リボーン短編集   作:ウンバボ族の強襲

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2017年鮫誕。

ルッス姐さんのターン!





他キャラ
waiting for love 【L】


 はぁい、Buonasera! 愛の伝道師ルッスーリアよ~~。

 今日記念すべきこの愛しい日に来てくれて嬉しいわ~~。

 

 まぁ、あらぁ、素敵な花束じゃない! ちゃんと渡しておくわね。

 あの子ったら本当、任務入れるなんて本当救いようのない度し難いおバカさんよね?

 まぁ、そうゆうところが可愛くてたまらないのだけれど。

 

 

 あら、不思議そうな顔ね。

 なぁに? ボスは許可したのかって? えぇ、もちろんよ。待って、言いたい事は分かるわ。

 本当はボスも行かせたくはない。本音は今日ぐらいは休みを取って、一日中傍に置いておきたいんじゃあないかしら?

 まぁ、でも……相手はあのスクアーロだからね。仕方ないわ。

 あの子はとても鈍感なの。アホなの。知ってるとは思うけど。

 ボスはボスで素直じゃないから言えない。

 あの子はあの子で全然気がづかない。

 だからずーーーーーっとすれ違い続けるのよね~~! 

 

 ヤキモキするわ~~じれったいわ~~でもソコがいいわ!!

 

 

 あぁ、もうごめんなさい私ったら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……ねぇ、少し時間ある?

 

 あるんだったらね、他愛もない話だけど聞いてほしいことがあるのよ。

 

 まずひとつ聞くわね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 人は愛した方が幸せなのかしら?

 

 それとも、愛された方が幸せなのかしら?

 

 

 

 

 

 

 

 ……まぁ、愚問よね。答えなんてないもの。

 

 だけれど、本当あの二人を見ていると真面目に考えちゃうの。

 

 

 

 

 

 

 ボスは……ボスの人生には、愛は無かったと思うわ。

 ……いいえ、違うわね。この言い方は間違っているわね、ボスは、それなりに大切にされてきたし愛されてもきたでしょうね。

 だけど、全うな、きちんとした愛がある環境ではなかったんじゃないか――と思うの。

 

 ボスのお母さまのお話、私あまりよく知らないのだけれど……あまり心が強い人じゃなかったみたいでしょう?

 始めはちゃんと愛情を注げていたかもしれない。

 だけど、途中から――どんどんどんどん歪んだ形の愛情になっていって、それがどんな形で子供だったボスに与えられのかって……悪いけど私には想像もできない、いいえ、簡単に出来ていいことじゃないと思うわ。

 

 だからきっとボスは『九代目の子』としての自分に縋った。

 自分はボンゴレ十代目になれるんだって、そのことだけが――ボスを支えていたのだわ。

 それがボスに与えられた最後の母親からの愛だったんだから。

 

 九代目も九代目で、ちゃんとボスのことを愛していたんだとは思う。

 でも、その愛はボスには伝わらなかった。

 どの道、私は今でも思っているわ。

 

 

 ……どうして、もっと早く伝えてあげられなかったのかしら、って。

 

 

 実の息子のように思っていたのは分かるわ。

 だけど、ボスのことを思うなら――もっと早くに、まだ何とかなる内に、伝えてあげていれば良かったんじゃないかって。

 

 結局、無償の愛はボスを救ってはくれなかった。

 

 

 母親からの愛も、義父からの愛も、結局はボスを傷つけただけだった。

 だからそう――ボスは愛され方が分からない。

 あの人の半生は、愛に裏切られ続けた人生だったんだから。

 

 

 

 あぁ、スクアーロも愛されたことなんかないわ。

 あの子の過去は色々あったみたいだけど、あまりちゃんと育ってないみたいなのよね。

 だから当然、あって当たり前な両親からの愛情なんか注がれて育っている訳がない。

 

 

 やだ、驚かないでよ? 私たちの世界じゃあ常識じゃない。 

 むしろ貴方たちのように、ちゃんと両親がそろって、帰る家があって、誰も死んだりしない、暴力もない日常があった――なんて方が少数派かもしれないわね。

 ……何? 駄目よ、そんな申し訳なさそうな顔しないで。

 いいのよ、あなたたちはソレで。

 それがあなたたちの強さになっているんだから、堂々と胸を張ればいいわ。

 話を戻すわね。

 

 

 

 

 

 でも、そんな二人だけど。

 

 多分ちゃんとお互いのことを愛せているのだと思う。

 

 

 

 不思議よね。

 彼らの人生に、惜しみなく注がれる愛はなかった。

 もしくは、それをはい、って素直に受け取るだけの環境は整っていなかった。

 だから二人とも、愛され方が分からない。

 愛され方を知らないの。

 

 

 

 

 それなのに、愛し方をちゃんと知っているのよ?

