あ、課題なんもやってないや。
と、いうわけで書いていきます。
爆音で古城の耳は痺れていた。
というか巻き込まれる寸前だった。
そんな古城と雪菜の耳に聞こえてきたのは聞き慣れた祝詞だった。
「獅子の舞女たる高神の真射姫が讃え奉る」
現れたのは煌坂紗矢華だった。
だが、彼女が乗っていたのは意表を突くような乗り物だった。
「……戦車?」
「しかも馬付き……」
困惑する古城達をよそに、紗矢華の祝詞は続く。
「極光の炎駒、煌華の麒麟、其は天樂と轟雷を統べ、憤焔をまといて妖霊冥鬼を射貫く者なり!」
紗矢華が放った呪矢は灼熱の閃光に変わり、あちこちで爆発を引き起こした。
脱獄囚をこれくらいで倒せるとは思わないが、目眩ましには充分だった。
「乗って!雪菜!暁古城!アスタルテさん!あと……そこの子!」
「霊斗だ!」
紗矢華の疑問にきっちり返答しながら霊斗は戦車に飛び乗る。
続いてアスタルテ、雪菜が優麻を抱えて飛び乗り、古城が御者台に足を掛けたと同時に紗矢華は馬を走らせた。
「おわぁぁ!?落ちる落ちる!」
「古城!捕まれ!」
「悪い霊斗!」
落ちそうになった古城を霊斗が引っ張り上げる。
「ところで紗矢華。なんで戦車なんだ?しかもこれ、明らかに波浪院フェスタのパレード用だよな」
「知らないわよ!道端にあったから使ってるだけよ!他の移動手段なんてなかったし!」
「むしろよく馬なんて使えるよな」
霊斗達がそんな会話をしていると、馬の頭の方からパキ、と言う異音が聞こえた。
「「パキ?」」
紗矢華と霊斗が同時に馬の方を向くと、馬の頭が無くなっていた。
「ど、どどど、どうすんだよこれ!?制御出来ねぇじゃんか!?」
「私に聞かないでよ!何もしてないもの!」
だが、よく見ると馬はロボットの様だった。
「……なんか、慌てて損した」
「なに安心してんのよ!?止まらないのよ!?」
「いや、ロボットならいざというときは壊せるし」
「そうね……」
紗矢華が呆れたように言う。
だが、その表情がまた困惑に変わる。
「そういえば、暁古城。あなた元に戻ったの?」
「ああ。だけど変わりにユウマが……」
「ユウマって……仙夜木優麻?LCOの犯罪者じゃないの?」
「違うんだ。こいつは母親に利用されていただけなんだ」
「母親?」
紗矢華の疑問に霊斗が答える。
「仙夜木阿夜。LCOの''総記''と呼ばれている女だ。十年前に絃神島で''闇誓書事件''と呼ばれる大規模魔導犯罪を起こしている」
「や、やけに詳しいわね……」
「なんせ俺が獅子王機関の見習いだったときに研修で行った事件だからな」
「は!?十年前ってあんた六歳位でしょ!?」
「獅子王機関に入ったばかりのころだな」
「あんたどんだけ規格外なのよ……」
霊斗の規格外さを改めて思い知った時、目の前に新たな問題が発生した。
「あ、紗矢華。次の信号で止まってくれるか?優麻の治療ができるであろう医者の所に行きたい」
「……どうやって?」
「あ……」
先程壊れた馬が止まる訳がない。
馬はそのまま研究所の塀に向かって突っ込んでいく。
「すまん紗矢華、膝借りるぞ!」
「え!?何急に膝の上に乗って!?」
「天音!ぶっ壊せ!」
「はーい。えいっ!」
霊斗が天音を召喚し、馬と荷台の金具を破壊する。
馬は塀を飛び越えていき、荷台は塀に激突して停止する。
「と、止まった……」
「ありがとな天音。戻っていいよ」
「うん。おやすみー」
天音の姿が消えると、霊斗は荷台を降りて研究所の方を見る。
「霊斗……ここって……」
「古城とアスタルテはわかるよな?誰に頼るか」
「はい。わかります」
「霊斗さん?なにを言って――」
「なんでMAR?」
雪菜と紗矢華は頭に疑問符を浮かべている。
「こっちだ。ゲストハウスに向かおう」
「霊斗、それでドアが開けられんのか?」
「ーっ!ーっ!(懸命に背伸び)……アスタルテ……」
「よしよし、よく頑張りましたね開けてあげますよ」
「霊斗さんってこんなに小さかったんですね……」
「機関に私が入ったばかりのころは私より小さかったもの」
紗矢華と雪菜がなぜか慈しみの目で霊斗をみている。
そして雪菜が霊斗に聞く。
「それで霊斗さん、誰に頼るんですか?」
「それは……」
霊斗は一瞬言うか迷い、古城とアスタルテを見る。
そして二人が頷いたのを確認し、言う。
「暁深森。俺達の母親だ」
「霊斗さんと先輩のお母様……?」
雪菜と紗矢華は驚愕で一杯だと言うような表情で霊斗を見る。
「まあ、心配いらない。たまに変人だけど」
霊斗は告げて、ゲストハウスに向かって歩く。
更なる驚愕があるとも知らずに。
あー疲れた。
年末にインフルかかってから体力が戻らない……。
みなさんもお体に気を付けてお過ごしください。
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ではまた次回!