コードギアス~私が目指すのんびりライフの為に~   作:チェリオ

65 / 150
 どうも皆様、こんばんわです。
 チェリオです。
 今年も今日一日となりましたね。
 投稿してからこの一年、読者の皆々様には感謝しております。
 感想で活力を頂き、誤字報告ではご迷惑をおかけしてすみません。そしてありがとうございます。
 今年はこれが最後の投稿になりますが、どうぞ来年もよろしくお願いいたしまする。


第64話 「ヴァイスボルフ城の闘い②」

 まるで別格の強さを誇っていた。

 生物の分類上同じ人種で兵器分類的に同じナイトメアフレームを操って対峙している。数は三対一…圧倒的に有利の筈だ。筈なのに…勝てない。

 

 「兄さん!」

 

 アキトのアレクサンダ・リベルテがスラスターを吹かし、現存のナイトメアではありえないほどの急加速で迫りながら剣を振るう。名だたる騎士でも受け止めれるかどうか怪しい一太刀はあっさりと手にしていた複数の歯車と回転する刃を持つ大型の斧で受け止められる。

 

 『アキト。お前は死ね!』

 

 シン・ヒュウガ・シャイングが操るヴェルキンゲトリクスは恐るべき機体だった。四脚に変形した時の機動力に軽々とナイトメア以上の大きな斧を振り回すパワー、スラッシュハーケンを使わなくとも建造物などを蹴って行なえる三次元走行。

 それ以上に高速での移動時に的確に的を射抜く射撃センスなど乗り手であるシンの技量も素晴らしいの一言。

 

 強すぎる。

 三人がかりでも圧倒する相手をアキトはひとりで相手をしなければならない。

 

 リョウとアシュレイでシンに当たっていたのだが隙を突かれて突破され、司令塔の上部に取り付かれてしまったのだ。アシュレイもリョウも間に合わない現状ではアキトひとりで何とかするしかない。

 何度剣を交えても簡単に受け止められる。それでも仲間を――レイラを守る為に…シンを止める為に剣を振るい続ける。

 

 「止めてくれ兄さん!」

 『もう止まらぬ。止められない!世界を救済するまで俺は止まらない!』

 「兄さn――」

 『伏せるんだアキト君』

 

 聞き覚えのある声に驚きながら伏せると、ヴェルキンゲトリクスの頭部に弾丸が何発も直撃する。後方を映し出すモニターに一瞬だけ視線を向けるとWAW-04 30mmリニアアサルトライフル【ジャッジメント】を構えるオレンジ色のアレクサンダが近場の塔に立って居た。

 誰だか分からないがこの好機を逃す気はなかった。

 

 『チィイイイ!!鬱陶しい!なにっ!?』

 

 近場の塔といっても距離があって有効射程距離外。放たれた銃弾は頭部の装甲に傷をつける程度しか威力はなかった。だけど一瞬の目暗ましにはなった。その隙にアキトは体当たりしてヴェルキンゲトリクスごと司令塔より飛び降りる。

 

 『放せアキト!』

 「放すもんか!!」

 『くそっ!』

 

 司令塔の壁際に斧を差し込むように突き出し、刺さりはしなかったが落下の速度を落とす。

 雪上に落下した二機は衝撃で吹き飛ばされ距離を取る形となる。

 

 「ぅあ……に、兄さんは…」

 『アキトオオオオオ!』

 

 衝撃で意識が飛びかけたアキトは叫び声で意識を覚醒させ、勘でその場を動いた。

 モニターには大型の斧が迫っており、動いたおかげで装甲の一部を削られるだけで済んだ。しかし体勢を立て直せていないアキトに攻撃が続けられる。

 

 『アキト!お前だけは俺の手で…』

 「くぅうう…兄さん!」

 

 幾ら呼びかけようとも届かない。

 声も、剣も。想いもすべてが兄に届かない…。

 

 斧の重い一撃を受けきれずにアレクサンダ・リベルテが吹き飛ばされる。地面を転がって雪を舞い上がらせ、木々をなぎ倒した先はヴァイスボルフ城内にある墓地であった。

 ゆっくりと止めを刺そうとするヴェルキンゲトリクスに立ち向かおうと操縦桿を握りしめる。

 

 『シャイング卿!これ以上させねぇぞ!』

 『アキトをやらせて堪るか!』

 

 オープンチャンネルで流された声に反応して顔を上げる。そこにはリョウのアレクサンダ・ヴァリアントを先頭にアシュレイのアレクサンダ・レッドオーガが突っ込む。機体を少しばかり起こして呼び止めようとする。

 

 『まずはお前の仲間から殺してやろう!』

 「止めろ!止めてくれ兄さん!!」

 『止めろと言う前に君が止めた方が早いよ』

 

 振り向くと先ほどのオレンジ色のアレクサンダが四つん這いのインセクトモードで接近してきた。なにをするのかと思えば横で止まり頭を下げる。

 

