ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

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いよいよ新章スタートです。


黒の剣巫編
黒の剣巫編Ⅰ


「はぁ?レヴィアタン?」

空調の効いた部屋の中で向き合って座る一組の男女。

その男の方が頓狂な声をあげる。

「そう。だから万が一の時は貴方に始末をお願いしたいのよ」

そう言って妖艶に頬笑む女。

男は迷うように頭を掻く。

「そうね、依頼を受けてくれれば前金で150万、後始末の完了で150万払うわ」

「っ!?……わかった。ただ、これは上には内密に頼む」

「わかっているわ。こちらとしてもあまり知られたくは無いもの……太史局が獅子王機関の攻魔師に手を借りたなんてね」

そう言って女は立ち上がる。

「では、宜しく」

そのまま女は去っていった。

後に残された男が呟く。

「レヴィアタン……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暑ィ……」

そう言って古城はモップを杖替わりにして寄りかかる。

そんな古城の顔面を強烈な水流が襲う。

「ぶほっ!?何すんだ姫柊!」

「先輩がサボってるからです!」

「ちょっと休憩してるだけだろ!?」

そう言って反論する古城の顔に再び水が掛かる。

「このプール掃除は先輩の罰ですよね?それを手伝っている霊斗さんやアスタルテちゃんが休まずに働いているのに、ご自分だけ休むつもりですか?」

「うぐっ……わかったよ、やればいいんだろ?」

「はい、もうちょっとですから」

雪菜がそう言って微笑むと、しぶしぶ掃除を再開する古城。

その古城の元に霊斗とアスタルテが歩いてくる。

「古城、こっちは終わったぞ」

霊斗はそう言うと担いでいたモップを地面に降ろす。

「ああ、こっちももうちょっとで終わるから待っててくれ」

そう言って古城は最後の一角を掃除し始める。

「にしても、古城は大変だな」

「まったくだ。俺だって好きで欠席してる訳じゃねぇってのに……」

「ま、俺は多少休んでも攻魔師の仕事ってすればチャラだし」

そう言って霊斗は指先でバケツを回し始める。

「くそっ、羨ましいぜ……」

「まぁ、私も霊斗さんもちゃんとCカード取ってますし」

「一応俺やアスタルテは魔族登録もしてるし」

そう言って霊斗は古城の肩に手を置く。

「まぁ、諦めな」

「その哀れな子を見る目をやめろ、ムカツク」

そう言って古城はため息をつくと、モップを担ぎ上げる。

「ん、終わったか」

「ああ、早く帰ろうぜ」

古城がそう言い、一同は片付けを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

片付けを終えて帰宅した一同を待っていたのは猛烈な熱気だった。

「うおっ!?なんだこの暑さ!?」

部屋の中に入ると、そこには水着にエプロンという謎過ぎる格好をした凪沙がいた。

「凪沙……?なんだその格好……」

「あ、みんなおかえり!どう?この格好?似合う?」

「いや、似合うとか以前になんでクーラー使わないんだ?」

「あれ、下の張り紙見てこなかったの?」

そう言って一枚のプリントを古城に手渡す凪沙。

「なになに?家庭用の変圧器交換のおしらせ?」

「あー……なるほどな」

古城がプリントのタイトルを読み上げると、納得したような表情で頷く霊斗。

そして、霊斗は古城に小声で言う。

「お前が北地区(アイランド・ノース)で眷獣をぶっぱなしただろ、あれの時からガタが来てた変圧器がぶっ壊れちまったんだろ」

「あー、あれな……」

頬をひきつらせながら目を反らす古城。

そして、ふと思い出したように古城が凪沙に聞く。

「そういや、冷蔵庫の中身はどうしたんだ?電機が使えないってことは冷蔵庫も……」

「うん、使えないけど大丈夫!全部使っちゃったから」

「は?」

凪沙の言葉を聞いて、古城がテーブルを見ると、そこにはところ狭しと食事が並べられている。

「どうすんだこの量……」

「いや、保存しておけないんだから食うしかねぇだろ……」

「見てるだけで胸焼けがします」

「あー……私は自宅でご飯を……」

「「「「敵前逃亡は重罪」」」」

「そ、そんなぁ……」

一同がこのあとの地獄を想像してグッタリしているとき、荒々しくドアを叩く音がした。

「誰だ……?」

古城がドアのレンズ越しに外を見ると、そこには矢瀬が立っていた。

「矢瀬?何しに来たんだ?」

突然の友人の訪問に疑いを隠しきれない古城に、霊斗が言う。

「古城、基樹を入れるんだ。犠牲者は多い方がいい」

「ああ」

そう言って古城はドアを開けた。

 




今回はここまでです。
ではまた次回。

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