東方信頼譚   作:サファール

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 序章最終話。
 奇跡的に死者を出さずに退却を果たした特隊は、後ただ一人、白城修司の帰還を残すのみであった。
 しかし、瀕死になりながらも辛勝した彼に待っていたのは、空から産み落とされた残酷極まりない『死』の鉄塊――核だった。

 信じていた……いや、信じようとしていた者達に裏切られ、生前の感覚がフラッシュバックする。心に巣食う『闇』が、その絶望に呼応して歓喜の叫びを彼の心にもたらす。
 彼の努力によって侵攻が鈍っていた『闇』が、この隙にこれ幸いと彼を呑み込んでゆく……。

 そんな中、『地這いの妖怪は何を思うのか。
 そして、彼と、彼が取り込んだ人格達は何をするのか。

 様々な想いが錯綜し、すれ違っていく。そんな章。



 どうぞ。

 


15話.疑心の闇と最期の願い

 予想外だ。奴らは僕を見放すばかりではなく、核で都市ごと僕を消滅させようとしている。

 

「蘭っ!!」

 

 僕は隣の彼女の名前を叫び、次いで何を言うかに躊躇った。

 僕は、彼女になんと声を掛ければいい。逃げろと?防御をしろと?ざまぁみろと?一体何を言えばいいのだ。

 

「修司っ!!」

 

 蘭も同じ様に叫ぶが僕と一緒で、何を言っていいか分からないという顔をしていた。

 

 そうこうしている間に、辺り一帯を消し炭にする爆弾は爆発圏内に入って来ている。もう塵ほどしかない霊力で盾を創っても、どうにもならないだろう。

 死ぬなら、蘭に殺されて死にたかった。

 

 

 

 

 核が爆発する。その瞬間、僕はありったけの霊力を使って自分(・・)に球状の結界を張った。

 蘭は、能力を使い、二人分(・・・)の強固な地面の壁を球状に創った。

 蘭の壁の中に、僕の結界が入っている状態だ。

 

 そして、その事について思う間も無く、死をもたらす爆弾は爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 刹那、一瞬の閃光が都市上空を走り、次に起こったのは、有り得ない程の爆音だった。熱を内包した光が都市のみならず、見渡す限りの森や山を削り、焼き、不毛の土地へと変えていく。都市の建造物はまるでバターを鉄板に乗せた時のように溶け、生き物の死体や森の動植物は、もう一つ現れた太陽によって皮膚から筋肉、ひいては骨までもが朽ちるように消滅させられた。

 

 地面のような硬い壁に覆われているので、外の様子は分からない。だが、体が跳ねるくらいに響いた爆音と、皮膚を焦がすような熱を感じて、核が爆発した事が分かった。

 

 修司は結界の維持を続けながら、永琳の事について考えていた。

 

(何故………何故!!)

 

 これで、はっきりした。永琳はこの計画について知っており、修司をこの場で置き去りにして、“処分”してしまおうと核を開発していたのだ。

 修司の事を信用しておらず、使うだけ使って捨てた。それだけならまだ分かる。だけど、殺すことないじゃないか。

 

 追放するだけでは飽き足らないのか。

 

 これまでの蓄積された記憶がフラッシュバックする。

 永琳と初めて会った時、彼女と過ごした日々、防衛軍を訪ねた時、彼女の心配そうな顔、笑った顔、怒った顔、泣きそうな顔。

 修司の頭の中でそれらが想起し、心を擽って嘲笑う。

 

(信じてたのに…)

 

 呟く言葉は声には出ず、ただ事実を心に言い聞かせるように修司の中で反響して染み込んでいった。

 地響きが身体を揺らし、轟音が耳を殺す。しかし、修司には、はっきりと分かった。

 

 

 

 

────自分が、声を上げて(わら)いながら泣いている事に。

 

 

 

 

 酷く透明な雫が視界を滲ませ、双眸から頬へと流れていく。その感覚に彼は、いつかに経験した事のある既視感を感じていた。

 

(あれ?僕、まだ流せる涙なんてあったんだ…)

 

