ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

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書くことがない……。
じゃ、本編をどうぞ。


錬金術師の帰還編Ⅵ

翌朝、古城と霊斗はマンションのロビーにいた。

凪沙、雪菜、アスタルテを見送るためである。

「古城君、しっかり起きて学校いくんだよ?遅刻しちゃダメだからね!」

「へいへい、お前も忘れ物とかしてねぇだろうな?」

「大丈夫大丈夫――あ、お財布忘れたっ!」

「ほら、これだろ」

「あ、霊斗君ありがとう!」

「久しぶりの本土だ。俺達のことは気にせずに楽しんでこい」

「うん!お土産期待しててね!」

「おう……雪菜も凪沙の事、頼むな」

「はい。じゃあ、霊斗さんは先輩の監視を引き続きお願いします」

「まて、霊斗も監視役だったのか!?」

「雪菜ちゃんも心配性だなぁ。監視って……愛が重いっ!」

「な!?わ、私は別に先輩の事なんて!」

雪菜が必死に否定しているが、顔が真っ赤なので説得力がない。

と、賑やかな三人の横で一人、静かに出発を待っている人物が。

やけに静か、というよりも無感情と言った方が正しいか。

(戻っちまったな……前みたいに)

完璧なまでの無表情。

それが本来のアスタルテの姿のはずだ。

だが、彼女が無表情であることに苛立っている自分がいることに気づいた。

(まったく……俺は本当に情けないな……)

霊斗が溜息をつくと、凪沙が笑いかけてくる。

「心配しなくても大丈夫だよ。本土には魔族なんて殆どいないんでしょ?」

「……なんで魔族恐怖症なのに俺と関われるんだろうな?」

「さぁ?まぁ、霊斗君は凪沙が魔族恐怖症になる前から吸血鬼だったもんね。だからじゃない?」

「そういうもんか……じゃあ凪沙、いま古城が獣人化したらどうする?」

「霊斗君に殺してもらう」

「冗談でもやめろ!つか、俺は(凪沙の前では)魔族じゃないぞ!」

「何言ってるの古城君、そんなの知ってるよ。あ、もう時間だ!行ってきまーす!」

「では、行ってきます」

「おう、行ってこい」

「気を付けろよ」

凪沙と雪菜が並び、後ろにアスタルテが続く形になって三人は出発していった。

「なぁ霊斗、アスタルテとなんかあったのか?」

「……いや、何もない」

「……そうか」

霊斗は空間転移で一足先に自宅へ戻る。

そのままリビングに向い、紅茶を淹れる。

「はぁ……どうしたもんかなぁ……」

自分の淹れた紅茶をのみ、あまりの不味さに吐き出す。

「……苦いな……」

どうやら濃く淹れすぎたようだ。

那月にこれを飲ませたらどうなるか。

「良くて全身粉砕骨折、悪くて監獄結界に強制収用か……」

と、次の瞬間、浅葱の悲鳴が聞こえる。

古城がバタバタと自室に駆け込む音がする。

「なんだ、騒がしいな」

暫く話す声が聞こえる。

すると急にマンションが揺れる。

まるでどっかの吸血鬼の真祖が壁に全力で頭を叩きつけたかのような震動だ。

「……馬鹿だなぁ……」

霊斗はそう呟くと、欠伸をする。

だが、強力な魔力の波動に身体を硬直させる。

「''賢者の霊血(ワイズマンズ・ブラッド)''……いや、天塚汞か……」

霊斗は呟くと、空間転移で魔力の発生源に行こうとする。

だが、霊斗の意識が一瞬揺らぐ。

「ぐっ……なんだ?」

困惑する霊斗の頭の中で少女の声がする。

『さて、そろそろ時間だが、まだ抗うのか?』

「ああ。せめて俺の自我が消える前にあのクソ錬金術師はぶっ殺して、あいつらに安全で普通な生活をさせてやるんだ!」

『愚かだな少年、本当に貴様の従者や第四真祖、剣巫がそれを望んでいるのか?』

「……何が言いたい?」

『お前のいる世界が奴らの''普通''なのではないか?』

「違う。俺が……俺みたいな化け物がいるから、災厄をここに招いちまうんだ!」

『お前だけではない。第四真祖もまた災厄の化身たる故、あの者も災厄を招く』

「だったらどうすれば……」

『お前が守ればよいだろう。我を完全に取り込んでな』

「俺が……?……無理だ。俺には出来ない」

『ここまでお前と共生してきて約十年。そこまで我を抑えられたことは称賛に値するものだ。その力と精神力、そして……』

「うるさい!もういいんだ!俺には力もないし精神だって未熟だ。そんな奴が……そんな奴が力を使っちゃ駄目なんだよ!」

『まだ最後まで言ってないであろう。お前の力の本質は……その優しさだ』

「なにを言って……」

『我はお前に取り込まれても良いからアドバイスをしておるのだ。我が惚れたお前にならな……』

「なっ!?急になに言って……」

『だから、見せてみろ。我が惚れた優しさで全て救って見せよ!暁霊斗!』

「っ!?」

''彼女''に一喝されて、霊斗の背筋が強張る。

「俺の……優しさ?」

『そうだ。お前は覚えておらぬだろうが、我もその優しさに救われた一人だ』

「俺が……救った……」

『あの従者の娘も、暁古城も――アヴローラ・フロレスティーナも含めて、お前が救った人々だ。殲教師の時、テロリストの時も、この島の人々を救ったのはお前とその仲間だ』

「俺の仲間……」

『よい仲間に恵まれ、生まれながらにして強大な力を持った。そして我を喰らおうとしておる。そこまでしてもお前は自分が消えてもよいと言うのか?』

「……」

『どうした、疾く答えよ』

「俺はお前を消滅させたくない」

『ほう……』

「俺が消えても、お前には消えて欲しくない!」

『何故そう思う?』

「お前が俺に救われたように、俺もお前に命を救われた!だから――」

『ククク……』

「え?」

『あっはははは!お前は面白いな!……考えが変わった』

''彼女''が笑いながらそう言う。

「は?」

『つまりだ。我はお前を侵食しない。お前も我を取り込まぬ。これまで通り……いや、これまで以上の協力関係だ』

「つまり……どういうことだ?」

『我はお前の中で共生する。お前はこれまで通り我の力を使える。ただし、我もお前を侵食することはない』

「……いいのか?」

『うむ、ただし、契約をしろ』

「どうやって?」

『我ではない。お前の元従者だ』

「……わかった」

その時、霊斗の携帯がなった。

「もしもし?」

『霊斗か!?急いでフェリー乗り場に来てくれ!凪沙達が危ない!』

「わかった!すぐ行く!」

霊斗はそう言うと、電話を切る。

そして''彼女''に話しかける。

「頼む、力を貸してくれ――''原初(ルート)亡霊の吸血鬼(ロストブラッド)''!」

『良かろう。その手で見事救って見せよ!''当代(セコンド)亡霊の吸血鬼(ロストブラッド)''よ!』

''彼女''の声を聞いて、霊斗は駆け出していた。

(待ってろよ……俺がお前を護ってやる!)

そんな強い想いとともに霊斗はフェリー乗り場に転換した。




なんかごちゃごちゃしてて、読みにくかったらすいません!
とりあえず、あと二回くらいで完結の予定です!
ではまた次回!

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