コードギアス~私が目指すのんびりライフの為に~ 作:チェリオ
今日は前回削除した46話の矛盾点や書き忘れた点を踏まえて書き直した46話と47話の二話投稿と書いたのですが47話がもう少し時間がかかりそうです。
会話多めです。
行政特区日本開設記念式典会場
ドーム型のスタジアムの上空を報道用のヘリが行き交う。ドーム内の中央会場や何段にもなる観客席も行政特区日本に参加しようと手続きを済ませた日本人達で溢れ返っていた。しかしそれだけでは足りずに会場外にも多くの日本人が集まっていた。
天が祝福してくれているような青空を眺めながら、式典会場壇上に並べられた椅子に腰掛けたオデュッセウス・ウ・ブリタニアは笑みを浮かべた。それに対して二つとなりの席に座るユーフェミアはゼロが来るか不安で仕方なかった。
壇上には多くの椅子が並べられており最前列に行政特区日本発案者のユーフェミアにオデュッセウス、ダールトン将軍に加え、エリア11で代表的な役割を担っているブリタニア貴族に桐原翁のように日本人側の大きな力を持つ者も座っていた。
ここまでは原作通りだと思っていたのだが一つ違う事が起きている。それはここに皇 神楽耶が来ていた事だ。護衛として黒服姿のライ君を連れてだ。と、言っても彼女がここで何かを起こすわけでもないし、問題はない。むしろ問題はこれからなのだが…。
「大丈夫だよユフィ。ゼロは必ず来てくれるって」
落ち着かせようと不安げなユフィに微笑みながら声をかけるが、実際あまり時間がないと言うのにゼロはまだ来ない。これは時間にルーズになったと考えるべきか、それともゼロ的演出なのだろうか?式典開始前にユフィと話すんだろうからそれを考慮してもう少し早く来るべきだと思うんだ。そうじゃないとクロヴィスが準備している式典終了後のパーティー料理が冷めてしまう。
クロヴィスに連絡するべきか唸りながら悩んでいると周りで声が漏れ始め、顔を上げると皆が皆、空を見上げていた。そこには上空を飛びながらこちらに向かって来るガウェインの姿が。
「来てくれたのですね」
立ち上がって嬉しそうに呟いたユフィから視線をガウェインの肩に立つゼロへと移した。正直、落ちやしないかとハラハラして胃が痛い。
スッと三歩後ろで待機していた白騎士が顔を耳元まで寄せてきた。
「配置を動かしますか?」
「いや、アリス達【イタケー騎士団】には現状維持のままで。決してこちらから動かないで」
「イエス・ユア・ハイネス」
【イタケー騎士団】
今までアリス達とか特殊部隊など名前が決まってなかったが、いつまでもそれじゃあ呼び方に困るので付けた名前だ。総勢五名で少ないが戦力的には一個師団以上の働きが出来る。本国に部隊登録の申請をしたらギネヴィアに「また部隊を増やすのですね。個人でどこかを落とせるだけの戦力まで行く気ですか?」と聞かれたよ。出来れば戦場に出たくないのだけれど…。
確認を終えた白騎士は元の位置に戻り、ゼロを警戒する。
「ようこそゼロ。行政特区日本へ」
「ユーフェミア・リ・ブリタニア。折り入ってお話したいことがあります」
「私と?」
「はい。貴方と二人っきりで」
壇上まで迫ったガウェインの前に出たユフィはゼロの言葉に疑問符を浮かべていたが、ダールトン将軍がとりあえず式典会場裏のG1ベース前に下りるよう指示。従ってガウェインが移動し始めた。席を立ったユフィの後を追ってオデュッセウスも式典裏へと向かう。そこには騎士の制服を着たスザクがゼロを警戒していた。
対してガウェインより降りたゼロは警備の兵士に金属探知機を当てられ、刃物や銃器の類がないかどうかを調べられていた。
「問題ないです」
「では、どうぞこちらへ」
なんの疑いも無しにゼロをG1ベースへ案内しようと歩みだしたところをオデュッセウスが行き手を立ち塞いだ。
「ゼロ。ユフィとの会談の前に私も話したい事があるんだが…宜しいかな?」
「これはこれは。神聖ブリタニア帝国第一皇子で騎士団を三つほど所有するオデュッセウス殿下のご指名とあらば――と、行きたい所ですが先に――」
「君が知りたい事を私は知っている…と言ってもかい」
「―ッ!!………良いだろう。先にお話し願いますかな?」
「と言うわけで先に良いかなユフィ?」
「はい」
「では――」
「お待ち下さい殿下!」
にっこりと微笑んだオデュッセウスが案内しようとすると焦った白騎士が行く手を塞ぐ。声色から焦っている所か青い顔をしているのがよく分かる。というか徐々にのっぺらぼうみたいな仮面から怒気のようなオーラが漏れてきているんだけど!?