 自分が泣いている事が可笑しくて、修司は結界の中で、声の出る限りに精一杯嗤った。もう流れる涙なんて枯れたと思っていた。だが、それは間違っていたんだ。僕は、“復讐”の為なら喉を潰して、大海を創るがの如く涙を流せるのだ。

 

「待ってろ……待ってろよ!僕は絶対に、君達を許さないからな!!」

 

 見えない空に向けて…まだ見ぬ月の都市に向けて、修司は声を張り上げて叫んだ。

 

 永琳、ツクヨミ、雄也、特隊の皆。都市の全てを僕は怨み、また復讐する事を誓おう。そして、この世が僕に見せた幻想に対し、僕は最大限の敬意を持ってそれを闇に葬り去る事を約束しよう。この世界にも、僕は復讐をする。これ以上僕のような犠牲者を出さぬように。そして、これ以上の哀しみが溢れないように。

 

 瞬間、僕は、闇が完全に“僕”を取り込むのを感じた。それはとても心地よく、また哀しみに満ちたものだった。

 

 

 

 

 

 

 

* * * *

 

 

 

 

 

 

 

 ここは、白城修司の精神世界。ここにあるのは修司が取り込んだ精神達と、修司の精神、それと、修司の心の闇だった。

 

「大変!もう修司の身体の殆どが真っ黒に染まっちゃった!」

 

 闇が創り出した黒の檻に、四肢を鎖で繋がれ、そこから闇を流し込まれている修司の心。その闇は既に修司の体の殆どを蝕んでおり、残っているのは頭部と胸の部分だけだった。

 それを見た長谷川という苗字の女性。彼女は、『不死隊』の二つ名を持つ特隊の部隊の一人であり、現実の修司の部下だ。

 修司は特隊の皆を、戦争前に全員昇華し、人格を取り込んでいたのだ。彼女はその時に取り込まれた一人であり、戦争中の修司の容態をチェックする係をしていた。

 

 しかし、それに反応する者はいない。みんな目の前で繰り広げられている闘いに見入っているからだ。

 

 現在の担当者は蔵木雄也。彼の事は説明する必要もないだろう。

 雄也は今、必死に蘭と闘っていた。集中を切らせば一瞬でやられる。それが分かっていたからこそ、尚更彼の集中は凄まじいものだった。

 

ゴゴゴゴゴ………

 

「………はぁ!?」

 

 集中が一瞬途切れてしまった。ロケットの発射音が聴こえてきたからだ。

 その瞬間を現実の蘭は逃さず、一発パンチを入れて修司をノックアウトした。

 

「おいおい……まじかよ…」

 

 その場にヘタリ込み、雄也は現実に起きている事を見つめる。他の精神達もどうなったのかが気になり、ディスプレイのようなものを見た。と言っても、画面は縦が百メートルくらいあるので、画面を覗くような感じで見ているわけではない。ただそこに群がってきただけだ。

 

 だが雄也は、蘭との勝負に負けた事にではなく、ロケットが発射してしまった事に驚いていた。あれは修司も乗る筈だった最後のロケット。発射する筈が無いからだ。

 

「現実の俺は何やってやがる!!」

 

 雄也はそう叫びながらも、精神が長く離れるのはいけないので早々に“修司”を演じることにした。

 自由な他の人格達は、この事について様々な議論を始めた。

 

「確か、発射ボタンはそれぞれのロケットに搭載されてるんだよな?」

「つまり、四基目のロケットにいた誰かが…もしかして…」

「おい、まさかだとは思うがお前ら特隊の中の誰かが…?」

「そ、そんな事あるわけないだろ!」

「それか、将軍…」

「それしか考えられない。だが、そうなると…」

 

 ツクヨミか永琳くらいしか思い浮かばない。永琳だとは思いたくないが…。

 

 そんな事を考えてはいるが、彼らは自分達の終わりが近いことを薄々察していた。修司の体が死ぬのだ。蘭に殺されるか、失血死で死ぬか、その違いしかないが、それでも彼らや修司自身は、死ぬなら蘭に殺されたいと思っていた。