 『乗って!』

 

 迷う事は無かった。

 起き上がらせたアレクサンダ・リベルテを所属不明のアレクサンダの上に跨らせた。

 アレクサンダ・ブケファラスは元々取り付けてあった両足のランドスピナー以外にグラスゴーのランドスピナーを両肘に移植しており、インセクトモードでの加速はヴェルキンゲトリクスを超える。…エナジーの消費は激しいが…。

 ヴェルキンゲトリクスがライフルを構えた瞬間にアレクサンダ・ヴァリアントが右へ、アレクサンダ・レッドオーガが左へ散開して、アキト達だけがそのまままっすぐ突っ込む。

 アキトの突撃を援護するようにリョウが持てる銃武器を全弾放つ。

 

 『邪魔をするな!』

 

 斧で銃弾を防ぎながら左腕でライフルを操作してアレクサンダ・ヴァリアントに何発も銃弾を直撃させてゆく。背中の小型ミサイルポッドやライフル、右足が撃ちぬかれて転倒する。

 

 『任せたぞアシュレイ!』

 『おう!任された!!』

 『所詮悪あがきだ!』

 

 左から突っ込んで来たアレクサンダ・レッドオーガに斧を振り下ろす。アシュレイは剣で受け止めるのではなく剣を手放して大きく腕を伸ばした。斧は深くアレクサンダ・レッドオーガに食い込んだ。

 

 『なに!?』

 『待っていたぜシャイング卿!』

 

 食い込んだ斧を抱き締めるようにしがみ付いてそれ以上斧を引く事も押す事も出来なくした。

 すぐにその狙いに気付いたシンは斧を手放して正面より突っ込んでくるアレクサンダ・ブケファラスと共に突っ込むアレクサンダ・リベルテに対峙する。ライフルは弾切れ、斧を失ってもヴェルキンゲトリクスには最新鋭の剣があった。柄と鍔だけだが刃はブレイズルミナスで構築されたエネルギー体。切れ味は抜群だった。 

 

 『これで終いだ!』

 「まだだ!!」

 

 横薙ぎに剣を振るうが直前にスラスターを吹かして空高く飛翔する。同時にアレクサンダ・ブケファラスの背に取り付けたジャッジメントの銃弾をもろに浴びる事となった。横を駆け抜けながら後方に回るが、アキトの動向を気にして真上を見上げる。

 太陽の光を背にして降りてくるアキトに迎撃しようとしても、目が太陽に眩んで間に合わない。降下する勢いをつけた一撃が左肩に落ち、そのまま肩から左腕を切り落とした。

 

 『クッ…腕を持っていかれたか…』

 『良し!隻腕なら何とか―――おぅわ!?』

 

 切断した様子を目にして油断し、背後より接近したアレクサンダ・ブケファラスは四脚に変形したヴェルキンゲトリクスの後ろ蹴りでかち上げられ、ごろごろと地べたを転げまわった。

 蹴飛ばした相手など目もくれずに駆け出し、アキトもスラスター出力を全開にしてお互いに正面から突っ込む。

 

 『アキトオオオオオ!!』

 「兄さん!!」

 

 二機は正面からぶつかるように突っ込み、剣を突き立てる。

 胴体を貫いた刃は互いのコクピットを掠り、パイロットには怪我はなかったものの機体は行動不能へと陥った。

 シンは刀身だけは日本刀というサーベルを持ち、アキトはアヤノから預かっていた小太刀を手にとってコクピットより飛び出る…。

 

 

 

 

 

 

 レイラを除いたwZERO部隊は司令部を放棄して急ぎ退避する。

 階段を使って下まで降りたウォリック中佐は出口の壁に張り付くと少しだけ顔を覗かせて外を窺う。

 外には指揮を執っているらしいユーロ・ブリタニアの騎士と歩兵が何人も確認された。

 待ち伏せに大きなため息をつくウォリックに皆が不安げな表情を向ける。

 

 「なにかあったのですか?ウォリック中佐」

 「あー…外に敵さんが居ましてね。無事に出られるかどうか」

 

 後頭部を掻き毟りながら答えるとアンナ・クレマン大尉が不安げな表情を向ける。

 チラッと一同を見渡す。

 

 アレクサンダを独自に開発したアンナ・クレマン大尉にアンナの助手であるクロエ・ウィンケル軍曹にヒルダ・フェイガン軍曹。

 アレクサンダに搭載された【BRS】開発と調整で民間より協力しているソフィ・ランドル博士。ランドル博士の助手であるジョウ・ワイズにランドル博士の部下のケイト・ノヴァックとフェリッリ・バルトロウ。

 オペレーター担当のサラ・デインズにオリビア・ロウエル。

 

