コードギアス~私が目指すのんびりライフの為に~   作:チェリオ

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第89話 「金と蒼」

 千葉 凪沙はずっと憎んでいた。

 一度目はナリタ連山で敗北した上に刀を取り上げられた事。

 二度目はブラックリベリオンでブリタニアに敗北し、自分の愛機であった月下をアイツに奪われた事。

 

 刀も愛機もアイツに奪われて捕虜になっている間は毎日のように恨み、同時に自分の未熟さを呪った。

 黒の騎士団用の監獄では外に出られない以外はかなり自由の利く生活を用意され、敵に情けをかけられているようで惨めになる。しかもそれがアイツからだという事実が余計に惨めさに追い打ちをかける。

 

 だが、それも今日でおさらばだ。

 アイツと決着を付けると言う意味合いではなく、自分の愛機を取り戻せるという意味でだ。

 逃亡中に卜部が繋がりを得た反ブリタニア勢力支援組織ピースマーク。そこの資金提供などを行っているウィザードより今回の新総督移送を行っている護衛艦のひとつにオデュッセウスが管理し、改修した月下が積み込まれて輸送されているとの情報提供を受け心が弾んだ。

 奪われた月下を取り戻せるんだ。

 私は意気揚々に井上の無頼に相乗りさせて貰い、卜部と共に月下が積まれているという後方のカールレオン級浮遊航空艦に取り付いたのだ。先に取り付いた卜部の月下により少ない砲台は早々に潰され、井上は予定通りに情報にあった格納庫上部を撃ち抜いて内部に突入。内部には銃を持った歩兵などが少数居たが無頼に取り付けられた機銃により押し負け、格納庫入口まで後退して行った。

 

 井上が敵兵を抑えている間にコクピットより飛び降りて月下の元へと駆ける。

 やっとの思いで取り返せる自分の愛機を視界に納め、千葉は呆然とした。

 

 確かに月下の原型は残っている。だけど明らかに違う。

 背中に取り付けられているフロートユニットは分かる。単独飛行能力を有するとも聞いていたから想像はしていた。

 肘や脹脛、肩などいたる所に小型のスラスターらしきものが追加され、左腰には廻転刃刀とはまた違った刀が提げられていた。他にも色々と銜えられているが一番目を引いたのは左脇に設置されている苦無らしき武器とギラギラと輝く黄金色装甲だろう。

 改修の指示を出したのはオデュッセウスらしいのだが、色を除けばどう見ても日本を意識している節がある。

 と、いうか何故メタリックゴールドを選んだかと問い質したいところだ。

 

 多々言いたい事はあるものの乗り込んでみると疑問は消え去り、妙な高揚感に包まれた。

 刺さりっぱなしの起動キーや操縦桿は以前の月下と同様の物だったり、システムはブリタニア式ではなく日本式を採用。操縦桿やペダルの効き具合は妙にしっくりとし、操縦席そのものが自分専用に誂えたようになっていた。

 慣れた手つきで素早くシステムチェックを行い異常がないかを確認していると、モニターにこの機体の名前が表記される。

 

 すべてが正常に起動したところで大きく深呼吸をし、井上の無頼が空けた穴より空を見上げる。

 

 「千葉 凪沙。月下改め月影(ゲツエイ)、出撃する!」

 

 フロートシステムが起動し、足が浮いて飛行を開始する。穴が少し小さいのでフロートシステムの翼を折り、各部のスラスターで艦内より飛び出した。

 ゆっくりと出来るならモニターに広がるこの空高くより臨める光景を眺めたりもするのだが、今はそんな時間はない。

 周囲の友軍機を確認すると朝比奈の月下と杉山の無頼の反応が途絶した。すぐさま確認すると機体はログレス級浮遊航空艦より落とされ空中で爆散。二つのコクピットがパラシュートを展開して海へと降下している事からパイロットは無事だと安堵する。

 

 『千葉、紅月の援護を!俺達も後から向かう!』

 「あぁ、行くぞ月影!!」

 

