ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

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前回の続きです。
どうぞ。


暁霊斗の異世界生活譚

霊斗はアスタルテと共に自室に戻ると、ゲーム器を起動し、ついでにアスタルテのゲーム器の細かい設定をして、ソフトを起動する。

「まず、このスティックで移動、R押しながら移動でダッシュ、×でジャンプ」

「わかりました」

「あとはチュートリアルで教えてもらえるから――」

霊斗がそこまで説明した時だった。

「霊斗殿ーッ!我と遊ぼう!」

イザナギ登場。

たが、イザナギはアスタルテと霊斗がゲームをしているところを見ると、急に怒りだした。

「なんだ!ゲームばかりして!そんなにゲームが好きならゲームの世界に入ればいいぞ!」

イザナギはそんな事を言って霊斗達の足もとに手を向ける。

すると、霊斗達の足もとに異空間へのゲートが開く。

「えっ、イザナギさん!?」

「イザナギィィィ!テメェ覚えてろよーッ!」

霊斗達の意識はそこで途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イザナギが満足そうに床に座る。

「まったく霊斗殿は……せいぜい異世界でイチャコラするがいいさ」

すると、イザナギの隣にイザナミが座る。

「ナギ、あなたもメチャクチャですねぇ……」

「なんだナミ、我がまともだったことがあるか?」

「かなり昔はまともでしたよ?」

「……今は?」

「そうですね……オブラートに包んで言うと……知能が幼児レベルになっていますね」

「オブラートどこいった」

「まぁ、しばらくしたら戻してあげてくださいね?」

「う……わかった」

イザナミはその返事に満足そうに首肯くと、イザナギの肩に頭を預けた。

「ん、どうした?」

「私達も仲良くしていましょうか」

「……そうだな」

結論・神々でもイチャイチャする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊斗はベッドの上で目を覚ました。

「あ!目が覚めたみたいだね」

霊斗が声の方に顔を向けると、そこには一人の少女がいた。

灰色のショートカットにゴーグル、頬には機械油と、なかなかに工業系な少女である。

「あんたは……」

「ああ、自己紹介がまだだったね。私は楠リッカ」

霊斗はその名前に聞き覚えがあった。

「ああ……じゃあここは……フェンリルの極東支部か……」

まるで夢だな、と霊斗が言うと、リッカが不思議そうな表情をする。

「あ、そうだ。君さ、ゴッドイーターのパッチテストに合格して、今新しく開発された新型神機に適合したんだけど……」

霊斗はその言葉に耳を疑った。

自分がゴッドイーターに、なれる。

「ああ、適合試験、受けるよ」

「そう、わかった。じゃあ、申請しとくね」

「お願いするよ。ところで、青い髪の女の子を見なかったか?」

「ああ、その子なら君の隣にいるよ」

リッカの言葉に促されて、霊斗が隣のベッドを見ると、アスタルテが寝ていた。

「ふぅ……ぐっすりだな……」

「仲良いの?」

「ああ、こいつは俺の彼女であり、血の従者だ」

「は?血の従者?」

「え?だって、俺、吸血鬼」

「吸血鬼……?……あっははは!君は冗談が上手いね!」

リッカは信じた様子もなく笑う。

(ああ……ここは異世界だから、吸血鬼という概念もないのか…)

