ストライク・ザ・ブラッド~幻の第五真祖~   作:緋月霊斗

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今回は天音ちゃんが地味(?)に活躍します。
では、本編をどうぞ。


聖者の右腕編 Ⅹ

教室に行くと、浅葱が声を掛けてきた。

「おはよう、古城、霊斗」

「おう、おはよう」

「なんか、浅葱眠そうだな」

「あんたには言われたくないけどねー。ほら、昨日の倉庫火災あったでしょ。あれで災害対策のメインフレームがぶっ飛んだって会社のお偉いさんが泣きついてきてさー」

「なんか、大変だったんだな。すまん」

「?なんで古城が誤んのさ?」

「い、いや!ほら、島民全員が浅葱には助けてもらったってことで!」

「べ、別にそんな大袈裟な事じゃないけど……。じゃあ、感謝を形にして貰おうかしら?」

「お、おう。できる範囲内でな」

「キーストーンゲートのケーキバイキングでいいわよ~」

「お、おまっ、あれいくらするんだよ!?」

と、その時

「暁古城、霊斗はいるか」

那月が教室に入って来て言う。

「なんすか?」

「HRの時間はまだだったんじゃないすか?」

「昼休み、生徒指導室に来い。中等部の転校生と、霊斗の腕にくっついている女もつれてな」

「え、だる……」

ゴキィ!

「あばす!」

霊斗の首があり得ない方向に曲がった。

「わかりました」

古城は冷汗を垂らしながら答える。

那月はつまらなさそうに鼻を鳴らすと教室を出ていった。

「ったく、死ぬかと思ったぜ」

「いや、霊君は吸血鬼だから、そんくらいじゃ死なないっしょー」

と、霊斗と天音のやりとりを見て、浅葱が

「ねぇ、霊斗。その子誰?」

「ああ、こいつか?知らないやつだ」

「霊君が辛辣だよー」

「くたばれ(バキッ)」

「痛い!殴ることないじゃん…」

天音は嘘泣きを始める。

なかなか上手い。

「ちょ、霊斗!?女の子殴るなんて、あんたそんなやつだった?」

「いや、殴るのはこいつだけだ」

「霊君の馬鹿!(メキッ)」

「ぐぁぁぁ!?頭蓋骨が陥没したような感覚が!?」

「ねぇ、古城」

「なんだ?」

「結局、この子はなんなの?」

「霊斗の眷獣だってさ」

「ああ、成る程」

古城と浅葱が溜息をついたとき、チャイムが鳴った。

 

 

 

昼休み。

古城、霊斗、雪菜、天音は生徒指導室にいた。

「で、那月ちゃん。話ってなぎゃん!?」

「私を那月ちゃんと呼ぶな。貴様ら、昨日の倉庫火災の件は知っているな?」

「は、はい」

「その現場付近で、死にかけの吸血鬼がいると、誰かが匿名で通報したらしい」

「そうっすか」

「ふん、まあいい。ところで、死にかけの魔族が発見されたのは昨日が初めてではない」

「なっ!?」

那月が広げた事件の資料のひとつに、知っている顔がいた。

「那月ちゃん、こいつは…?」

「六件目の被害者だな。知りあいか?」

「いや、見かけたことがあるだけだ」

「そうか。そこで、貴様ら真祖二人と馬鹿な眷獣に忠告しておいてやろうと思ってな。まあ、事件解決までは昨日のような夜遊びは控えるんだな」

「は?夜遊び?ナンノコトダカワカラナイナー」

「ふん、ところで霊斗。昨日の人形はどうしたんだ?大分獲っていたようだが?」

「あれなら空間転移で俺の部屋のクローゼットと、雪菜の部屋のタンスの中に一匹…。あ、もしかして那月ちゃんも欲しかった?(ごそごそ)はい、あげるよ?」

「も、貰っておいてやる」

少し、嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。

「じゃ、俺達はこれで」

「「「「失礼しました」」」」

そう言って指導室を出る。

 

 

階段にて―

雪菜が口を開く

「やっぱり、南宮先生は知ってたんですね」

「ああ、あの人は一応警察にも信頼されてるからな」

「でもさ、あのオイスタッハっておっさんと、アスタルテって子のことは知らないと思うよ?」

「天音の言う通りだ。だから、俺達で先に片をつける」

「はい、そう言うと思って朝の内に西欧教会の場所を調べて置きました」

「姫柊、流石だな。でも、そんな単純でいいのか?あいつらの素性はわからなくても、オッサンが法衣を着ていた事くらいは分かるんじゃないのか?」

「じゃあ、懺教師がどこに潜伏していると言うんですか?」

「そうだな……。ロタリンギア人がいて目立たないのはロタリンギア人の中だから……」

「ロタリンギア国籍の企業とかか。しかも、人工生命体の調整槽があるとなると医薬品企業……。それに軍事用人工生命体となると違法だから、すでに撤退済みの企業の施設でやらないと……。天音、調べられるか?」

「おっけー。任せて」

そう言うと天音は空に舞い、眷獣化した。

そして、島全体を覆う結界を張る。

しばらくして、天音が降りてくる。

「あったよ。スヘルデ製薬の施設が。撤退済みだけど、つい最近誰かが使った痕跡がある」

「わかった。じゃあ、案内してくれ」

「まて、霊斗。今から行くつもりか?」

「ああ、当たり前だ」

「はぁ、俺も行く。いいよな?」

「ああ。でも、足を引っ張るなよ?」

「わかってる」

「先輩が行くなら私も……」

「ああ、来てくれ。その方が心強い」

「よし、那月ちゃんに書き置きをしてっと……。よし、いくぞ!」

「おう!」

「はい!」

「うん!」

そして、皆で走り出す。敵の本拠地に向けて。




天音ちゃん大活躍!
次回で、聖者の右腕編を終わりにしたい。
では次回。

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