 彼女はまだ“可能性”を残しており、彼の闇を払拭してくれる最後の希望だったからだ。しかしながら、それは叶わぬ夢であったが。

 

「最期くらい、修司を自由にしてやりたかったな…」

 

 そう言うのは、第六番部隊部隊長の、曾史郎。彼はそう言い、闇の檻に囚われている身体の本当の持ち主に目を向ける。

 それを聴いていた他の人格達は口々に同調し、今にも泣きそうな顔で(くだん)の彼を見つめる。

 

 彼に取り込まれた彼らは、何故かは知らないが、妬んでいたり、嫌っていたりしていた人でも、彼に同情して、仲間となってしまうのだ。ここは彼の精神世界なので彼に敵対したところで無意味なのだが、完全に敵意が削がれてしまうのは何故なのか解明出来ていない。ここにいる全ての人格達が彼の味方であり、彼に対して最大限の助力をすると誓っている。修司の本心も彼らには全幅の信頼を寄せており、互いに互いの介錯を頼める程の信頼度である。ここでは死の概念は無いので介錯は必要無いのだが。

 

 蘭と他愛無い話で盛り上がっている中、修司の中では彼らが檻の中の彼に一人一人言葉をかけていった。

 

 全員が、ほぼ黒く染まってしまった彼に向けて思い思いの言葉を言っていく。その度に彼は、力無くも、はっきりとした返事を返し、そして乾いた笑い声を出すのだ。

 

「修司…」

 

 最後に、永琳の番になった。

 

「修司、私は何も知らなかったの…。私はてっきり、修司も一緒に月に行けるものだと…」

「永琳…それは分かってる。だから、自分を責めないでくれ僕から言える事はこれだけだ」

 

 彼と共に消え逝くというのに懺悔をしている事の滑稽さは重々承知しているが、それでも彼女は謝らずにはいられなかった。彼女自身、現実の彼女が何を思ってどう行動しているかは全く知れなかったので、謝る必要は皆無なのだが、彼女から取り込まれた人格である以上、その責任を感じるのは必然だった。

 

「でも…」

 

 言い淀む彼女だが、修司はその先を制すように言葉を挟み、もう十分だと言った。

 

「……これだけは言わせて…」

「………」

 

 しかし、どうにも彼女は頑固で、彼は一言だけ発言を許した。

 

「現実では言えなかったけど…私…あなたの事が────」

 

 彼は目を見開いた。それは、永琳がロケットの前で言いかけた事だ。月で再び会った時に聞くと約束した、あの言葉だった。

 それはいけない。彼が最期の時で、もうそれが言えなくなるとしても、彼女は偽物の人格であり、それを言う権利は無いのだ。

 だが、問題はそこではない。修司は、彼女の好意には肯定的に思うが、それに応える事は絶対に出来ないからだ。自分のような周りを騙し続けている偽善者に、彼女からの本心の言葉を受け取る資格がない。

 

 修司は、彼女を止めようと口を開きかけた。だが、次の言葉が出る前に、二人は弾かれたようにディスプレイを見た。

 

「あれは何だ!!!」

 

 誰が放ったかも分からない叫び声。そして、群集の中からディスプレイに伸びる一本の腕。その声音からこれまでにない危機感を感じ、精神世界にいる全ての精神が現実に目を向けた。

 

 

 

 

 そこには、現実の修司の視界に微かに映る、謎の物体があった。

 あれは何だ。そう皆が思う間も無く、現実の修司が能力を使い、情報が皆の頭の中に入ってきた。

 そして、皆が一斉に息を呑む。

 

「そ、そんな…あれは……」

 

 特に永琳はその衝撃が大きいようだ。だが、それも当然である。

 

 あれは、永琳がもしもの時に用意しておけとツクヨミに言われて用意していた、核という、辺り一帯を焼け野原にする爆弾だったのだ。

 

 現実の二人も驚き、対策を練ろうと必死になっている。しかし、精神世界にいる全員は悟った。

 

────あれは、回避不能である…と。

 

