ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

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久しぶりに走ったら筋肉痛になった……。
うん、どうでもいいね。
では本編をどうぞ。


観測者の宴編Ⅵ

浅葱はメインストリートで波浪院フェスタ名物、ナイトパレードを見物していた。

しかし、パレードが盛り上がり始めた時。

浅葱の携帯が鳴り出した。

「もう、誰よ……」

浅葱は携帯の画面を見て、目を見張る。

そしてサナを連れて裏路地に入った。

「もしもし古城?」

『浅葱!今どこにいる?』

「どこって……えーと、クアドラビルの前よ。パレード見てたから」

『やっぱりそうか……小さな女の子といるよな』

「え?い、いるけど……やっぱりあんた、そういう趣味が……」

『違うわっ!てかやっぱりってなんだ!そうじゃなくて、その子もしかしたら――』

「もしかしたら?」

しかし、浅葱の耳に聞こえてきたのはサナの叫び声だった。

「ママ!」

サナの視線の先には、一人の老人がいた。

「見つけたぞ……''空隙の魔女''……」

「は?なにを言って……」

しかし、浅葱はその先を言うことができなかった。

その老人の身体が一瞬で赤熱したからだ。

「精霊遣い……!?」

「どけ小娘。貴様ごと焼き払ってやろうか……」

「っ……そんなこと、させるわけないでしょ……!サナちゃん!走って!」

浅葱はサナの手を引いて走り出す。

「ふざっけんじゃないわよ!モグワイ!」

『おうよ。わかってる事だけいうぜ。爺さんの名前はキリガ・ギリカ。見たまんまの精霊遣いだ。六年前、絃神島でテロを起こそうとして逮捕。その後、監獄結界に送られた』

「なんでそんな化け物がサナちゃんを狙ってるわけ!?」

『さあな。ただ、一つだけ言えることがあるぜ』

「なによ!?」

『このままじゃ追い付かれてウェルダンに焼かれちまうぜ』

「わかってるわよ!ああもうモグワイ!地下共同溝からキーストーンゲートEエントランスまでの最短ルートを計算しなさい!」

『へいへい。次の角を右に。その後の地下道への階段の途中にハッチがあるぜ』

モグワイの言う通りに、ハッチに飛び込んだ。

すると、浅葱の背後で隔壁が降りた。

浅葱は膝をつき、呟く。

「これで……諦めてくれるといいんだけど……」

しかし、浅葱の予想に反して、隔壁が溶け出した。

「まあ、そう上手くは行かないか……」

浅葱はそう呟くと、再びサナを抱えて走り出した。

しかし、キリガ・ギリカはジリジリと距離を詰めてくる。

「もう終わりか、娘よ」

「モグワイ!あと何秒!?」

『ククッ、あと二十秒だぜ!』

モグワイの笑いを聞きながら浅葱は立ち止まり、振り返る。

「残念だったわね、お爺ちゃん。計算通りよ!」

浅葱が言うのと同時に、壁を突き破って大量の水がキリガ・ギリカの身体を吹き飛ばす。

「ぐあぁっ!娘、貴様ぁっ!」

キリガ・ギリカが流れていくのを見ながら、浅葱はサナを抱えて地上に出る。

「やったかしら……とは行かないわね……」

浅葱が呟くと、背後のアスファルトが溶け、中からキリガ・ギリカが這い出してくる。

「娘……許さん!」

キリガ・ギリカが怒りも露に叫ぶ。

次の瞬間、彼の身体から放たれたのはこれまでとは比べ物にならない熱量だった。

「なっ!?何よこの力!?」

『怒りで限界を超えちまったみてーだな。これじゃ特区警備隊の装備も効かねーぜ』

浅葱の計画は、ここに来て終わってしまったかのように思えた。

「もう駄目じゃない……」

呟く浅葱にモグワイが言う。

『いや、特区警備隊は駄目だがな。うれしい誤算だぜ』

「は?」

モグワイの言葉の意味がわからず、困惑する浅葱の耳に聞こえてきたのは、聞きなれたはずなのにどこか違うクラスメートの声だった。

「浅葱!無事か!」

虚空より霊斗とアスタルテが現れ、着地する。

「れ、霊斗……」

「アスタルテ、浅葱と那月ちゃんの保護を」

「了解!」

アスタルテが、浅葱とサナを抱き上げ離脱する。

「さて爺さん。俺の友人を随分と苛めてくれたみてぇだなぁ……」

「ふん、第五真祖か。今の貴様で勝てるのか」

「なめんなよ――降臨せよ!''天照大神''!」

霊斗が言うと、いつもより少し小さい天照が現れる。

『やほー霊君。こっちならある程度記憶とかも戻るから加減できるよ』

「そうか。だったらあの爺さんを焼いてくれ」

「ふん、ただの炎で儂を焼けるとでも――ぎゃぁぁぁ!?」

「……爺さん、あんた馬鹿だろ」

『曲がりなりにも神の名を持つ眷獣の炎に低級な炎精霊(イフリート)ごときで勝てるとでも?』

「ま、そういうことだな。監獄結界で寂しく余生を過ごせや」

霊斗がそう言うと、キリガ・ギリカの手枷から鎖が出てきて、彼を虚空に引きずり込んで行く。

「さて、浅葱。今だからいうぞ」

「な、なによ……ってか霊斗、今の眷獣の力……真祖クラスじゃない……」

「ああ。俺は第五真祖だからな」

「は?第五真祖って、あの伝承の!?神の眷獣を使う?」

「ああ……お前も宴の記憶がないのか……」

「宴?んなもんどうでもいいわよ!あんたが第五真祖だったら、第四真祖は誰なのよ!」

「秘密だ。お前の為にもな」

「うぅ……だって今更あんたが真祖だって言ってもさぁ……」

「それは……怖がられるかなって」

霊斗が言うと、浅葱は笑った。

「そんなんで怖がるわけないでしょ。じゃ、しっかりあたし達を守ってね、第五真祖サマ?」

浅葱が意地悪く笑い、霊斗は答える。

「俺の戦いぶり、ちゃんと見とけよ」

そんな霊斗の前に現れたのは、妖艶な笑みを浮かべた美女だった。




霊斗が浅葱にカミングアウトしました。
むしろ今までよく隠せてたなって感じですが。
ではまた次回!

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