biohazard cordname”NT”   作:ナッツガン

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 レベッカと共に戦う事で、昔の事を少しずつ思い出していく
 彼のトラウマに気づいた女性が彼に接触する


ウロボロス

 レベッカを庇う態勢から俺は物を退けて立ち上がると、レベッカも同じように立ち上がった。

 列車は完全に横になっていて、俺は瓦礫を避けながら出入り口を目指して歩いて行く。

 完全に出入り口が上になっている為、俺は先に上がって出るとレベッカを引き上げた。

 レベッカと共に電車から飛び降りると、壊れた駅の中を歩いて行く。

 電車が駅に突っ込んでいる為、駅のホームがめちゃくちゃだ。

「なんてこと…」

「クソ!止められなかった」

 駅の中を進んで行き、駅の外に出た俺達はその光景に驚いた。

 町の中はどこも煙で包まれており、あちらこちらから血の匂いがやってくる。

「何が…」

 レベッカは驚きを隠せ無いようで、唖然としている。

 俺も同じような感じで眺めている。

 確かに俺達は突っ込んだところでこうはならないはずだ。

 少なくとも数分でこうはならないはずだ。

「なんでこんな事に…誰が」

 そこまで言った所で、俺は1人の男が頭に浮かんだ。

 バロク・シン

 なぜだかわからないが、俺はあいつの顔を思い出していた。

「どうしたんですか?」

「なんでもない。それより、君の仲間の所に先に行こう」

「いいんですか?」

「ああ、仲間が来るまで時間があるし、君の仲間の事も心配だ」

 そう言うとレベッカは町の中を移動を始めた。

「君の仲間はどこに居るんだ?」

「工場で待ち合わせをする事になっています」

「そこまで行くか…」

「どうしました?」

「先に銃の補給を済ませていいか?」

「はい」

 そう言うと俺達は先に近くの銃店を目指して歩き出した。

 大きな通りではすでに銃の音は聞こえないし、この町ではすでに戦う人はあまりいない。

 車から火が噴き、ゾンビが死体を喰う音が周りに響く。

「まるでラクーンシティの再来だな」

「ひどい…誰が…こんな事に」

 大通りをゆっくり歩いて行くと、ゾンビが俺達の前に多く現れる。

 ハンドガンを構えてゾンビの頭目掛けて銃の引き金を引く。

 ゾンビの頭が吹き飛ばしながら、俺はナイフで首を切り裂いて行く。

「これだけのバイオハザードをどうやって…」

「なんでこんな事を…」

 ゾンビが湧いてくるように増えている。

 このまま戦えば俺達がやられるのは、時間の問題だろう。

 俺はどうにかこの状況を打開できる手段を模索していた。

 周囲を確認していると、近くにバーがあることに気づいた。

「レベッカ!こっちだ!」

「は、はい!」

 レベッカを連れてバーの中に入ると、バーに鍵がかかっている事に気づいた。

「クソ!開いてくれ!」

「ゾンビが!」

 鍵を何とか開けようとしていると、突然鍵が開いた。

「!レベッカ!」

 レベッカと共に中に入ると、俺はドアのカギを閉めた。

 レベッカは床に座り込んでいて、完全に疲れていた。

「誰が…鍵を?」

「こんな事をするのは…」

 俺が後ろを振り向くとそこに居たのは…

「お前か…エイダ」

「久しぶりね、ベル」

「お知り合いで?」

「まあな、向こうで話そうか」

「そうしましょうか」

 レベッカから離れて奥に行くと、エイダと改めて話合った。

「どうしてお前がここに居るんだ?」

「お仕事と言えばいいかしら?」

「仕事だ?何の仕事なんだ?」

「バロクを追っているの…」

「あいつはこの町に居るのか?」

「ええ、私の組織のコンピューターにハッキングしてウイルス情報を奪ってくれたわ」

「お前はバロクをどうする気だ?」

「上の人は殺せって」

 そこまで話して俺はどうするべきか考える時間を得た。

 バロクを放っておけばこのあとも面倒な事態になる事は明白だ。

 エイダが他に何かの理由があるかも知れないが、エイダはそんな理由で俺に接触はしないはずだ。

 こいつは少なくとも俺に助けるだけのメリットがあると考えているはずだ。

「他の目的は?」

「今の所はバロクだけよ。信用ならない?」

「…そうなら良いけど、居場所は分かっているんだろうな?」

「ええ、工場の地下で何かの研究をしているっていう情報があるわ」

 工場と言えばさっきレベッカは仲間が工場に居ると言っていた。

 おそらくエイダは列車の中にすでに居たのだろう。

「まさかと思うが、エイダ…列車に乗っていたんじゃないだろうな?」

「ええ、乗っていたわよ…」

 エイダはおれにずっとついて来ていたのだ。

 俺達の戦いが不利になれば出てくるつもりだったのだろう。

「私は先に工場に行っているから」

 そう言うとエイダは闇の中に消えて行った。

 俺はレベッカの元に戻ると、改めてレベッカと共に工場跡を目指すことにした。

「工場に行こうか?」

「彼女は?」

「先に工場に行ってるってさ」

 そう言うと俺は先に進んで行く、バーの中を進みながらゾンビがいないか確認する。

 俺にはなぜエイダが現れたのか分からなかったが、それはすぐにでも分かってしまう。

 俺が向かい合い、見つめるべき相手が誰なのか。

 俺が戦うべき相手が誰なのかを決める時が来ているのだとは、この時の俺は知らなかった。

 