 男性陣は自分とジョウだけで残りは全員女性。さらに武装しているのは人を撃った事も白兵戦の経験も無いサラとオリビアのみ。無理やり突破するのは不可能。そもそもそんな荒事は口が裂けても命じたくないがね。

 再び大きなため息をついて、にへらといつもの不真面目そうな笑みを浮かべる。

 

 「悪いんだけど誰かハンカチ貸してくんない?」

 「ハンカチですか?」

 「出来るだけ白いやつ」

 「持っていますけど…」

 「じゃあ、ちょっと借りますね」

 

 ポケットより取り出したクレマン大尉よりハンカチを受け取る。

 その行動を理解したランドル博士が脅える様子も無くジッと見つめてくる。

 

 「気をつけなさいよ。下手したら銃殺されるかもよ」

 「怖い事言わないでくださいよ。まぁ、なるようになるんじゃないですかね」

 「ウォリック中佐。私達は…」

 「ああ、サラちゃんとオリビアちゃんは皆の護衛よろしく~」

 「ですけど…」

 「民間からの協力者やうら若き女性達を捕虜にさせるわけには行かないでしょ」

 

 へらへらと笑っていたウォリックはスッと目を細める。

 娘の医療費の為に皆を裏切っていた事に罪悪感は感じるが後悔はしていない。それが娘を助ける為には金がどうしても必要だったウォリックの心情だ。

 

 ―――後悔はしていない。けれど裏切った埋め合わせはしないといけないよなぁ…。

 

 ここで捕まればどうなるか解らない。仲間を多く殺された恨みから嬲り殺しに合うかも知れない。でも、行くしかない…。例え死んでもあのお人良すぎるレイラが娘の為に尽力してくれるだろうしな。

 

 「さてと、じゃあ皆さんは別ルートでの脱出頑張ってね」

 「しかし中佐は…」

 「俺?大丈夫じゃないかな。一応副司令の役職上ブリタニアさんも聞きたい事あるだろうから殺されないと思うしね」

 

 嘘だ。すでに情報を売り、シンに銃口を向けた自分が生かされる筈は無い。

 分かりきっているが、そんな感情をおくびにも出さずに笑みを浮かべて安心させる。

 

 「ほら、行った行った」

 「ウォリック中佐…」

 

 クレマン大尉が悲壮な表情から真面目な表情へと変わり、姿勢を正して敬礼を行なう。それを見習って皆が敬礼を向けてくる。それじゃあ、見送るみたいじゃないかと笑いながら敬礼を返す。

 出入り口よりハンカチをゆらゆらと揺らしながら片手を伸ばす。

 

 「撃たないで下さいよ~」

 

 ゆっくりと顔を覗かせて銃口が向けられている事を確認しつつ、両手を挙げて無抵抗を示しながら出入り口に立つ。

 良く周りを確認すればサザーランドが三機ほど含まれていた。強行突破に出なくて本当に正解だった。

 

 「私はユーロ・ブリタニア聖ミカエル騎士団、赤の団の隊長であるブロンデッロである。貴官の所属と階級を言え!」

 「えーと、ユーロピア共和国連合特殊部隊wZERO部隊副司令官のクラウス・ウォリック中佐だ。抵抗はしないよ」

 「貴様だけか?」

 「ああ、そうだけど」

 「嘘だな。ほかの仲間は何処に居る?」

 「さぁ、ねぇ」

 

 惚けた態度で答えたことに痺れを切らしたユーロ・ブリタニアの歩兵が殴りかかった。

 避ける事もせずに倒れたウォリックは痛みを我慢しながら睨みつける。

 

 「ウォリック中佐!」

 「――ッ!?馬鹿、出てくんじゃねぇ!」

 

 殴られたのを見ていたのかサラがアサルトライフルを構えて飛び出した。

 一斉に銃口が向けられる。

 咄嗟に立ち上がってサラをかばう様に立ち塞がる。止められる筈はないと思いながらも動いてしまった以上考えても意味は無い。

 

 娘や仲間の事を想いながら死を待ったウォリックはいつまで経っても撃たれない事に不思議に思い首を傾げる。するとユーロ・ブリタニア兵士の視線が自分の後方。詳しく言えば後ろ斜め上を向いていた事に気づいた。

 恐る恐る振り返るとそこには船が…艦が浮遊していた。

 

 「ユーロピアの新兵器か!?」

 「なにをしている!撃ち落せ!!」

 

 攻撃に出ようとしたユーロ・ブリタニア兵の動きから奴らの仲間じゃないらしいが、こちらの味方という訳でもないだろう。

 赤い航空艦より一機の戦闘機が飛び出してきた。真紅の戦闘機はウォリックに向かい降下してきた。

 

 ―――驚く事に空中で戦闘機は変形してナイトメアへと姿を変えたのだ。

 

 見たことの無い新型ナイトメアはウォリックの目の前に着地すると歩兵の銃弾をエネルギーシールドで作り出された盾を展開、ウォリックを守るように構えたのだ。

 

