屋上。
紗矢華と古城は並んで正座していた。
「……これっていつまで正座してりゃいいんだろうな?」
「知らないわよ、雪菜と霊斗が帰ってくるまででしょ」
「……そうなるよなぁ……」
沈黙。
((すごく気不味い……!))
お互いに考えていることは一緒のようだ。
が、その時古城の顔が強張った。
古城が横を見ると、紗矢華も強張った表情をしていた。
「なあ、今の音って……」
「銃声ね。恐らく三発」
「くそっ!早く行かねぇと!」
「暁古城!あのワゴン車!」
下を見ると、校門から黒いワゴン車が走り去る所だった。
「煌坂!下りるぞ!」
「言われなくても分かってるわよ!」
二人は外階段を駆け下りる。
と、一階に着いたときに古城はある「臭い」を感じた。
発生源は保険室。
しかも、この臭いは……。
「血の臭い!」
「え!?どこから!?」
古城は保険室の窓から室内へと飛び込んだ。
そこには、腹部に包帯を巻いた霊斗が倒れていた。
「霊斗!?大丈夫か!」
「ああ……古城か……。すまない、浅葱と雪菜とアスタルテを拐われた……」
「黒死皇派か!」
「ああ。しかも、指導者のガルドシュ自ら出てきやがった……」
「分かった。俺達は姫柊達を追う」
「頼んだ。俺もある程度回復したら合流する」
「じゃあ、霊斗。後でな」
「任せたぜ……」
そこで霊斗は意識を失った。
「煌坂。来てくれるか?」
「雪菜の為だもの。物凄く不本意だけど、協力してあげる」
「ああ、助かる」
そして二人は外に向かって走り出した。
???
暗闇。
浅葱と雪菜、アスタルテは真っ暗な場所に居た。
「ここはどこでしょう……」
「うーん、距離的に港か、倉庫くらいじゃない?」
「アスタルテさん、分かりますか?」
「肯定。周りの構造から推測すると、船の中かと思われます」
「よく見えるわね……」
「私でもそんなに細かく見えませんよ……」
「お褒めに預かり光栄です」
と、部屋の扉が開く。
そこには、ガルドシュが居た。
「いやはや、こんなにも早くバレてしまうとはな。お察しの通り、ここは我々の船の中だ。脱出は不可能だと考えて貰いたい」
「で、あたしは何を手伝えば良いのかしら?」
「ナラクヴェーラの制御コマンドを解析してほしい」
「嫌だと言ったら?」
「その時はこの島を沈めるだけだ。既に起動コマンドは君が解析してくれたからな」
「……わかったわ。この貸し、高く付くわよ」
「パソコンはこの先の部屋に用意してある。自由に使ってくれたまえ」
浅葱は無言でガルドシュを睨むと、部屋に入って行った。
さあ、次回ナラクヴェーラ戦!
ではまた次回!