ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

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今回は特別編です。
霊斗達の授業風景でも書いていこうかと……。
では本編をどうぞ。


日常編Ⅲ
特別編・とある日常の話


朝。

霊斗は窓から差し込む朝日で目を覚ました。

「朝……か。眠いな……」

霊斗は昨日まで波浪院フェスタの手伝いをしていたため、疲労しきっていた。

「今日は学校休むかー……」

すると、ドアを開けてアスタルテが入ってきた。

「起きてください。遅刻しますよ」

「あー、体調悪いから休むわ」

「じゃあ診察しますから、起きてください」

「ごめんなさい嘘です。仕度するので待っててください」

霊斗は起き上がり、鞄に筆記用具を詰め込む。

「よし、着替えるから部屋から出てくれ」

「お断りします」

「なんで!?」

「ちょっとした目の保養を……」

「出てけー!」

「じゃあ、朝食の用意をしてきますね」

「へいへい……」

アスタルテが部屋を出て行ったのを確認すると、制服に着替える。

そこで、普段制服の上に羽織っているパーカーがないことに気づく。

「あー……こないだの奴で最後だったか……」

仕方なく、そのままでリビングに出る。

「あ、霊斗君!おはよー!」

「霊斗、おはよう」

「ああ、おはよう」

凪沙がキッチンから、古城がテーブルから声を掛けてくる。

「なぁ霊斗、パーカーはどうした?」

「こないだので終わった。あれも穴だらけだったしなぁ……。また今度買ってくるさ」

霊斗は溜息をついて椅子に座る。

そこにアスタルテと凪沙が朝食を運んでくる。

「「「「頂きます」」」」

この日は珍しく全員で朝食を摂ることになった。

「なんか、古城と凪沙がいるのが久しぶりだな」

「それは霊斗君と古城君が起きるのが遅いからでしょ!」

「霊斗達が俺の事起こしてくれねぇからだろ!」

「霊斗さんが中途半端な時間に起きるからです」

「うっわひでぇ!」

そこで凪沙が立ち上がる。

「じゃあ、凪沙は部活の朝練あるから行くね!アスタルテちゃん、食器お願い!」

「わかりました、洗っておきますね」

「じゃあ、いってきまーす!」

そう言うと凪沙は騒々しく出て行った。

「朝から騒がしいな……」

「まったくだ。こっちの事も考えてくれよ……」

「ふぅ……眠いです……」

三人の吸血鬼は揃って溜息をついた。

すると、チャイムがなった。

古城がインターフォンを見ると、そこには雪菜が立っていた。

「姫柊か、ちょっと待ってくれ、すぐ行く」

『はい。じゃあ待ってます』

そして古城は鞄を掴んで玄関に向かって行った。

「仲いいなー……」

「じゃあ、食器片付けますね」

「ああ、手伝うよ」

霊斗とアスタルテは並んでキッチンに立った。

「……眠い……」

「ですね……」

二人してうとうとしながら皿を洗い、片付けたところで時間を見る。

「やベェ!遅刻する!」

「急ぎましょう!」

「いや、だったら!」

霊斗はアスタルテを抱き上げる。

「ちょっと霊斗さん!?いきなり何を!?」

「目ェ瞑ってろ!」

霊斗は空間転移で学校の門の近くに跳ぶ。

ちなみに、古城が間違えて鍵をかけていたようなので、戸締まりは問題ない。

「うぐっ……」

「霊斗さん!無理するから!」

「いいから、先いってろ!」

アスタルテは霊斗の言うことに従って、先に教室に向かった。

霊斗は朝から魔力を行使した反動で眩暈を起こして膝をつく。

「うぅ……気持ちわりぃ……」

霊斗はふらふらとした足取りで校舎に向かう。

そのせいで、教室についたのは朝のHRが終わってからだった。

「ちくしょー……かったりぃー……」

「霊斗……あんたも災難ね……」