 折り畳んだ翼を伸ばして敵機と交戦中の紅蓮の元へと急ぐ。

 相手は交戦経験は無いが資料で目にしたグロースターの改修機である最終型と呼ばれるタイプだ。

 

 『カレンさん。これ以上の抵抗は無駄です。降伏を』

 『………すると思う?』

 『いえ、してくれれば良かったと思いますが―――時間もないのでこれで』

 

 向かい合う二機は睨み合っていたが最終型が剣を構えた事で千葉は焦った。

 日本解放戦線でも黒の騎士団でも精鋭部隊である四聖剣の朝比奈をやった機体。それもレーダーを見ていた感じでは一機で三機を相手にして無傷で勝った相手だ。真正面から一対一では分が悪すぎる。

 千葉は「させるかぁああ!!」と叫び声を上げ注意を引こうとする。

 上手く背後からの一撃が決まれば良し。注意を引いて対処に周れば紅月が仕留めてくれるだろう。

 そう思っていたのだが、予想していなかった事態が発生した。

 

 一瞬飛行しているこちらを捉えられずに少し間が空いた事と、機体色がメタリックゴールドで太陽の光を思いっきり反射して相手の目を眩ませたのだ。

 勘が良いパイロットだったのかギリギリで後ろに飛び退いて、損傷を左腕一本に押さえられた。

 

 「無事か紅月!」

 『は、はい、助かりました――ってその機体』

 「かなり弄られたようだがようやく取り戻せたよ」

 

 紅蓮と月影の二機が最終型を警戒しながら武器を構えていると藤堂に卜部、仙波の月下に井上の無頼がログレス級浮遊航空艦に飛び乗り、護衛だったカールレオン級浮遊航空艦は全機動力炉をやられて海上へと落ちている。吉田の無頼だけは取り付いたままだったが吉田は別任務で反ブリタニア勢力所属の人物と機体の回収を行っているので問題ない。

 

 『敵は一機だが油断するな』

 『それはどうかな?』

 

 藤堂の呼びかけに答えたのは聞き覚えのない青年のものであった。

 レーダーを周辺空域よりさらに範囲を広げると新たな機影を確認した。

 この月影がブリタニアの手に渡っていた為、識別信号から機体の割り出しが行われ、その機体達に忌々しく舌打ちする。

 

 「藤堂さん、新手が来ます!」

 『数は?』

 「機体数八、どれも単独飛行能力を持っている機体ばかりです!それと――」

 『それと…なんだ?』

 「ラウンズの機体を確認しました」

 

 表示されるのは後方より出現したフロートユニットを装着したサザーランド・エアが六機、正面よりラウンズ専用機であるトリスタンとモルドレッドが接近してくる。

 ラウンズが現れた方向からあの二機は日本より駆け付けたのだろうが、後方のサザーランド・エアは何処から現れたのか見当が付かない。近くにブリタニア軍基地は無いし、飛行してきたとしたらこの月影を超える飛行能力を持つことになる。ブリタニアの技術に詳しい訳ではないが、第一皇子が改修指示を出した機体が量産化された機体より劣るとは考えにくい。となれば近くにこちらが発見できていない浮遊航空艦がこの空域に存在することを意味する。

 事実、千葉の考えは当たっており、ランスロット・コンクエスタを運んでいるアヴァロンが飛行していた。護衛として乗せたサザーランド・エア以外に戦闘能力を持たない為、戦闘開始後は雲に船体を隠して戦闘から避けているが。

 

 『総員迎撃せよ!』

 「敵機体データを送ります!」

 

 データを送る最中にも敵機は迫り、千葉は迎撃態勢を取る。

 卜部を先頭に仙波や井上はラウンズに対して弾幕を張って牽制。

 グロースター最終型が隙ありと言わんばかりに紅蓮に斬り込んだが動きにキレがなく逆に押し負けた所を藤堂の一刀で胴を切断され脱出。

 残るサザーランド・エアの部隊に千葉は斬り込む。

 

 機体性能からラウンズ機を抑え込む事も考えたが、自身一人でラウンズを抑え込むことは不可能。ならば早めにサザーランド・エアを片付けてから、数の優位を生かしながらラウンズと戦うしかない。

