では本編をどうぞ。
メイガスクラフト、ロビー。
古城達がソファーに座って待っていると、一人の女性が近づいてきた。
「あれは……誰だ?」
「分かりませんが、登録魔族ですね」
「霊斗さんが居なくて正解でしたかね……」
「なんでだ?」
「あのスタイルは反則だと思います」
「……ノーコメントで」
霊斗ならば恐らく血の花を咲かせるだろう。
と、先程の女性が見るもの全てを魅了するような笑顔で話しかけてきた。
「ごめんなさい、お待たせしました」
「いえ、こちらこそ突然お尋ねして、すいません」
雪菜が凛とした表情で答える。
すると、女性は少し驚いたような表情をした。
「あなたたちは……」
「?どうかしましたか?」
「いえ、獅子王機関の攻魔師がこんなにお若いとは思わなかったもので」
女性はそう言うと、自己紹介を始めた。
「改めまして、開発部所属のベアトリス・バスラーです。叶瀬賢生の秘書のような事をしています。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「すいません、ご本人に直接聞きたい事ですので、今は言えません」
雪菜がそう答えると、ベアトリスは困ったような表情になる。
「そうですか。ですが、本日叶瀬は島外の管理区域内の研究施設にいますので……」
「島の外、ですか?もしかして、夏音さんも一緒ですか?」
「はい。そのように聞いております」
残念ながら二人とも島内にはいないようだ。
せめて帰ってくる時間は分からないかと古城が聞く。
「二人がいつ頃帰ってくるか分かりますか?」
「未定です。叶瀬が現在関わっているプロジェクトは我々には知らされておりませんので」
「そうですか……」
帰ってくる時間もわからないのではどうしようもないか、と古城が諦めかけたときだった。
「ですので、直接研究施設に訪ねて頂いた方が早いと思いますよ」
「そんなことが出来るんですか?」
古城は一縷の希望にすがるように聞き返す。
「はい。一日二回、連絡用の飛行機を飛ばしていますので、それに同乗する形になりますが」
「それ、お願いできますか?」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
ベアトリスが歩き出す。
それを追いかけようとした古城の耳にはポツリと呟いた雪菜の一言が妙に引っ掛かった。
「……飛行機……」
北地区産業飛行場。
そこにはポツリと旧式のプロペラ機が止まっている。
そしてその脇には一人の男が立っていた。
「なんだよ、連絡機に同乗する奴がいるってから来てみりゃ、俺に修学旅行の引率をしろってか?」
こんな軽口を叩いているが、彼も登録魔族のようだった。
「まぁいいか……んじゃ、自己紹介といくか。俺はロウ・キリシマだ。よろしく」
「あ、どうも。よろしく」
と、キリシマは雪菜とアスタルテを交互に見て、古城に囁いてくる。
「二又か?あんたもやるな」
「そんなんじゃないっす。二人ともただの友人ですよ」
「おおそうか。ま、頑張れや」
そう言ってキリシマは古城達を促しながら機体に乗り込む。
古城達も続いて乗り込むが、後部座席が二人分しかない。
仕方ないので、無理矢理乗ったが兎に角狭い。
しかし、キリシマはそれを気にした風もなく、パイロットに離陸の指事を出した。
「あ、そうだ。これ、ゲロ袋だそっちのお嬢さんにやんな」
「え?」
促されて雪菜を見ると、顔色が真っ青だった。
「大丈夫か?姫柊」
「だ、大丈夫でしゅ。じぇんじぇん問題ありましぇん」
「ビビりすぎて日本語が不自由になってるぞ」
「そ、そんなことないです!」
と、否定する雪菜だったが、飛行機が動き出すと完全にフリーズした。
そのまましばらくのフライトを楽しんで(一名を除く)いると、キリシマが言った。
「着陸するぜ。舌噛むなよ」
「え?」
直後、飛行機は荒れ地に突っ込んだ。
因みに、雪菜は失神しかけていた。
「さてと、到着だぜハーレム一行様」
「ハーレムじゃねーよ」
文句を言いながら古城達は機体から降りる。
しかし、キリシマは古城達が降りると、飛行機のドアを閉めた。
「じゃあな、せいぜい元気にくらせや」
キリシマがそう言うと、飛行機はゆっくりと走り出した。
「ちょ!こら!まてオッサン!」
「誰がオッサンだ!俺はまだ二十八だ!」
そのまま飛行機は飛び去った。
「勘弁してくれ……」
真夏の無人島サバイバルが始まる。
あー書いた。
明日もテストじゃー。
ではまた次回!