biohazard cordname”NT”   作:ナッツガン

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死んで逝った者達がいた
そんな人達を絶対に忘れない


忘れない為

 階段をゆっくり降りて行くと、下から銃撃音が聞こえてくる。

 階段を降り切ってしまうと、そこに写った風景は辺り一面が研究施設だった。

 ただ広い空間に研究道具などが置かれていて、中にはハンターなどが保管されている。

 BSAA隊員がマジニやゾンビなどと戦っている。

「俺達はBOWに対処するぞ」

「了解」

 俺達は目の前のマジニに向かって走って行くと、ハンドガンを構えて引き金を引いた。

 マジニの頭に弾が撃ち込まれると、ナイフで首を切って見せる。

 エルはハンドガンで相手の足を撃ち、揺らいだところを俺が首を切る。

 そんな戦法を使いながら俺達はこのフロアの制圧作業を行っていた。

 すると目の前の筒の中に入っていたハンターが動き出した。

「気をつけろ!ハンターが来るぞ!」

 ハンターは筒を壊すと、俺達に襲い掛かってきた。

 俺は手榴弾をハンターの足元に投げると、ハンターの足元が爆発した。

 そうしているとエルに一体のハンターが近寄っていた。

 俺はハンターに向かって走って行くと、ハンターの頭に乗っかりナイフを突き刺した。

「エル。大丈夫か?」

「は、はい…」

 エルは俺を見つめたままでいると、俺は向かってくるハンターにフックショットを使ってこけさせる。

 こけたハンターの体に乗っかり再びハンターの頭にナイフを突き刺した。

 少しガスマスクに血が付いてしまうが、困る程度の量ではない。

「エル。大丈夫か?」

「…………」

「エル?そうかしたか?」

「…いえ、何でも無いです」

 そう言うエルの表情は魂ここにあらずといった感じだった。

 俺を見たまま呆然となっていた。

「俺に惚れたか?」

「!」

 エルは更に顔を赤くすると、立ち上がって後ろを向いてしまった。

「そっち!いちゃいちゃするな!こっちを手伝ってくれ!」

「誰に向かって命令してんだ!」

「…いちゃいちゃ…私…だって…」

 エルはパーカーのいちゃいちゃという言葉を聞くと、ぶつぶつ何かを言っていた。

 パーカーのせいでエルが使い物にならなくなってしまった。

「パーカーのせいだぞ」

「俺!?おまえだろ!」

「パーカーがいちゃいちゃなんていうから」

 俺はエルを置いてその場から移動すると、エルは俺の背中にくっついたように離れない。

 後ろを見ると、エルは顔を真っ赤にしながらもついて来ていた。

「パーカー…。何とかしろ」

「俺なのか?」

「代表命令」

「くそ」

 パーカーはエルに話している間に俺は周囲のハンターの駆逐を始めた。

 

 

 このフロアにいたハンターを掃討すると、俺は再びエルの元に急いだ。

「で?どうやったらこうなるんだ?」

「お前が実はジルのことが好きだからあきらめろって言ったら…」

「死ねばいいのに」

 エルは座り込んだまま、ずっと泣き続けていた。

 俺はどうやって慰めたものか考えていると、エルはスッと立ち上がると俺に笑顔を向けてきた。

「さあ!次のフロアに行きましょう!」

「何が在ったか話し合った後にな」

 エルはそのまま次のフロアに移動を始めた為、パーカーにどうにかしろと再び命令した。

 パーカーはエルの元に行くと話始めた。

 その間に俺は部隊を集めて下に移動する準備に入った。

「5人はここで待機!何かあった場合は俺達に通信を入れろ!」

 5人を残すと俺達は階段に向かって歩いて行く。

 パーカーが俺に向かってくると耳打ちしてきた。

「すいません」

「言い訳を聞こうか」

「はい、失敗しました」

「お前は先に行け」

「了解」

 後ろを見ると、表情を暗くしたエルが立ち尽くしていた。

「エル?」

「すいません…私なんて…私なんて!」

 何をどうしたらこうなるのだろうか?

