ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

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テスト期間に小説なんて書いていていいのだろうか…………。
ともかく、本編をどうぞ。


天使炎上編Ⅹ

電波塔。

那月は空間を歪め、大量の鎖を撃ち放った。

それは寸分違わず''仮面憑き''を縛り上げた。

直後、雪菜が雪霞狼を手に鎖の上を駆け上がった。

「雪霞狼――!」

雪菜の呼び声に反応し、雪霞狼に刻印された''神格振動派駆動術式''が青白く発光する。

そのまま槍を''仮面憑き''の翼に突き立てた。

しかし――

「効いて……無い!?」

''仮面憑き''を包む禍々しい光が輝きを増し、槍を防いでいるのだ。

次の瞬間、''仮面憑き''が咆哮し、鎖を断ち切る。

雪菜もそれに巻き込まれ、吹き飛ばされる。

「姫柊!」

「馬鹿な……''戒めの鎖(レージング)を断ち切っただと――!?」

古城と那月が同時に叫ぶ。

雪菜は、''仮面憑き ''の放った衝撃波をまともに食らい、受け身も取れずに鉄骨にぶつかる――

「大丈夫ですか?雪菜さん」

しかし、アスタルテが雪菜を受けとめ、そのまま鉄骨の上に着地した。

「ありがとうございます、アスタルテさん」

「仲間を助けるのは当然ですよ。それより、''仮面憑き''が!」

争っていた''仮面憑き''は戦闘を中断し、そのうちの一体が鉄塔へと突っ込んできた。

「雪菜さん!」

「はい!雪霞狼!」

実行せよ(エクスキュート)薔薇の指先(ロドダクテュロス)!」

二人は神格振動派の結界を張り、''仮面憑き''の攻撃を防いだ。

「先輩!」

「わかった!疾く在れ(きやがれ)、九番目の眷獣''双角の深緋(アルナスル・ミニウム)''!」

古城は眷獣を召喚し、''仮面憑き''へと攻撃する。

しかし――

「これも効かないのか――!?」

古城の眷獣も''仮面憑き''には傷ひとつ付けられない。

そこに、''仮面憑き''の生み出した巨大な光剣が降り下ろされる――

「やばい――!」

とっさに古城はもう一体の眷獣を召喚しようとするが、間に合わない。

が、次の瞬間、別の閃光が''仮面憑き''を貫いた。

もう一体の''仮面憑き''が放った物だった。

貫かれた''仮面憑き''は苦悶の声を上げながら電波塔の中腹に落ち、のたうち回る。

そこにもう一体の''仮面憑き''が襲いかかる。

そして、翼を千切り、腹を抉った。

古城はその光景から目を逸らさなかった。

いや、逸らせなかった。

なぜなら、勝利した''仮面憑き''の仮面が外れ、素顔が露になっていたのだから。

その顔はつい最近知り合った少女の物だった。

雪菜、アスタルテも絶句している。

那月は暗闇の中で見えていないのか、何も言わない。

そして、勝利した''仮面憑き''の少女――叶瀬夏音は飛び去る。

「叶瀬…………」

古城は呟くことしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

古城と雪菜、アスタルテは絃神島北地区(アイランド・ノース)にいた。

「メイガスクラフト?」

古城は案内板を見て雪菜に聴く。

「はい。凪沙ちゃんに教えてもらった住所はそこの社宅です」

「ふーん、確か、掃除用ロボットの会社だっけ?」

「そうですね、主に産業用ロボットを造っています」

「それで、叶瀬さんの家族構成は?」

「えっと、確か今のお父さんと二人暮らしですね」

「今の?」

「ああ、アスタルテは知らないのか。叶瀬は修道院に住んでたらしいんだ」

「それで、修道院が閉鎖された時に彼に引き取られたそうです」

「成程、複雑な家庭環境のようですね」

そんな話をしながら歩いていると、どうやら社宅に着いたようだ。

「…………社宅?」

「はい。住所はここです」

「研究所に住み込んでいるのでしょうか?」

「とりあえず入ってみましょう」

古城達が玄関をくぐると、受付の女性が話しかけてきた。

「いらっしゃいませ、ご用件は?」

「あの、こちらに住んでいる叶瀬夏音さんに会いに来たのですが」

古城はそこで彼女が人間では無いことに気づいた。

恐らく機械人形(オートマタ)だろう。

受付係は端末を操作する振りをしながら答える。

「二〇四号室の叶瀬夏音は外出中です」

「いつ頃戻るか分かりますか?」

「申し訳ありませんが、分かりません」

分からないのならば仕方がないかと古城が思っていると、雪菜が口を開いた。

「叶瀬賢生氏はいらっしゃいますか?」

恐らくその名前は夏音の父親の名前だろう。

「失礼ですが、お客様は……」

「獅子王機関の姫柊です」

古城はその組織名を出して良いのか疑問に思ったが、受付の対応は意外な物だった。

「承っております。ロビーでお待ちください」

そう言って受付係はロビーのソファーを指した。

「承ってるってどういうことだ?」

「分かりませんけど、話が出来るのなら良いでしょう」

「ですね」

そして、三人はソファーに腰かけた。

これから起こるサバイバルを知りもせず……。




久し振りにめっちゃ書いた……。
次回で無人島編が開始ですね。
あ、今回霊斗が出てきてないね。
次回出す予定です。
ではまた次回!

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