ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

43 / 127
今日は霊斗君の誕生日です(設定)!
では本編をどうぞ。


霊斗の誕生日《未来編》
霊斗の誕生日


旧絃神島、とあるマンションの一室。

一人の少女が何かの箱を二つ持っている。

少女は長い黒髪だが、目は青い。

「ふふふ……。お父さんもお母さんも今は仕事中だからねぇ……」

そう言って少女は立ち上がる。

「お父さん達が仕事ってことは、古城君や雪菜ちゃんも仕事だよね……」

そして、少女は玄関に向かう。

扉に鍵を掛け、チェーンを掛ける。

「戸締まり完了!よーっし、いっくよー!」

かけ声と共に少女の姿が虚空に消えた。

 

 

 

 

 

 

旧絃神島、オフィスビルの一室。

だだっ広い部屋の真ん中に机が置いてある。

まるでドラマに出てくる社長室の様な部屋だが、実際は社長はいない。

「クソッ、なんで俺が古城の仕事を手伝う羽目に……」

そこにいたのは暁霊斗だった。

なぜ彼がここにいるのか。

理由は簡単、彼がこの夜の帝国(ドミニオン)の帝王だからだ。

とは言っても、霊斗だけが帝王なのではない。

暁古城――第四真祖もこの国の帝王だ。

この国の名は「暁の帝国」。

その名の通り、暁兄弟が支配する国だ。

そして、霊斗の領地は旧絃神島、人工島北地区(アイランド・ノース)人工島西地区(アイランド・ウェスト)だ。

「ってか、古城は何してんだ……?」

その霊斗の疑問に答えたのは藍色の髪の少女だ。

とは言っても、実年齢は霊斗とほぼ同じ(?)だが。

彼女の名前はアスタルテ。

霊斗の血の伴侶であり、事実上の妻である。

「古城さんは人工島南地区(アイランド・サウス)に現れた未確認生物の駆除に行っています」

「はー、あっちはよく出んなー」

「こちら側には驚くほど出ませんからね」

今日も霊斗側は平和だ。

 

 

 

 

 

 

 

人工島南地区。

「くそっ!雪菜!呪符貸してくれ!」

「はい!どうぞ!」

「サンキュー、これでどうだ!」

古城が呪符に魔力を込め、放つ。

すると、呪符は雷光の獅子の姿に変わり、敵の不定形のスライムを爆裂させる。

「うし、一丁上がりぃ」

「古城さんも呪符の扱いが上手くなりましたね」

「雪菜に散々練習させられたからな」

古城はとある一件で呪符の扱いを学んでから、眷獣の使えない市街地での戦闘には、式神を使うようになっていた。

「それでも、最初はすぐ爆発させてましたからね……」

「慣れてなかったんだから仕方ねーだろ」

と、古城が何かを思い出したかのように叫ぶ。

「あぁぁぁぁぁ!」

「ど、どうしたんですか!?急に叫び出して!」

「俺の仕事……」

「仕事……?」

「あの量の書類が全部霊斗の所に……」

「え!?ってことは、霊斗さんは二人分の書類の処理をしているということですか!?」

「あ、あぁ。そうなるな」

「もう!古城さんは後先考えずに飛び出すんですから!」

「悪かったって。だからそんな怒るなよ……」

「早く霊斗さんの所に行きますよ!