霊斗は諦めたように溜息をつき、アスタルテの枕元に椅子を出し座る。

リッカは手を振りながら出ていった。

そこで、現在の状況を整理してみる。

・目が覚めたらフェンリル極東支部の病室。

・リッカに遭遇。しかも自分がゴッドイーターに適合。

・因みに、アスタルテも適合。

ここまで考えて、霊斗は頭を抱える。

「まじかよ……」

明らかにあり得ない状況ではある。

しかも。

「なんでこうなったのか思い出せない……」

まず、昼メシを食べてアスタルテとゲームを起動した。

その後が思い出せない。

自分はゲームをしていたのではないのか。

「ったく、また面倒事か……」

霊斗が溜息をつくと、アスタルテが目を開ける。

「霊斗さん……ここは?」

「起きたか。ここはフェンリル極東支部だ」

「え?それってあのゲームの……」

「いまはこれが現実だ。ゲームじゃない。あ、あと、お前もゴッドイーターに適合してるから。試験受けるか?」

「……どんな試験ですか?」

「痛い」

「……霊斗さんは受けますか?」

「ああ。もちろん」

「じゃあ、受けます」

「そうか……じゃあ、申請してこないとな。……歩けるか?」

「はい。大丈夫です」

アスタルテはそう言ってベッドを降りる。

霊斗はアスタルテを連れて病室をでる。

すると、そこには二人の男の姿が。

一人が茶髪、もう一人は金髪のゴッドイーターだ。

「あ、もう大丈夫?いや~、支部の前に二人で倒れてるからビックリしたんだよ!」

茶髪の男が笑顔で話しかけてくる。

金髪の男はそれを苦笑いで見ている。

だが、霊斗はこの男達を知っている。

「あの……藤木コウタさんと、神薙ユウさんですよね?」

「え、そうだけど……なんで?」

「よくわかったね。誰かに聞いた?」

「あ、いや。診療記録とか見て……」

「そっかそっか!あ、君もゴッドイーターになるんだよね?よろしくな!」

コウタが手を差し出してくる。

霊斗はそれを握り返しながら言う。

「よろしく。俺は、暁霊斗。こっちはアスタルテ」

「へー?なんだ、二人は付き合ってるのか?」

ユウが茶化すように聞いてくる。

それに霊斗はこう答える。

「もちろん」

「「え、マジで?」」

ユウとコウタが同時に落ち込む。

「あ、俺らは適合試験もあるんで……」

「あ、それの案内は俺達がするよ」

「あ、じゃあ、お願いします」

アスタルテに目配せすると、アスタルテは小さく頷き、霊斗の手を取る。

「……よ、よし行こう」

ユウが苦笑いしながら先に歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

しばらく歩いて、試験会場に着く。

コウタ達と別れ、会場内に足を踏み入れる。

すると、上階の眼鏡をかけた男がマイク越しに話しかけてくる。

『ようこそ、人類最後の砦、フェンリルへ』

「あ、マジでそういうの要らんので、さっさと受けていいっすか?」

『う、うむ。では始めたまえ』

男――ペイラー・榊が寂しそうに告げる。

どうやら時系列的にはエイジス崩壊後ぐらいらしい。

霊斗は目の前の台に手を載せ、神機の柄を握る。

腕に腕輪が取り付けられ、神機と接続する。

「あれ、痛くない」

霊斗は首を傾げる。

少し腕にチクチクとした感覚があったが、すぐに消えた。

霊斗は神機を持ち上げ、素振りをしてみる。

こうして実際に持っていると、以外と軽い。

アスタルテも同様に不思議そうな表情で神機を見ている。

『驚いたよ……適合率百パーセント。君たちは人間じゃないみたいだよ。まぁ、なにはともあれ頑張ってくれたまえ』

試験は終了のようなので、霊斗は会場を後にする。

その後、チュートリアル的なものを挟み、ついに部隊に配属となった。

教官――雨宮ツバキが霊斗達の紹介をする。

「本日付で第一部隊に配属となった。自己紹介をしろ」

「暁霊斗だ。まだ至らぬ点は多いと思うが、努力はしたい。よろしく」

「アスタルテです。皆さんのお役に立てるように頑張ります」

「以上だ。あとは好きにしてくれ」

それだけ告げると、ツバキは去っていった。

「お二人とも始めまして。アリサ・イリーニチナ・アミエーラです。よろしくお願いしますね」

「ソーマだ。……死ぬなよ」

「俺達は説明要らないよな!」

「橘サクヤよ。二人とも頑張ってね」

霊斗はそれぞれの自己紹介を聞きながら考え事をしていた。

(胸がでかいな……)

なに考えてんだよ。

霊斗はアスタルテの睨みによって凍りつく。

 

そんなこんなで、一週間が過ぎた頃、霊斗達も任務に就くことになった。

「今日のメンバーはアリサ、霊斗、アスタルテ、そこに俺が入ったメンバーで出撃する」

ユウがそう告げる。

「今回の敵はコンゴウだ。最近増えてきている。ただし、白いアラガミ――ハンニバルには注意するように」

(なるほど、今はまだハンニバルへの対策は出来ていないのか)

「そして、今回の任務だが、コンゴウ以外にも多数の小型アラガミが確認されている。できる限りこちらも排除する。……以上でブリーフィングを終わる。各自、準備ができ次第集合だ」

「「「了解」」」

霊斗はターミナルを開くと、アイテムを引き出していく。

「さて、物資の申請はこれでおしまいっと」

霊斗はそのまま神機保管庫に向かう。

途中でとある神機に目が止まる。

赤いチェンソー。

未だ行方不明、戦死扱いの雨宮リンドウの武器だ。

その隣に、霊斗の武器はある。

リッカに頼んで作ってもらったもの。

リンドウと同じ剣に盾。

そして、未だ試作品段階のクロガネシリーズのブラスト。

霊斗はそれを手にとって出撃待機所に向かう。

そこには、メンバーが勢揃いしていた。

「悪い、遅くなった」

「大丈夫だ。……よし、行こう」

ユウの言葉で、全員の心が引き締まる。

そして、移動用のジープに乗り、ミッションが開始となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後。

目的地、鎮魂の廃寺に到着。

「各自索敵開始。対象を発見し次第信号弾で合図をしてくれ」

ユウの言葉に頷き、霊斗は待機地点から降りる。

その足で山頂に向かった。

彼を――雨宮リンドウを探すために。

 

 

 

 

霊斗は山頂の寺跡につき、散策する。

すると、仏像の裏に隠し通路のようなものがあった。

「なんだ……いや、まさかな」

霊斗はその穴をくぐり、寺跡の裏にでる。

「なんだ……これ」

霊斗がみたのは小さな小屋。

だが、霊斗には見おぼえがあった。

2のリンドウの回想に出てきた場所だ。

そっと扉をあけて中に入る。

奥へと進むと、座り込む人影が。

霊斗は息を飲む。

それは、雨宮リンドウその人だった。




まだ続くぜよ!
いや、どうしても書きたかったんだよぉ……。
じゃ、また次回!

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