 降り立った機体はグリンダ騎士団どころか神聖ブリタニア帝国全体でも最新鋭機に当たる機体だ。

 ロイド・アスプルントが作り出したランスロット。そのランスロットを元に量産化計画が進められて出来上がったのが先行試作機のヴィンセント。試作段階のヴィンセントを急遽取り寄せて飛行形態に可変するナイトメア、ブラッドフォードを開発したウェルバー・ミルビルと共同開発した可変機に仕立て上げられたヴィンセント―――ヴィンセント・エインセルである。

 

 『wZERO部隊の方々ですね?』

 「ん、あぁ…おたくらはいったい…」

 『私は神聖ブリタニア帝国グリンダ騎士団所属のマリーカ・ソレイシィです。貴方方を保護せよとの命で馳せ参じました』

 「保護だって!?しかも神聖ブリタニア帝国からって…」

 「本国からだと!なにがどうなって…」

 「ブロンデッロ卿!また空からナイトメアが…」

 

 再び赤い航空艦よりナイトメアが発艦する。

 グリンダ騎士団筆頭のオルドリンの専用ナイトメア――ランスロット・グレイル。

 戦闘機からナイトメアへと変形するナイトメア――レオンのブラッドフォード。

 さらにはソキアとティンクの真紅のサザーランドの合計四機が降下してくる。

 

 突然の事に動けなかった一機がランスロット・グレイルの一刀により頭部から右肩までを斬りおとされ、反撃に出ようとした一機をソキアの銃弾が襲う。銃弾はアサルトライフルを撃ち抜いたものの、機体への直撃はなかった。そこへティンクのサザーランドがスタントンファーを展開しながら降下。落下の勢いをつけた一撃が頭部を粉砕した。

 

 『せめてこいつだけでも!』

 『させるものかぁ!!』

 

 残ったサザーランドはマリーカの機体ごとウォリックを狙う。それをさせまいとレオンが突っ込み体当たりを敢行する。勢いに負けたサザーランドは吹き飛ばされて転倒する。起き上がろうと頭を上げたところでハドロンスピアーの一撃を受けて戦闘不能となる。

 

 『マリーカ!無事ですか?』

 『私は大丈夫』

 『初めての出陣で興奮するのは分かりますが少し落ち着いてください』

 『そうよ。私も初の出撃だったのに。マリーの専属騎士である私より先に行くなんて』

 『申し訳ありませんジヴォン卿』

 『もうオルドリンで良いって言ったのに。それに飛び出した時、レオンが凄く心配してたわよ』

 『それを言わなくても良いでしょう』

 

 一瞬で聖ミカエル騎士団のナイトメアを鎮圧したブリタニアのナイトメアをウォリックは心底驚きながら見つめていると、赤い航空艦――カールレオン級浮遊航空艦グランベリー。そして後に続いていた航空艦――浮遊航空艦アヴァロン級二番艦ペーネロペーより歩兵部隊を乗せた降下艇が下りてくる。

 武装した歩兵により聖ミカエル騎士団の兵士達が捕縛されてゆく。どうなっているのか分からないウォリックの前には歩兵に護衛された戦場には似つかわしくないドレスを着た少女が歩み寄る。

 

 「私はグリンダ騎士団の指揮を執っておりますマリーベル・メル・ブリタニアです。兄上のお願いで貴方方を保護、そして聖ミカエル騎士団の捕縛を頼まれました」

 「ブリタニアのお姫様が直々に?」

 「さぁ、どうぞこちらに」

 

 笑みを浮かべる皇女に躊躇いながら付いて行く。後ろから様子を窺っていたクレマン大尉達も近付いてくる。どうも様子から何かをしてくる気はなさそうだ。

 助かった事に安堵しながらウォリックはレイラやワイバーン隊の事を案じる。無事で居てくれと…。

 

 

 

 

 

 ジャン・ロウは雪の積もった道をただひたすら駆ける。

 上空に現れた航空艦に気を止めず、ただただシンの元へと駆け抜ける。

 本当ならばシンにアポロンの馬車を神聖ブリタニア帝国の帝都ペンドラゴンに向けて発射するように命令されていたのだが、黒いサザーランドによって止められたのだ。

 元々暴走気味だったシンに疑問を感じ、どこか乗り気でなかったジャンは発射できなかった。それが不忠だと分かっていても撃たなくて済んだ理由が出来た事にどこかホッと安堵した。

 

 『コクピットから降りて下さい。抵抗は無駄です。抵抗するのならコクピットを撃ち抜きます』

 

 言われるがままにコクピットから降りたジャンへと黒いサザーランドが近付く。

 まだ幼げな声に多少の疑問を抱きながら銃口を向けたままのサザーランドを見上げる。

 サザーランドはゆっくりとした動作で出入り口を指差す。

 

 『行って下さい。今なら貴方の大事な人を止められます』

 「…なにを言っている?」

 『さぁ?ボクは伝言を頼まれただけですので。

  貴方の大事な人の言う通りにするだけでは駄目だ。本当にその人の幸せを考えるなら行って止めるべきだ…とね』

 「本当の幸せ…」

 

 分かっていた。

 分かりきっていた。

 あの人の事を真に想うのであれば止めなければならないと。でも、自分はあの人の言う通りにしようと決めたのだ。

 …なのに何故自分は伝えられたとおりに駆け出しているの?

