biohazard cordname”NT”   作:ナッツガン

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 地下研究所に忍びこんだベルとジル
 そんなベルに魔の手が忍び寄る


ウイルス

 俺の首筋に何かが刺さる、ジルは周辺を確認している。

「誰!隠れてないで出て来なさい!!」

 俺が首筋に刺さった物を抜く、それには“Gウイルス”と書かれていた。

 すると俺の体が恐ろしく熱くなってくる。

「ベル!大丈夫なの!?」

 ジルが俺の心配をしてくる、すると体中に痛みが走る。

 奥の壁からタイラントが一体出て来て、ジルに襲い掛かってきた。

「こんな時に!」

 ジルはハンドガンで交戦しているが、タイラントは平然と近寄ってくる。

 俺は体が痛く、熱い為そこから動けない。

 目でジルを追うと、壁の所で追い詰められていた。

 ジルがピンチだと理解した時、俺はどうにか体を動かそうとしていた。

 

 痛い暑い救う痛い暑い救う痛い暑い救う痛い暑い救う暑い救う暑い救う暑い救う暑い救う暑い救う暑い救う暑い救う暑い救う暑い救う暑い救う救う救う救う救う救う救うスクウスクウスクウスクウスクウ!!!

 

 俺は気づいたときすでにタイラントを蹴り飛ばしていた。

「ベル!?」

 タイラントが壁に埋もれていると、俺はタイラントに何発も拳を叩き込んだ。

「スクウ!!スクウ!!スクウ!!」

 俺の思考は既にジルを救う事で一杯だった。

 すでにタイラントは動けなくなっている。

「ベル!止めて!!」

 するとジルが俺の体を掴んで止めてくれたところで、俺は自我を取り戻した。

「ジル?」

「良かった…大丈夫なの?」

「ああ、今の所は何も…」

 体は先ほどと変わらない、化物と同じような変化は起きていない。

 ジルは隣で安心している、俺はそれを見て少しうれしく思った。

「…俺の体について聞かないのか?」

「…言いたくない理由があるんでしょ?」

 そう言われて俺はその場で黙り込んだ。

「だったら言える日が来るまで待つわ…」

「…ありがとう」

 ジルにそう言えることがとてもうれしかった。

 その場に少し休んでいると、ジルと共に先ほど俺にウイルスを指した奴を追うことにした。

「先ほどの男が…」

「間違いないな…」

 おそらくは俺にウイルスを打ったのが、バロク・シンだろう。

 目的が見えてこないが、実験の一環であることはうかがえる。

「追わなくちゃな…」

 俺が立ち上がると、次のドアを開けて次に進んだ。

 廊下を進んで行くと、階段を見つける。

「こっちに降りたと思うか?」

「多分…」

 俺達が階段を早足で降りて行くと、ついに3フロアに出る。

 3フロアは1フロアと構造上は同じらしく、一面がガラス張りになっていた。

「ここ…最初のフロアと同じ…」

 俺達は中の方に入るとそれぞれ情報を探していった。

 そこには“Gウイルス”に関する報告書を見つけた。

『“Gウイルス”はラクーンシティの地下研究所にいるウィリアム・バーキンが開発したウイルスである』

『“Gウイルス”の開発者ウィリアム・バーキンは自分に“Gウイルス”を自分に投与し、化物に変化した』

『その力は未知数で、何度も変化を続けたとされている』

『これにより“Gウイルス”は管理に難しいという点がある』

 そこに書かれている情報はそこまでしかなかった。

 俺にはどうしてバロク・シンがこの研究所を、使った研究を行ったのか知りたかった。

 バロク・シンの情報は殆ど削除されており、ある情報と言えば彼がアンブレラから信頼されていたという事だけ。

 そんな彼がアンブレラを裏切ってまで行いたい研究とはなんだ…

 それには“NTウイルス”がかかわっているのか…

 そんな思いが俺を動かしている。

「ジルの方は何か見つかったか?」

「いいえ、たいした情報は…」

 そう言いながら俺はパソコンの電源を落としながら、部屋を出ることにした。

 部屋をでて通路を進んで行く、バロク・シンはいまだ見えてこない。

「バロク・シン…どこに行った?」

 ジルと共にバロク・シンを追いかけて行く。

