「古城!焼きそば3個追加で!」
「わかった!今すぐ作る!」
浅葱の注文に答えながら古城は手際良く鉄板に油を引いていく。
「だぁぁぁ!暑い!焼ける!」
「文句言うな……あ、古城、焼きそば2つ追加」
「勘弁してくれぇぇ!」
霊斗がぐったりとしながら古城にオーダーを伝える。
丁度お昼時の為、かなり忙しく働いている古城たち3人であった。
「……どうしてこうなった……」
そう呟きながら霊斗は数時間前の事を思い出していた。
「ちょっと待ってくれ!働くってなんの事だ!?」
古城がそう言って矢瀬に詰め寄る。
「いやー、バイトのシフトに欠員が出ちまってな。タダで招待する対価みたいなもんだよ」
そう言って矢瀬は古城の肩を叩く。
「まぁ、頑張ってくれ。俺は家の方の仕事あるからもう行くわ。なんかあったらチーフに聞いてくれ」
そう言って矢瀬は何処かへと去って行った。
「勘弁してくれ……」
古城はそう言って項垂れる。
その横で霊斗がチーフに聞く。
「それで、俺たちは何をしたらいいんですか?」
霊斗の問いに対して、チーフはにっこりと笑って答えた。
「君たちには私の屋台を手伝ってもらいます!」
「ようやく人が減ってきたな……」
そう言って霊斗は汗をぬぐう。
「お疲れ様です、霊斗さん」
そう言って霊斗に冷水を差し出すアスタルテ。
ここまで一人でドリンク関連をこなしていたため、その顔には濃い疲労の色が見える。
「ああ、アスタルテもお疲れさん。ドリンク、任せちまって悪かったな」
「いえ、お客さんがあんなにいたらしょうがないです」
「まぁ、あんなに来ると思ってなかったからなぁ……正直もっと楽かと思ってた」
そう呟くと霊斗は水を一気に飲んだ。
するとそこに休憩に入っていた浅葱が戻ってきた。
「霊斗、アスタルテちゃん、お疲れ様。休憩入って良いってチーフが言ってたわよ」
「おう、浅葱はまた店番か?」
「そうね。でも古城ももうすぐ戻ってくるし大丈夫よ」
「わかった。んじゃ行くか、アスタルテ」
「そうですね」
霊斗とアスタルテがしばらく休憩していると、外から浅葱と古城が騒いでいる声が聞こえてきた。
「またなんかやらかしたのかあいつら」
「ですかね……?」
問題が起きたのなら止めなければならないと、霊斗は渋々スタッフルームから出る。
するとそこには狼狽える古城と、呆れてため息をつく浅葱、そして泣きじゃくる少女がいた。
「古城、お前……」
「れ、霊斗!?これは違うんだ!」
「あぁ、わかってるさ。お前が幼女でも構わず手を出す変態だってことくらいな」
「最低ですね、古城さん」
霊斗とアスタルテに冷ややかな視線を向けられ、古城は力なく呟いた。
「頼むから話を聞いてくれ……」
「なるほど、紗矢華が……」
そう言って霊斗は考え事を始める。
その隣では浅葱がパソコンを操作している。
「古城さん、他には何かないんですか?」
「ああ、俺が聞けたのは今話したので全部だ」
そう言って古城は首を横に振る。
古城はたった今、霊斗たちに少女―――結瞳から聞き出した情報を話していた。
「獅子王機関が関わってるから下手に警察にも届けられないしな……」
古城がそう言うと、浅葱が伸びをしながら聞く。
「獅子王機関ねぇ……一体どういうところなの?」
「いや、それは霊斗に聞いたら早いだろ」
そう言って古城は説明を求めるように霊斗を見る。
「獅子王機関は主に国際的な魔道犯罪を取り締まるための機関だ。対魔族、対人戦のエキスパートを養成するための機関でもある……だけど、組織内でも不透明な部分が多くてな……」
「つまり、裏でもっと別のことをしてるかもしれないってこと?」
浅葱がそう聞くと、霊斗は無言で首肯く。
「ふーん……あ、そうだ。結瞳って子は絃神市の市民データベースには居なかったわ。世界中の魔族登録データベースにもね」
「そうか、ますますキナ臭くなってきたな」
霊斗はそう言うと、部屋の外へと出ていった。
魔獣庭園の裏手。関係者以外立ち入り禁止の区域を黒いセーラー服を着て、三脚ケースを担いだ少女が歩いている。
すると、少女の携帯が鳴る。
「もしもし、何か用かしら」
電話の相手が何かを言い終わると、少女は微笑みながら言う。
「そう、そちらに行っていたのね。探す手間が省けたわ」
少女がそう答えると、相手が再び何かを言う。
それを聞いて、少女は先程とは違った笑みを浮かべる。
「ごめんなさいね、今はまだ言えないの」
その瞳に嗜虐的な光を宿しながら少女は続ける。
「いずれわかるわ、その時がくれば」
そして少女は通話を切った。
ひさびさすぎて文がおかしいかもしれないです。
何かおかしな点に気づいた方がいたら教えてくださるとありがたいです。
ではまた。