ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

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今回から新章開始です!
本編どうぞ!


錬金術師の帰還編
錬金術師の帰還編Ⅰ


霊斗は照りつける朝日に呻き声をあげる。

「ぐお……暑い……」

霊斗が起き上がると、カーテンを開けたアスタルテがいた。

「おはようございます」

「ああ、おはよう……って、なんだそのコート」

「実は……中等部の修学旅行に行くことになりました」

「は?」

「護衛として行け、と南宮先生に言われまして……」

「那月ちゃんか……」

霊斗は担任の顔を思い浮かべ、溜息をつく。

「まぁ、楽しんで来いよ」

「はい……。霊斗さん、私がいない間もちゃんと起きて学校にいってくださいね?」

「……が、頑張るよ」

霊斗はアスタルテに目を合わせないようにしながら答える。

すると、アスタルテは霊斗を見て一言。

「信用できないですね……」

「ひでぇ……」

「まあ、霊斗さんですし」

「オイコラどういう意味だ」

「ヘタレな霊斗さんは他の女性に手を出す心配はないと思いますが、それでも万が一ということがありますから」

「まだあのこと根に持ってんのかよ……」

霊斗は溜息をつく。

この間、ラブホテルから強制的に帰還して以来ずっとこんな調子である。

パッと見はいつもと変わらないように見えるが、言葉の端々トゲがある。

「では、私は先に行ってます」

「おう……いってら」

アスタルテが部屋を出て行くと、霊斗はベッドに寝転がる。

「はぁ……従者契約を切った方がいいのかなぁ……」

実のところ、出来ない話ではない。

第四真祖の眷獣の力を使って霊的径路を切断すればいいのだ。

今ならまだ従者になってから時間も経っていないため、特に大きな影響もないだろう。

影響があるのは霊斗だけだ。

「古城に頼んでみるか……」

霊斗はもやもやした気分のまま、学校に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

教室に玉葱の焦げる臭いが漂う。

「霊斗!玉葱焦げてるぞ!」

「うおっ!やべえ!」

霊斗は急いで火を止める。

そこに基樹が声を掛ける。

「どうした霊斗?今日はなんかボーッとしてんな?」

「いや、なんでもない。ただの寝不足だ」

霊斗は素っ気なく答えると、手際よく味付けをする。

古城は心配そうな顔で隣の班をみる。

「隣は大丈夫か?」

「あれは……大丈夫って言えるのか?」

「なんたって浅葱がいるからな」

「聞こえてるわよ!」

「「「おおこわいこわい」」」

「浅葱さん!落ち着いてください!熱したフライパンは凶器です!投げないでください!」

「離してアスタルテさん!あいつらの顔面を焼いてやらないと気がすまないの!」

浅葱がフライパンを振り回そうとするのをアスタルテが必死に抑える。

霊斗はそれをちらっと見ると、料理を再開する。

それをアスタルテが寂しそうな目で見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。

霊斗、古城、凪沙、アスタルテ、雪菜、夏音はショッピングモールに来ていた。

「いやー!るる家のアイスは美味しいね!」

「おい、これはどういうことだ」

アイスを食べて幸せそうな表情の凪沙に、古城がドスの効いた声で聞く。

「どういうって……古城君と霊斗君に荷物持ちをしてもらってるだけだよ?」

「俺はいいけどな……霊斗はどうなんだよ?」

「…………」

「霊斗?」

「…………」

「霊斗君?」

「……」

「霊斗お兄さん?」

「……」

「霊斗さん!」

「ん?ああ、雪菜、なんだよ?」

「霊斗……俺達の話聞いてたか?」

「……すまん……」

「聞いてなかったのか……」

「まあ、いいよ!雪菜ちゃん、夏音ちゃん、アスタルテちゃん!あそこいこ!」

凪沙が指差したのはランジェリーショップだ。

「あ、古城君と霊斗君はついてこないでね」

「行くかっ!なぁ霊斗」

「…………」

「ったく……またこれかよ」

古城が溜息をついている間に四人は店へと入っていった。

それを見て古城がまた溜息をついていると、霊斗が勢いよく立ち上がった。

「霊斗……?」

霊斗の視線の先には赤白チェックの帽子に白いマントコートの男が立っていた。

「どーも」

「ちっす」

男の挨拶に古城も挨拶し返すが、霊斗は男を睨んだままだった。

「何者だ」

「そうだねぇ……真理の探求者とだけ言っておこうかな」

「真理の探求者だと!?」

霊斗が叫んだ次の瞬間、男の右腕からなにかが放たれた。

「古城!伏せろ!」

霊斗が古城の前に飛び出し、天照の炎でそれを焼く。

「な、なんだ今の!?」

「ふうん、今のは吸血鬼の眷獣か……」

「黙れ。お前に夏音は渡さない」

「目的までわかるのか……」

古城が霊斗を見ると、霊斗の目はどす黒く濁った赤に染まっていた。

(なんだあの目……見たことねぇぞ……)

霊斗が再び腕を一閃する。

「くっ……分が悪いな。一旦退かせてもらうよ」

そういうと、男は走り去った。

「霊斗……」

「なんだよ……」

「お前、荒れてるぞ。少し落ち着け」

「うるせぇ!古城に何がわかるんだよ!」

「だから落ち着けって!なにがあったんだよ!」

「ほっといてくれ!俺は……」

「先輩?霊斗さん?」

古城と霊斗が言い争っていると、雪菜が声を掛けてきた。

「姫柊……」

「雪菜、悪いけど俺は先に帰る。みんなにも伝えてくれ」

霊斗はそう言って、凪沙とアスタルテの荷物を持って空間転移で姿を消した。

「霊斗……お前……」

古城は霊斗の異変に戸惑うだけだった。




ではまた次回!

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