 

 サザーランド・エアは三機ずつ編隊を組んで一方はログレス級浮遊航空艦へ向かい、もう一方は月影を迎撃しようとアサルトライフルを撃ちながら迫って来る。

 月影の射撃武器は月下同様の左腕内蔵型ハンドガンに新たに両肩に内臓式機銃があり、三つの銃口から放たれる銃撃により一機が蜂の巣となり爆散。残りの二機は左右に散開するが、フロートユニットと言うのは自由自在に空を駆ける事は難しい。

 

 トリスタンのように空気抵抗を減らせる状態に変形して空を駆ける機体でもなく、ラウンズや一部のエースパイロットのように技量でカバー出来る訳でもない一般兵士のサザーランド・エアが取る行動は基本的に左右上下、そして前後と進むべき方向に進むだけ。そんな単調な動きしか出来ない相手に千葉が対応しきれない筈がない。

 

 左腕内蔵型ハンドガンで左に散ったサザーランド・エアを撃ち抜き、残った一機を通り様に左腰に差してある制動刃吶喊衝角刀なる刀で斬り捨てる。迎撃を試みたようだが各部のスラスターを吹かした急加速にて懐近くまで潜り込まれれば対応は不可能だったろう。

 残るもう一編隊はこちらを無視して進んでいる。

 ハンドガンや機銃の射程外だが、月影にはまだまだ武装が積み込まれている。

 右腰の三連装小型ミサイルポッドを撃ち、先頭を進んでいたサザーランド・エアに直撃して撃破。先頭の一機が爆発したことで生じた爆煙により戸惑った後続の一機が煙より飛び出た瞬間、周囲を確認しようと立ち止まり、藤堂の月下の銃撃にて撃ち落とされる。

 

 残り一機でサザーランド・エアは片付く。

 そう思った矢先に信じられない。否、信じたくない光景がモニターに飛び込んできた。

 

 ログレス級浮遊航空艦上に辿り着いた戦闘機形態のトリスタンがナイトメアフレームへと可変し、呆気にとられ対応しきれなかった月下に前後に伸びた鉤状のメーザーバイブレーションソードの刃が機体を貫通してコクピット部分まで刺し貫いた。

 

 『こんな…ところで……』

 『仙波ぁああ!?』

 

 藤堂さんの悲痛な叫びから貫かれた月下は仙波大尉のものだと分かった。

 四聖剣として日本解放戦所属時から一緒に戦ってきた仲間が、戦友が死んだのだ。悲しみや虚しさなどの感情が心へと押し寄せるが今は戦闘中。感情を押し殺して敵機に向かって加速する。

 先ほどは短距離での加速だったから良いものの、加速する時間が延びれば伸びるほど月影は速度を上げ、パイロットへのGの負担がデカくなる。

 

 残っているサザーランド・エアは無視してラウンズ機へと向かおうとしていたのだが、そうと知らないサザーランド・エアは自分が攻撃されると思って必死にアサルトライフルを撃ちまくる。

 速度を上げ過ぎて小回りを利かした回避が難しい状況で、四聖剣といえど回避は不可能である。

 放たれた弾丸の数発が月影に向って進み、装甲に当たるとあらぬ方向へと弾き飛ばされ、機体ダメージはかすり傷程度となった。 

 

 なにせこの月影の装甲はシュロッター鋼を用いられている為に防御力は相当に硬いのだ。

 頑丈さを敵の攻撃により理解した千葉は左脇に取り付けてあった苦無―――飛苦無型投擲用鉄鋼榴弾を投げつける。投げられた後に柄の先端より小型ブースターが点火し、表面装甲を突破して内部へ侵入、そして爆発を起こす。

 内部より爆発させられたサザーランド・エアは脱出機能を作動させる間もなく爆散した。

 

 トリスタンには藤堂と卜部の月下が二機掛かりで攻めてはいるが予備パーツと代用品で作り上げた機体とラウンズ専用に造られ、カスタマイズされた高性能機では機体性能差があり過ぎて幾らあの二人でも攻めきれない。

