ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

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うちの学校は明日で二学期が終わるです!
まぁ、休み中も部活なんですけどね……。
ということで本編をどうぞ。


蒼き魔女の迷宮編Ⅳ

古城達はとりあえずキーストーンゲートに向かうことにした。

移動方法は勿論霊斗の空間転移だ。

「便利だな、それ」

「この人数だと大分キツいけどな……」

「はは、お疲れ様霊斗」

「じゃあ、中に入りましょうか」

「古城、どこから回るんだ?」

「そこんとこは浅葱の方が詳しいだろ」

「まさかの丸投げ!?馬鹿にしてんのあんた!?」

「まあまあ、愛しい古城の為に頑張れよ」

「基樹、あんたは後で殺すわ」

その後、浅葱の提案で博物館を回り、矢瀬オススメのカフェに入った一行。

テーブルが空いていなかった為、高校生組と中学生組とリア充組で分かれて座る事になった。

「それにしても、なんなのよあの子……」

「なんだよ浅葱?嫉妬か?」

「はぁ……可愛いくせに異性を意識させない態度って……チートか!」

「お前が言うなお前が」

そこに料理を取りに行っていた古城が帰ってくる。

「ほら、取ってきたぞ」

「あれ?あの子は?」

「ユウマなら霊斗達の所だ」

 

 

 

霊斗達の席。

アスタルテは料理を取りに行った。

「なあ優麻。何しに来たんだ?」

「何って、霊斗達の話を聞きにね」

「帰れ」

「まったく霊斗は変わっちゃったなあ。昔はあんなに……」

「昔の話は止めろ」

「じゃあ今の話を聞かせてくれないかい?」

「……わかったよ、何が聞きたい?」

そう言いながら霊斗は紅茶を口に含む。

「吸血したのかな?」

「ゴハッ!?」

盛大に紅茶を床にぶちまける霊斗。

そこにアスタルテが帰ってくる。

「霊斗さん、なにをしてるんですか?」

「事情を聞いてくれ」

「とりあえず拭いてください。これ、ティッシュです」

「ああ、悪い……で、これは優麻が変なことを聞いてくるから……」

「別に、ボクは吸血したのかどうか聞いただけだよ?」

「霊斗さんは本当にヘタレですね」

「やめて!そんな蔑んだ目で俺を見ないでくれ!」

霊斗は悲痛な声を上げる。

「あははっ、霊斗は本当に弄り甲斐があるなぁ」

「あの、優麻さん」

「どうしたんだい?アスタルテちゃん」

「霊斗さんの昔の話を聞かせてください!」

アスタルテの目が輝いている。

「いいよ、何から話そうかな……」

「止めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

「霊斗さん黙っていてください(ボゴッ)」

「ゴフッ(バタン――ガシャン!)」

アスタルテの腹パンが炸裂した。

霊斗が意識を無くし、倒れる。

しかし、何事もなかったかのように優麻の思い出話は続いた。

 

 

 

 

 

 

古城達の席。

「なにやってんだあいつら……」

「賑やかでいいんじゃないか?……おっと、電話だ。ちょっと出てくる」

「おう、いってら」

矢瀬は電話に出るために店を出ていった。

「基樹も大変ねー……」

「そうだな。リア充ってのも案外大変なのかもな」

「そうね……」

そこに、矢瀬が戻ってくる。

「ああ……わかった。すぐに向かう」

なにやら深刻そうな顔をして電話を切る矢瀬。

「どうしたんだ?」

古城がそう聞くと、基樹はいつもの表情に戻って答える。

「ああ、ちょいと野暮用でな。先に行くわ」

「そうか、頑張れよ」

「おう!じゃあな」

矢瀬はそう言って立ち去ろうとする。

「って待て!食った分は払ってけよ!」

「さらばだっ!」

「あ!こら待て!逃げんな‼」

古城が引き留めようとするも時すでに遅し。

矢瀬は高笑いしながら走り去っていった。

「くそー、あいつめ……」

そこで、浅葱のスマホが振動する。

このスマホの番号を知っているのは奴しかいない。

「ごめん、あたしも電話」

「ああ。わかった」

浅葱は店の外に出ると、通話ボタンをタップする。

「なによモグワイ?電話ってことは重要機密でしょ?」

『ああ、もう余裕がない。クラスⅢの特区防衛体制だ』

「クラスⅢ!?そんなのこの前の殲教師の時と同じ位のテロってこと!?」

『まだ原因は特定出来てないが、そんなわけでバイトの依頼だ。頼めるよな?』

「どうせ拒否権なんてないんでしょ。いいわ、すぐに向かうわ」

『助かるぜ、あと、霊斗の坊っちゃんにも警戒しろって伝えてくれ』

「わかったわ。じゃあ、霊斗の魔力を関知しないプログラムを起動しときなさいよ」

『もう起動してあるぜ』

「じゃあ、向かうから」

そう言って浅葱は通話を切る。

そして霊斗に要件を伝えると、浅葱はバイト先へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーストーンゲート、展望ホール。

