ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

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昨日のオリジナル話はどうだったでしょうか?
今回からまた本編に戻ります。
では本編をどうぞ。


蒼き魔女の迷宮編
蒼き魔女の迷宮編Ⅰ


絃神島、とある空港。

紗矢華はその空港の貴賓室にいた。

そこには二人の要人がいた。

一人はアルデアル公ディミトリエ・ヴァトラー。

旧き世代の吸血鬼の貴族だ。

もう一人はラ・フォリア・リハヴァイン。

アルディギア王国の王女である。

そんな二人を相手するのは流石の舞威姫とはいえキツい。

そんなわけで、もう一人護衛を増やしてもらったのだが……。

「なんで霊斗が来るのよ……」

「悪かったな俺で」

派遣(?)されてきたのは暁霊斗。

獅子王機関の剣凰であり、第五真祖でもあるこの少年は紗矢華が苦手としない数少ない異性の一人である。

「いや、霊斗が嫌って訳じゃないんだけど……」

「なんだ、古城が良かったのか?」

「殺すわよ」

「悪いが俺は不死身だぞ」

「そんなの知ってるわよ!」

と、紗矢華が視線に気付いて要人二人の方を見ると、ヴァトラーとラ・フォリアが面白い事を聞いた、といった表情でこちらを見ている。

「あ、その……」

「いやァ、驚いたヨ。まさか獅子王機関の舞威姫が第四真祖の事を好きだなんてサ」

「大変ですわ、アルデアル公。貴方の恋敵が増えてしまいましたわ」

「そんなのじゃないです!ほら王女!もう時間ですよ!早く飛行機へ!」

「わかりましたわ、それではアルデアル公、ごきげんよう」

「ああ、また楽しく話をしようじゃないか」

そして、ラ・フォリアは霊斗の方に向き直る。

「霊斗もお元気で」

「ああ、本当はそろそろある波朧院フェスタも案内してやりたかったんだがな」

「ちょ、霊斗!?」

「波朧院フェスタ、ですか?」

「ああ、絃神島全体でやる祭なんだが……」

「王女!行きますよ!」

「では」

ラ・フォリアはそのまま部屋を出ていく。

「フウン、霊斗は王女の事が好きなのかナ?」

「んなわけあるか。俺の好きな相手は一人だけだ」

「あの元ホムンクルスの娘かい?」

「ああ。あいつだけが俺の血の伴侶だ」

霊斗がそう言うと、ヴァトラーは首を傾げた。

「おや?第四真祖と第五真祖はこれまで一度も血の従者は作らなかったはずだけどナ」

「俺はそんなわけわからん過去には捕らわれたくない」

「そうかい。まア、好きにすると良いサ」

ヴァトラーはそう言うと霧化し、その場を去る。

 

 

 

 

 

 

 

紗矢華はラ・フォリアを引っ張って歩いていた。

「紗矢華?」

「波朧院フェスタには行かせません!」

「わたくしはまだ貴女の名前しか呼んでいないのですが」

「知りません‼今回の便は日本政府の特別チャーター機なんですから、予定を遅らす事は出来ません!」

「わかっています……ですが」

直後、二人を目眩に似た感覚が襲う。

「飛行機に行けないのでは仕方ありませんね」

二人が居たのは、第十三号増設人工島。

飛行場の真反対であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊斗は仕事を終わらせ、教室に戻った。

教室に入ると、ちょうど帰りのHRの前だった。

霊斗は席に着き、担任の到着を待つ。

が、教壇に上がったのはアスタルテだった。

どうやら、那月が攻魔官の仕事で居ない為、今日の日直であるアスタルテが代わりに注意事項を伝えるらしい。

だが、クラスの大半の生徒はまったく聞いていなかった。

代わりにひそひそと話す声が聞こえる。

「なあ、あれってこの前の転入生だよな?」

「ああ、普段目立たないけどめっちゃ可愛いな……」

「でも霊斗とデキてんだろ?」

「「!?」」

また、別の場所では

「霊斗と付き合ってんのか……寝とるか」

「馬鹿お前、殺されるぞ」

さらに、女子の間では

「髪の毛綺麗だね」

「何か特殊なケアでもしてるのかな?」

「肌も綺麗だよね」

とまあ、こんな会話がされていた。

もちろん霊斗は全部聞いていて

一組目➡わかってる奴ら

二組目➡ぶん殴るかな?

三組目➡こっちもわかってる奴ら

と判断。

その後HRが終わると、古城と霊斗の周りにはたくさん人が集まってきた。

「古城!お前うちでバイトしないか?いまなら給料三割増しだ!」

「霊斗!俺と売り子をやらないか?彼女も一緒でいいから!」

「いや、暁兄弟よ!ミスコンの審査員をやらないか?それとも男性出場枠でいくか!?」

しかし、古城と霊斗はそれを断る。

「あー、悪い」

「他に回る約束をしてる奴がいるからな」

それを聞いて男達は涙を流した。

「どうしてだ古城!どうせ中等部の転校生と回るんだろ‼」

「霊斗なんかもう知らねぇ‼リア充してろ馬鹿!この裏切り者!」

すると、入口から棚原夕歩が古城を呼ぶ。

「暁古城ー!中等部の聖女ちゃんがあんたに用だってさー」

その後ろには、叶瀬夏音が立っていた。

「馬鹿な……聖女だと!?」

「あの男、何又するつもりだ!?」

男共が何か言っているが気にしない。

古城は夏音の所へ行く。

その後ろに霊斗とアスタルテも着いていく。

「叶瀬、もう大丈夫なのか?」

「はい。おかげさまで、もう大丈夫でした」

「元気そうで何よりだ」

「霊斗お兄さんも、ありがとうございました」

「気にすんなって」

「それで、なんでここに?」

「そうでした。今日、お兄さん達の家に泊まりに行きます」

「そうなのか、じゃあ後で来るんだな」

「はい。そうでした」

「じゃあ、後でな」

「はい、それでは」

そう言うと、夏音は自分の教室へ戻っていった。

そこに、築島倫が、浅葱の手を掴んで、古城達の元へ歩いてくる。

そして告げる。

「あたし達もお邪魔していいかな?」

「いいぜ。な、古城」

「ああ。構わないぜ」

こうして、夏音の快気祝いに参加することになった浅葱達であった。




あーかいた。
もう、疲れたよ……。
ではまた次回!

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