コードギアス~私が目指すのんびりライフの為に~   作:チェリオ

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第50話 「ブラックリベリオンⅣ」

 行政特区日本の虐殺事件を発端に起こったエリア11全土に及ぶ内乱に、後に【ブラックリベリオン】と呼ばれるトウキョウ租界での大規模戦闘は日本独立を願った日本人たちの夢と共に一夜にしてまほろばの夢と朽ちて消えた。

 

 反ブリタニア勢力の大半と不平不満を持つナンバーズの一般民衆を吸収した黒の騎士団は数でブリタニア軍に勝り、初手の外延部を崩壊させるというゼロの奇策にて戦況を有利に進めていた。逆に外延部の崩壊で陣形が崩れたブリタニア軍は手痛い猛攻を受けるがほとんどが政庁に立て篭もり反撃の機会を窺っていた。

 有利にことを進めている最中で起きた黒の騎士団のリーダーでカリスマ的存在であるゼロの総指揮を現場に渡した事と突然の行方不明。

 総指揮をいきなり現場に投げた事でひと時であるが指揮系統に混乱、いや、指揮系統が突然消滅したのだ。トウキョウ租界のブリタニア軍を指揮していたアンドレアス・ダールトン将軍が気付き、防衛に回っていた戦力の大半を攻勢に転じさせて、指揮系統が消滅した黒の騎士団を戦線崩壊に追い込み趨勢が決したのだ。

 政庁正面の黒の騎士団主力をパラックス・ルィ・ブリタニア皇子と親衛隊、コーネリア皇女殿下が騎士ギルバート・G・P・ギルフォードに精鋭部隊のグラストンナイツの活躍により打ち負かし、学園エリアを制圧していた部隊はシュナイゼル・エル・ブリタニアの特別派遣響導技術部とオデュッセウス・ウ・ブリタニア、クロヴィス・ラ・ブリタニアの親衛隊により撃退された。報道エリアも手薄になった所を奇襲し奪還に成功。

 制圧し拠点としていたエリアを奪い返され戦線は崩壊、ゼロの不在で黒の騎士団はある者は撤退、ある者は投降、ある者は命のある限り戦い続けた。

 

 この戦いで反ブリタニア勢力の大半を一掃出来たのと黒の騎士団の幹部級を多数逮捕できたのはブリタニアにとって喜ばしい事だ。

 ゼロに次いで反ブリタニア勢力の象徴になり得る厳島で初めてブリタニアに土をつけた【奇跡の藤堂】こと藤堂 鏡志郎と、藤堂直属の精鋭【四聖剣】の朝比奈 省悟や千葉 凪沙。学園エリアを占拠した黒の騎士団副指令の扇 要に玉城 真一郎、南 佳高。反ブリタニア勢力の支援組織【キョウト】なるグループのトップ六名中五名など黒の騎士団の支柱をごっそり奪ったのだ。

 そしてゼロの処刑。ゼロを追って神根島に向かった枢木 スザクより逮捕され、直接本国のシャルル・ジ・ブリタニアの下へ連行されて非公開で処刑された。ゼロの捕縛という功績とオデュッセウスとシュナイゼルの推薦によりスザクは帝国最強の十二騎士【ナイト・オブ・ラウンズ】のナイト・オブ・セブンの地位を得た。

 

 ブリタニア軍は大きな戦果を得たが代償も大きかった。

 人的損失は勿論のことながら行政特区日本の暴動で亡くなったユーフェミア・リ・ブリタニア第三皇女。戦闘中に行方不明となったエリア11の総督であったコーネリア・リ・ブリタニア第二皇女に騎士のギルバート・G・P・ギルフォード。

 行方不明も含めると皇族二人も失う事態に本国も騒然としている。

 

 多くの幹部級を逮捕しようと抵抗する者は数多く居たが、キュウシュウブロックの暴徒を鎮圧しきったユリシーズ騎士団が租界に援軍と到着し、二日後には本国からマリーベル・メル・ブリタニア皇女殿下が指揮を執る増援が到着。精鋭中の精鋭騎士団であるトロイ騎士団とテーレマコス騎士団により各地の暴徒も鎮圧され、残り火が消えきるまで二日も掛からないだろう。