「エル…。俺はお前と付き合えない…すまないな」

「いえ…私が勝手に好きになったんだから」

「好きなることは別に悪い事じゃないさ…。俺を好きになったからこそ、俺自身が責任を取らなければならないんだ」

「…代表はジルって言う人のどこが好きなんですか?」

「…俺は…今までジルを避けて生きてきたんだ。ジルが好意を寄せいていたのに…。好きだったのに…。だからこそ俺は今までの責任を取らなくてはならない。…まあ、どうして好きになったかというと…あいつは俺と出会った時、何も聞かなかった。あいつの優しさに俺はどこか惚れていたんだと思う」

「そうですか…」

 エルはにこっと笑うと、そのまま隊の方に移動していった。

 俺はパーカーの傍によると小さな声で言った。

「お前は後で説教だからな」

「了解」

 隊の一番前に移動すると、階段をゆっくり降りて行く。

 次のフロアは大きな食堂のような空間だった。

 食堂の一面にマジニがマシンガンを構えながらこちらを向いていた。

「待ち伏せをされたか…。マジニは厄介だな」

 俺達は大きな柱を盾にすると、マジニに向かって攻撃を開始した。

 一体や二体など、数が少ない場合は俺が突っ込んでもいいのだが…

 数は俺が数えるだけで二十は軽く超える。

「この施設予想よりも広いかもな」

 エルはグレネードランチャーの弾を交換すると、今度は硫酸弾を相手に向けて引き金を引いた。

 マジニの一部が硫酸弾を浴びて苦しんでいると、俺は手榴弾をマジニ向けて投げた。

 数が多いため中々次に進めないでいると、通信機からノイズと共に声が聞こえてくる。

『…ひょう…いま…な…どう…き…ない』

「なんだって!?聞こえない!」

『…いま…そ…ほきゅ…おく…』

「だめだな…上と通信が出来ない」

「下に降りすぎたのかもしれないですね」

「だろうな」

 地下に降りすぎたのだろう…通信が難しい場所まで来ているのだ。

「仕方が無いな…補給もいるしな…。誰か上に補給を寄越させてくれ」

「了解です!」

 そう言うと隊の一人が上に向かって走って行く。

 マジニ達は奥から誰かを連れてきた。

 その人物が持っていた物を見て、俺達は驚きを隠せ無い。

 というより、そんな物を持ってくるなよって気になる。

 そいつが持ってきたのはガトリングだった。

 処刑マジニほどではないが、そこそこ体が大きいマジニがガトリングガンを持っていた。

「全員物陰に隠れろ!」

 俺達は急いで物陰に隠れるが、数名がガトリングの餌食になってしまった。

 俺は手話でみんなに俺がやるというと、ガトリングマジニ(命名俺)に向かって走って行く。

 ガトリングマジニは俺に向かってガトリングガンを向けると、ためらいなく引き金を引いた。

 俺はガトリングガンの弾を回避しながらマジニに向かって走って行くと、俺はマジニ達の中に紛れて同士討ちを狙った。

 ガトリングマジニは、走っている俺を狙っている内に周囲のマジニを全滅させてしまった。

 最後に俺は、ガトリングマジニに向かって走って行くと、フックショットを使い上からの攻撃を仕掛けた。

 ガトリングマジニの頭にナイフを突き刺すと、マジニの頭から思いっきり血が噴き出す。

 俺は顔に血を受けると、マジニから飛び降りた。

「これで終わりかな?」

 みんなの方を見ると、みんなは俺を見たまま固まってしまっていた。

「どうかしたのか?」

「お前の恐ろしい姿にみんなおびえているんだ」

 隊の中で一番平然としているパーカーが代表で答えてくれると、俺は自分の姿を見てみた。

 確かに俺の体は、体中に血をつけていて、ある意味恐ろしい姿かもしれない。

 しかし、俺からすればこれはまだいい方なのだが…

「気にするなよ…。いつもの事だろ?」

 そう言うと俺は、体中についた血を吹き飛ばしてすっきりさせていた。

 俺はエルに視線を向けると、エルはガトリングガンの餌食になった隊員達を見て首を横に振った。

「次の階に行くぞ」

 俺は隊員にそう言うと、各隊員はそれぞれ死んだ隊員を見て悔しがりながら準備をしていた。

