ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

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さて、今回は古城君と雪菜さんの出合いですね。
上手く書けてんのかな…。
ではどうぞ。


聖者の右腕編 Ⅲ

古城、霊斗流血の翌日。

午後のファミレスに、古城と霊斗はいた。

「暑い…焼ける。焦げる。灰になる…」

「古城うるせぇ」

今日は8月最後の月曜日。

座っている席は店の奥の窓際。

さすがにエアコンの冷気が届かない位置である。

二人は殺人的な量の紫外線を浴びながら問題集を解いていた。

「今何時か分かるか?」

唐突に霊斗が聞く。

正面に座っている友人が笑いを堪えているような声で答える。

「もうすぐ4時。あと3分32秒」

「まじか…。終わる気がしねぇ」

「なあ古城。明日の追試も朝9時からだよな?」

「ああ、そうだな」

「今夜徹夜で勉強すりゃあ、あと17時間と3分あるぜ」

もう一人の友人がおどけた口調で訊いてくる。

舌打ちしながら古城が聞く。

「なあ、俺思ったんだが」

「ん?」

「なんで俺はこんなに大量に追試を受けなきゃなんねーんだろうな?」

そんな古城の疑問に友人達は顔をあげる。

古城の追試は英語や数学などの九教科のテキストに体育のハーフマラソンである。

「てか、宿題の範囲広すぎねーか?こんなの授業でもやってないぞ。」

「うるせぇって言ってるだろ。俺なんて昨日の夕方島に帰ってきたばっかでいきなり課題だぞ。お前の方が楽だろ」

霊斗は夏休みラスト3日間で夏休みの課題をすべて終わらせる羽目になったのだ。

「まったく、うちの教師は俺達になんか恨みでもあるのか!?」

そんな古城の叫びに友人の一人が答える。

「いや……むしろ恨みしかないだろ」

答えたのは短髪を逆立て、首からヘッドフォンを下げた少年だった。名前を矢瀬基樹という。

さらに追い討ちがきた。

「霊斗はともかく、古城はあんだけ毎日授業をサボってたらね…。普通は舐められてると思うでしょ?おまけに夏休み前のテストも無断欠席でしょ?ほんと、馬鹿じゃないの?」

かなりキツイ口調で古城を責めるのは少女―藍羽浅葱である。

華やかな金髪にほぼ校則違反レベルに飾った制服。しかし、センスの良さと顔立ちの良さのおかげで嫌な感じはしない。

だが、常に浮かべているニヤニヤ笑いのせいで男友達といるような気がしてしまうのも事実だった。

普通にしてれば美人なんだけどな、と霊斗は心の中で呟く。

と、古城の反論。

「だから、あれは不可抗力なんだよ。俺の体質じゃ朝イチのテストはキツイって言ってんのにあのちびっこ担任は…」

「は?体質?古城って花粉症かなんかだっけ?」

「あ…いや、朝起きるのが苦手っつーか、夜型っつーか…」

「それって体質の問題?吸血鬼でもあるまいし」

「だ、だよな……はは」

実際は古城も霊斗も吸血鬼である。しかし、二人はその事を知らない。

「でも、あたしは那月ちゃん好きだよ。だって出席日数足りてないぶん補習でチャラにしてくれてんでしょ?」

「まったく、古城は那月ちゃんに一生感謝しないとな」

そう言った霊斗はすでに七教科の課題を終らせていた。話していない間にさっさと進めていたらしい。しかも脅威的な速度で。

「え、霊斗お前早すぎだろ!?」

「お前が遅いだけだ」

「そうよ。それに、そんなあんたを哀れに思ったから、こうして勉強教えてあげてんだし」

「他人の金でそんだけ飲み食いして、そういう恩着せがましいこと言うな」

「言っとくけど、その金は俺と霊斗の金だからな。ちゃんと返せよな」

「わかってるよ、畜生……おまえらほんとに温かい血の通った人間か」