 

 息を乱しながら必死に足を動かす。

 木々を抜けて墓地らしい場所に出ると斬り合っているシン・ヒュウガ・シャイングとユーロピアの兵士らしき青年を見つけた。あれがヒュウガ様の弟のアキトだろうと直感で理解した。

 止めなくてはいけない。

 自分より先に走っている交渉の場に来た司令官であるレイラ・マルカルを追い越して行く。

 

 アキトは膝を付いて次の一撃を止める事は出来ないだろう。

 これ以上させないためにも自分の命を賭してまで止める。そう決意して足に一段と力を込める。

 

 「退いて!」

 

 急に背後より迫った人物に押し退けられて雪の上に倒れる。

 振り返るとその場には足を止めて驚くレイラの姿だけで男の姿はなかった。

 まさかと思いシンとアキトの方へと視界を向けるとブリタニアのパイロットスーツを着た男性が間に割り込んでいた。

 

 「貴様は!?」

 「オデュ!?」

 

 二人は割り込んだ人物に驚愕する。

 割り込んだ人物は資料で何度も目にした事のある神聖ブリタニア帝国のオデュッセウス・ウ・ブリタニア殿下にそっくりだった。

 割り込むとアキトへと突き立てられそうになっていた刀身に蹴りをかまして軌道を大きく逸らした。次に胸倉を掴んでシンを引き寄せながら頭を突き出す。

 

 「ぐぼぁ!?」

 「自分を慕い、自らも慕っている弟に―――」

 

 見事な頭突きが鼻に直撃し、折れ曲がった鼻から勢い良く鮮血が溢れ出る。

 怒鳴りながら頭突きを喰らわせたオデュッセウスは円を描くように左足を滑らしてシンの腹部を腰に乗せる体勢をとる。地上から足を浮かされ、痛みでとっさに抵抗できないシンをそのまま背中から地面へと叩き付けた。

 

 「死ねなんて言うんじゃない!!」

 

 叩き付けられた衝撃でカハッと息を吐き出した瞬間に鳩尾に強烈な一撃をお見舞いされた。

 立て続けの攻撃に意識を失いぐったりとするシンに駆け寄る。アキトも心配そうに駆け寄ろうとするが…。

 

 「兄さん!お、オデュ――」

 

 振り返ったオデュッセウスに胸倉を掴まれた。

 不思議そうに見つめたアキトの前で大きく頭を振り被る。

 

 「――さんがぁ!?」

 

 大きく振り被られた頭突きを食らわされ、ふらつき倒れ込んだアキトをレイラが抱き締めながら見上げる。それはシンに駆け寄ってしゃがんだジャンも同じだった。

 衝撃を与えながら自身にもダメージを受けたオデュッセウスは、痛みに耐えながら軽く笑い、微笑を向ける。

 

 「喧嘩……両成敗……二人の介抱任せたよ…」

 

 最後にはオデュッセウス自身も倒れ、その場に困惑した女性陣はこの場をどうするか悩みながらも、お互いに大事な人物が大事に至らなかったことに安堵するのだった。

 ちなみにオデュッセウスが伝言を頼んだのは早く行けば命を捨ててまで止める事態にならないだろうという予想と、自分が間に合わなかった場合を考えて保険である。

 

 

 

 

 

 

 ヴァイスボルフ城での戦いなど気にも止めずにスマイラス・ジーンは大型の陸上戦艦の艦橋より眼前の戦闘を見物していた。

 総指揮官であるスマイラスの座乗艦が先頭を進む事は通常愚策であるが、今回は問題ないと判断する。

 旗艦の周りには何百というパンツァー・フンメルが護衛を務め、後ろには何十という同型の大型陸上戦艦が追従している。眼前の敵は聖ミカエル騎士団所属のアシュラ隊というたった6機(・・)のナイトメア隊が待機しているトーチカ。圧倒的な戦力差からナイトメア戦で対応せずに陸上戦艦の砲撃で事足りる。

 正面を映し出すモニターにトーチカより七機のグロースター・ソードマンが飛び出した。

 

 「トーチカよりナイトメア隊が出撃」

 「降伏より死を選んだようです」

 「そのようだな」

 