霊斗に同情するように話しかけてきたのは浅葱だった。

「全くだ……朝から空間転移なんかするもんじゃねぇな……」

「吸血鬼も楽じゃないわね……」

「はは……吸血鬼じゃなくてもダウンしてるやつもいるけどな」

霊斗の視線の先では基樹が黒いオーラ(のようななにか)を纏って机に突っ伏している。

「なにがあったんだあれ……」

「彼女さんと波浪院フェスタ回れなかったみたいよ」

霊斗の疑問に答えたのは倫だった。

「なるほど……」

「で、霊斗。古城はなんで死んでんのよ」

「寝不足だろ。おおかた紗矢華が寝かせてくれなかったんだろ(メールとか電話とか)」

「寝かせてくれなかった(R-18)!?な、ななな、なにやってんのよあいつは!なんであんたも止めないのよ!」

「いや、必要ないだろ?」

「あるでしょうがぁぁぁ!」

浅葱がキレたところでチャイムが鳴る。

最初の授業は英語だ。

教室には那月が入ってくる。

「日直、挨拶だ」

那月の合図で日直が号令をする。

「着席」

席につくと同時に霊斗は目を瞑る。

しかし、那月は何も言ってこない。

理由は簡単だ。

霊斗は仕事の関係上、英語はほぼマスターしているからだ。

だが、古城が寝ていると那月の攻撃が襲う。

「痛ぇ!なにすんだよ那月ちゃん!」

ゴスッ

「ぐおぉぉぉ!」

「担任をちゃん付で呼ぶな」

「なんで霊斗は殴られねぇんだよ!?理不尽だろ!」

「ほう……霊斗、この問題を日本語訳しろ」

那月が黒板に英文を書く。

「えー……''彼の名前は暁古城です。彼は非常に愚かで、いやらしい人物です''」

「俺の悪口じゃねぇか!」

「じゃあ古城、この文を和訳しろ」

那月が別の英文を書く。

「……''彼の名前は暁霊斗です''」

「続きは?」

「…………''彼は''」

「彼は?」

「………………」

「どうした、わからないのか?」

「………………はい……」

「仕方ないな、藍羽。答えろ」

「はい。''彼の名前は暁霊斗です。彼は流暢に英語を話します''」

「正解だ。どうだ古城。まだ理不尽だと言うか?」

「いいえ」

「だったら真面目に授業を聞け」

「はい……」

因みに彩海学園高等部一年の英語の学年トップは浅葱と霊斗が同率である。

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。

霊斗はアスタルテと一緒に自宅への道を歩いていた。

「霊斗さん、ちょっと行きたいところがあるので付き合ってもらってもいいですか?」

「ああ。どこに行くんだ?」

「ナイショです。ついてきてください」

アスタルテが霊斗の手を引いて歩いていく。

「なあ……教えてくれよ」

「駄目です」

そんなやり取りをしていると、見慣れた区画に出た。

そこは、獅子王機関の出張所がある場所だった。

つまり――

「ここです」

つまりは、アスタルテが来たかったのは――

「ラブホテル?」

「正解です」

「帰る」

帰ろうとする霊斗をアスタルテが捕まえる。

「駄目ですよ。帰らせません」

「は、離せよ……頼むから……」

「駄目です」

そこで霊斗はあることを閃いた。

「伴侶への命令だ。帰宅する」

「っ!?ひ、卑怯です……」

そんなこんなで、霊斗とアスタルテは自宅についた。

「霊斗さんの馬鹿……」

「まだ早い。もう何年かしたらな――」

バチン!

「霊斗さんの馬鹿ーっ!」

アスタルテが霊斗にビンタをして、部屋に駆け込んでいく。

「おうふ……」

霊斗は痛みで意識を失った。

結局翌日まで目を覚まさなかったと、後に彼は語る。

起きた彼の顔には赤い手形がついて、クラスメイトの笑い者だったという――。




霊斗はヘタレですね。
次回から新章突入です。
また次回!

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