彩海学園屋上。
「そうですか、凪沙ちゃんのお兄さんでしたか」
「ああ、よろしく」
夏音は足下のトートバッグを持ち上げる。
「ところで、叶瀬さんはどこで凪沙と知り合ったんだ?」
「凪沙ちゃんには一年生から去年まで同じクラスで、いろいろ助けてもらいました」
「そうなのか、にしても凪沙が面倒見がいいというのは知らなかったな」
「凪沙ちゃんに助けてもらわなかったら今回も高清水君に猫を貰ってもらうことはできませんでした」
私は人見知りで皆にも避けられてますから、と夏音は言った。
しかし、そんな避けられる理由が判らない。
まさか、美少女すぎて近寄れないとか……。
「いや、夏音ちゃんは避けられてるんじゃなくて、可愛いすぎて皆恥ずかしがってるだけだよ」
うわ、まじかよ。
確かに美少女だが、そんな避けるほどではないと……。
「うちの学年の男子では夏音ちゃんや雪菜ちゃんとの接触に応じて、何秒ルールって言うのがあるからね」
大丈夫か中等部の男子よ。
さらに衝撃の事実が凪沙の口から告げられる。
「あ、あと暁古城を呪う会も絶賛活動中だから、気をつけてね、古城君」
「なんだそのどこぞのラノベみたいな会は」
なぜ自分が狙われるのか判っていない鈍感古城である。
そこで、凪沙が言った。
「じゃあ、あたしはもう一回高清水君に謝ってくるから、古城君は夏音ちゃんを手伝ってあげてね」
「あ、ああ」
そして、古城は夏音に向けて手を出す。
「バッグ持つぜ」
「すみません、お願いします」
そのまま、全員で階下に向かった。
無人島、多分午前十時くらい。
海岸で爆発が起きた。
「ああ、くそっ!またかよ!」
昨晩に引き続き機械人形が襲って来たのだ。
「天音!月人!頼む!''氷牙狼''!」
「任せて!''炎牙狼''!」
「合点承知!''黒牙狼''!」
三人はそれぞれ槍を構える。
そして
「喰らえっ!」
「吹き飛んじゃえ!」
「そらぁっ!」
敵に向かって総攻撃を開始した。
数分後。
「や、やっと終わった……」
「だんだん敵の攻撃が過激になってくよ……」
「もう……眠いよ……」
疲れはてた三人にラフォリアが寄って来て、労いの言葉を掛ける。
「霊斗、天音、月人、お疲れ様でした」
「ああ、ラフォリア……無事か……」
「はい。あなた達のお陰です。ありがとうございます」
「まあ、霊君の任務だしねー」
「手伝うのは眷獣として当然の事です」
「ふふ、そうですか。ではお昼にしましょうか」
「やったー!ご飯ー!」
「米はないよ姉さん」
「つか、俺が捕ってきた魚だからな!」
あれだけの戦闘の後でも緊張感のない四人だった。
はい。今回の武器はなんだって思った人もいますね。
あれは魔力の塊です。決して新しい眷獣ではない。
それではまた次回!
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