 

 「―――っと言う感じかな」

 「……そうか」

 

 黒の騎士団を収監している特別牢の通路に用意されたパイプ椅子に腰掛けている藤堂は短く息を吐きながら呟いた。逮捕されここに入れられて拘束服に着替えさせられたが今は腕の拘束を解かれて自由にしている。代わりに足は拘束され近くには警棒を持った看守が二名。少し離れた所に銃を構えているブリタニア兵士が四名見張っていた。

 将棋盤が置かれた簡素な机を挟んだオデュッセウスは困ったような笑みを浮かべて頬を掻く。

 

 オデュッセウスは一度藤堂と将棋を打ちたくて本国に帰る前に立ち寄り、個室を用意してもらうのも面倒臭かったので通路で無理に頼んで用意してやっているのだが…凄く怖いです。

 眼前に座る藤堂は逃げられない事を分かって普通に将棋をしてくれているが、周りの牢屋から黒の騎士団員が暇なので見ているのが三割、殺意を持った睨みを七割が向けてくる。特に千葉さんの眼光が異常に鋭い。そんな中、ただ黙っているのも苦しいので今回の件を話したのだ。

 

 「捕まってないメンバーはどうしている?」

 「ああ、カレンちゃんや卜部は現在も逃走中。諜報員が血眼で捜しているよ。神楽耶さん達は分かってはいるんだけど手出し不可能なんだよね」

 「……何処か嬉しそうに見受けられるが」

 「まぁ、神楽耶さんとは日本だった頃から仲良かったからね。捕まったらと思うと気が引けるよ。でも、ブリタニアの皇子だから見つけたら捕まえなきゃいけない…苦しい板挟みだよ」

 「皇子がそんな事を言って良いのか?」

 「んー…不味いけど付近を固めているの私の騎士団だしね」

 

 実際ブリタニアの諜報員が血眼になって探しているんだよね。黒の騎士団エースパイロットの紅月 カレンと【四聖剣】卜部 巧雪の両名を。二人とも腕が確かなのはブリタニア軍は身をもって体感しているから、彼らがナイトメアで何かを仕出かすと駐留軍程度では対処しきれない。対処用にグラストンナイツがいつでも動けるように出撃態勢を整えてはいるけど間に合うかどうかは別だ。

 今やキョウト六家の最後の生き残りとなった皇 神楽耶に紅蓮弐式や月下など黒の騎士団の新型ナイトメアフレームを開発したラクシャータ・チャウラー、ブリタニア人で情報能力に長けたディートハルト・リートは中華連邦に逃げ込み、手厚く匿われている。ユーロピア共和国連合に白ロシアと戦線を拡大しつつあるブリタニアに中華連邦と事を構える気はなく、手出しが出来ない状況にあり、国外に出てこないかと監視をしている程度で済まされている。

 

 パチンと駒を進めた藤堂の一手を思考しながら打ち返す。

 

 「ここに居ない卜部を知っているという事は四聖剣の情報は持っているという事だな」

 「一人相手するのに三個小隊用意しても足りるかどうか怪しい精鋭部隊を認知してなかったら問題ですよね…」

 「知っているなら仙波がどうなったか知らないか?ここにも居ないようだし、逃走中のメンバーに卜部は出ていたが仙波の名は無かった…まさか」

 「闘争中ですよ。とうそうちゅうと言っても走り逃げている中ではなく、闘い争い中と書いて闘争中ですけど。でも白騎士が向かったのですぐに決着が付くだろうけど」

 