 スマイラスの座席の後ろで整列している青年士官達が様子を報告し、スマイラスは微笑みながら答える。

 ここを突破すれば手薄な聖ミカエル騎士団が担当していた区域など今日中に突破。内部も乱れたユーロ・ブリタニアに大打撃を与え、短い期間での勝利は間違いなし。そうすれば将軍などという地位ではなく共和国連合の独裁にだってチェックメイトをかけられる。

 

 「――っ!!レーダーに反応…新たなナイトメアを確認…えっ…これは」

 「何があったかはっきりと言いたまえ」

 

 歪んだ笑みを浮かべこれからに想いを馳せていたが、オペレーターの不明瞭な言葉に眉を顰める。

 背後の三名がはっきりとしないオペレーターに睨みつけ、ひとりが強めに言い放った。

 

 「あ、はい!敵に増援あり…数は20…いえ、30…そんな」

 「一個大隊規模の増援か…思い通りには事が運ばぬといったところか。で、正確な数は?」

 「す、推定三個大隊規模のナイトメアフレーム群!」

 「馬鹿な!三個大隊だと!?」

 「いえ、さらに増えています!」

 「なにかの間違いでは!?」

 「システムは正常なのか!?」

 「全システムに異常見られず…システムは正常です」

 「そんな…馬鹿な…」

 「さらに上空より接近する艦影多数!」

 

 表示されたレーダーに無数のナイトメアの反応に絶句する。三個大隊のナイトメアを動員したとすればユーロ・ブリタニアはこの侵攻を予め予想していたことになる。それとも突破されぬように部隊をかき集めたにしても早すぎる。さらに上空からの艦影に絶望すら覚える。

 

 映し出されたトーチカ上空に四隻の航空戦艦が降下してくる。しかもサザーランドやグロースターを積んだナイトメアVTOL-T4という小型輸送機にナイトメアは騎乗するプリドゥエンに乗り降下する様子さえ映し出されていた。

 中央の旗艦らしき航空戦艦は他の三隻と比べて明らかに大きい。幾つものナイトメア隊が収納されているかさえ分からない。

 

 「敵、中央の大型航空戦艦より映像通信が流されております」

 「モニターに映せ!」

 

 怒鳴りながら命じた命令は早急に行なわれ、メインモニターにはブリタニア皇族の紋章が描かれた純白のコートを羽織った金髪の整った顔立ちの青年が映し出された。その人物に席を立ち上がり驚きを隠せない。ここに居る筈がなく、ここに居てはいけない人物…手が届きそうだった自身の夢・想いが音を立てて崩壊した気がした。

 

 『私は神聖ブリタニア帝国宰相―――シュナイゼル・エル・ブリタニア。

  当方はユーロ・ブリタニアを支援する為にユーロピア圏での戦闘に参加する。我が方の戦力は絶大である。ユーロ・ブリタニア勢力圏内に進軍するユーロピア共和国連合には速やかな降伏をお勧めしよう』

 

 何かを憂いているような表情のシュナイゼルの続けられる言葉に手が震える。

 ここで神聖ブリタニア帝国を相手に出来る訳はない。しかし、これが千載一遇の好機であることも承知している。もしも、神聖ブリタニア帝国の宰相を捕縛出来うるものならばブリタニアとの交渉だって行なえる。

 夢を諦めるべきか夢を求めて前に進むかの瀬戸際でスマイラスが出した決断は………。

 

 「全軍前進!恐れる事なかれ!敵は最新鋭の航空艦といえど四隻!こちらは大艦隊なのだ!敵艦隊に砲撃を集中させ、前面のナイトメア隊にはナイトメアで対応せよ!」

 

 自身の欲望のまま全軍を前進させた。

 陸上戦艦全艦の砲撃が始まるが高度差があって砲撃が届かない。

 パンツァー・フンメルが正面に展開するアシュラ隊と合流した三個大隊との戦闘に備えて陣形を整えるが、そこを上空よりプリドゥエンの誘導型ケイオス爆雷や機銃、騎乗しているナイトメアのバズーカやライフルにより攻撃を受ける。対してパンツァー・フンメルの射撃は対空迎撃を視野に入れて設計されたものではなく、パイロットも高速飛翔体を落とす訓練を受けている訳ではない。それに大量のフレアを展開されて目は惑わされ、有効な弾幕も張れずにいる。

 

 「このままでは当艦が危険です」

 「将軍。後方へ下がりましょう」

 「くっ…やむを得ぬか。後続の陸上戦艦を前に出せ」

 「了解しました。こうぞ…」

 「我が軍左右に新たな航空戦艦とナイトメア隊を発見!」

 「それだけの艦隊を掻き集めて来たというのか…」

 

 新たな報告に背筋を凍らせる。

 青年士官が物量に関して発言するが今着目すべき所はそこではない。

 正面にはシュナイゼルのログレス級浮遊航空艦グランド・ブルターニュにカールレオン級浮遊航空艦ローラン、アストルフォ、オリヴィエの三隻とオデュッセウス指揮下の騎士団トロイ騎士団、ユリシーズ騎士団、テーレマコス騎士団を主軸とした主力部隊。

