biohazard cordname”NT”   作:ナッツガン

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 エイダと共に豪華客船に向かうベル
 そんな二人にモルガンの刺客が襲い掛かる


クィーン・ビクトリア

 船はエイダが言った豪華客船の元に移動していた。

 俺が操縦してもいいのだが、エイダは私がやると言って聞かない。

 船の操縦は知らないと言ったのが原因だろう。

「どうして第四の船があると気づいたの?」

「…簡単だよ」

 俺は雨が降っている窓の奥を見ながら語った。

 

 オブライエンと俺はテラグリシアパニックの後、ヴェルトロのアジトを探していた。

 その段階でテラグリシアの近海で、不審な動きをしている船を見つけた。

「これがその船か?」

「ああ、名前は分かった…クィーン・ディードだ」

 オブライエンが言うには、この船には同型艦が残り二隻あるのだという。

 テラグリシアの上からの衛星映像に不審な船をもう一隻見つけた。

「この船はなんだ?」

「どれだ?」

「クィーン・ディードの隣にちょこっと出ている船だ」

 クィーン・ディードの隣に、画像の端に写っている船を指でさした。

「他の二隻じゃないのか?」

 オブライエンがそう言うと、俺は他の二隻がどこにいたのかを調べた。

 しかし、他の二隻は別の海域を移動しており、テラグリシアの近くにはいなかった。

「これは…他の船って事だろ?」

「第四の船があるって事か?」

 調べてみてもそれらしい情報が手に入らなかった。

 オブライエンと悩んでいると、俺は1人この手の情報を掴める人間に心辺りがあった。

「俺に任せてくれないか?」

「心辺りが?」

「見つける人間にな」

 

