biohazard cordname”NT”   作:ナッツガン

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アメリカはこの日、大事な人を失った
俺はまた守れなかった
俺達の夜はまだ明けない


夜はまだ明けない

 トールオークス大学の構内で俺とジルは、大統領の安全を確保する為に動いていた。

 構内にはすでに安全な場所は無く、既に大統領が死んだ可能性もある。

 生死を確認する為にも、大統領の部屋に急がなければならなかった。

 

 

 数日前に俺は大統領から一つの提案を受けた。

 それは、ラクーンシティの真実を公表するから、君にも手伝ってほしい。

 しかし、それを公表するという事は、アメリカという国を危機に陥れる事になる。

 それでも大統領はすると言った。

 だからこそ、真実を知っている俺に協力を要請してきた。

 念の為にレオンを呼んでいるという。

 俺はアメリカ政府そのものを敵に回す行為だ。

 しかし、だからこそ、アメリカという国だけにこだわっていると、これからの世界は危険な事になる。

 アダム…。大統領はその為に公表をすると決めたのだろう。

 

 

 構内に銃声が響きわたった。

 以外に近い場所からの音に、俺は嫌な想像をしてしまった。

 構内の階段や廊下を必死に走って行くと、大統領が居るであろう場所まで辿りついた。

 部屋の中に入ると、そこに居たのは大統領の死体だった。

「アダム…お前を守れなかった。すまない」

 ジルはアダムの体を調べていると、一つの結論を導き出した。

「ゾンビ化をしたようね。そして誰かがゾンビ化した大統領を撃ち殺した」

 俺はアダムから離れると、ドアの方を見つめた。

「撃ったのはついさっきだろう。そして俺達はそいつらに会わなかった。という事は、撃った奴は俺達とは別の方に移動したという事だろう」

 俺は今回のバイオテロはアメリカ政府の内部犯の可能性が高い。

 犯人の心辺りはある、犯人は…

「今回のバイオテロはシモンズの犯行だろうな…」

「シモンズってイドニア共和国にエージェントを送たって言う?」

「ああ、おかしいと思わないか?イドニア共和国にウイルスを提供した時に、シモンズはエージェントを送って、とある人物の回収をさせた。それもウイルスを提供する事を予め知っていなければ、あんなに迅速に動く事が出来ない。おそらくシモンズは偽エイダにウイルスをゲリラに使うようにいい、それを利用してエージェントを利用して、とある人物の回収を行った」

「その人物の回収の目的は?シモンズがそうするだけの理由があるはずよ」

「俺達に回収されたくないからだろうな。ゲリラの中にウイルスが効かない人間が居るという事は、その人間にはウイルスに対する抗体があるという事だ、それを消すためだろうな」

「要するにウイルスのワクチンを作ってほしくなかったって言う事?」

「そう考えると、色々と辻褄が合う。それに大統領の警備は完璧と言っても過言ではない。それでもバイオテロを起こしてしまった。それは、内部の人間を使って隙を作ったて言う事だ。それもシモンズが送った人間なら可能だろう。バイオテロをどうやって起こしたのかは分からないが…」

「新型のウイルスだと思う?」

「マルハワ学園の事を考えると、新型という事になるな。多分直接注入するか、ガスを吸うかで感染のタイプが違うんだろう。そう考えると、今回のバイオテロはガスを使った感染だろうな。BOWをうまい事使って感染させたのだろう」

 

 

マルハワ学園…アジアで最大の名門校。前に大きなパンデミック状態に陥った。クリス、ピアーズ、そして新人エージェントのメラ・ビジが唯一の生存者リッキー・トザワを連れて、脱出を図った。しかし、脱出の途中でメラは死亡、マルハワ学園の生徒は全滅してしまった。その際に女性がウイルスの提供を行ったという情報を得た。

 

 

 今回のバイオテロは、マルハワ学園の時の感じと似ていた。

空気感染によるバイオテロ。

そして、イドニア共和国に現れた偽エイダ、そしてマルハワ学園に現れた女。

これは偶然なのだろうか?