「うわぁ~!絶景だね!夏音ちゃんもあっちで外見よ!」

「はい、行きたいでした」

凪沙達は窓辺に走り寄って、感嘆の声を上げる。

だが、雪菜は

「なんか、空中に浮かんでいるみたいですね」

「そっか、姫柊は高いとこ苦手なんだっけ?」

「違います!ガラスの強度が心配なだけです!」

そんな賑やかな雰囲気の中、霊斗だけは周りを警戒していた。

「霊斗?どうしたんだい?怖い顔をして」

「気にするな、眠いだけだ」

優麻が心配そうにこっちを見てくるが、適当に誤魔化す。

「アスタルテ」

「なんでしょう」

「クラスⅢの警戒体制だ。いつでも眷獣を出せるようにしておけ」

「わかりました」

その時、霊斗の携帯が振動する。

「誰だ?……はい、もしもし」

電話に出ると、相手は特区警備隊の職員だった。

内容をまとめると、那月が失踪し、事前に渡されていたメモに、霊斗に頼んで夏音を保護しろ、と書いてあったそうだ。

「了解した。……ああ、Cカードなら常に携帯してる」

その後、二言三言交わし電話を切る。

「ったく、面倒な事になったな……」

霊斗はそう呟き、溜息をついた。

 

 

 

 

 

 

暁家。

古城達は島内を一周し、帰ってきたのは日没前ギリギリである。

夏音は雪菜とアスタルテが護衛についている。

「優麻、楽しかったか?」

「うん、絃神島は面白い所だったね。とくにあの喫茶店が面白かったよ」

「ああ、獄魔館か。あそこは俺の昔馴染みが働いてるんだ」

「へぇ、そうなんだ。霊斗は顔が広いんだね」

「そんなことないさ」

そこに凪沙の声が掛かる。

「霊斗君もユウちゃんもこっちで話そうよ!」

「ああ、今行く」

「ごめんよ、凪沙ちゃん」

そこで、古城が脱衣場から出てくる。

「おい、風呂空いたぞ」

「ああ、凪沙、優麻。先に行っていいか?」

「いいよー、ね、ユウちゃん」

「ああ、ゆっくりしてくると良いよ」

「悪いな」

霊斗はTシャツと短パン、バスタオルを持つと、脱衣場へ行く。

「に、してもなぜクラスⅢの警戒体制が敷かれているんだ?」

そんな事を考えながら風呂場のドアを開く。

すると中からはシャワーの音がしてくる。

霊斗はドアをくぐり抜ける。

一瞬目眩のような感覚がし、出たのは―――

「ん?シャワーの音?」

そこには、夏音とアスタルテ、雪菜がいた。

「「「……」」」

「……?」

霊斗の目はアスタルテに釘付けになる。

「あの、霊斗さん?ここ、私の家……ですよね?」

「おかしいな、俺は自宅の脱衣場から来たはずだが」

「困りましたね。お兄さんのお家と雪菜ちゃんのお家が繋がってしまいました……」

「霊斗さん、いつまで見てるんですか?」

「あ、すまん」

「霊斗さんは変態ですね」

「そう言うなよ、傷つくだろ」

四人で朗らかに笑い合う。

そして―――

「さらばだっ!」

「変態!変態ーっ!」

「若雷――!」

「みぎゃぁぉぁぉぉ!?」

霊斗は雪菜の技を食らい、脱衣場まで弾き飛ばされる。

「なにがどうなってんだ……」

最初に思い付いたのは空間制御。

しかし、自分が知っているのは那月だけだ。

他にここまで空間制御を使える人物を霊斗は知らない。

「どういうことだよ、那月ちゃん……」

霊斗はそう呟き、溜息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

夜。

霊斗は久し振りに自分のベッドで眠る事になった。

(……アスタルテの匂いがする……)

軽く変態である。

(しかし、どうなってるんだ……)

霊斗が考えていたのは今日の脱衣場での件だ。

(なぜあそこに空間制御のゲートが出来ていたんだ……?なにがおかしいんだ?なにかが引っ掛かる……)

改めて脱衣場からの事を思い出す。

まず、脱衣場は自宅の物だった。

その後、風呂場のドアを開いて、入る時に少し目眩のような感覚がした。

(ここで転移したのか……)

だが、そう考えるとなぜピンポイントであそこに跳んだのか。

(偶然か……にしても……)

霊斗の脳裏にアスタルテの裸体が浮かび上がる。

(まずっ!)

その瞬間、強烈な喉の渇きを覚える。

吸血衝動だ。

(くそっ!最近落ち着いてたのに!)

最近はあまり吸血衝動は無かったので油断していた。

しばらくすると、吸血衝動は収まった。

だが、次は猛烈な眠気と浮遊感に教われる。

(なんだ?なんでこんなに眠たいんだ……)

最後に霊斗が見たのは、霊斗の部屋のドアの前に立ち笑っている優麻と、その背後に浮かび上がる蒼い鎧の顔の無い騎士の姿だった。




ああ、疲れた。
お気にいり、評価お願いいたします!
ではまた次回!

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