 藤堂が気にした【四聖剣】の仙波 崚河は杉山 賢人、井上 直美、吉田 透の幹部級三名と合流後、シンジュクゲットーまで逃げたところで追撃を受けて、一緒に行動していた部隊と共に戦い続けている。が、すでに包囲は完了して武器弾薬の補充路も援軍も無いことから降伏も時間の問題だろう。ただ攻め落とすには月下が壊れて無頼に乗る仙波とトウキョウ租界より持って逃げた雷光を倒さねばならず力攻めは容易ではない。ゆえに四聖剣と渡り合える白騎士の出番という訳だ。

 原作を知っているオデュッセウスからしたらランスロットにやられる吉田と、走行中の無頼を撃たれて戦死した井上が生きている事の方に気がいって仕方がなかった。

 これも知らず知らずの内に改変した結果であった。吉田の雷光はオデュッセウスがユフィの死を偽装して放送した為に死を知るタイミングに遅れが発生。スザクの出撃ルートがずれて雷光とは別ルートを飛んだ為に助かり、井上はマリアンヌやオデュッセウスと模擬戦を繰り広げた事から腕が上がったルルーシュから砲戦命令を受けて移動して、戦死した地点に向かわなかった事で助かったのだ。

 

 他にも原作と違った点は幾らかある。

 ゼロとユーフェミアの会談の前に割り込んだのでギアスの暴走を受けて虐殺命令を出すことも、ルルーシュ自らの手で殺す事もなく、死んだように偽装したおかげもあってユーフェミアは生存。

 ギアスを掛けられてコーネリアにスピアを投げた後でハドロン砲で殺されたダールトンもギアスを掛けられずに、早々に政庁に戻れと命じられたので生存。

 行方不明になったコーネリアは原作に近いがギルフォードは違う。というのもどうもゼロ(ルルーシュ)を気にかけていた事に薄々気付いていたコーネリアが色々と問い詰めてきたのだ。それに自分の記憶の欠如でシンジュク事変のヴィレッタやオレンジ事件のジェレミアの証言と重ねて何かあると感づいたらしく、その事も何か知っているのではないかと…。

 本当に妹や弟に甘くて話してしまった。さすがに全部は話せないがヒントぐらいを出した程度だ。全部教えたら単身でも中華連邦にあるギアス響団に突撃かましそうだし。ゆえに教えたのは能力の総称が【ギアス】と呼ばれている事と、それを知っているであろうとぼかした相手が居るぐらいだ。動きを察知されない為に身分も名前も偽って今頃はユーロピア辺りに居るだろう。ギルフォードには私から事情を話して護衛として付いて行って貰った。勿論ダールトンにも話したが総督不在のエリア11の指揮権を任せれる人材であるダールトン将軍にまで行かれると困るので総督代行の業務に就いて貰った。

 

 ここまででも原作から離れたことでルルーシュとスザクの結果は同じだが過程が大きく異なってしまった。

 ゼロを捕縛してルルーシュと分かったスザク君から連絡があり、色々話をしているとどうやら伯父上様がいらん事をしてくれたようだ。ギアスの事をスザクに話して行政特区日本はギアスの力を持った者が起こした事とゼロがギアスの力を持っていると言ったのだ。確かに嘘は言ってないがおかげでスザク君の怒りがルルーシュに向いちゃったんだよ。

 連絡されても神根島の遺跡前では伯父上様も見ていただろうから隠す事は無理なので原作に近い形に持って行きました。

 

 まずは原作でルルーシュを殺さずに利用しようと考えた皇帝陛下の下にスザクにゼロの護送を任せた。原作みたいに鬼の形相になるほど憎んでないスザクにはゼロを裁く前には私が出来る限り手を尽くすと伝えた。勿論皇族がゼロだったなんてことを言えるはずも無く裁判なんてあるとは思ってないけれど。案の定原作通り報道は一切無しで処刑した事になった。

 これで原作通り―――で終わらずに問題が発生した。ゼロを捕らえた見返りにラウンズ入りを名乗らなかったのである。これは不味いと自分からあの活躍にナイトメアの操縦技術からもラウンズに推薦した。時同じくしてシュナイゼルも同じ提案をしていた事を聞いたのは本気で驚いた。