 

 

 

 

 まるで奇跡みたいな話だと思わない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……けど、結局は二人ともお互いに愛されることに慣れてないから、愛情を受け取ることができなくて見事にすれ違っちゃうのよね。

 あの子はあの子で『自分何かが愛される訳がない』って思いこんじゃってるし、むしろボスの剣であることを全うしようとしているし。

 ボスには幸せになってほしい、って願ってる癖にその『幸せ』に自分は入らないんだって信じて疑ってない。

 どこかボスに相応しい家柄の美人な令嬢と結婚して子供をもって家族を作ってほしいんだって思ってるみたい。

 それ聞くと私、いつも思うのよ。的外れも大概になさい! って。

 

 そりゃあ、スクちゃんの考える『幸せ』大いにありだと思うわよ?

 むしろ馬鹿なあの子がない頭で考えた割には上等だとは思うわ。

 一般的な当たり前の、ありふれた幸せを知らないあの子が考え付いたにしてはよくやったんじゃないか、って思うくらいだわ。

 だけどね、違うの。

 ボスはそんな型にハマった正解の『幸せ』になんかなりたいんじゃないの。

 いいえ。きっと、ボスは、自身の幸せすら願っていないと思う。

 

 

 ボスはただ、スクアーロが傍に居れば、それでいいのよ。 

 

 

 それに一体スクはいつ気が付くのかしらね?

 ……あの子のことだから、もしかしたら一生分からないかもしれないわね……。

 …………本当信じられない位バカだからね……。

 あの子にもう少し、他人を思う気持ちが、いいえ、他人を思う頭があればいいのだけれど。

 

 

 

 

 そんな見事にすれ違ってる二人だけど、私見てて本当に思うのよ。

 

 愛されるってことは、本当に本当に素晴らしいこと。

 自分の存在を肯定されてる、って感じられること。

 

 誰かに生きてていい、って言って貰えるってこと。

 

 こんな世界に居ると、そうゆう温かさがどうしても欲しくなるときがあるでしょう?

 

 

 

 人は愛されたい、って願うことをやめられないのよ。

 

 

 

 愛されたいって願うの。

 誰かに認めてほしいって思うの。

 誰かに生きてていいんだよ、って言って貰いたいの。

 

 本来あるべき姿なら、それを生まれ落ちた瞬間から親に無償で与えられるけど。

 ソレを運悪く与えられなかった、受け取れなかった子供も居る。

 愛されなかった人間は愛されるってことが分からない。

 だから人も愛せない。

 自分が分からないことを、人に伝えることなんかできない。

 そうやって嘆く人に少し前なら「そうかもしれないわね」って答えてたでしょうけど、今なら言えるわ。

 

 

 そんなことない、って。

 

 

 だって、人は愛されなくっても、ちゃんと愛し方を知ってる。

 

 だって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの二人はずっとそうやってきてるんだもの。

 

 

 

 

 だから私は思うのよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 愛することも、愛されることも。

 

 諦める理由なんて、何処にもない――――って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「極限純愛だーーーーーーーーー!」

 

 

「そうよね~~~~! いいわよね~~~~!」

 

 

「かくなる上は!! 末永く爆発だあああああああ!」

 

 

「わかるわ~~!!」

 

 

「極限幸せになるがいい!!」

 

 

「ね~~~~~!」

 

 

 

 

 

 

 




 

















「う゛ぉおおおおおおい!! 帰ったぜぇ!!」


「おせぇぞ!! カス!!!!」


「う゛ぉ……起きてやがったかボス。悪かったなぁ! 思ったより手間取っちまった。けどよ、標的の息の根はガッツリ止めてきたぜぇ!! 報告書だぁ!!」


「……」


「じゃあ部屋戻るぜぇ、明後日には100本勝負があ――」


「おい」


「なんだ?」


「…………」


「何か用かぁ?」


「………………」



「う゛ぉおおおおい! 黙ってんじゃねぇ!! ボヤボヤしてっと日付が変わっちまうぞぉ!!」



「…………んなこと分かってんだるせぇぞドカス!!」



「椅子投げるなぁ!! 何だぁ!? 何かあんならはっきり言いやがれ!!」




「だから……!」






 








 結局XANXUSが、ソレを告げることができたのは。


 時計の針がゼロを指す。本当に、本当に直前だったりした。













  Buon Compleanno. Squalo






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