「ああ。じゃあ跳ぶぞ」

そういうと、古城は雪菜を抱き上げ、黒い粒子を身に纏う。

そして、助走を着けてジャンプした。

「どりゃぁぁぁ!」

眷獣の能力で重力を軽くし、ビルの屋上まで跳ぶ。

そのままの勢いで、古城はその場から跳び去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

霊斗の執務室。

「ああ……やっと終わった……」

「お疲れ様です。何か飲みますか?」

「んー……じゃあ、紅茶でももらうかな」

「わかりました。ちょっと待っててください」

そう言うと、アスタルテは部屋の隅にある給湯室で紅茶を淹れ始める。

そこで、ドアがノックされた。

「誰だ……?」

霊斗は、ドアを開ける。

そこには、膝に手をついて息切れしている古城がいた。

「……(ガチャッ)」

「なんで閉めるんだ!?」

「(ガチャ)なんだよ、お前の分の書類なら終わらせてお前の部屋に送ったぞ」

それを聞いて、古城はへなへなと座り込む。

「わ、悪い……なんか、押し付けちまって」

「いつもの事だろ」

「はは……」

「そうだ、紅茶でも飲んでくか?」

「お、いいのか?」

「ああ。雪菜もどうだ?」

「じゃあ、頂きます」

「よし、じゃあ中で待っててくれ」

霊斗は古城達を部屋に入れ、給湯室に入る。

「何か手伝うか?」

「じゃあ、あの戸棚から新しい砂糖を出してください」

「おーけー。よいしょっと……これでいいのか?」

「はい、ありがとうございます。じゃあ、もう少しで出来るので、持っていくのを手伝ってください」

「わかった」

少しすると、アスタルテがカップを二つ持つ。

霊斗が残りの二つを持ち、古城達の元へ戻る。

「待たせたな」

「どうぞ」

霊斗が二人の前に紅茶を置き、アスタルテが霊斗と自分の前に置く。

「悪いな……じゃあ、頂きます」

「頂きます……相変わらず美味しいですね……」

「毎日淹れてますから」

「こんな旨い紅茶が毎日飲めるなんて、霊斗は幸福者だな」

「ばーか、紅茶抜きでも幸せだよ」

「本当にお二人は仲が良いですね」

「雪菜さん達こそ仲が良いじゃないですか」

と、古城が思い出したように言う。

「なあ、今日って十二月十五日だよな」

「はい、そうですね」

「じゃあ、今日は霊斗の誕生日だよな?」

「ん?ああ、そういえばそうだな」

「いや、自分の誕生日くらい覚えとけよ……。で、このあとパーティーしないか?」

「俺は構わないが。仕事終わったし」

「私も大丈夫です」

「なら決まりですね」

 

 

 

 

 

暁古城宅。

暁零菜が 暇をもて余していると、チャイムが鳴った。

「誰だろ……はーい、今出まーす」

玄関の扉を開けると、そこには一人の少女が立っていた。

「やほ、零菜」

「美霊お姉ちゃん!?」

立っていたのは暁美霊。

零菜の従姉妹に当たる人物で、一歳年上。

父は霊斗、母はアスタルテ。

「どうしたの?」

「いや、さ。お父さんにドッキリしない?」

「霊斗君に?なんで急に……」

「だって、今日はお父さんの誕生日だし」

「あぁ……、で、なにするの?」

「それは……(ゴニョゴニョ)」

「面白そうじゃん、やる!」

「じゃあ、あと萌葱ちゃん呼んでやろうか」

そういうと二人は部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

夕方、暁霊斗宅。

「ハッピーバースデー!霊斗!」

古城が言うと、周りから歓声が上がった。

参加者は古城、雪菜、アスタルテ、凪沙、浅葱、零菜、萌葱、美霊、そして、メインの霊斗である。

パーティーは賑やかに始まった。

最初は凪沙の料理を囲んでワイワイ騒いでいた。

そして、場の空気が盛り上がって来た所で美霊がいった。

「はーい!一発芸しまーす!」

「なんだ美霊、お前一発芸なんてできたのか?」

「ふふふー、まぁ見てて」

そういうと、美霊は二つの箱を取り出した。

「さて、この箱のどちらかにお父さんへのプレゼントが入っています!どちらでしょう!」

そこで、美霊は零菜に目配せする。

零菜は首肯くと、瞳を真紅に染めた。

「プレゼントかぁ、なんだろうな」

「それはおたのしみだよ!」

「じゃあ、右だ」

「右だね?開けるよ!」

美霊が蓋を開けると、中から、稲妻が飛び出した。

「うおっ!?なんだ!?」

「あははは!びっくりした?」

「びっくりするに決まってんだろ!?」

「ドッキリ大成功~‼因みに、今のは零菜の眷獣を私の空間転移で空の箱に移動させて、萌葱の魔術演算で威力を調整したものだよ」

「お前ら三人がグルか!」

「ごめんねー霊斗君」

「こんな楽しそうなことやらないわけにはいかないよ」

「はぁ、で、左の箱には何が入ってるんだ?」

「それは自分で確認してね。はい」

「なんだそりゃ」

そんなこんなでパーティーは終了した。

 

 

 

 

 

夜、霊斗とアスタルテの寝室。

「それで、美霊からのプレゼントには何が入ってたんですか?」

「そういやまだ見てないな。開けるか」

箱を開けると、中にはアルバムとメッセージカードが入っていた。

「なになに?''思いでは大切にね ''?」

「こっちのアルバムには何が……」

アルバムを開くとそこには 、霊斗達が学生だった頃に、未来から来た魔獣を倒した時の二日間の写真が入っていた。

「うわ……懐かしいな」

「ふふ、あのときに霊斗さんがやけにあわてていたのを覚えてます」

「そりゃあな、未来から来た自分の娘と一緒にいたんだからな」

そして、アルバムの最後には、霊斗がアスタルテの血を吸っている写真と、手描きで''霊斗、アスタルテ。愛は永遠に''の文字が。

「……」

「……霊斗さん、愛してます」

「っ!……俺もだよ……」

暁の帝国の夜が更けていく……。




久しぶりのオリジナル話です。
ではまた次回!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。