「全てシモンズが関わっているのだとしたら、シモンズは必ず行動を起こす。多分…滅菌作戦を起こす。自分の証拠を全て消す為に」

 あいつが犯人なら必ず行動を起こすに決まっている。

 かつてラクーンシティを吹き飛ばした男なら、必ず起こす。

 俺はHQにシモンズを監視しているようにと言うと、俺達は構内からの脱出を図る事にした。

 

 

 構内から脱出すると、俺達は町の中をさまように歩いていた。

 どこに行けばいいか分からない。

 シモンズの証拠をつかむためには、この町を探索しなければならない。

最初は車で移動していたのだが、町の途中で車がやられてしまった。

 俺達は車から乗り捨てると、俺達は町の中を移動している。

「どうするか…悩みどころだな」

「HQからは何か情報が無いの?」

 そう言われても、これといった情報が何もない。

 悩んでいると、向こうから誰かがやってきた。

「こっちだ!」

 男が二人と、女が一人でガソリンスタンドから移動していくと、後ろから知った男が走って行った。

「レオン?」

「そうみたね。どこかに移動するみたいだけど」

 レオンが消えて行った方に行くが、そこには既に誰もいない。

 大きな門を超えればレオンに会えるだろう。

 しかし、俺達は脱出だけが目的じゃない、俺達はシモンズの証拠を手に入れる事が目的だ。

 その道を真直ぐ進んで行くと、武器屋が物陰から見えてきた。

 武器屋では数人が立て篭もって、戦っている人影にはレオンが居る。

 俺達が助けられればいいのだが、今ここで接触するわけにはいかない。

 レオンからシモンズに情報が漏れるような事が在ったら大変だ。

「なるべくゾンビをこちらに引き付けよう」

 ジルは黙って頷くと、俺はポケットから一つの手榴弾を投げて爆発させた。

 近くのゾンビは俺達の方に移動を始めると、俺達はハンドガンを使ってゾンビを蹴散らしていく。

 向こうの武器屋から1人の男が出てくると、ゾンビの一体を倒した。

 しかし、倒されたゾンビの一体が突如変異した。

 その姿はまるで、皮をはがされた人間の様だった。

「殺されるな…」

 そう言うと、男は化物に殺されてしまった。

 化物は武器屋に入って行くと、俺達はもう少し武器屋に近づいた。

 レオンが上に上がると、ポーチから盗聴器を上に投げると、会話内容を聞いた。

「教会…そんなものが有るのか?」

 端末から教会の居場所を調べると、確かに市内に教会が一つある。

 こんな町に教会がある事はおかしくない。

 問題は何で一つしかないのか、という所だ。

「シモンズと何か、関わりがあるかもしれないな。それにレオンもそこを目指しているようだし」

「行って見ましょうか」

 俺達は近くのバイクに乗り込むと、教会を目指して走り出した。

 

 

