リボーン短編集   作:ウンバボ族の強襲

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ついったまとめ7

 ずっと、一人で生きてきた。

 

自慢じゃねぇが、ずっと一人で生きてきた。

気がついたら親なんかとっくに居なかった。

何かぼろい家の隅で動かなくなっていた死体があったからアレがそうだったのかもなぁ。

そんなことはどーでもいい。それから盗みも殺しも何でもやったし生きるためだった。

剣の腕だって最初はテキトーだった。

 

 

そっから色々あって、ちゃんと剣やって、マフィアの学校入って。

そんで、お前に会ったんだぁ。

一目見て、敵わねぇって思ったぜぇ。

……だから利き手なんざくれてやった。

身一つしかねぇ、俺だから、お前が手に入るなら利き手位くれてやると思ったんだ。

次は8年、くれてやった。

 

 

だから、この髪の毛はテメェのもんだ。

テメェにくれてやった時間みてぇなもんだ。分かりやすかっただろぉ?まぁ、ムカつくけど許してくれよ。

あとは――あー……心臓だなぁ。

お前の盾になったんだぜぇ? 悔いなんかねぇよ、とっくに命賭けてんだから。

 

……だから、そんな顔しないでくれ。

 

 

「…スクアーロ」

 

 お前に出会わなければ強いままでいられた、なんて言わねぇよ。

 

「……言うな」

 

 そんな強さはもう要らねぇよ。

 

「喋るな」

 

 お前の為だったらいくらだって失えたんだぁ。

 

「……死ぬんじゃねぇよ、カス」

 

 なぁ、ボス?

 

 

 

 

 

 

 

 ゴーストルール

 

「死んだことに気づかず呪いを解くために金を数えるマーモンの霊」

「死んだことに気づかずご当地殺し屋殺しの標的を探し続ける王子の霊」

「自分が死んだことに気づかず晩飯のボスの肉を調達しようとする嫁の霊」

「死んだことに気づいたが、隣に居ない鮫を探し続けるボスの霊」

 

 

 

 

 

 

 看病

 

「今日はボスさんを独占できるぜぇ!」

「……」

「アンタは辛ぇだろぉけどなぁ、俺は嬉しいぜぇ」

 

 

「…」

「こうでもしねぇと頑丈なアンタは止まらねぇからなぁ」

「……カスが」

「うるせぇ、いいか、今日だけは思いっきり甘やかしてやるんだからな、覚悟しろよぉ」

「……」

「今日だけは俺だけのボスさんだ」

 

「……」

 

 

言えるわけがない。

嬉しいなんて。

やっと独占欲を出したお前が、愛しいなんて。

 

こっちはもう、16の時から惚れている。

 

 

 

 

 

 

 命令

 

 

 

「で?」

 

 赤面のスクアーロ。

 

「テメェは、俺に、どうしてほしいんだ?」

 

 本人はやる気満々である。

 こうなったのにはいきさつがある。

 普段アレコレされまくってるスクアーロは夜のストライキを敢行した。それに対してのXANXUSは媚薬というカウンターを繰り出した。

 

 

「ハッキリ言えよ、スクアーロ」

 

 ここぞとばかりに普段呼ばない名前を呼ぶ、かつてないほど紳士的だ。

 

「今まで自分勝手で悪かったな、お前の負担を考えてやらなかった。

 …で? 今日はどうなんだ? 一晩中添い寝してやろうか?」

 

 超面白がっている。

 

「…くれ…」

「あ?」

 

 

「あぁもうクソメッチャクチャにしてくれぇえ!!ボス!!」※やけくそ

 

「あ?」

 

「だから…! 脱がせて縛ってアンナモノやコンナモノを俺のケツにぶち込んでくださいぃいいいいい!!」※やけくそ

 

「すげぇな、お前…AVみてぇなこと言ってんぞ…」(退)

 

「誰のせいだクソがあああ!」

 

 

 

 

 

 8年

 

忘れる訳ねぇよ。

不機嫌そうな顔付きだとか、褐色目の肌の色だとか。分厚い唇だとか。

つーか、あの眉毛一体どうなってんだぁ?

なんで割れてんだぁ?

