リボーン短編集   作:ウンバボ族の強襲

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白昼夢 3

 虹の代理戦争。

 

 またの名をアルコバレーノ代理戦。

 

 謎の不動産屋『チェッカーフェイス』によって招集されたアルコバレーノ達。

 彼らは「誰か一人を解呪してあげる~~」という甘い囁き、蠱惑的な誘い、でおびき寄せ、自らの代理を立たせて殺し合わせるというバトルが繰り広げられた……。

 

 という解呪詐欺にあったアルコバレーノ達は、『被害者の会』の皆様、元アルコバレーノな先輩たち通称『復讐者』という日がな一日牢獄を警備するスプラッタなボランティア団体と殴り合うことになる。

 

 ヴィンディチェの牢獄なんてしょっちゅう囚人にプリズンブレイクされまくってるカス牢屋だからザコ確定だよね~~と余裕ぶっこいていたが、ヴィンディチェは無駄に強かった。

 メチャクチャ強かった。

 そんなに強いんならもっとちゃんと囚人管理してろよ……ってレベルで強かった。

 

 こうして、急きょ彼らは、パイナポー(1期ボス)DVカップル(2期ボスと2期カス)天使(白蘭様)当て馬、という利害が一致しただけの関係で成り立つチームを編成したのだった……。

 

 かくして、おしゃぶりを巡るバイオハザードが始まり…………。

 

 

 

 ボンゴレデーチモが死ぬ気で何とかしてくれた。

 

 

 だが、払った犠牲はデカかった。

 具体的に言うと。

 

 スクアーロの心臓。

 ボスさんの手。

 白蘭様の内臓。

 

 等価交換とは何だったのか、苦い勝利であった。

 しかしそこはアルコバレーノを総動員しただけあり、重傷者には幻覚で内臓を補うという神業で応急処置を施す。

 

 

「……という感じになってるけど、コレ結構大変なんだから」

「すまねぇな゛ぁ!」

「べつにいいよ……でもお金が尽きたときが隊長の最期だから」

「……命のカウントダウンが着々と始まってるなぁ……」

 

 とは言いつつも、実際マーモンはスクアーロを失いたくはない。

 もはやマーモンにとってはヴァリアーは家、ヴァリアー隊員たちは家族も同然だった。

 そしてスクアーロは大事なママンだ。ママンのためなら頑張れる! 勿論お金もとるけれど!! という強い決意のもとマーモンは心臓の幻覚づくりに励んでいる。

 ……が、問題なのはもう一匹のほうだ。

 

 

「感謝してるよ♪マーモンチャン♪」

「うるさいよ」

「ぷーっ! 赤ん坊の癖になまいきなんだからーー!」

「君たちより長く生きてるんだから赤ん坊呼ばわりしないでくれるかい?」

「そーだよブルーベル、赤ちゃんをいじめちゃダメじゃん」

「赤ん坊呼ばわりしないでくれるかい!?!?」

「えー? こんなにプニプニなのにーー??」

 

 プニプニプニプニと白蘭はマーモンのほっぺをつつく。

 だがマーモンはされるがままである。

 抵抗できるにはできるのだが、正直幻覚をやりまくってる身だ。

 体力がない。

 

「あははーマシマロみたいだねーー」

「や……やめろよ!」

「すっげーやわらかいねーー。食べちゃいたい位」

「うぅ……」

 

 気力もガンガン削られていく。

 なんだろう、おかしいだろ。

 何故かこの男に勝てる気がしない。ノントリニセッテもないのに、何故か力が吸いとられてく。

 マーモンは薄っすらと涙目になっていた。

 

(た……助けてママン……!)

