白蘭様ラヴ。
何か酷いボスに「うっわアイツ帰って来やがったよ……」という目で見られながら。
同じファミリーの連中に
「エボラ復活だって」
「え、HIVじゃなかったの?」
「リボーン(笑)」
とか言われながらも。
サックリアッサリ裏切ってみたりした幻騎士。
大好きな白蘭様が褒めてくれたので有頂天。ついでに六弔花なんかにしてもらってテンションは上がりまくっていた。
……が。
「何故ですか!!」
何ということだ。
六弔花とか言ってたけど
それは。
真六弔花のかませ犬にすぎなかったのだ。
しかも何故か5人しかいないし。
雲の守護者出てこないし。
「何故ですか白蘭様! 何故……何故俺が真六弔花になれないのですかぁあああああああ!」
「やぁ幻ちゃん。ちょっと頭冷やそうか」
にっこり、と人として大事何かが欠落してんじゃないかってくらい神々しくも清らかな笑みを浮かべた白蘭様が何かほざいていたが幻騎士の耳には入らない。
「なぜですか……白蘭様……! 白蘭様は――俺の忠誠を疑うのですか……!?」
「疑ってる訳じゃないけど?」
「貴方のために……俺はヴァリアーの剣士と殺り合った!!」
「八百長だったよね~~」
「貴方のために――元ボスも売ったし、古巣のファミリーを捧げたというのに……!」
実はジッリョネロファミリー売った時点で目的のブツもついでにユニとかいうドストライクな幼女も手に入れたことだし、幻騎士の存在価値など白蘭の中ではゴミカス以下になっているのだという、この世の摂理にして絶対的な真実が白蘭の中にはあるのだが、そんなこと色々なものでフィルターがかかりまくり目がどんよりと曇りに曇っている幻騎士には知ったことじゃない。
知らないったら知らないのであった。
「なのになぜですか! 俺では――俺では役不足なのですか白蘭様……!」
「あーうん。ぶっちゃけそう!」
もはや白蘭は対応がめんどくさくなっていた。
すると幻騎士の指輪が淡い紫の炎を帯びる。
おや? 幻騎士のようすが……。
「……ならもう、いらない」
「…………え?」
「俺のことを必要としない白蘭様なんて……いらない……」
「…………」
幻騎士の指には嵌っていたのはヘルリング。
先ほどまでそこにいた、おかっぱ頭のマロ眉青年はどこにもいなかった。
かわりに、何かやたら巨大化したガイコツっぽい奴が特殊召喚されていた。
おめでとう! 幻騎士はヤンデレガイコツにしんかした!
「俺のこと必要としない白蘭様は要らない……だが白蘭様のいない世界など価値はない!!!!
よって滅ぼす!!!!」
「…………あー……幻チャン?」
「もう、なにも怖くない」
「…幻ちゃーーーん??」
「さぁ壊滅し曝せ!! ヘルリングに炎を注入……最大出力……!!」
「好きだよ」
今にもヘルリングに魂を売り渡し「ちょっと悪魔と地獄の契約交わしてくる」ところだった幻騎士は、神とあがめる白蘭の天使のような言葉でしょうきにもどった!
「好きだよ、幻チャン」
「……え?」
「好きだよ。幻ちゃん」
しゅるるるるるるる。
憎悪とか妄想とか気持ちわりぃ何かで凝り固まりまくっていた紫色のヤンデレ炎があっという間に沈火した。青春を剣とか幻覚とかマフィアの抗争とかに捧げてきた幻騎士はめっちゃチョロい子だった。
恋は盲目。
肝心な大好きな白蘭様の目が完全に死んでいる件について幻騎士は全く気付いていないようだった。
「申し訳ありません、しばし我を忘れて取り乱しておりました無礼をお許しください白蘭様」
「あー……うん。僕の方こそゴメンネ~~? でも幻チャンのことは大事だからね? 真六弔花じゃなくても幻チャンのことは大事に思ってるからね!」
「いいえ、白蘭様。俺はただの白蘭様の兵卒にすぎません。真六弔花の件は水に流しましょう。
トリカブトの野郎を掻っ捌くのはしばらく延期にします」
「…………」
何かそんなこと言って幻騎士は部屋から出て行った。
残された白蘭はガタリ、と椅子から崩れ落ちた。
彼らしくもなく、その涼し気な表情の横にはうっすらと脂汗がにじんでいる。
「怖…………何アレ……怖いんだけど…………」
釣った魚に餌やらない主義というわけではないが。
生来正真正銘の異性愛者であり、真正のロリコンであり、ロリをこよなく愛する白蘭にとって、一方的に忠誠以上の何かを捧げてくるホモは恐怖以外何でもなかったのだった。
という、一連の流れを見ていた真六弔花たち。
「ハハン、ハハンハハンハハンハハンハh」
「デイジー知ってるよ……コレ、ヤンデレってやつだよ……」
「これは白蘭様が悪い」
壊れる桔梗、恐怖を抱くデイジー。死んだ目で画面を見つめるザクロ。
「……うん、でも」
ブルーベルのおおきな青い目には、何かが浮かんでいた。
「私。少し気持ちが分かる気がする……」
「え」
ニーアオートマタ最高。
影響されて現在ザンスクのアンドロイドパロとかいう妄想を受信しました。
元気があれば書くかもしれません。