 蘭に殺されるでも、失血死で死ぬでもなく、永琳が開発した爆弾によって焼け死ぬ。それが分かった時、各々は悲嘆に暮れ、泣き叫んだ。特に永琳は、両手で顔を覆い、涙で顔面をぐしゃぐしゃにしながら、周りを(はばか)ること無く大声で慟哭(どうこく)した。

 

 その中でただ一人、檻の中にいる修司だけは、信じられないような目でその光景を見つめていた。

 

「そんな……」

 

 闇とは正反対で、信じる心を持っている本心の修司は、何があっても周りを疑わない。しかし、この時ばかりは、ほんの一瞬だけ、永琳を疑ってしまった。

 

「はっ…修司!これは…」

「永琳……」

 

 彼女がこれに気付き、涙を止める努力も忘れて振り返った時には、既に手遅れだった。

 止めて…そんな目で見ないで…。内心永琳はそう思いながらも、必死で弁解しようと言葉を探した。だが、出てくるのは言い訳にも満たないどうしようもないものばかりで、誤解を解く手立てが全く思いつかない。

 

「……君は…」

「違う…違うの!!」

 

 ここにいる彼女に何を言っても意味が無い。それは修司が一番分かっているのだが、それでも目の前にいる彼女を“そういう目”で見てしまう。

 彼女が開発した意味。それは彼をここに追放して始末する為ではない。それを説明しようとするのだが、どう頑張っても下手な言い訳にしか聞こえない。よくある、浮気現場が見つかった夫のようなどもり方だ。

 

 そして、その隙を“闇”が見逃す筈が無かった。

 

「あぐっ……!!!」

「修司っ!!」

 

 『疑心』。それは闇の本質であり、闇そのものであった。人を疑い、決して本心をさらけ出さない卑屈の塊。他人の疑心や負の感情に同調し、胎動して成長していた闇は、修司を完全に染める機会を窺っていた。

 

 そしてついに、その時が来たのだ。

 

 修司の身体に闇がどんどん侵食していき、胸は完全に染まってしまった。あとは顔だけだ。その頭部さえも、今正に呑み込まれようとしている。

 

「嫌……嫌よっ…!!」

 

 永琳は檻を掴み、こじ開けようと腕に力を込める。しかし、ここは物理的な事は干渉出来ない世界。ここにいる精神の力は皆無である。

 

 残り頭部のみになった修司。首元がジワジワと侵食されていく中で、彼は現実の自分を見つめていた。

 

「永琳……彼女の最期の願いを……」

「え?…何言って────」

 

 彼女が振り返ると、そこには────

 

 

 

 

 

 

 

* * * *

 

 

 

 

 

 

 

 爆発が収まり、修司は閉じていた目を開けた。

 地面による防壁は崩れ去っており、残っているのはビキビキにひび割れて崩壊寸前の修司の申し訳程度の結界のみだった。修司は、その紙のような結界のお蔭で、一命を取り留めたのだ。

 その幸運に感謝するよりも、修司は蘭の事が心配になり、ガバッと起き上がった。傷や死にかけなんて知るか。今は蘭が心配なんだ。

 

 

 

 

「あ……あ…」

 

 だが、修司の隣にいたのは、最早虫の息の蘭だった。

 皮膚は焼け爛れ、必死で酸素を求めて喘いでいる。

 永琳からもらった能力で薬を創り出そうにも、辺りには何も無く、自分の体力なんて塵程も無かった。つまり、自分では彼女を救えない。

 

 修司は、激しい後悔に苛まれた。

 何故…何故!

 僕が二人分の結界を張っていれば蘭も助かった。蘭の能力を昇華して得ていれば、僕も使えて完璧に防げた。いつものように腕枕の状態を維持していれば、僕の結界の範囲内に入れれて凌げた。

 蘭は、死にかけな僕を庇って、二人分の防壁を能力で創った。これを、厚さを二倍にして、自分だけにしていれば、ほぼ無傷で生き残れた筈だ。

 

 疑問と後悔で頭の中がごちゃ混ぜになり、ひたすら何故を連呼する。

 だがそれは、幽かに言葉を発した蘭によって全て吹き飛んだ。

 

「しゅ……じ…」

「蘭!!どうして…どうして僕なんかを…!」

「あ、あはは…。親…友を助ける…のは、当たり前…でしょ?」

 

 何を言ってるんだ。こんな偽善者を親友だなんて…!僕は…僕は生きてはいけない人間なのに…。何故君は命を張ってまで僕を助けるんだ!

