ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

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書きます。


愚者と暴君編ⅩⅦ

ザハリアスが消えていった方を睨み付けながら霊斗が膝をつく。

「ザハリアス……野郎……」

「霊斗さん、一端退きましょう。せめて傷が治るまでは……!」

そう言って手を差し出す遠山。

しかし霊斗はその手を払い除けると、よろめきながら立ち上がり言う。

「駄目だ……一刻でも早く宴を……」

そして霊斗はクォーツゲートの奥へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊斗がクォーツゲートに着く少し前。

古城はアヴローラを連れて絃神島・東地区の連絡橋の前に居た。

特区警備隊(アイランド・ガード)か……橋は使えそうにないな……」

古城がどうしたものかと悩んでいると、アヴローラが古城の服の袖を引いた。

「こじょう、向こうに渡る方法が、一つだけある」

アヴローラはそう言うと、手を海の方に向けた。

すると、海面が凍り橋が新たにできる。

「すげぇな……」

古城がその迫力に圧倒されていると、背後から特区警備隊の声が聞こえてきた。

「何をしているんだ!」

古城が振り替えると、数人の隊員が銃を構えながら走ってくるのが見えた。

しかし、彼らが古城達の所へたどり着く事は無かった。

「一般人に銃を向けるなんて……何て野蛮な奴らなのかしら―――”ガングレト”!!」

「ヴェルディアナ、彼らも仕事なんですから仕方ないでしょう。まあ、仕事でも誉められたことではないですが―――”日蝕狼(スコル)”」

隊員達の前に立ちはだかったのは二人の吸血鬼――リアナとヴェルディアナだった。

彼らの行く手を阻むように並ぶ二体の眷獣が放つ魔力が周囲の路面を破壊する。

「古城!今のうちに行きなさい!」

ヴェルディアナがそう叫ぶ。

古城は頷くと、アヴローラの手を掴んで氷の橋を駆けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふ……やはりここまで来ましたか、第五真祖」

「うるせぇ……」

余裕の笑みで立つザハリアスに対して、血を流しすぎたせいで立っているのもやっとな霊斗。

そんな霊斗に向かってザハリアスは告げる。

「血を流しすぎたせいであなたの第五真祖の力は弱まっている。今なら簡単に肉体を奪える」

そう言ってザハリアスは両手を広げる。

「さあ!彼の肉体を媒介として復活するのです!世界最強の吸血鬼―――第四真祖よ!」

ザハリアスの声が建物の中に反響する。

しかし、なにも起こらない。

「なぜ……なぜだ!どうしてなにも起こらない!」

すると、困惑するザハリアスを嘲笑う声が新たに響く。

ザハリアスが声の方を見ると、そこには黒髪の少女―――天音が立っていた。

「第五真祖の眷獣……?」

ザハリアスが呟く。

「天音……?」

宿主であるはずの霊斗も困惑の表情で天音を見ている。

それは、天音が霊斗の意思で動いているわけではないということ。

二人からの視線をうけながら、天音が口を開く。

「『愚かだな、ザハリアス。よもや忘れたわけではあるまいな?第四真祖復活には我――”原初(ルート)”と呼ばれし呪われた魂が必要であることを』」

「な……」

天音ではない何者かの言葉に、ザハリアスの顔がこわばる。

「天音……じゃないのか?」

「『我は第四真祖。世界最強の吸血鬼だ。第五真祖よ』」

そう言うと、”原初”の背中に魔力で紡がれた羽根が現れる。

「『さて、ザハリアス。汝に与えし人形の一部(パーツ)、返してもらうぞ』」

”原初”がそう言うと共に、ザハリアスの背後に小柄な影が現れる。

一番目(ブローテ)……!?待て!……やめ――」

ザハリアスが制止するも、一番目はザハリアスの肋骨を掴み、抉り取る。

「あ……が……」

体から一番目の肋骨が離れた瞬間、ザハリアスの肉体が崩れてゆく。

固有堆積時間(パーソナルヒストリー)の量に耐えられなくなった身体が崩壊しているのだ。

「”原初”……」

霊斗がそう言って”原初”を睨み付けた時だった。

「なんだよ……今の……」

そう言ってクォーツゲートに入ってきたのは、古城とアヴローラだった。




今回はここまでです。
ではまた次回。

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