。


焔光の夜伯編Ⅱ

ローマの空港にて。

一人の少年が顔を真っ青にしてベンチに座っている。

「うぷ……気持ち悪い……」

黒い髪に一房だけ赤い毛が混じっている。

気弱そうな目には涙が溜まっている。

「おいおい……大丈夫か霊斗」

呆れたように聞く少年に霊斗と呼ばれた少年は答える。

「こ、古城……助けて……」

「いや、無理だろ」

霊斗の背中をさすりながら古城が苦笑する。

「まったく……まだ飛行機に乗るんだぞ?」

「もうやだ……帰りたい……」

そんな霊斗に少女が声を掛けてくる。

「まーったく、飛行機で酔うなんて吸血鬼のくせによわっちいぞ霊斗君!」

「凪沙、やめとけ」

「うう……」

「まあ、早く治してね!あ、私ビスコッティ買ってくる!」

「おう、気を付けろよ」

凪沙は屋台に駆け寄っていく。

「うぅ………うぷっ……」

「うぉっ!?水!水飲め!」

「んぐ……ありがと……」

霊斗が水を飲み干すと、凪沙が戻ってくる。

「買えたのか?」

「うん!あ、古城君と霊斗君も食べる?」

「いや、僕はいいよ」

「俺は――っと」

古城が答えようとしたとき、小柄な男がぶつかってきた。

「Scusi――」

何か言っているが、古城にはさっぱりわからない。

仕方なく、うろ覚えの言葉で返す。

「あ、えっと……ミディスピアーチェ?」

すると、男は笑って何かを言うと、歩き出した。

「あー、グラッツェー」

古城が手を振って見送っていると、凪沙が叫ぶ。

「古城君!荷物!」

古城がハッとして男を見ると、古城が持っていた凪沙のバックが奪われている。

「ひったくり!?嘘だろ!?」

古城が走り出すも、男は既に空港の出口に向かって走り出していた。

「駄目かっ!?」

古城が絶望しそうになった次の瞬間だった。

「え?」

古城の隣を何かが物凄い勢いで走り抜けていった。

古城が前を見ると、霊斗が男の前に立っていた。

「その荷物、返してもらうよ」

男がナイフをとり出し、霊斗に向ける。

だが、次の瞬間にはナイフの刃が床に突き刺さっていた。

「しばらく眠っててよ」

霊斗は冷ややかにそう告げると、人間離れした速度で男の懐に飛び込み、顎に拳を叩き込む。

霊斗が男の手から荷物を取り返し、埃を払っていると、ドレスの少女が話しかけてくる。

「ふん、相変わらず見た目に合わない戦闘センスだな」

「え?……もしかして、那月ちゃん?久しぶり」

「ほう……歳上をちゃん付けで呼ぶのはこの口か?」

「痛い!やめてよ那月ちゃん……」

「ふん……またどこかで合うだろう。それまで死ぬなよ」

「大丈夫、僕は死ねないから」

「そうか……気が向いたらまた絃神島に遊びに来い」

那月はそう言うと虚空に溶け込むようにして姿を消した。

そして那月と入れ替わるように凪沙と古城が駆け寄ってくる。

「霊斗!大丈夫か!?」

「うん、大丈夫」

「霊斗君!荷物は?」

「ここにあるよ」

「良かったぁ……」

凪沙に荷物を渡し、霊斗が深呼吸をしていると女性が近付いてきて声を掛けてくる。

「暁凪沙さん、暁霊斗さんですね?」

「はい、そうですけど……あなたは?」

「リアナ・カルアナと申します。暁牙城博士の研究の手伝いをしています」

「じゃあ、父の依頼で僕らを迎えに?」

「ええ。遺跡までの案内をさせていただきます」

「お願いします。……凪沙、行こうか」

「うん!行こ行こ!」

「……俺は?」

「だって古城は名前の確認しなかったよね」

「行かなくて良いってことか!?」

「嘘だよ。行こう」

霊斗と古城のやり取りをみてリアナが苦笑していたのには気付かない二人であった。




霊斗の一人称が違うのは……気にするな!
まあ、今後の展開でわかりますのでお願いしますってことで。
では次回!

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