ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

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今回から、戦王の使者編です。
ホモ野郎がどのように霊斗にぶっ飛ばされるのか、お楽しみに!
では本編をどうぞ。


戦王の使者編
戦王の使者編Ⅰ


倉庫街。

一人の男が走っている。

男は獣人だった。

「くそっ、くそっ!やってくれたな人間共!」

口汚く罵りながら男は疾走する。

そして、しばらく走ると立ち止まる。

「ククク、特区警備隊の増援がそろそろ来るか……。こいつで全員吹っ飛ばしてやる!」

そう言って男が取り出したのはスイッチだった。

倉庫街の地下道に取り付けてある爆弾のものだ。

男はスイッチを押す。

しかし、急にスイッチの感触が消えた。

いや、違う。

手首から先が無くなっているのだ。

「ふん、さすがは獣人。知能が人間には及ばないか」

「何者だ貴様!どうやって俺に追い付いた!?」

「吸血鬼の筋力と呪術を使えば、獣人を超える速度で走ること位可能だ」

「貴様ぁっ!」

男の爪が追っ手に届く―

瞬間、追っ手の姿が消えた。

「馬鹿め。追っ手が一人だと思ったか」

「うっす、那月ちゃん」

「那月だと!?まさか、''空隙の魔女''か!?まだ魔族を殺し足りないのか!?」

「やれやれ、お喋り好きなイヌだな。霊斗、やれ」

「了解っ!」

そう言うと霊斗は獣人に一瞬で接近し、

「若、伏、黒雷!三連コンボ!」

「げぼぁっ!」

男は吹き飛ぶ。

そして、那月が鎖で縛る。

「よし、帰るぞ。霊斗、明日の授業に遅れるなよ!」

「へいへい、分かってますよ。じゃ、また明日」

そして、霊斗と那月はそれぞれ空間転移で消えた。

一人取り残された獣人の男は呟く。

「これ、特区警備隊でも降ろせないだろ……」

 

 

 

その頃の絃神港。

一隻のクルーズ船が近づいていた。

その馬鹿みたいにデカイ船はたった一人の所有物だった。

アルデアル公ディミトリエ・ヴァトラー。

それがこの船の所有者だ。

そして、彼は―

「ウン、今夜はいい月だネ」

月光浴を楽しんでいた。

と、彼の背後に人影が現れる。

十五、六歳くらいの少女である。

「クズ鉄と魔術でできた紛い物の大地か。これだから人間は面白い」

「アルデアル公、日本からの回答書をお持ちいたしました」

「ああ、ありがとう。……フム、じゃあ、入国は許可して貰えるんだネ」

「はい、但し条件があります」

「どんな条件カナ?」

「監視役を同伴させて頂きます」

「いいヨ。それで、監視役というのは?」

「私と、もう一人、絃神島にいる獅子王機関の者です」

「キミ、名前はなんだっけ?」

「煌坂紗矢華と申します。獅子王機関より、舞威姫の称号を与えられている者です」

「フゥン、キミみたいな可愛いコを監視役にするなんて獅子王機関も粋な計らいをしてくれるじゃないか。まあ、可愛い男のコだったら、もっと良かったんだけどネ」

「ご安心を、もう一人の監視役は男ですので」

「そうかい。それで、もうひとつのお願いはどうなっているのかなぁ?」

「……第四真祖ですか。別に、会って頂いても問題ありません。第四真祖、暁古城は私達の敵ですから―」

そう言う紗矢華の手の中で古城の写真が握り潰された。

古城と霊斗、雪菜の新たな災難の幕開けだった―

 




ヴァトラーをどう料理してやろうか……。
次回、アスタルテメイン回。
では、次回もお楽しみに!

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