極めつけは目だ、真っ赤な、血の色をしたあの目だ。

一目見て敵わねぇと悟った。

確かに覚えた、その特徴的な顔。

 

俺は、忘れねぇぞぉ。

 

 

 

 

 

 英数字の持つ短絡的意義

 

ローマ数字とはあまり縁のない人生だった。

使うのは、漢数字かそれともアラビア数字、なんて世界で生きてきた。

だから俺には分からないよ。

 

アイツがXの字を見るたびに、一体何を思うのか。何を思い出すのか。

 

……なんて、きっと、俺には一生分からない。

 

 

 

 今となっては、ただ、この手をさしのべるだけの勇気があればいい。

 

畜生、ドカスが。

アイツは何も分かってねぇ。本当に、何も、分かってねぇ。

そのくせ分かってるなんぞ簡単に言いやがるからムカつくんだ。

 

ガキの頃無くなった左手を見てた俺の気持ちがテメェに分かるか。

あの時切れた右手を見ながら俺が何と思ったか分かってたまるか。

 

今となっては、ただ、この手をさしのべるだけの勇気があればいい。

 

お前はただ、残ったこの手を掴めばそれでいい。

 

 

 

 

 戻れないと思い込んで、死ぬまで戦うと誓った verXANXUS

 

狂った母親に背中を押された場所からすべてが始まった。

周囲はひたすら次の頭領であることを望むから、全てのカス共に応えてやった。

何も見えないフリをして。何も聞こえないふりをして。

 

 

 

 

 誓いを立て死ぬまで足掻いて最終的には走馬灯を一笑せよ

 

 

剣士っつーのはある意味ギャンブラーだぁ。

賭け金は己の命のみ。ベットしたら、レイズ合戦。

ショーダウンまで突っ走れ。

要は勝てばいいんだぁ。誇りが許す限りセコい手もコスい手も使っていい。

あ゛? 負けたらだぁ? そんときゃ、さっさと死ね。

やり切ったと笑って死ね。忘れんなよぉ!

 

 

 

 

 名前

 

「おい、カス。テメェの本名なんだ」

「なんだぁ……?突然」

「気になった」

「う゛ぉぉぉぃ…俺の本名かぁ……忘れちまったなぁ」

「は?」

「色んな名前で呼ばれてきたからなぁ。忘れちまった」

「…」

「本当の親は早くに死んじまったし」

「…」

「その後はテキトーに呼ばれた」

 

 

「クソガキだとか小僧だとかチビだとかそんな感じだぁ。そんで気が付いたら親がつけた名前なんざ忘れちまった。だから分かんねぇよ、もう」

「…」

「今はスクアーロでいいぜぇ」

「…」

「お前に出会ったときがスクアーロだった。だから、この先俺は、一生S・スクアーロだ」

「…ほざけ」

 

 

 

「テメェなんざカスで十分だ」

 

 

 

 

 

 戻れないと思い込んで、死ぬまで戦うと誓った verスクアーロ

 

「ボス! 開けろぉおお!」

「……」

「ここを開けろぉおお!」

「……無理だ、それはできねぇ……」

「ふざけんなぁあ゛!! 開けろっつてんだろぉ!!」

「……できねぇよ、カス」

「俺も……俺もそっちに行かせてくれぇ!! 行っただろぉ! アンタと一緒だって!!」

「…」

 

「ずっとずっと一緒だって!! 約束したじゃねぇかぁ!!」

「……すまねぇ……」

「こんなん……こんなんねぇよ!! 畜生がぁ! 馬鹿野郎!!」

「……」

「許さねぇぞ!テメェ絶対許さねぇからな゛ぁあああああ!!」

「……カス」

「……クソが……! ……ボスの馬鹿野郎……!!」

 

 

 

 

 

「俺を……置いていきやがって…………!」

 

 

 

 

 

 

「迫ってきてんだよぉおおおお!! 茶羽がぁあああああ!!」

「……」

「ああああ! これ何匹いんだよぉおおおお!! ふっざけんなぁああああああああああああああああ!!」

「……多分、20匹位」

「あ゛あ゛ああああああああああXの称号ふたつ持ってんじゃねぇええええええええええ!!」

 

「カサカサ言ってんだよぁああああああああああああ!!」

 

 返事はない。

 

 開かない鉄の扉。そして開けてくれないザンザス。

 

 退路は全て断たれた。

 

 もう、戻れない…とスクアーロは確信した、

 

 死ぬまで戦うと誓った。

 

「う゛ぉおおい! 来やがれ…ゴキブリ共!」

 

 

黒光りするGが一斉に、強襲を開始した――。

 

そして始まる――。

 

「う゛ぉおおおおおおおおおおおい!!」

 

――伝説の、死闘が……!

 

 

 

 

 

 


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