「なにを考えてるんですか!?」
「大丈夫。大丈夫だから白騎士には別室でユフィの護衛を頼むよ。スザク君は会場の警備もしないといけないしさ」
「本当に大丈夫なんですか?」
「心配要らないよ。むしろこれからのほうが心配かな…」
なにを言っているか分かっていない白騎士の頭をひと撫でしてゼロと共にG1ベースに入っていく。
今まで私はこの特区日本のイベントをどうするかで悩んでいた。ユフィを救って特区を成功させればユフィの命を救えるだけではなく、知らず知らずの兄弟・姉妹の争いを止める事が出来る。逆に原作からかけ離れる為に持っている知識がこれからは使えず、ルルーシュが父上の計画を止められるかどうかも危うくなる。
元々自分が生き残る事を第一に考えていたのを考えれば原作通りに進めるのが一番なんだろう。だけど私はそんな理由で弟・妹を切り捨てたくない。
だからここから先は自分でなんとかする。黒の騎士団は解体されるだろうがルルーシュは真実を知ったら手伝ってくれるだろうし、一部には完全な独立を目指す派閥も出来る。それらを取り込み、中華連邦との繋がりを強化し、弟・妹の力を借りれば父上達の計画は止められる………筈。
不安で一杯な心境を隠しながら、深呼吸をして覚悟を決める。
G1ベースのコンダクションフロアに入るとゼロは扉にロックをかけて、録音機材をチェックしながら電源ごと落としていく。最後にはメインの照明まで消して、予備の仄暗い灯りだけがうっすらと照らす。
「用心深いんだね」
「そりゃあ私は貴方方で言うテロリストですからね。用心に越したことはないでしょう」
「テロリスト云々より元々だろう。君は昔っから細かかったからね」
「昔?なんの話をされているのでしょうか?」
「もう隠さないで良いんだよ。ルルーシュ」
「―――ッ!?」
「ほら、普段は冷静沈着に見えて思いもよらない事態には顔や態度に出るところも変わらないね」
ふふふと笑うオデュッセウスにゼロは仮面を外して素顔を見せる。ルルーシュは何処となく納得いかないようだった。
「何時から気付いたのですか?」
「うーん……わ、分かったのは最近で、ゼロの存在に疑問を持ったのは河口湖かな。あの時君は『どうされましたか!?』とか『いや、こちらが気がつけば良かったのだが』とかテロリストにしては私を気遣ってくれてたし、機械を使って声を響かせているようだけど声質は変わらないしね」
「ゼロとして初めて出会った時から疑われていたとは……」
本当は原作知識を持っていたので最初っから知ってました!とは言えずにそれらしい事を言ったのだが、何故か納得されてしまった。頭の賢いルルーシュなら疑っても良いはずなのに何処で納得された?