 図体のデカいモルドレッドは機動戦は得意ではないのか然程動きが良くない。さらに近接戦武器が見受けられない事から射撃戦を得意―――機体の大きさから推測するとハドロン砲系の砲撃を主体としたコンセプトに設計されているのではないか。

 ならば艦に取り付いておけば手出しは出来ない筈。

 

 井上の無頼が正面よりアサルトライフルで迎撃するも、避ける素振りすら見せずに近付いたモルドレッドはブレイズルミナスを展開。無傷のまま眼前まで迫り、頭部を握り機体ごと潰そうとし始めた。脚部のフレームが曲がり、頭部は指の一本一本が食い込みへしゃげている。

 

 まだ慣らしにしては身近過ぎる為、絶対の自信を持って言える訳ではないが、この月影では絶対に(・・・)モルドレッドには勝つことは出来ないだろう。

 月影のコンセプトは月下を改修することで性能をどこまで引き上げられるか――などではなく、機動力と小回りの二点を空中戦闘で生かすことにある。各部の小型スラスターは足場やハーケンを撃ち込める高所が存在しない空中で機体を自由に動かすために、丸みを帯びたフォルムをした月下を下地に刀以外は突起の少ない兵装にしてあるのは空気抵抗を少しでも減らす為だと考えられる。

 機動力と小回りではモルドレッドには勝てるだろうが、あの堅固な護りを突破する矛も圧倒的なパワーを殺せるほどの力もないのであれば打つ手なし。

 

 ならばと制動刃吶喊衝角刀を鞘より抜き放ってトリスタンへと斬りかかる。

 あの二人を相手にしながらもこちらにまで注意を払っていたのか、間合いに入るや否や振り返ると同時に得物で一刀を受け止めた。これだけでも驚愕ものだが受け止める為に振るった獲物は上下に刃が付いており、受け止めるついでに卜部の月下を切り裂いたのだ。

 

 『すまん二人とも』

 「貴様!!」

 『おお!これが殿下が言っていた機体か』

 

 月影の一撃を受けても緊張感のない言葉で返してくる青年に苛立ちが募る。

 こいつは戦いを楽しむタイプの人間だ。

 人を殺すことを好むのでもなく、敵を立身出世の為のポイントとして狩る者でもない。

 己が命を懸けて相手と競う事自体を楽しむ者だ。

 誇りがあり、腕に自信があり、感情論で揺れ動くことのない人物。

 

 何より戦場でこうも楽し気に笑う者は狂人か強者と相場が決まっている。

 

 『破壊するには勿体なさそうだな』

 『――ジノ』 

 『はいはい、分かったよアーニャ。おっと、俺は手が離せないから残り二機頼むよ』

 『――了解』

 

 トリスタンの背後から攻めようと動いた藤堂だったが、遮るようにモルドレッドに入られたら距離を取るしか道は無い。紅蓮弐式は今頃上がって来た空戦部隊の残りを叩いていて手が離せない。

 

 『さてと、これで邪魔は入らない。少しは楽しませてくれよ?』

 「クッ…」

 

 得物同士が火花を散らして振り抜かれる。

 同時に両者が距離を取り睨み合う。

 千葉は武装オプションを見て、まだ何か武器は無いかと視線を向ける。

 

 左腕内蔵型ハンドガンも内蔵式機銃も残弾は少ない。

 三連装小型ミサイルポッドは弾切れ。

 飛苦無型投擲用鉄鋼榴弾は残り二本。

 弾切れの心配のないのは制動刃吶喊衝角刀のみ。

 

 ほかにはないのかと険しい表情を浮かべた千葉に光明が差した。

 躊躇うことなく選択して撃ち出す。

 フロートユニットより六つスモークグレネードがトリスタンに向かって飛び、破裂と同時に辺りに煙幕を撒き散らした。破裂する瞬間に相手の位置を把握した千葉は残りの残弾を撃ち尽くすように左腕内蔵型ハンドガンの内臓式機銃の射撃を開始。ついでに飛苦無型投擲用鉄鋼榴弾を一本投げる。

