と、いうことで書きます。
本編をどうぞ。
無人島、霊斗side。
「さて、夕飯だ。ちょっと早いがな」
「それでも良いでしょう。頂きます」
「やったー!ごっ飯ー!」
「頂きます」
四人はほんわかとした雰囲気で食事を始める。
「いやー、シンプルな塩焼きだけどおいしいよねー」
「そうですね、シンプルイズベストとも言いますしね」
「でも御主人、なんで今日はこんなに早いんだ?」
「ん?あー、それがなぁ……」
「霊斗が見てた飛行機と関係ある?」
「あぁ。あれに古城達が乗ってきてた。しかも今もこの島に居る」
「どうしてそんなことが分かるのですか?」
「ついさっき古城の眷獣の魔力を感じた。しかも島のほぼ反対の砂浜に海水の柱が見えた。まぁ、予想するに電気ショック漁法でもやろうとして失敗したんだろう」
「あー、うん古城殿らしいな」
「それで、だ。あいつらが何やらかすかわかんねぇからな。合流しときたい」
「で、霊斗。本音をどうぞ?」
「アスタルテが来てるから一刻も早く会いたい」
「「「チッ……」」」
「なんで皆一斉に舌打ちするんだ!?」
そして、その後の会話は霊斗抜きでされた。
無人島、古城side。
「眠れねぇ…………」
古城は椰子の葉を敷き詰めたベッドに横になっていた。
しかし、まだ日が落ちたばかりである。
「吸血鬼が寝る時間じゃねぇよなぁ……」
と、呟くものの、周りには誰もいない。
雪菜とアスタルテは見張りに行っているのだ。
雪菜曰く、古城を女子と一緒にするのは危険らしい。
「にしてもあいつら大丈夫か?」
心配になった古城は外に声を掛けてみる。
「おーい、姫柊ー、アスタルテー。大丈夫かー?」
しかし、外からの返事はない。
「寝てんじゃねーだろうな?」
古城は外に出て周りを見渡してみる。
が、人影はない。
「あれ?」
と、そこで嫌な考えが頭をよぎる。
雪菜が連絡用の呪術、しかも危険なものをやろうとしているのなら、雪菜はどうするか。
古城に言わずにこっそりやるに決まっている。
では、アスタルテはどうするか。
元々彼女は医療用の
今は霊斗の血の従者になっているとはいえ、その医療技術は健在だ。
ならば、もしもの時の為に近くに居られるようにするだろう。
「あいつらっ……!」
そう思った時には古城は走り出していた。
「砂浜に居ないってことは……森の中か!」
古城は森の奥へと向かった。
無人島、霊斗side。
「さて、霊斗。今日も付いてきて貰えますか?」
「ああ。森の奥へ行けば古城達と会う確立も上がるしな」
「そうですか。では行きましょう」
霊斗とラ・フォリアは森の中の湖へ向かった。
しばらく歩くと、湖の畔に着いた。
「では霊斗、よろしく頼みますね」
「任せとけ」
そして、ラ・フォリアは岩影に行くと服を脱ぎ、湖へと入っていった。
そこで霊斗が辺りを見ていると、反対側から雪菜とアスタルテが来るのが見えた。
雪菜は彩海学園の制服だが、アスタルテは霊斗が買った 白のワンピースだ。
(うんうん、やっぱりアスタルテは天使だなぁ……)
アスタルテにベタ惚れな霊斗である。
だが、しばらくしてからその道から来たのは古城だった。
(何しに来たんだあいつ)
と考え、一つの結論をだす。
(覗きか……)
現に古城はラ・フォリアを凝視していた。
因みに、雪菜とアスタルテは岩の影になって見えて居ないようだ。
すると、ラ・フォリアが湖から上がってきてタオルで体を拭き、服を着て、霊斗の所へ来て一言。
「見られてしまいました……(ポッ(///∇///))」
「え?お前見られて恥ずかしがる系女子じゃないだろ?」
「…………」
「おい?」
「あれが古城ですね?」
「唐突に話題変えたなおい。まあ、そうだ。あいつが
「その……大分わたくしの好みのタイプですね……」
「え?」
霊斗は一瞬耳を疑った。だが、ラ・フォリアがもう一度言う。
「だから、わたくしの好みのタイプだと言っているのです」
霊斗は頭の中でゆっくり言葉を復唱する。
そして――
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
無人島、古城side。
古城は森の奥の湖に到着した。
するとそこには、湖で水浴びをしている女性がいた。
そしてその容姿は―
「叶瀬……?」
叶瀬夏音とそっくりだった。
しかし、古城の意識は背後からの声と、首に押し当てられる金属に向けられた。
「こんなところで何をしているんですか?先輩」
「ひ、姫柊!?」
「動かないでください!こっちを向いたら刺します!」
「えぇぇぇ!?」
あまりに唐突な殺害予告に戸惑うしかない古城。
しかし、それは別の方向からの声によってさらに混乱を深めることになる。
「おいおい。無人島に取り残されたってのに、相変わらずにぎやかだな、お前らは」
その声は聞き慣れていながら、懐かしいものだった。
「霊斗!?」
「よう、古城。久しぶりだな」
「つっても数日位だけどな」
と、霊斗に飛び付いた者がいた。
「霊斗さん!会いたかったですっ!」
「あ、アスタルテ!?ちょ、服を着―――」
久しぶりに感情を爆発させたアスタルテに古城も雪菜も戸惑うばかりだ。
さらに言うならば古城は背後からの殺気によって動けない。
暁霊斗、彼は後に語る。
初めて好きな人の裸をみるシチュエーションと言うのはとても大事なことだと気づいた、と。
そんなナレーションを霊斗が勝手にしていると、冷静になったアスタルテの顔が真っ赤になっていく。
「アスタルテ…………服を着ようか……」
「……はい……」
アスタルテが服を着るのを見て古城は雪菜に聴く。
「姫柊も、もしかして服を――」
「それ以上言ったら殺しますよ」
「……はい(ガクブル)」
「じゃあ先輩、そのパーカーを貸して貰えますか?」
「え?自分の制服は……」
「どっかの馬鹿な先輩に水を掛けられましたので、洗ってまだ乾いてません」
「すみませんでした」
そう言って古城は後ろ手に雪菜にパーカーを渡す。
その後、後ろでファスナーを上げる音がした後、首に当てられていた金属の重みが消える。
「もういいですよ」
そう言われて古城が振り向くと、恥ずかしそうな表情をした雪菜がいた。
「あの、あまり見ないでください……」
「お、おう。悪い」
と、そんなやり取りを見ていた霊斗が茶化してくる。
「まったくイチャイチャしちゃって」
「お前が言うな」
「いやー、付き合ってもいないのに無意識にイチャイチャ出来る古城さんすごいっすわー」
「絶対馬鹿にしてるだろ!?」
そんな会話を遮ったのは一筋の明かりだった。
「船?」
「救助でしょうか?」
「いや、あれはメイガスクラフトの船だ」
「ってことは……」
「ああ、俺達を狙って来たんだろうな」
古城達は船の方へ向かって歩き出した。
新たな戦いの幕開けである。
久しぶりにこんなに書いた……。
では次回もお楽しみに!