逆に疑問を浮かべているとため息をついて半笑いのルルーシュは近くの椅子に腰掛けた。
「分かっていたのに何故言わなかったのです?」
「私に弟を告発しろと?そうするぐらいなら私の下に匿うよ!」
「帝国の皇子がテロリストの首領を匿う……皇位剥奪ではすみませんよ」
「可愛い弟と天秤にかける意味あるかい?」
「ふっ、やはり兄上には敵いませんね。兄上、ナナリーのことは――」
「分かってる。これまで通りの生活を約束するよ。勿論君もね」
急に真顔になって言おうとした言葉を遮り、言葉を被せる。元々政治利用しようなんて考えてないし、しようとした奴は絶対に許さない気持ちでいっぱいだ。先に強く言われた事で安心しきったルルーシュは笑みを浮かべた。見ていて撫でたくなるが今は我慢我慢。
「それで俺が知りたいこととは何だったんですか?もしかしてブラフでしたか?」
「いや、それはそれであるからさ―――マリアンヌ様の死の真相」
「――ッ!?」
「私は知っている。君に真相を教えてあげられる。真実の全てを語ることが出来る。だけどその前に約束をして欲しい」
「約束…交換条件という事ですか…」
「ユフィの特区日本に参加する事と参加後に協力して欲しい事があるんだ」
「協力内容は?」
「すまないが今はまだ言えないんだ。すまないね」
ひとり頷きながら腕を組んで思案しているようだった。ユフィをギアスで自分を撃たせて日本人全てに反攻の火を灯そうとしていただけに前者を受けるだけでも難しいだろう。なのに後者はまだ内容すら言えてない。覚悟を決めたつもりだったのだがまだ決め切れてないのか言えなかった。言えば確実にルルーシュを巻き込んでしまう。もしかしたら別の方法もあるかも知れない。わざわざルルーシュを危険な目に遭わせるのか頭の中でいろんな考えが飛び交う。
二人して唸りながら考えを纏めようとする。オデュッセウスのは考えと言うより覚悟の問題のような気もするが…。
考えが決まったルルーシュは短く息を吐き出した。
「分かりました兄上。協力しましょう」
「本当に!?こっちは何も言えてないのに良いのかい?」
「兄上に協力を頼まれて断れるとお思いですか?俺は貴方に大きな借りが幾つもあるんですよ」
「何かあったかい?」
「さも当然のように…まぁ、先に母さんの真相をお伺いしますが宜しいですね」
「ああ、いろいろと長話になるが最初に言うべきはあの事件の首謀者であり犯人からかな。マリアンヌ様を殺したのは―――ッ!!今の音は…」
「銃声!?それに爆発音まで!」
「ルルーシュ!」
「ええ、話の続きはまた」
ここまで響いてきた銃声に爆発音に慌てながら仮面を被ったゼロは駆けて行く。多分50メートルもしない距離で息を切らすのだろうが今は状況を知ることが第一だ。ゼロが切った電源を入れて会場内を確認するとナイトメアフレーム隊の配置が変わっていた。これではまるで包囲戦をしているかのよう…。
気付いたオデュッセウスはポケットよりインカムを取り出して耳に付ける。
「サンチア、状況説明を!」
『は、ハッ!現在会場内ではブリタニア軍がイレブン……日本人に対して攻撃を』
「どうして!?いや、誰が撃った!!」
『それが突然現れたブリタニアの将校が皇族の命とか言って―』
「何がどうなって…兎も角イタケー騎士団は会場内の日本人を守りつつ脱出路の確保。虐殺行為を行なうブリタニア軍の排除も許可する。ダールトン将軍には急ぎ政庁に戻るように伝えてくれ」
『殿下はどうされるので?』
「私は白騎士と共に脱出するから大丈夫。もしも危なくなったら騎士団を連れて離脱するように。じゃあ頼んだよ」
『イエス・ユア・ハイネス』
短く話は聞いたがなにがどうなってこうなったかはまったく理解できなかったが、ユフィや私が捕まったら大変な事になることだけは理解出来た。
命令を伝え終わるとインカムの電源を切って部屋を飛び出ようと振り返る。するとそこには床まで垂れる長髪の伯父上に出合った時と変わらない帽子を被ったクララ・ランフランクが入り口に立っていた。
「やぁ、久しぶりだね」
「…ひ、久しぶりです伯父上」
にっこりと笑っているようだが表情には怒りが窺える。若干クララが引いているほどに。それよりもオデュッセウスとしては先ほどの会話を聞かれていなかったかどうかが気になって気が気ではなかった。
「何故僕がここに来たか分かるかい?」
「さ、さぁ…思い当たる節が――」
「僕に嘘を吐いたね」
「そんな伯父上に嘘なんて!」
「なら何故C.C.と接触した事を黙ってたんだい?」
「・・・・・・・・・あ」
え?