 

「死ぬのは僕の方なのに…!!」

 

 蘭に負け、死ぬ筈だった僕。だが、今は蘭の方が死にそうになっている。それも、あと数分で。

 

「修……司?」

「何…?どうしたんだい?蘭」

 

 彼女の言葉を一言一句聞き逃すまいと、修司は彼女の吐息と変わりない声に耳を(そばだ)てる。

 

「私の…最期のお願い…聞いて…くれる…?」

「最期の…願い…?」

 

 何だそれは…と思ったが、修司の記憶がその単語を引っ張り出してきた。

 二ヶ月前、最後の山での蘭との戦闘。その時、修司は彼女に、“私が死んだら願いを聞いて欲しい”と言われ、それを承諾したのだ。

 あの時は冗談かと思って気にしなかったのだが、それを今持ち出してくるという事は、本気なのだろう。

 

「あぁ……あぁ!聞くよ!蘭の願い!」

「そう…かい……あり…がとう」

 

 息も絶え絶え。砂時計の残りの砂が無くなりかけている彼女は、一つ息を吐くと、衣擦れのような声で彼の耳に最期の願いを届けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────私の全てを……貰って…くれない…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全…て?」

 

 それは、その…どういう意味だ?

 

「そう…文字通り……全部…」

 

 蘭の願いに、修司は瞠目した。

 全てというものの定義が曖昧なのもあるが、彼女が具体的に自分に何をして欲しいのかがまるで検討つかないのだ。

 

「まずは…これ…」

 

 蘭はボロボロの腕を動かし、腰の服に刺さっている漆黒の柄を持った白銀の小太刀を差し出した。

 まずは、という言葉に次がある事を理解し、修司は取り敢えずこれを受け取る。

 

「修司、が…使って…」

「これは……うん、分かった」

 

 鞘の無い刀を両手で持ち、そして蘭の方を見みた。彼女は胸に手をやり、目を瞑っている。

 

ポゥゥ…

 

 蘭の身体が光り始め、次いでそれが彼女の手の下に集まって、一つの宝石を創り出した。

 それは水晶のように見えたが、とてもそれとは似ても似つかないものであった。不純物が全く入っていない純水のように透明で、少しの日光の反射さえなければ、そこにあると思うことさえ出来ないであろう。大きさは大体3cm程の雫の形状をしている。

 それを握り、蘭は修司にその手を伸ばしてきた。

 修司は自分の手を彼女の手の下に置き、彼女が手を開いて落としたそれをしかと握りしめた。

 

「…肌身離さず持っているよ」

 

 彼女に必要以上の言葉を喋らせたくない。その思いから、修司はその先を制した。

 

「後は……ほら」

 

 腕を重力に任せた蘭は、薄く目を開けて微笑んだ。

 

「全て…でいいんだね?」

「うん……全部…貰って…?」

 

 修司は、彼女の願いを叶える一番の方法を見つけた。

 

 修司は、焼け爛れた皮膚を傷つけないように注意を払いながら、背中に手を回し、半身を起こしてあげた。自分の事などは露ほども考慮せず、目の前の少女に精一杯の配慮を心掛ける。

 優しく膝の上に上半身を乗せ、抱き抱えるように彼女を支えて、その目を合わせる。

 

「それじゃあ、いくよ」

 

 彼女の文字通り“全て”を、能力で昇華し、自分の中に取り込む。

 突然、自分の中に様々なものが入ってきた。

 人格、思想、願望、思い、彼女の能力、妖怪としての性質、更に色々なものも。

 すると、僕の身体に変化が生じた。

 

「これは……」

 

 修司の体から、滲み出るように出てくる霊力とはまた違う力。これには、見覚えがある。

 

「妖力…」

 