 左右にはカールレオン級浮遊航空艦ルノー、オジエそれぞれを中心に置いたナイトメア部隊。

 後方である友軍は正面と左右の挟撃、小型輸送機から降下して乱戦に持ち込んだナイトメア隊により大混乱。

 

 ―――スマイラスが乗る陸上戦艦は前に出すぎたが為に後退も出来なくなったのである。

 

 そして可笑しなことに気が付く。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ことに。

 

 「正面より二機のナイトメアフレームを確認。真っ直ぐこちらに突っ込んできます」

 「データ照合開始――ッ!?照合データに該当無し!ブリタニア軍の新型ナイトメアフレームと推測!」

 「映像出ます!」

 

 映し出されたナイトメアはサザーランドやグロースターとは明らかに違った。金色に輝く二機のナイトメアは恐ろしい速度で駆け抜けてくる。知り得るナイトメアであれだけの速度を出せる機体など噂に聞いたラウンズが所有すると言うランスロットとかいう機体だけだろう。

 

 「まさか――ナイト・オブ・ラウンズか!?」

 

 目を見開き機体を睨みつけると双方の肩に別々の数字が記されていた。

 【Ⅹ】と【Ⅱ】………つまり推測が正しければナイト・オブ・テンとナイト・オブ・ツーが乗っている。

 

 「ぜ、全機迎撃せよ!あの二機の接近を許すな!!」

 

 声を震わせ青ざめた表情で命じた事に理解していなくても何か不味いものであることを知ったオペレーター達は付近で動けるパンツァー・フンメルを迎撃に向かわせた。

 

 【Ⅱ】と描かれた金色のナイトメア―――オリヴィア・ジヴォンが搭乗する先行型量産機【ヴィンセント】は二本のメーザー・バイブレーション・ソードのみを握りしめ銃弾の嵐の中を駆け巡る。現場の兵士達は弾が当たらない敵機に焦り狙いを乱れさす。

 そこに付け入りコクピットへの攻撃を避けて行動不能にする。足を止めた事で付近のパンツァー・フンメルが銃口を向けるがまだ生きている仲間の機体が邪魔で手出しできないで居る。

 【Ⅹ】と描かれたルキアーノ・ブラッドリーの先行型量産機【ヴィンセント】がブレイスルミナスを展開できる試作大型ランスを構えて動けないパンツァー・フンメルのコクピットを貫いた。

 眼前で仲間を無残に殺した相手に唖然とし手が止まる。

 

 『さぁて~、お前たちの大事なものを散らせてやろう』

 

 嘲笑うかのような声がオープンチャンネルで流される。狂気に満ちた【殺しの天才】または【ブリタニアの吸血鬼】と呼ばれるブラッドリーは戦場を荒々しく駆け抜ける。殺すことを目的とした一撃は次々とコクピット付近のみを貫いてゆく。

 対照にオリヴィアは流れるように戦場を駆け抜ける。精錬された剣筋と計算し尽くされた動きは見る者すべてを魅了し、敵対している者でもその美しさに見惚れてしまうほどだ。

 護衛部隊を突破したブラッドリー機はスマイラスの陸上戦艦の前で停止する。残存の護衛部隊はオリヴィアを相手にするだけで手一杯。

 

 ここまでかと拳を握りしめ、オープンチャンネルで呼び掛ける。

 

 「こちらはユーロピア共和国連合軍のジィーン・スマイラス将軍だ。

  神聖ブリタニア帝国に降伏する意を伝えるものである。国際条約に乗っ取った扱いを―――」

 『ほほう!貴官がスマイラス将軍か。自分は皇帝最強十二騎士のナイト・オブ・ラウンズがひとり、ナイト・オブ・テンのルキアーノ・ブラッドリー。

  ブリタニアの宰相閣下は降伏を勧められたが…自分は別命で動いていてね。貴官の投降だけは許すなと言われている』

 「なに!?私だけとはどういう…」

 『何でも自分の知り合いを利用し斬り捨てたとか、嫉妬で親友と呼んだ男を殺したとか色々理由を言っていた気がするが私にとってはどうでも良い。そもそも皇帝陛下直属のラウンズに皇帝陛下以外の者からの命令を受けるいわれは無いのだから』

 

 誰だ?自分の過去を知っており、内部に精通している人物……。

 そこで真っ先に思い浮かべたのは人物ではなく謎の組織―――アンノーンと呼称される者達。

 あの者らは最初から自分が狙いで?そう思考を巡らしていると奇妙な光景に呆然とする。

 

 視界に広がる光景がすべて灰色と化し、時間が静止したかのように動きを止めている。

 

 『ただ知り合っただけの相手だというのに人の繋がりとは強いものなのだな。お前とは違うなジィーン・スマイラス』

 