 森のようなところを移動していくと、崖の上から大きな教会が見えてくる。

 夜の雰囲気もあってか、とても不気味な雰囲気を醸し出していた。

「不気味な…」

 後ろから大きなバスがやってくると、俺達はその場から移動した。

 バスは崖に突っ込むと、落ちそうな態勢になる。

 さすがに見過ごせそうにない、俺達はバスに近づこうとした時、更にトラックが突っ込んで行く。

 バスはトラックごと下に落ちてしまった。

「あれじゃ…生存者は…」

「…行きましょう」

 俺達はバイクを動かすと、道のりを移動していく。

 少し時間が掛かったが、ようやく教会の入り口に差し掛かると、バスが火を噴きながら倒れていた。

 俺達は少し黙祷をすると、そのまま墓地の中を進んで行く。

 既に戦った痕跡が見つかる。

 すると教会に鐘の音が響く、俺達の周りに墓からゾンビが現れた。

「ここで何かが在ったと考えるべきだろうな…。ゾンビが自然に出現するものじゃない」

「ここで実験が在ったと考えると、ゾンビの存在も頷けるわね」

 俺達はハンドガンを使ってゾンビを撃退すると、真直ぐ教会を目指していった。

 橋のような場所を移動すると、多くの墓を眺めながら移動していく。

 そのまま教会の大きなドアの前まで来ると、俺達は教会の中に入って行く。

 大きなドアを二人で開けると、教会の中は霧のようなものが覆っていた。

 中には何人か生存者がいるが、霧のようなものを吸ってゾンビ化仕掛けている者もいる。

 そんな霧を出しているのは、女性を乳房のようなものが体中に付いているような体だ。

「あれが今回のバイオテロを引き起こした犯人か?」

「多分ね」

 戦った痕跡が残っている所から推測すると、既にレオンが闘ったのだろう。

 倒したと思っていたら、まだ生きていたのだろう。

 俺達はハンドガンを構えて、化物と戦う事にした。

 俺達は化物と一旦距離を取ると、俺は柱に隠れて化物を撃ってしまう。

 ジルも柱に隠れて化物を狙撃する。

 こいつの霧は危険なものだ、俺が近づく分には大丈夫だが。

 ジルが近づくと感染してしまうだろう。

「ジル!近づくなよ!」

「ええ!」

 化物に何発か撃つと、化物はその場で灰になってしまった。

 教会の中に居た人間は全てゾンビになってしまっていた。

「行きましょう」

「…ああ、分かっている」

 ここに居ても誰かが生き返る事は無い、俺達がすべきことは他にある。

 俺達は教会の奥に地下への階段をゆっくり降りて、大きなドアを開ける。

 ドアを開けると、そこはちょっとした研究施設のようになっていて、俺達はゆっくりその場を移動していく。

 研究施設の中には、色々な書類があるが、シモンズの証拠がつかめなかった。

 しかし、こんな研究施設をシモンズがそのままにしておくはずがない。

「ここを吹き飛ばしかねないな」

「こんな研究施設を残しておくはずがないでしょうけど」

 俺達は研究所の中を調べて行くと、奥から大きな爆発音が聞こえてくる。

 俺達は走って行くと、一つの研究所の中から火が噴き上がっている。

 俺達が来た道にいないという事は、隣の道を進んだに違いない。

「行くぞ!」

「ええ!」

 俺達は真直ぐ道を進んで行くと、そこに居たのは俺の良く知る顔だった。

「…エイダ?」

「あら、こんにちは、ベル」

「この人がエイダ?」

「ああ、なぜお前がここにいる?」

 間違いない、こいつは本物のエイダだ。

「ある人からここに来いって言われたからよ」

「そいつは偽エイダか?」

「…もう会っているようね」

「まあな」

 俺達はそれぞれの情報を交換することにした。

 

「なるほど…やっぱりあのエイダは新型によって生まれてきたのか」

「ええ、映像にはサナギから生まれてきたわ」

「シモンズが裏で行動しているようだし」

「厄介だな…」

 そう言うと連絡でHQが俺達に情報を伝えた。

「ジル、エイダ。ここに核が落ちるぞ」




 俺達はヘリの中から消えていく、トールオークスの町が焼かれていく。
 あの後俺達はエイダとは別に脱出した。
 エイダはエイダで脱出の方法があるみたいだ。
「こちら代表だ!滅菌作戦を許可した奴を捕まえろ!BSAAの許可なしに行うなんて馬鹿げてる!」
『こちらHQ!滅菌作戦を指示したのはシモンズです!シモンズは既に逃亡中!』
「国際指名手配をしろ!逃亡先は!?」
『中国の蘭祥です!』
「俺達もそこに向かう!」
 まだ夜は明けていない。

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