ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

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さて、書くぞい。
では、本編をどうぞ!


戦王の使者編ⅩⅠ

第十三号増設人工島(サブフロート)

古城と紗矢華はナラクヴェーラと対峙していた。

「ここなら手加減の必要はねぇな!疾く在れ(きやがれ)獅子の黄金(レグルス・アウルム)!」

古城は眷獣を召喚する。

そして、雷光の獅子がナラクヴェーラに突っ込む。

「よしっ!」

ナラクヴェーラは片側の足を全て破壊され、胴体も半分消し飛んでいた。

なんにせよ、普通の兵器なら活動は不可能だ。

しかし、ナラクヴェーラは神々の時代の兵器。普通な訳がなかった。

「なっ!?再生してやがる!?」

「違うわ!物質変成で新しく造り出しているのよ!」

そう、再生ではなく、再製する。

「くそっ!だったらもう一回!」

古城はもう一度攻撃を仕掛ける。

だが―

「効いてない!?」

ナラクヴェーラは衝撃でバランスを崩しただけで、ほぼ無傷だった。

「下がって!暁古城!」

驚きで硬直していた古城を押し退け、紗矢華が前にでる。

そこをナラクヴェーラのレーザーが襲う。

しかし、紗矢華は剣でそれを防いだ。

「空間切断。これが六式重装降魔弓(デア・フライシュッツ)―煌華麟の一つ目の能力よ」

空間を切り裂き、突破不能の障壁を造り出す。

そして―

「これなら、再製するより早く攻撃できる!」

そして、空間断裂を応用した鋭い切れ味。

それが、煌華麟の力。

紗矢華はナラクヴェーラの真下へ潜り込み、鮮やかな剣舞を披露する。

そして、瞬く間に全ての足を破壊した。

次に紗矢華は胴体に向けて剣を振るった。

しかし、その剣がナラクヴェーラに触れることは無かった。

「なっ!?斥力場の結界!?」

紗矢華の剣は、ナラクヴェーラの数ミリ前で止まっていた。

結界によって、阻まれていたのだ。

「まさか、攻撃を学習してる!?」

ナラクヴェーラは、受けた攻撃を学習し、対処する。

「一撃で決めろってことかよ!?」

「そういうことみたいね……」

すると、ナラクヴェーラの背中の装甲が開いた。

まさしく、昆虫の様に。

「あいつ、飛ぶつもりか!」

ナラクヴェーラの背中にはスラスターが付いていた。

「暁古城!」

「分かってる!撃ち落とせ!獅子の黄金(レグルス・アウルム)!」

古城が命令すると、獅子が跳んだ。

そのまま、ナラクヴェーラに向けて落下し―

「「え?」」

増設人工島(サブフロート)に思い切り叩き付けた。

その威力にただのコンクリートが耐えられる訳がなかった。

「うわぁぁぁぁ!?」

「いやぁぁぁぁ!?」

サブフロートには巨大な穴が空いた。

古城と紗矢華はそこに落下した。

 

 

 

 

 

 

オシアナス・グレイヴ。

浅葱がプログラムの解析をしている。

そこを、雪菜とアスタルテはそっと抜け出した。

そして、地下の貨物室へ向かう。

曲がり角から様子を見ると、獣人が二人いた。

雪菜とアスタルテはアイコンタクトを取ると、角から飛び出した。

獣人が銃口を向けてくるが、獅子王機関の剣巫と第五真祖の血の従者には敵わない。

「若雷!」

「しばらく寝ていてください」

二人の獣人は呆気なく崩れ落ちる。

二人の意識が完全に無いことをアスタルテが確認すると、雪菜は貨物室の扉を開けた。

「これは……!」

「ナラクヴェーラの軍隊、でしょうか……」

そこには、ナラクヴェーラが何体も並んでいた。

すると、後ろから声がした。

「獣人兵二人を素手で倒すとは……。これが剣巫と吸血鬼の力か」

「クリストフ・ガルドシュ……」

ガルドシュが獣化した状態で立っていた。

「さて、君達は我々の最終兵器を見てしまったようだ。少なくとも、無傷で帰すわけにはいかないな」

「脅迫ですか?」

「脅迫?違うな……。君達には私と戦ってもらおう!」

そう言って、ガルドシュはアスタルテに飛び掛かった。

しかし

実行せよ(エクスキュート)、''薔薇の指先(ロドダクテュロス)''」

アスタルテの眷獣に阻まれ、殴られた。

その勢いで、ガルドシュは甲板まで飛び出した。

それを追って、雪菜とアスタルテも甲板に出る。

「あなたに勝ち目はありません。降参してください」

アスタルテが告げる。

しかし、ガルドシュは笑いだした。

「ハハハ!まだだ!君の攻撃の威力はほとんど無い!」

「そんな!?生体障壁!?」

雪菜が愕然としていると、視界の端になにか、薄水色に光る物が海上を飛んでくる。

しかも、その上には人が立っていた。

「霊斗さん!?」

アスタルテがその名を呼ぶ。

次の瞬間には、霊斗は甲板の上に立っていた。

「よう、雪菜にアスタルテ。待たせたな」

「霊斗さん!傷は!?」

雪菜が心配したように駆け寄る。

「大丈夫だ。アスタルテが治療してくれたしな。ありがとう」

「礼には及びません。従者として、当然の事をしたまでです」

「そうか……。さて、ガルドシュ。まだ勝てると思ってんのか?」

「流石に君が来ると勝ち目は無いな。だが、もうタイムアップだ」

ガルドシュの背後に降り立った獣人が抱えていたのは気を失った浅葱だった。

「もうナラクヴェーラの制御コマンドが解析し終わったって事か。浅葱のやつ、頑張り過ぎだ……」

「さらばだ、剣巫、吸血鬼の少年とその従者」

そう言ってガルドシュはナラクヴェーラに、中でも一際巨大な個体に乗り込んだ。

そして、全てのナラクヴェーラが絃神島に向けて飛び立った。

後には霊斗、雪菜、アスタルテが取り残された。

「雪菜、先に古城の所へ行ってくれ。俺とアスタルテも後から行く」

「え?後からって……」

「察せよ!早く行け!」

そう言って霊斗は空間転移で雪菜を飛ばした。

そして、アスタルテに向き直る。

「アスタルテ、いいか?」

「はい。大丈夫です」

アスタルテの答を聞くと、霊斗はアスタルテを抱き寄せる。

そして、己の本能のままに牙をアスタルテの首筋に突き立てる。

「っ……!」

アスタルテは身体を強張らせる。が、すぐに脱力していく。

霊斗は倒れないようにアスタルテを強く抱き締める。

 

 

 

 

 

 

 

第十三号増設人工島(サブフロート)

古城と紗矢華は地下の空間に居た。

「馬鹿じゃないの!?なんで地面をぶち抜くのよ!?」

「いやー、悪い。力加減をミスった」

「全く、煌華麟が無かったら生埋めよ?」

「そうだな……。助かった。サンキュ」

「まあいいけど……ひゃっ!?」

「どうした?」

「上から水が……」

周りを見ると、大分ガタが来ているようだ。

「そう言えば、ナラクヴェーラはどうなった?」

「そこの瓦礫の下よ」

「そうか、じゃあ早く脱出するか」

その時、瓦礫の下からナラクヴェーラが現れた。

その姿は完全に修復されていた。

次にナラクヴェーラがしたのは、脱出だった。

ただし、海中へ

「床ぶち抜きやがったぁぁぁぁ!?」

浸水が始まった人工島内から急いで脱出しようとする古城達であった。




戦王の使者編は多分、次回位で終わります。
ではまた次回!

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