 

 

 そして、マーモンの願いは届く。

 

「う゛ぉおおおおおおおい! その薄汚ない手を離しやがれぇ!! カスがぁ!!」

「ま、ママンー!!」

 

 マーモン思わずスクアーロの平らな胸板に向かってダイヴする。

 

「ウチのマーモンに手ェ出してんじゃねぇ!!!!」

「マ……ママン……!」

 

 非常に男前なママン(♂)である。

 

 

「えー? ケチだなー? スクアーロ君。いいじゃんちょっと位さ、貸してよそのコ♪」

「や、やだぁ……!」

「誰が貸すかカス野郎がぁ!」

「ちょっとうるさいんだけどー? 騒音被害で訴訟も辞さないよーー!」

「う゛ぉおおおおい! テメーもそんなロリコン野郎に引っ付いてんじゃねぇ!! カス娘! ロクな目に合わねぇぞぉ!! こっちに来ぉい!!」

「DVされまくりのドMに言われたくありませんーー!」

「んだとぉ!?」

「もうやだよママン! アイツ殺しちゃっていい??」

 

 あのロリコンを生かしておくメリットがもう何もない!と判断したマーモンは幻覚を停止しようとする。

 何か疲れるし。もう沢山搾り取ったし。何より何か弄られてる気がするし。

 マーモンはグズグズと顔を真っ赤にしながら縋りついた。

 そんな小さな頭を義手がポンポン、と優しく叩く。

 

「駄目だぁ。あんな奴でも戦力だぁ。癪だがボンゴレのためにはなりやがる」

「でもボクもう嫌だよ……」

「もう少し耐えろぉ。すぐにSランクの術士が来るように手配してある」

「え? Sランク?」

 

 術士とは、ヴァリアーの術士だろうか。

 マーモンは首を傾げた。

 Sランクともなると、超一流の術士だ。

 六道骸や十年後のフラン、そして自分など数少ないハズ。

 ならば『この戦い』に参加していてもおかしくないハズだ。

 

 

「へー? さすがヴァリアーだねーー。まだSランクの術士とか居るんだーー人材豊富だねーー」

 

 余裕の不敵な笑みを絶やさない白蘭に対し、スクアーロは。

 

 

 

 苛烈なまでに、鮮やかに、白い歯をむき出しにして笑った。

 

 

 

 

 

「誰が、『ヴァリアーの術士』だって言ったんだぁ??」

 

 

 

 

 

 

 

「え」

 

 

 

 

 

 

 

 

 白蘭の顔から笑みが消えた。

 

 

「Sランク……ま、まさか……!」

 

「う゛ぉおおい! 剣士のネットワークを舐めてんじゃねぇぞぉ!!」

 

「や、ヤバい、早く逃げ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「白蘭様ぁああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

 

 その時、地上5階のハズのガラスを割りながら、幻影が舞い降りた。

 

 

 

「ア゛アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

「白蘭様! あぁ白蘭様!! なぜ俺を呼んで下さらなかったのですか白蘭様! 俺さえいればあなたにこんな! 怪我など!! 負わせはしなかったというのにッ!! だがそんなことはどうでもいいッ! 白蘭様ッ! 白蘭様のことなら俺に任せろヴァリアーの術士!」

 

「ひっ……!」

 

 マーモン、初対面。

 

 

「白蘭様のことなら俺は何でも知っている……身長体重座高血液型骨密度肺活量ヘモグロビン数DNAの塩基配列まで……!」

 

「うわあぁあああああああああああああああ!」

 

「何と……お可哀想に、取り乱しておられる……白蘭様! セイッ!!」

 

 なんのためらいもなく幻騎士の手刀が白蘭の脳天に直撃!

 意識を失う前に白蘭の目に確かに麿眉が見えた。

 

 

 

 

 

「ズ ッ ト 一 緒 ニ 居 ヨ ウ ッ テ 言 ッ タ ヨ ネ ? 白蘭様……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『我は白蘭様と共にあり!!』(単行本:27巻)

 

 

 

 

 

 ……そういえばそんな事言ってたなー……と、白蘭は思い出し、意識が完全にフェードアウトしたのであった……。

 

 

 

 








ヤンデレ幻騎士好評につき、延長戦もやろうと思います。

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