 いつ捕まえるか分からない状況ではある。

「どちらにせよ、脱出するにもこの先に急ぐしかない…」

「バロク・シンを捕えなくちゃ…」

 通路を進んで行くと、途中でゾンビの群れが俺達の邪魔をする。

 アサルトライフルでゾンビ共をなぎ倒して行きながら進んで行く。

 ある程度走って行くが、バロク・シンは見えてこない。

 途中ではゾンビ以外に、リッカーやハンターなどから妨害を受けた。

「これだけのBOWを用意しているとは…」

 バロク・シンがこれだけの事を、計画しているのだとしたら天才と褒めるしかない。

「でも着実に追い詰めているはずよ…」

 俺達は走りながらも、着実に追い詰めていく。

 階段が目の前に見えてくる。

「この下かな?」

 階段を降りて行くと、途中にゾンビの群れが再び俺達の壁になる。

 アサルトライフルとマシンガンでゾンビをなぎ倒しながら、階段を降りて行く。

 ようやくの思いで4フロアに到着すると、目の前に大きなドアが見えてきた。

「行くぞ!」

 目で合図すると、一緒にドアを開いた。

 中は食堂になっており、多くの血が壁や机に飛び散っている。

 パチパチパチパチ

 どこからか拍手が聞こえてくる、食堂の二階を見るとそこには研究員が拍手している。

「フフフ…」

「貴様がバロン・シンだな…」

 男は不敵な微笑みを浮かべると、喋り始めた。

「私の研究に協力してくれてありがとう」

「何を言っているんだ!?」

 二人でハンドガンを構えると、バロン・シンに向けた。

「君のおかげで私の研究は進展したよ…」

「ジル…ハンドガンを下せ…」

「どうしたの?」

「無駄だ…あいつは防弾ガラスの中に居る」

「やはり気づいたか…」

 あの男は防弾ガラスの中にいて、俺達ではどうしようもない。

「いくつか聞きたいことがある…」

 男は何も語らず、俺達をじっと見ていた。

「一つ、なぜアンブレラを裏切る行為をした?」

「二つ、何が目的だ?」

 男は少し考えていると、笑いながら語り始めた。

「一つ目の質問を答えると、アンブレラはもうすでに終わりだ…」

「アンブレラはラクーンシティの生存者を多くを逃してしまった、それに君達を逃してしまっているしな」

 男は俺達を見つめると、そう答えた。

「二つ目の質問の答えは、新しい顧客を得ることも出来たしな、アンブレラは必要は無い」

「だから研究所にBOWと“Tウイルス”を漏えいしたのか?」

「勘違いしないでもらいたいな、そもそも“Gウイルス”を漏らしたのはここの研究員のミスだ」

「それでも貴様は…」

「それに乗じてあなたはウイルス実験を行った」

「それについては否定しないさ…事実だからね」

 男は振り返ると、そのまま喋り出した。

「そうだ…ここのヘリポートにヘリを一機用意してある、それを使って脱出するといい」

「なぜそこまでして…」

「君は私の大事な研究対象だからね…」

 男がそう言うと俺達の後ろからドアが開く音がした。

「その前に君たちは先にどうにかする化物がいるよだけどね…」

 後ろを見てみると、そこに“G”がさらに形態を変化させていた。

「まさか…“G”何か?」

「前とかなり違うみたいだけど…」

 男は奥の方に消えていく。

「ではな…そうだ言っておきたいことがある…」

 “G”と戦いながら男の喋っている内容を聞いている。

「君のあの実験を行ったのは私だ…」

 あの実験…みんなが死んだあの実験を行ったのは…あの男…

「ちなみに行ったのはここだ…」

 あの実験はここで行われた…その男が…

「待て!!貴様!!!」

「それでは…さようなら…ベルトウェイ・シュターナー…ジル・バレンタイン」

 そこまで言うと男は闇の中に消えて行った。

「ベル!今は目の前のこいつに集中」

「分かってるよ…分かってる…」

 悔しかった…

あいつを逃がした事を…

みんなの仇を討てなかったことを…

 何より俺自身の不甲斐なさを…

 あいつの実験とやらはおそらく“NTウイルス”の実験だろう。

 俺が変異しなかったのは、“NTウイルス”が“Gウイルス”食べてしまったからだ。

「クソーーーーーー!!!」

 悔しい…悔しい…悔しい!!

