biohazard cordname”NT”   作:ナッツガン

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 ロックフォード島や南極での戦いから数か月が経った。
 俺は最後にエイダから渡された資料をもとにアンブレラとの戦いを続ける毎日。
 そんな中俺はアメリカにある研究所の一つを訪れていた。


Gウイルス
ジル・バレンタイン


 森の中に入ってからすでに2時間が経っていた。

「意外と遠いな…」

 森の奥にある隠し研究所を目指して俺は歩いていた。

 エイダからもらった資料をもとにアンブレラと戦う毎日…

「この奥にあるはずなんだが…」

これだけの道のりなら、車を使えばよかったと今更ながら後悔した…

 しかし、文句を言っても事態は全く変化しない、それに資料によるともうすぐであることは明白だ。

「…見えてきたか」

 歩いていると目の前に大きな屋敷が見てきた。

 いかにも人が住んでなさそうな屋敷だという感想を持った。

「お化けでも出そうだな…」

 屋敷に向けて歩いていると入り口のドアで何かをしている人影を見つけた。

 それは俺が半年以上前に見たその人だった。

「何をしているんだ?」

「!誰!?」」

 彼女は後ろを向きながらもハンドガンを構えた。

「俺はベルトウェイだけど…」

 彼女の名前はジル…俺がラクーンシティで見つけた女性だ…」

「アンブレラの所員ではなさそうね…」

「もしかしたらアンブレラの工作員かもしれないぜ…」

 いかにもという格好をしているし、顔はガスマスクで隠しており体は防弾ジョッキで守っている。

「そう言うってことはそうじゃないんでしょ…」

 ジルはハンドガンを片付けて俺に向かって自己紹介を始めようとしていた。

「私の名前は…」

「ジルだろ…」

「どうして私の名前を?」

 ジルは不思議そうな表情で俺の方を見ていた。

 俺はラクーンシティでのジルとの事を話した。

「…なるほど」

 ジルは頷きながら俺の言った事に納得したようで、改めて自己紹介を始めた。

「改めて紹介するわね、私はジル・バレンタインよ」

 ジルは右手を差し出し、俺に向かって握手を求めた。

「ラクーンシティではありがとうというべきかしら…」

 俺は握手に応じながらもジルの質問に答えた。

「別にいいさ、それに俺が勝手にやった事だ…」

「それでも感謝してるわ…」

 挨拶も終わり改めてジルは作業に戻った。

「…で、何をしてるんだ?」

「鍵を開けてるの…」

「それっていわゆる…」

「っそ!ピッキングよ…」

 俺は彼女の手先の器用さに舌を巻いた。

 そんな事をしていると、ジルは鍵を開けたようでドアを開けた。

「広いな…」

 外が屋敷なら中も屋敷なようで、ここで実験をしているようには見えない…

 俺が周りの確認をしていると、ジルが俺に向かって質問をしてきた。

「ベルトウェイはどうしてここに?」

「ベルでいいよ…」

 俺がそう呼ぶとジルは分かったっと言った風に頷いた。

「俺はアンブレラの施設を一つ一つ壊して回ってるんだ…」

「私と似てるわね…」

「って事は君も?」

「ええ、アンブレラの施設を壊しながら人を探しているの…」

「誰を探しているんだ?」

「クリス・レッドフィールドって言うんだけど…知らない?」

 俺はそこまで聞くとロックフォード島でも事を思い出した。

「妹のクレアには会ったがな…」

「クリスには?」

「会ってない…もしかしたらクレアの方ならもう会っているかもな…」

 そう言うとジルはあきらめたようで俺に向かって来た。

「私と組みましょう」

「別にいいけど…」

 そう言うと俺達は改めてコンビを組んだ…

 そうしていると右の部屋から大きな物音がした。

「!今何か聞こえた?」

「ああ、物音がしたな…」

 俺がジルの方を見ると、俺が先行することにした。

 ドアをゆっくり開けながら中の確認をする。

「今のところは誰もいない…」

 中に入って行きハンドガンで撃つ構えを取りながら周囲の確認を取る。

「ここじゃないって事?」

「奥の方かもな…」

 中は廊下になっており、通路も途中で曲がっていた。

 ゆっくりと先に進んで行き曲がり角で曲がると、突然曲がり角から犬が飛び出してきた。

「クソ!」

 俺を押し倒す格好でケルベロスは襲いかかって来た。

「ガウ!ガウ!ガウ!」

 ケルベロスは一生懸命になって俺を噛もうとしていた。

 バン!