 俺は先に次のフロアに向かうと、階段を降りて行った。

 次のフロアにはこれまた大きなフロアであり、実験場になっており、多くのマジニが待ち構えていた。

 よっぽど俺達を奥に進めたくはないのか、それともバロクの命令でここに居るのか…

 どちらにしても多くのマジニが待ち構えてることに違いは無い。

 俺達はそれぞれ戦闘態勢を整えると、机を盾にして戦闘態勢を整えた。

「パーカー!弾薬庫はどこだ!?」

 パーカーは端末から検索をしていると、俺の隣にあるドアを指差した。

 俺は1人の隊員に弾薬庫に行くように指示を出すと、戦闘を開始した。

 数分後弾薬庫から隊員が多くの弾を持って現れた。

 エルは弾薬の中からグレネードランチャーの弾を多く拾っていた。

 俺はハンドガンの弾を拾うと、再び戦闘を再開した。

 すると隊員の一人がまたマジニの攻撃に倒れた。

 その様子を見ていた隊員の一人が怒りを露わにしていた。

「よくも!俺の親友に!」

 隊員は立ち上がるとアサルトライフルを持ってマジニ達を攻撃していた。

 俺はマジニの攻撃が隊員に当たりそうな瞬間に隊員を体を掴んでしゃがんだ。

 エルとパーカーはそれぞれの武器で俺達を援護してくれた。

 俺も机を盾にして相手に攻撃を仕掛けると、何とかマジニを倒す事に成功した。

 俺は立ち上がると、隊員に行ってやった。

「いいか…。仲間を殺されて怒りを露わにするのもいいが、だからと言ってお前自身が死んでは意味が無いんだ。俺達の仕事はバイオテロをなくすことだ…」

「ですが!俺達は仲間を殺したあいつらを許せないんです!」

「…いいか?怒るのは良い事だ、十分に怒ればいい。だがな俺達の仕事を忘れるな」

「私達の仕事はウイルス感染者を倒す事ではないのですか!?」

「違う…。俺達の仕事はウイルス感染者を殺すことでは無い」

 そう言うとパーカーとエルを除いた全隊員は俺の方を見つめていた。

 全隊員が俺を見ている事を確認すると、大きな声で言ってやった。

「俺達のやるべきことは、この世界からバイオテロをなくすことだ!その為にはここにいる一人一人が戦って行かなくてはいけない!お前たちの仕事はウイルス感染者を殺すことでは無く!仲間を募る事だ!お前たちが生きて次の者に意志を継げ!死んだ仲間の分までな!俺がいる限りお前達に復讐なんてしてもらうつもりはない!それを胸に抱いて戦え!」

 俺がそう言うと隊員は全員が「了解!」と言い準備を進めた。

 俺はパーカーに近寄ると、小さな声で指示を出した。

「後で死んだ仲間のリストを作っておいてくれ」

「いつも通りで良いんだな?」

「ああ、そうしておいてくれ」

 そう言うとパーカーは俺から離れて行った。

 近くで俺とパーカーのやり取りを聞いていたエルは、俺に質問をしてきた。

「どうして死んだ仲間の名前を?」

「この世界の為に戦って死んだんだ。俺はこの世界の為に死んだ仲間を忘れたくない。仲間だけじゃない。ウイルスによって死んでいった人達がいたことを忘れたくない。誰かを恨まないためにも…」

 そう言う俺の視線は死んだ仲間に向けられていた。




 私達は地下への入り口に来ていた。
 大きな部屋に来ており、目の前に見える階段を目指していたのだが…
 私達は目の前で死んでいる隊員に目がいっていた。
 原因も分かっている…原因は目の前で大きな斧を持っているマジニだ。
「またこいつか…。…ジル、こいつは俺達に任せてお前は先に行け!」
「でも…。クリス…」
「言わなくても分かるさ…。お前はベルの元に行きたいんだろ?」
 そう、私は今すぐにでもベルに会いたい。
 みんなから聞いた変わったベルを見てみたい。
 何より答えを見つけたベルに会いたかった。
 きっと私はベルに…告白してほしいのだ。
 クリスもそれを理解してくれている。
「ジル…。もし俺が好きって言ったら…付き合ってくれるか?」
「…ごめんなさい。私…実は…」
「だろうな…」
 私は逃げるようにベルの元に急いだ。

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