 聞き覚えのある声に振り返るとそこにはこちらを睨んでいる女性が立っていた。

 嫉妬に駆られたスマイラスがブラドーを殺害する際に利用した時空の管理者その人だった。

 

 『さて、私を謀った罪を償って貰おうか』

 「ま、待ってくれ!貴方が望んだシンの首は必ず――」

 

 凍りつくような視線で睨まれたスマイラスは必死に声を上げる。

 償いに協力関係のシンの首を差し出せば助かる。前に出された条件を守るというがこの状況下では不可能な事は明白…。

 

 『死ぬのは―――お前だ』

 

 冷たく言い放たれると静止した時間が動き出した。

 ブラッドリーの機体が動き出す。

 

 「弾幕を張れ!絶対に近づけるな!!」

 

 陸上戦艦に備え付けられた機銃が動き出し、ヴィンセントへ向かって主砲が放たれる。

 

 『おおっと、危ない危ない』

 

 軽く笑いながら爆煙より飛び出したヴィンセントは腰に取り付けてあるナイトメアフレーム専用の試作型回転式拳銃を抜き、主砲へと撃った。たかがナイトメアの拳銃では砲台を破壊できないと高を括っていたスマイラス達の予想は主砲の爆発によって覆された。

 

 『試作にしては良い武器だ。優しいだけの平和主義者と思っていたが意外と侮れない』

 

 まるで曲芸士のようにスラッシュハーケンを用いて陸上戦艦の周りを飛び回る。機銃に狙われる位置をわざと通り過ぎながら回転式拳銃で破壊して行く。機銃の前を通り過ぎる度に倒せるかもと期待したスマイラスの心情を幾度と砕くように。

 次々と破壊され、さらには移動用のキャタピラと動力炉をやられて移動すら不可能になった。艦橋の前に立って大型ランスで装甲を薙ぎ払ったヴィンセントとスマイラスが対峙する。回転式拳銃を向けられ一歩も動けず死を覚悟する。

 

 『今の私はすこぶる機嫌が良い。

  なにせ新型量産機の実地テストに試作兵装の試験でこれだけ大暴れ出来た事に私を嫌い、私が嫌っていた奴から頭を下げてお願いされたのだから。まぁ、頭を下げていたかは知らないが』

 

 いつまで経っても撃たれずに喋るブラッドリーにきょとんとした表情を向けてしまう。

 本当に殺す気があるのだろうか?

 

 『ジィーン・スマイラス。

  お前にチャンスをやろう。機銃を潰すのに弾薬をかなり使ってね。私とした事が今の残弾数を忘れてしまった。そこでだ!もしもこの銃が弾切れならばお前をうつ(・・)のは諦めよう』

 「本当か…討つのは…命だけは助けてくれるのか」

 『弾が切れていたらだが―――貴様の大事なものがどうなるか見せて貰おう!!』

 

 弾んだ声が響くとゆっくりと弾倉が回転する。撃鉄が起きて、勢いをつけて叩きつける。

 ガチリと大きな金属音を響かせた回転式拳銃から銃弾は発射されず、スマイラスはほうと安堵の息を漏らす。

 

 「これで私は助かったのだな…」

 『ああ、そうだな』

 

 張り詰めた緊張と助かった安堵からへなへなとその場に腰を突いてしまった。

 俯いて助かったと実感しているスマイラスに大きな影が差し掛かり、呆けた顔を上げた。

 

 ―――そこには光で包まれた大型ランスの先端が勢い良く迫っていた。

 

 艦橋内をブレイスルミナスを纏った大型ランスが薙ぎ払う。損傷した部分から火花が飛び散り、爆発する前にブラッドリーは艦橋より飛び出した。

 死より抜け出して安堵の真っ只中にいた男が騙され再び死を認識した刹那の顔を思い出してブラッドリーは微笑む。

 

 『悪趣味な奴だ』

 『これはこれはジヴォン卿。護衛部隊は片付きましたか―っと聞くまでもありませんでしたか』

 

 振り返るとそこには斬り捨てられたパンツァー・フンメルの残骸が転がっているだけで、動けそうな機体も将軍戦死を知って撤退を開始した。

 

 『私は約束を守っただけですよ。出来るだけ絶望を与えて殺してくれって頼まれたので』

 『奴に言った約束は破っているのではないか?』

 『ん~?いいえ、守ってますよ。撃つ(・・)のは諦めましたから』

 

 にこやかに言い切ったブラッドリーの発言にオリヴィアは何も答えなかった。

 ユーロ・ブリタニアへ進軍していたユーロピア共和国連合軍の撤退を確認したシュナイゼル指揮下の艦隊は部隊の回収、負傷兵の救助、捕虜の武装解除を行い、アシュラ隊を乗せてユーロ・ブリタニア領 サンクトペテンブルグ カエサル大宮殿へと進路を取った。




 では、良いお年を。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。