 何でもブリタニアに反抗的な日本人はゼロを、従順な日本人はスザクを掲げていた。旗印であるゼロや象徴的存在のほとんどを失った彼らを従順派に取り入れようとするならば、今回のブラックリベリオンで功績を挙げた同じ日本人のスザクを出来るだけ目立つ形で持ち上げる必要がある。そこでゼロ捕縛と数々の功績からラウンズ入りを推したのだ。

 我が弟ながら色々考えてるなぁ…。

 

 思い返しながらパチンと置いた駒により王手を掛けられた藤堂は渋い顔をして何とか打破しようと模索するが、逃げる手も攻める手もすべて封じられて降参した。ニカッと笑ったオデュッセウスは立ち上がり帰り支度を始める。

 その様子を腕の拘束を掛けられながら見つめていた藤堂が口を開いた。

 

 「これからどうするのだ?」

 「うん?これからかぁ…そうだね。ヨーロッパ辺りに観光にでも行こうかね。その前に本国で家族に会わなくちゃ」

 

 そう答えて手を振りながら去ろうとしたオデュッセウスは足を止め、思い出したかのように千葉に顔を向ける。

 

 「そういえば皆さんの月下なんですけど損傷具合が激しくて本国のナイトメア関連施設に送られてデータ収集されてますけど千葉さんの機体はかなり状態が良くて私のほうで使わせてもらう事になりました」

 「――ッ!!貴様!刀だけでなく月下までも!!」

 「そ、それでは、また」

 

 あまりの怒気にたじろぎ逃げるように去って行くオデュッセウスであった…。

 

 

 

 

 

 

 イタケー騎士団と名付けられたアリス達はオデュッセウスの護衛も兼ねて、本国に向かい出発するアヴァロン級二番艦【ペーネロペー】の格納庫に集まっていた。他のオデュッセウス指揮下の騎士団【ユリシーズ】、【トロイ】、【テーレマコス】は事後処理に追われて当分はエリア11で足止めとなるだろう。

 格納庫にはボロボロに損傷したランスロット・クラブに皇族専用機のアクイラにエクウス、そしてグロースター最終型が五機並んでいた。五機と言うのは今回出られなかったオデュッセウス専用機も含めてでありイタケー騎士団の機体数を考えれば数が足りない。

 

 「そう言えばマオは何処に行ったんだ?」

 「あら?聞いてなかったの?マオは残るそうよ」

 「え!?ひとりだけで?」

 「本当に話を聞いてなかったのね…」

 

 ダルクの反応にルクレティアとアリスは苦笑いで返し、サンチアは話を聞いてなかった事に頭を痛めた。表情から冗談なんかでなく本当に聞いていないのだろう。

 

 「ほら、あの白騎士モドキの護衛をするって事になったじゃない」

 「白騎士モドキ?あ、あー…なんか居たね」

 

 ブラックリベリオンと名付けられた戦いから三日を過ぎた頃、突然オデュッセウス殿下が連れてきた全身試作強化歩兵スーツで隠した女性の事だ。何でも口が利けないらしく、伝える為には持ち歩いているメモ帳での筆談になる。人種、性別、経歴のすべてが白騎士と同じようにブロックされて誰もその正体については知らされていない。

 女性だと分かったのは試作強化スーツが女性用の物で、自分と比べるまでもなく胸部が大きいのだ。

 

 兎も角、白騎士モドキ――オデュッセウス殿下命名【姫騎士】は黒の騎士団を収容している監獄の監視員として派遣されると言う。黒の騎士団に怒りを持っているブリタニア人がここには多く、監獄内で人道を外れた行為が行なわれる可能性が高くなったのが一番の理由だ。すでに監獄の職員は各地の殿下の騎士団候補生から選ばれ、姫騎士の護衛兼補佐官としてマオとマリエル・ラビエも残るそうだ。

 

 「モドキで思い出したけど殿下大丈夫だったの?」

 「あー…大丈夫なんじゃない。殿下だし」

 「大丈夫ではないとは思うのだけど…」

 「ああ、普通はな」

 