 そんな乾いた音が響くとケルベロスをおとなしくなった。

「大丈夫?」

 俺がケルベロスを横に投げると、ジルは手を差し出しながら聞いてきた。

「ありがとう…」

 その手を受け取り俺はジルに向かってお礼を言った。

 それ以外にはケルベロスはいないらしく周りは静かだった。

「しかし人はいないわ、ケルベロスはうろついてるわ…」

「研究所の人間は生きているのかしら…」

 ジルは周りを見ながらそう呟いた。

「先ほどの音もケルベロスかもな…」

 ケルベロスにが外傷は頭以外見当たらない。

「これは実験で作られたものだ…」

「という事はここが実験場だという証拠にもなる」

 俺達は再び歩き始めた、ドアを開けるとそこは大きな食堂に出た。

「異常なし…」

「こちらも異常なし…」

 俺達が食堂の中を探索していると、一つの写真を見つけた。

 その写真のには若い頃のアンブレラ創設メンバーが映っていた。

「まともな道を選べばこんな事には…」

「言っても仕方のない事よ…」

 写真をその場に置くと改めて部屋の確認をした。

 他のドアは二つしかなく、その内の一つは鍵がかかっている。

「仕方が無いわ、こっちに向かいましょう…」

 ジルはもう一つのドアから奥に進んで行く。

 そこは通路になっており、道の途中で左右に出口が一つと奥に一つ。

 俺達は外に通じる方の出口に向かった。

「墓地になっているわね…」

 外は墓地になっており、名も無い墓がいくつも置かれていた。

 すると奥からゾンビが現れて俺達に向かって歩き始めた。

「数は10体といったところだな…」

 俺とジルはハンドガンを構え引き金を引いた。

 場所を移しつつ、墓石を盾にして移動を続けた。

「後何体だ?」

「4体ね…」

 また一つジルはゾンビの額に弾を撃ち込んだ。

 そして俺達は大きな墓標の前へたどり着くとやっとゾンビを倒した。

「これはやけに大きいな…」

 この墓標にも名前が刻まれていない、すると墓標に何かが置かれていた。

「…鍵かしらね」

 その鍵にはアンブレラにマークが刻まれていた。

「これを持って屋敷に戻るか?」

「そうね…先ほどの部屋にも入れるかもしれないし…」

 俺達は屋敷に向けて歩き始めた。

 屋敷に戻ると俺達は食堂に戻り鍵のかかっていた部屋に入る事にした。

「…ビンゴ!」

 ガチャン!

 そんな音と共に鍵が開き、中に入れるようになった。

 ゆっくり警戒しながら中に入って行くと、中は書斎のようになっていた。

「書斎だな…」

 あくまでも警戒を続けながら部屋の確認をすると、部屋は最近まで機能していた痕跡があった。

 俺は机の上にあったパソコンを起動すると記録の確認をした。

「どうやら数日前にここでバイオハザードが起きたらしい」

 ジルも確認の為にパソコンに覗き込んだ。

「その後地下研究所が封鎖された…」

「そして今に至ると…」

「その際に一部のBOWが放たれたようだな」

「先ほどのケルベロスもその一部ね」

 ジルはパソコンから目を離すと部屋の散策を再開した。

 俺はパソコンから確認できる範囲での確認を続行した。

 しかし、これ以上の成果はあげられなかった。

「仕方ない、他の部屋を散策しよう…」

 ジルは黙って同意してくれて、俺の跡に付いて来てくれた。

 食堂に戻ると俺は先ほどの通路に戻り、墓地とは反対側のドアを開けた。

 俺が開けると同時にハンドガンで撃つ態勢を取ると、中を確認した。

「ゾンビが3体…」

 ジルが撃つまでもなく、俺が排除した。

 俺達は中に入ると散策を始めた。

「このゾンビ、ここの研究員か?」

「そうみたい、どうやら逃げる事が出来なかった人がいたのね…」

 ゾンビの服を調べている研究に関するメモを見つけた。

『ハンクが手に入れた“Gウイルス”を調査する為研究所の一角を封鎖する事を決定した』

『“Gウイルス”の力は目を見張るものがあるが、繁殖能力に欠ける部分がある』

『よってこれからは“Gウイルス”の繁殖能力を伸ばす事を考える事とする』

 メモには“Gウイルス”という名前が出てきた。

「ジル、“Gウイルス”に心辺りは?」

「クリスが“Gウイルス”を追っている事しか…」

 俺はメモをポッケトに入れると部屋の捜索を再開した。

 中はこれ以上使える物は見つからなかった。

「もっと奥に進んでみるか?」

「そうしましょう」

 もう一度外に出ると俺は通路の奥のドアをゆっくり開けた。

 そこは書庫になっており、多くの本と本棚に囲まれていた。

 本棚の裏からゾンビが4体現れた。

「この様子だと生存者は全滅かな…」

 ゾンビを倒しながら俺はジルの方にも安全を確認する。

 ゾンビを倒すと俺はゾンビの所持品の確認をした。

「…これと言った物は無いかな」

 このゾンビにはこれといった物を持ってはいなかった。

 周囲の探索を続けたがやはり情報は殆どない。

「次に進むか?」

「そうしましょうか…」

 俺達は先に進むことにした。

 次のドアを開けるとそこはまたしても廊下になっており、奥と右側にドアがあった。

「こっちに入るぞ」

 俺はそう言いながら右側のドアを開ける。




「侵入者を確認しました」
 目の前にある大きな巨体は淡々としゃべっている。
「どうなさいますか?」
「“Gウイルス”を試す良い実験になる、放っておこう」
「了解いたしました」
 目の前にある巨体はそう言うと黙り込む。
「せいぜい楽しませてくれよ…」

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