 アンブレラとか“Tウイルス”とかより圧倒的に…

 あいつを…バロン・シンを逃がした事が…

 悔しかった…

「ベル…」

 ジルは俺を心配してくれていた。

 “G”の攻撃を回避しながら攻撃を加えていく。

 しかし“G”はひるむことすらしない、すでに“G”は四足で壁などを走っている。

「すでに元の人間である場所を探すのが難しいな…」

 マシンピストルを二丁構えながら、“Gウイルス”との距離を取っている。

 ジルはグレネードランチャーを撃っている。

 するとちょっとずつ“G”は弱って行く。

「もう少しだ…」

 突然“G”はその場に倒れ込んだ。

「…行こう」

「ええ…」

 俺達は食堂を出ると、廊下を進んで行く。

 すぐに階段を降りて行くと、そこには既にゾンビなどの姿は無い。

「あの男はどうやって脱出するつもりなのかしら…」

「恐らくは隠し通路があるんだろ…」

 アサルトライフルとマシンピストルの弾をリロードしながら語る。

「ヘリとは別の脱出手段がある、2フロアに在ったんだろう」

「そこを使って逃げるつもりなの?」

「多分な…」

 そこまで語ると、俺はジルを見ないで聞いてみた。

「…聞かないのか?」

「待つって決めたし…」

 階段の終わりが見えてくる。

「…それに辛そうだし…」

 最後にジルが喋った内容が聞こえない。

 階段を下りたところで、アナウンスが聞こえてきた。

『自爆シークエンスを起動しました』

『所員は脱出をしてください』

「まさか…まさかあの男…」

 俺達は部屋が多くある通路を走って行く。

「まさか研究所を自爆して証拠を消そうとするとは…」

 走って行くとついにエレベーターにたどり着いた。

 エレベーターに乗り込むと、ヘリポートに向かう。

「あの男は結局はデータを取るためにバイオハザードを?」

「多分な…それを使って顧客に売って研究資金にするつもりなんだろう」

「私達が来たのもあの男からすれば…」

「ラッキーな展開だったんだろう…」

 俺達の戦闘データを取りながらも、BOWの戦闘も取れる。

「それでも早く脱出をしなければ…」

 エレベーターはようやくヘリポートにつくと、俺達はヘリに向かて走り出した。

 ゴゴゴゴゴ

 地面が揺れる音がすると、エレベーターが突然吹き飛んだ。

「なに!?」

「あれは…“G”なのか!?」

 エレベーターが在った場所には、化物が触手を使って這い上がっていた。

「ジル!ヘリへ!」

 俺達はヘリに走って行くと、ヘリに積んでいたロケットランチャーを持ちあげる。

 ロケットランチャーの狙いをつける。

「これで終わりだ!」

 引き金を引くと、弾が“G”の口目掛けて飛んで行った。

「ベル!早く!」

 “G”の体が吹き飛ぶと、俺はヘリに乗り込んだ。




「研究所が…」
 ジルの呟きを聞きながら俺は研究所を見ていた。
 研究所は爆発しながら、炎に包まれていく。
「ベルはこれからどうする?」
「バロクを追いながら、アンブレラを倒す」
「私達は目的は同じじゃない?」
 ジルは俺の回答を聞くと手を差し出した。
「一緒に戦いましょ…」
「ああ…」
 俺はジルの手をそのまま掴んだ。
 その後俺達は後のBSAAを創設することになる。

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