「金を返さないやつの方が明らかに悪者だろ。それと、今の発言は差別用語だからな。気を付けろよ」

「はあ、面倒な世の中だよなぁ。本人達は気にしてないだろうに」

古城が呟く。

霊斗も心の中で同意しつつ、店の時計を見る。

それにつられて時計をみた浅葱が

「あ、もうこんな時間か。じゃ、あたしバイト行くね」

「んじゃ、俺も帰るわ。男だけでいても、暑苦しいしな」

続けて矢瀬がそう言って立ち上がる。

「じゃ、頑張ってねー」

「せいぜい足掻くことだな」

そう言って二人は帰っていった。

「はぁ、やる気無くすぜ」

「まあ、俺は終わったがな。頑張れ古城」

「だぁぁ!畜生ー!」

霊斗は課題を終わらせたらしい。尋常ではない速度である。

「はぁ、帰るか……」

「だな。会計よろしく」

「へいへい」

 

 

会計を終えて店を出ると一気に体感温度が上がった。

「にしても、この暑いのだけは勘弁してくんねーかな」

「まったくだ」

二人は浅葱が食いまくったせいでモノレールにも乗れないので、歩いて帰ることにした。

そして、しばらく歩いたところで古城が足を止める。

「どうした?」

「いや、な。後ろのあれ、俺達を尾けてるんだよな」

ちらりと霊斗は後ろを見る。

すると、見慣れた黒髪が柱の陰に隠れるのがみえた。

(いや、バレバレだろ!?)

霊斗は冷や汗が吹き出すのを感じた。

「き、気のせいじゃないか?」

「そうか?」

古城は疑いながらも再び歩き始める。

(もっとバレないような尾行ができないのか…)

霊斗も呆れながら歩く。

「なんか、やな感じだな。ちょっと様子みてみるか…」

そう言うと、古城はゲーセンの中へ駆け込んだ。

「あっ、ちょ、おい古城!」

霊斗も追う。

その後、店内から外を見ると、明らかに困惑したように、店の前をうろうろしている雪菜の姿が目に入る。

と、古城が

「なあ、霊斗。俺、罪悪感が半端じゃないんだが」

「じゃあ、声かけてやれよ」

よし、と言うと古城は店の外へ向かって歩き出した。

同時に雪菜も意を決したのか、店内へ入ろうとした。

つまり、ぶつかり合うような形になってしまったのである。

先に動いたのは雪菜だった。

後ろに下がり、ギターケースに手を伸ばしながら発した一言。

「第四真祖‼」

その瞬間古城が疲れたようにため息をついた。

そして

「オウ、ミディスピアーチェ!アウグーリ!」

突然外国語で喋り出した。

「「は?」」

「ワタシ、通りすがりのイタリア人デース。日本語よくワカリマセン。アリデヴェルチ!グラッチェ!」

そう言って去ろうとする古城に我に帰った雪菜が

「え…?あ、待ってください!暁古城!」

嫌そうな顔で振り向く古城。

「誰だおまえ?」

「私は獅子王機関の剣巫です。あなたを監視するために派遣されて来ました」

唖然とする古城。しかし、すぐに普段の気だるげな表情に戻り、

「あー、悪い。それ、人違いだわ。ほかを当たってくれ」

「は?え?人違い?え?」

雪菜は困惑したように視線を泳がせた。

その隙に逃げようとした古城に

「待ってください!本当は人違いじゃないですよね!?そこにいる…」

「いや、監視とかマジで要らないんで。じゃ俺はこれで」

雪菜の台詞を遮って古城がいう。そして、そのまま立ち去る。霊斗はこの一部始終を唖然とした表情でみたあと、口パクで雪菜にごめんと謝ってから古城を追った。

 




いや、自分の文才のなさに驚きですね。
次回から、本格的に戦闘シーンも出てくるので、かっこよく書けるようにがんばります。
では、また次回。

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