「それで私に頼み込んだのね?」

「迷惑だったか?」

「別に…楽しそうだったし」

 そう言うと、エイダは少し微笑んで見せた。

「それで?第四の船はどんな船なんだ?」

「簡単に言えば、モルガンが作らせた海上研究所よ」

 俺はエイダの方に顔を向けると、船が大きく揺れた。

「モルガンはウイルスを開発するのに、カモフラージュする船が必要だった」

「それが船ってわけか?」

「ええ、そしてモルガンは三隻とは別に極秘裏にもう一隻を作らせた」

「どうしてカモフラージュで船になるんだ?」

「そっくりに作れば、衛星越しには分からないし、他の場所に作るとばれやすい」

「それで船になったのか?」

「ええ、それはある意味幸運だったの」

「どういう意味だ?」

「海上を移動するために、“T-Abyssウイルス”が出来上がったの」

 船で作った為に、偶然出来たのが新型だった。

「でも、ウイルスを作ったのは良いけど、それの新しいワクチンが必要だった」

「それでヴェルトロを利用したと?」

「ええ、ついでにウイルスを世界中に教える事が出来た」

 モルガンめ…やはり…

「ヴェルトロを逆に利用したのか」

「そう言う事になるわね」

 船が少しづつ速度を落としていく、目の前に大きな豪華客船が見えてくる。

 船の脇には、クィーン・ビクトリアと書かれていた。

「ここが第四の女王」

 ビクトリアの脇に船を止めると、船にフックを付けると中に入って行く。

 中に乗り込むと、ハンドガンを構える。

 エイダも同じようにしていると、ゆっくり歩いて行く。

「気を付けろよ」

 エイダと共にドアに近づいて行く。

 ドアに掛かっている鍵をハンドガンで撃つと、ゆっくり中に入って行く。

 船の中は酷い異臭がしていて、その匂いはまるで腐った死体の匂いがする。

「ひどい匂い」

 エイダは少し鼻を押さえている。

 俺はガスマスクをしているおかげでそこまでではなかった。

 部屋の奥に進んで行くと、奥のドアをゆっくり開けて行く。

「誰もいないのか?」

「今はね…テラグリシアパニックの直後に、船内でバイオハザードが起きたの」

「モルガンか…」

「ええ、証拠隠滅の為に」

 回り込むように移動すると、俺はまたしてもドアに手を掛ける。

「誰だ!?」

 上の方で物音がする。

 上に向かってハンドガンを構えるが、そこには何もない。

 上にハンドガンを構えたまま、ドアをゆっくり開けて行く。

「物音がしたよな?」

「ええ、この船には何か居るわ」

 ガスマスクに付いているライトをつけると、物音がしないように進んで行く。

 またしても上から物音がしている。

 ゆっくり歩きながら先に進んで行くと、エレベーターのある部屋を見つけた。

 部屋と呼んでいいのか疑問だが、二つあるエレベーターの内の一つは電源が入っていない。

「別の方は動いているようだな」

「エレベーターに乗って下の降りる?」

「少し先に進んでみよう」

 俺は先ほどから見えているドアに手を掛けると、後ろから何かの気配を感じた。

「エイダ!」

 エイダを押し倒す形で、庇うと俺の方に何かが肩に噛みついた。

 エイダは俺の方に噛みついている何かを、ボウガンで撃ち抜いた。

 俺の方に噛みついていた何かは、俺の方から吹き飛んだ。

「なんなんだ?」

 後ろに向くと、そこに居た化物は半ば溶け崩れつつ水死体のように白くふやけていた。

「こいつは新種の感染者か?」

「人かどうかは疑問だけどね」

 ハンドガンで両腕を撃つと、奴の口から何かが出てきた。

 俺はナイフを持って構えると、奴の頭に突き刺して蹴り飛ばした。

 化物の体は水のようになっていくと、骨だけになっていた。

「不思議ね…どうやったらこうなるのかしら?」

「骨だけになったぞ…まるで水で体が出来ているようだな」

「それより傷口は大丈夫?」

「ああ、“NTウイルス”がウイルスを食っているよ」

 先ほどから傷口周辺がとても暑い。

 新しいウイルスが入って来ると、“NT”はウイルスを食って強化される。

 強化される部分は、再生能力と肉体の強化。

「また強くなるのかしら?」

「だろうな」

 暑さが落ち着いて行くと、噛まれた傷口が治って行く。

 肩をグルグル回して、傷を確認すると奥の方から物音が聞こえてくる。

「さっきの奴だと思うか?」

「多分ね…少なくとも一般人ではないでしょうね」

 ゆっくりドアを開けて行くと、俺とエイダは部屋の中に入って行く。

 中は食堂になっていて、通路がU字型になっている。

 回り込むように移動していると、後ろと前に先ほどの化物が二匹出てくる。

「こいつがさっきの音の正体か?」

「でしょうね」

 背中合わせに立つと、俺は目の前の化物に集中した。

 ハンドガンで片腕を撃つと、体ごと後ろに回って行く。

 どうやら腕には骨が無く、銃で撃つと耐えられない。

「エイダ!腕を撃て!」

「分かってるわ!」

 もう一つの腕に撃つと、化物は怯んだ。

 俺は飛び蹴りを喰らわせると、化物は壁に体を激突した。

 エイダの方も化物を倒してようで、ボウガンの矢をリロードしている。

「テラグリシアで使われたウイルスと同じ可能性がある」

 倒し終えると、先に向かって進んで行く。

 奥のドアを開けると、今度はキッチンにたどり着いた。

 キッチンの中は先ほどの化物が立っている。

「行動はゾンビと似ているな」

「姿は全く似ていないけどね」

 激戦を潜りぬけると俺達は全く動じない。

 ハンドガンで両腕を撃ち抜き、化物の顔面に殴りつけた。

「あなたちょっとづつ面倒になってきてるでしょ?」

「まさか」

 適当に流すと、キッチンの中を調べて行く。

 調理台の上に在る物を調べて行くと、下から何かが出てくる。

「こういう奴らはこういう手段が好きだな」

 先ほどの化物が出てくるので、俺は頭を踏みつぶした。

 頭がグチャという音を立てて死んだ。

 しゃがんで水になった化物を見ていると、上から化物が降ってきた。

「うわ!!なんだ!?」

 後ろに飛び退くと、ハンドガンを構えた。

「脅かすな!!」

 ハンドガンで頭に何発か撃ち抜いて行く。

 化物は先程と同じく水になって死んでいく。

「久しぶりに驚いたぞ…心臓に悪い」

 どうやら体が柔らかいのか、どこにでも入れるらしい。

 上に居たり、下に居たりと俺を驚かせる。

「何かあった?」

「化物なら数匹…上と下から」

 大きくため息を吐くと、立ち上がった。

 今回の戦いは少し疲れそうな感じがする。

「先に行くか…」

 ドアを開けると、今度は階段を上って行く。

 階段の上にまたしてもドアがあり、ドアをゆっくり開けて行く。

 通路の先を進んで行くと、長い廊下があった。

「部屋の中に入ってみる?」

「やめておこう」

 長い廊下を進んで行くと、曲り角で曲がる。

 ドアを開けて、階段を降りて行く。

 先に一つの部屋が見つかった。

 部屋の中は誰もいないように見える、

「念の為にこの先の部屋を調べてみるか」

 俺はゆっくり部屋の中に入って行くと、部屋の中で俺達は調べてみることにした。

 俺は机の上に在るパソコンの電源を入れた。

「何か見つかると良いんだが」

 パソコンの中を調べていると、ここの研究所の場所への道が書かれていた。

 しかし、研究所に入る為には特定の鍵が必要だ。

 鍵の場所を調べてみると、画面に先ほどとは違う化物の姿が映った。

 椅子から飛び退くと、パソコンが縦に切られていく。

「なんだ?今度は?」

「どうしたの?」

 エイダも同じように化物に向くと、そこには体がとても大きく右手はチェーンソーのようになっている。

「…俺は生きている…助けて…死にたくない」

「この化物喋ってる?」

 エイダは俺に向かって聞いてくると、俺は無情な言葉を発した。

「聞くな、化物化した時点でこいつは殺すしかない」

 ショットガンを構えると、化物に向けて引き金を引いた。

 化物はチェーンソーのようなもので襲い掛かってくる。

 いくら撃ってもちっとも怯まない。

「無駄にタフだな」

「何とかしましょう」

 俺はポケットから手榴弾を持つと、口目掛けて手榴弾を投げた。

 口の中に入ると、化物の体の中で爆発した。

 化物は体を吹き飛ばすと、水のようになっていく。




「モルガンは俺達を殺そうとしていると思うか?」
「多分ね」
 この先モルガンの刺客が襲い掛かってくるかもしれない。
 俺は先程調べた内容に従って来た道を戻って行く。

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