何でC.C.に会った事がばれた?
ロロが?――否。
アリス達?――否。
どこで?どうして?何故?何が?どうなって?
一番知られてはいけない事を知られてはいけない人に知られて脳内は完全なパニック状態に陥っていた。
クスリと微笑んだ伯父上は一枚の紙を差し出した。
「これは君がイタケー騎士団と呼んでいる元特殊名誉外人部隊の身体データだよ」
「アリス達のデータ?」
「そう。君が特殊名誉外人部隊を引き取ってから少し疑問に思っていたんだ。アリス達はC.C.細胞抑制剤を摂取しないと細胞が侵食されて死滅する。特に君がナリタで仲間に引き入れたマオなんて無くては生きられないほどの末期状態のはずだ。なのに君からはC.C.細胞抑制剤を強請られた事はない。これはどうしてかってね」
「い、いえ!それについては説明不足でした。私がC.C.細胞抑制剤を頼まなかったのは私の癒しのギアスで進行を遅らせる所か侵食を押し返すことが出来たからで――」
「ふぅん。抑制剤はそういう事だったんだ」
「あ、あれ?深く追求してこないんですか?」
「最初は君がC.C.と繋がりを持って抑制する手段を得たと思ったよ。だからクララに君の周りを探らせた。そしたら君が学園祭でC.C.とばったり出くわすところに遭遇しちゃったんだって。
でも可笑しいよね?遭遇したにも関わらず君は捕獲の為の手は打たず、報告すらも怠るなんて。まぁ、ここに来て分かったんだけど。君は家族に弱いからね。C.C.がゼロ――ルルーシュの仲間と知って手が出せなかったんだろうね」
「何故ルルーシュがゼロだと知っているのですか!?」
「先も言ったけどC.C.をクララが発見してね。潜伏先を探らせたのさ。学生がゼロなんてだれも思わないけど調べてみれば楽だったよ」
あの時か!?
ロロもアリス達も居ないし、C.C.の存在を詳しく知る者も見ていなかったから安心しきっていたけど。まさか見られていたとは…。
顔色は真っ青になり、目線が泳いでいるオデュッセウスは殺されると思い込んだ。完全な嘘はついてないとしてもこれは裏切り行為…伯父上が笑って許してくれるような人には思えない…。
「それで伯父上は私をどうされるのですか?」
「悪い子にはお仕置きが必要だよね。だけど僕もシャルルも君の事をかなり気に入っている。それは裏切られた今でもだよ。だから君自身にするのではなくて君の周りにする事にしたんだ」
「まさかこの騒ぎは!?」
「気がついたんだね。そうさ。この会場内で起こっているイレブンの虐殺はクララのギアスによって行われたものさ!こういうの君は嫌いだったろう?罰としては十分かな」
「――っ!……伯父上は分かっているのですか!ここでブリタニアが日本人を虐殺すれば大きな内乱となる。そうすれば居場所の分かったC.C.の捕獲だって難しく――」
「うん。だから餌を用意しようと思ってね。ルルーシュも君も家族には弱いらしい。クララの調べではナナリー・ランペルージという妹が居る。勿論君も知っているよね?ナナリー・ランペルージと名乗っているナナリー・ヴィ・ブリタニアを」
餌…。
その言葉を耳にした瞬間、今まで抱いた事のないほどの怒りに飲まれそうになる。
何故私のギアスは絶対遵守や肉体強化系のものではなかったのかと強く思うほどに。