 

 多少当たってくれればと期待したがトリスタンは弾丸を避けながら煙幕より姿を現した。

 その瞬間を狙って制動刃吶喊衝角刀を上段に構え斬りかかる。

 

 『その判断はまぁまぁ――――ッぉおお!?』

 

 余裕ぶって一刀をどう返そうかとしていたジノに予想外に早すぎる一刀が振り下ろされた。

 各部のスラスターと制動刃吶喊衝角刀の峰にあるブースターの同時点火による爆発的な加速が乗った一刀は、ジノでも避け切れずに得物を両断されるという結果になった。

 思いがけない一撃を受けたジノは驚きはしたがすぐさまニカっと笑い得物を握り直して斬り込む。

 元々長棒の両端に鉤状の刃が錨のようになったものなので、真ん中あたりが斬られたところで長棒として使えないだけで二刀流とすれば問題は無い。

 

 一撃に速度を込め過ぎた千葉は体勢を直そうと無理な動きをする。各部のスラスターも吹かそうとするが動かしながら各部スラスターの操作となるともはや手に負えない領域であった。

 それでも何とか機体と身体に無理をしてでも喰らい付こうとする。

 声は聞こえなくとも相手がにやりと笑っているのが想像できることに腹が立つ。

 何度も刃と刃を合わせながら空を並んで駆け巡る。

 一刀を受け、振り下ろすたびに動きが乱れる様にジノも機体の操作性に難がある事に気付く。

 

 『機体も腕も良いがまだまだ機体に慣れていない感じ……いや、機体に遊ばれていると言った方が正しいか』

 「くッ!!」

 『ほら隙だらけだよ!!』

 

 無理な動きをさせた事で体勢を直すのにコンマ単位の間が空いてしまった。

 隙とは呼べない程の時間でありながらもジノ・ヴァインベルグは逃すことなく得物を振るう。

 咄嗟に制動刃吶喊衝角刀の柄の機能を使用した。

 柄には飛燕爪牙(ひえんそうが)というスラッシュハーケンが仕込まれており、ちょうど背後を取ったトリスタンに柄の先が向いている。放たれた飛燕爪牙はトリスタンの頭部目掛けて発射されたが、寸前のところで首を捻る動作一つで避けられてしまった。

 

 「な、今のを避けた!?」

 『まだこんな隠し武器が付いていたとはね。でもこれで――おっと!』

 

 止めを刺そうとしたトリスタンに巨大な腕が襲い掛かった。

 さすがに一歩も動かずに避ける事は不可能とみて、大きく距離を取る。

 同時に千葉もトリスタンより距離を取って、巨大な腕に視線を向け、笑みを零した。

 

 「遅いぞ!」

 『これでも急いだんですが…』

 

 巨大な腕はワイヤーに引っ張られ放った機体へと戻って行く。

 紅蓮弐式の輻射波動機構を二回りも巨大化した右腕に、刀身を折りたたみナイフのように展開出来る左腕部、空を連想させるかのように透き通った蒼をメインカラーとしたフロートユニットを装着した紅蓮タイプのナイトメアフレーム。

 

 『ライと蒼穹弐式改、只今より戦闘に参加します!』

 

 黄金の月影と蒼の紅蓮弐式改が並び立ち、トリスタンと対峙する。

 さすがに不味いかなとジノは顔を曇らせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………面白そうね…。

 

 藤堂の月下を艦上に押し込むよに力にものを言わせて潰そうとしているモルドレッド。

 コクピット内でぐったりとしたアーニャが薄っすらと目を開けて月影と紅蓮弐式改を足先から頭のてっぺんまで舐めるように見つめる。

 狩り甲斐の有りそうな獲物に唇を嘗めずる。

 

 「さぁて、久しぶりに楽しませて貰いましょうか」

 

 ニヤリと頬を歪ませて笑むアーニャは興味を失った月下に止めを刺すことすら忘れて二機の元へと駆ける…。


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