 

 

 階段を上って行き、屋上に上がっていると俺達は工場がどこにあるのかを把握した。

 屋上から屋上へと移動していくと、工場の方へ確実に移動している。

 工場はここからそんなに離れていない、工場と反対の位置に大きなビルが多く点在している。

「ここから真直ぐ行けば、工場に行けるはずだ」

「はい。それにしても予想以上に数が多いですね」

「全くだな。いい加減襲ってきても意味が無いとが苦渋できない者かね」

「その通りですね。本当に疲れてきました」

 レベッカと共に天井に付いている、屋根を伝っていると下にはゾンビが多く徘徊している。

 みんな俺達を喰おうと集まっていて、俺達に手を伸ばしている。

「気持ち悪い光景だな。嫌気がさしてくる。」

「早めに行かないと、ここも危ない」

 天井を進んで行くと、ようやく俺達はもう少しで工場にたどり着こうとしていた。

 屋外でようやく俺達は進んで行くと、階段をゆっくり降りて行く。

 カタンカタンと言う音が周りに響いて行く、階段を下りる先にはゾンビはいない。

 階段を降り切ってしまうと、大きな通りに出て行く。

「この道を真直ぐ進んで行けば、工場にたどり着くはずだ」

 大きな通りではゾンビが人を喰う音だけが聞こえてくる。

 俺達はそんな姿をただ見る事しか出来なかった。

 レベッカも同じようにただその姿を見つめていた。

 小走りではあるが、真直ぐ工場に向かっていく。

「さっき手に入れた情報によれば、このバイオテロを引き起こした犯人が工場に居る可能性が出てきたんだ」

「工場にですか!?」

「ああ、君の仲間も心配だ。」

 工場まで後少しという所で、俺達の目の前に何かが妨害してきた。

 それは黒い何かが巻き付いていて、人の形をしていた。

「なんなんだ!?」

「こんなの見たことがありません?」

「今までこいつの情報は無い!」

 くねくね動きながらも、俺達との距離を確かに埋めていく。

 よく見ると、体の黒い何かの中に光るものを見つけた。

「あれが弱点ぽいな」

「でも結構細かく動くから、中々当たらない!」

「場所も悪いな」

 周囲からちょっとずつゾンビが集まってくる。

 このまま工場に走ったほうが良さそうだ。

「レベッカ!走るぞ!」

「はい!」

 俺達は工場に向かって走って行く。

 

 

 

 工場が多く並んでいる中を走って行く。

 後ろからは先程の化物が、走っている。

 俺達は途中で立ち止まると、周囲にゾンビがいない事を確認した。

「ここならだれにも邪魔されずに戦えるな」

「ええ、ここなら大丈夫そうです」

 俺達は銃を持つと、化物に向けた。

 化物はゆらゆらしながら俺達との距離を詰めていく。

 俺達はそれぞれ化物から離れると、化物の体に弾を撃ちこむ。

「化物の体にある光っている場所を攻撃しろ!」

「分かってます!」

 しかし、俺達の攻撃は中々化物の弱点に当たらない。

 レベッカはマシンガンで攻撃しているが、こちらも中々当たらない。

 化物は俺に近づくと、腕を振って攻撃をしてきた。

 俺はその攻撃を頭を下げて避けると、走って距離を取る。

「意外と厄介だな」

 ハンドガンで狙いを付けようとするが、体が良く動くせいで中々当たらない。

 後ろに下がりながらハンドガンの弾を撃ちこんでいく。

 俺はいよいよ追い詰められていて、工場の壁に背をつけていた。

 化物はそんな俺に向かって腕を伸ばして攻撃を仕掛けてきた。

 しゃがんで避けると、もう一つの腕が俺の背中を直撃した。

「ぐっ!」

 俺は大きく吹き飛んでしまうと、レベッカは何とか援護しようとしていた。

 しかし、中々弱点に当たらない。

 化物は倒れた俺にとどめを刺そうとして来た。

 攻撃をしようとした化物の体が徐々に崩れて行く。

 化物を倒したのはレベッカだった。

「助かったよ」

「大丈夫ですか?」

「ああ、しかしどうやって?」

「ナイフで刺したんです。化物はあなたを狙っていたので、刺しやすかったので」

「そうか…助かったよ」

 俺は立ち上がると、化物の方を向いた。

 これもバロクが裏で暗躍をしているせいだろうか?

 どのみちこの先に行けば、何かが分かるはずだ。

 俺達は工場の入り口に向かって歩いて行く。

 この先で俺自身と向き合う戦いをしなければいけない事をまだ知らない。

 そして“NTウイルス”というウイルスの進化の果てを知ることに…




 画面に映っている映像ではウロボロスが撃破された所だった。
「こんなものか」
 もう一つの映像にはテラセイブのメンバーがやられていく様子が映っている。
「そろそろウロボロスウイルスを試す時か…」
 そろそろ計画を実行に移す時が来た…

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