 先ほど姫騎士を連れて来たと言ったが、その時殿下は絶対安静を医者に申し付けられていた。無茶なクラブの機動と耐えかねるGにより内臓系のダメージは酷く、肋骨に数本ひびが入っていた。

 癒しのギアスで回復したのだろうけど本当に非常識の塊みたいな人だ。

 休憩時間も兼ねていたイタケー騎士団の雑談だったが、時刻を確認したサンチアが手を叩いて注意を引く。

 

 「さて、そろそろ交代の時間だ。気を引き締めて掛かるぞ」

 「「了解」」

 「それにしても皇族五名の護衛が私達みたいな外人部隊って普通はありえないよね」

 「…確かにね」

 

 ペーネロペーに乗艦しているのは何も自分たちだけではない。自分達の主であるオデュッセウス・ウ・ブリタニアにクロヴィス・ラ・ブリタニアにライラ・ラ・ブリタニア、パラックス・ルィ・ブリタニアにキャスタール・ルィ・ブリタニアと本国に戻る皇族が全員乗り込んでいる。これだけでどれだけ名誉で大変な任務かが窺い知れるだろう。

 当のオデュッセウス殿下が用事があると言い、SPを連れて出て行ってから戻ってきてないので出発しようがないのだが…。

 

 「セーフ……かな?」

 「あの、言われていた時間は過ぎてますけど…」

 「時間にルーズだと色々信用を無くしてしまいますよお兄様」

 「あはははは……面目次第もないなぁ…」

 

 聞きなれた声がハッチより三人分聴こえてアリスは勢い良く振り返る。

 そこには車椅子に座ったナナリーを押すオデュッセウスと横を緊張気味に歩いているニーナの姿が。 

 

 「ナナリー!?」

 「え?アリスちゃん」

 「良かった。ナナリー無事だったんだね」

 

 学園を黒の騎士団より解放した後、連絡も付かず居場所も分からず不安だったが、元気そうなナナリーを目にしてアリスは駆け寄り安堵の息を漏らす。

 

 「あの後アッシュフォード学園の皆に聞いても分からないって言うし、警察のほうでは保護されたって答えるだけでってどうして殿下と…」

 「それは……」

 「私とナナリーは兄妹なんだよ」

 「・・・・・・はい?」

 

 言っている意味が解らない。

 ナナリーと殿下が兄妹?――という事はナナリーはブリタニアのお姫様?それとお兄さんのルルーシュ先輩とは兄妹だから先輩も?

 疑問が次々と浮かんで間の抜けた顔を晒してしまった。

 

 「ああ!兄妹と言っても母違いだけどね」

 「そういう事で途惑っている訳ではないと思いますよ」

 「ん?もしかしてナナリーの選任騎士の事かい?腕も確かだし、ナナリーの友人で付き合いやすいだろうし、精神的にも良いだろうからってナナリーに推薦しちゃったんだよ。ナナリーもアリスちゃんが良いって言うしさ――って私教えてたっけ?」

 「え?は?ふぇ?」

 「あの…多分それも違うと。アリスちゃんがパンクしそうなんですけど…」

 

 ニーナの言う通りすでに何が何だが理解不能になりつつある。そのアリスにゆっくりとナナリーが車椅子を近づけ微笑みかけ手を差し出す。

 

 「はい。アリスちゃん、もし嫌じゃなければですけど…私の騎士になって頂けますか?」

 「――勿論。私がナナリーを守る騎士になる。絶対に守るから」

 

 混乱状態であったがナナリーの不安げでありながら凛とした声に真剣な眼差しを持って答える。片膝を付いて手を取り、頭を下げたこの瞬間、アリスはナナリー・ヴィ・ブリタニア皇女殿下の騎士となったのだった。

 ちなみにナナリーの存在は公表しないので緘口令が敷かれた。それと同乗したナナリーを保護したという髪の長い少年の存在も…。 


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