「そんなに怖い顔をしないでくれ。別に何かをしようって訳じゃないんだ。丁重に扱うさ。なにせ僕にとっては姪なんだから。騒ぎを起こせたおかげで学園を警備しているクロヴィスの親衛隊の目はライラに釘付けで動きやすそうだし手荒な事にはならないよ」
「パパ…そろそろ」
クララの片目が赤く輝く。瞳にはギアスの紋章が強く浮かんでいた。
ギアスを見て身体を強張らせて、一歩下がる。
「大丈夫だよ。君を殺そうなんて思ってないから。C.C.の知っている事を全部話して貰うだけだよ」
「では【オデュッセウス・ウ・ブリタニア】、【C.C.に関する情報を全部話して下さい】」
「ッ―――――――――ん?」
「あれ?」
話すと思っていたクララもオデュッセウスも何も起こらず首を捻った。
クララのギアスは対象の顔を見ながら名前を言う事で発動する。対処法としては名前を知らせないとか、顔を隠すとか手段がある。他にはコード所持者であるなんてのもあるがこれは数少ないので置いておく。
オデュッセウスに効かなかったのは彼が前世を持つ憑依転生者だったのが幸いした。心臓も命も他の人と変わらず一つだが、前世を宿した魂には人間二人分の人生が詰っている。オデュッセウス・ウ・ブリタニアなのだが本人も忘れかけているもう一つの名前が存在するのだ。ゆえに片方の名前だけでは機能しなかったのだ。ちなみにマオが混乱したのもオデュッセウスが二人分の記憶を保有しており、いきなりの情報量に頭がパンクしたのだ。
ギアスが効いてない様子にV.V.は興味津々だったが、時刻を確認してため息をついた。
「もう少し話をしたかったがここまでだね。ここも騒がしくなるだろうし、僕達はそろそろ行くよ」
本当に残念そうな表情をしながら出て行く伯父上と出る直前に振り向き手を振ってきたクララを見送り、ひとりになった途端一気に頭を働かせる。
命の危険はとりあえず去ったが現状は最悪である。
ブリタニア兵が日本人を虐殺しているのを止めようとしてもギアスを掛けられているのなら命令しても無駄。アリス達なら対処出来るがすぐに黒の騎士団が押し寄せてくる。ルルーシュの走る速度を考えたらそろそろG1ベースを出た頃だろう。そして何よりユーフェミアの身が危ない。本人が命令していないとしても発案者のユフィに日本人の怒りは向けられる。
脱出路の確保にユフィの命を守ることだけに絞って考え抜く。すると口元に手を当てて考え込んでいたオデュッセウスが居るコンダクションフロアに、別室で待機していた白騎士とユフィが慌しく駆け込んできた。
「お兄様!何が起こっているのですか」
「お止めしたのですが…」
「いや、良いタイミングかな…白騎士。ユフィに合うサイズの歩兵スーツを大至急捜して持ってきてくれないか?」
「歩兵スーツをですか?」
「ああ。歩兵スーツを持ってきたらイタケー騎士団と共にここを脱出する。あとは装甲車が手に入れば万々歳と言ったところだけど……兎も角歩兵スーツを頼むよ」
「イエス・ユア・ハイネス」
「お答え下さいお兄様!いったい何が――」
「頼む!今は何も聞かずに私を信じてくれまいか!お願いだから……頼むよユフィ…」
深く、深く頭を下げて今にも泣き出しそうな声で頼み込む姿に、銃声と爆発音で不安と困惑、動揺で平常心を欠いていたユーフェミアはグッと押さえ込み、ここは兄を信じて大きく頷いた。