 妖怪が扱う、穢れた力。これを纏っているという事実が指す結果は一つしかない。

 

(僕は、妖怪になってしまったのか…)

 

 恐らく、蘭という妖怪を能力で取り込んだ代償として、修司に妖怪という要素が追加されたのだろう。今、修司は、半分人間で半分妖怪な状態だ。

 修司は、彼女の能力も昇華した。彼女の、『地を吸い取る程度の能力』を取り込み、『地恵(ちけい)を得る程度の能力』という名前の能力を得た。

 それは蘭よりも使い勝手がいい能力で、範囲もかなり広かった。

 蘭の能力は使用限界があるらしく、このように死にかけていても能力で治せないが、修司のは違った。

 

 蘭の治療は大地に咲く自然を吸収して治すものだったが、修司の治療は少々変わっており、大地に祈る形で治すのだ。これが地恵たる所以である。

 辺り一帯の大地の残り僅かな地脈を搾取し、修司は死にかけの状態から一気に健康体まで回復した。核によって不毛の地となった辺りにはもう殆ど力が残されていなかった。

 

(もしかしたら、蘭も治せる…?)

 

 そんな思いが頭を過ぎり、急いで能力を使ってみたが、死が決定している者には効果が無いらしく、失敗に終わった。同様に、薬も創造出来なかった。

 

「蘭、君の全て、僕が受け継ぐよ」

 

 腕の中で儀式が終わるのを待っている蘭に語りかけ、修司は更に能力を使用した。

 使うのは、蘭から貰った能力。

 

 彼女曰く、彼女は大地から産まれた妖怪である。そして、修司の能力は、恵みを得るとは言っているが、半ば強制的に搾取するだけの能力である事が判明した。

 これを使えば、蘭の“記憶や存在までも”得る事が出来るのではないか。彼女は元々大地に属する妖怪。大地に搾取するこの能力ならば、それも可能であると修司は()んでいた。

 

「やっぱり……君は…」

 

 蘭は目を閉じて、次に来るであろう“事”に備える。

 僕はそれに応えるように身体を屈め、顔を近付けた。

 

 

 

 

 口が重なり、二人の距離が無くなった。皮膚を焼かれている筈なのに、彼女の唇は、柔らかく、温かく、とても優しかった。

 いつも以上に彼女の温もりを感じ、修司の心が温度を取り戻すように色を変えていく。

 

 修司は、その瞬間能力を使用し、地這いの妖怪の全てを、大地を経由して手に入れた。

 彼女の記憶、出で立ち、存在そのものを得、そして『昇華する程度の能力』で自分の中に取り込んだ。

 

「────!!!!」

 

 彼女の中身全てを得た。これが何を意味するか、修司は瞬時に理解した。

 修司は、闇の影響で、全ての者に対して疑いの姿勢を崩さなかった。それは、その人のどこかに、きっと自分を欺いている部分があると思い、その可能性が億に一つでもある場合、その可能性を捨てきれないからだった。もしかしたら…や、だがしかし…と言った、もしもの事態が頭を過ぎり、どうしても身を預ける事が出来なかったのだ。

 これは闇の性質であり、修司の消えた18年間の中で彼に植え付けられた呪いのようなもの。これは最早、修司の殆どを形成する彼の(さが)のようなものだった。

 

 彼女の内面を全て視た。これ即ち、彼女に掛けていた疑いの全てが、晴れたという事だ。

 修司は初めて、精神世界以外で、心から信じる事の出来る友人を手に入れたのだ。

 

 

 口付けが終わり、互いの口が離れる。数秒にも満たないその時間に、修司は人生を変える程の出来事が起こった。

 

「蘭……っ!」

 

 核が爆発した時とは違う涙が流れ、頬を伝って彼女の焼けた皮膚へとポタポタ落ちた。止めどなく流れるその涙は、彼の本当の心を体現するかのように透明で、混じりっけのない透き通った“色”をしていた。

 

「修司……ありがとう…」

 

 能力を使用して大地から全てを貰い受けた。

 蘭は、大地を通して修司に搾取されたのだ。

 蘭の身体が指先から、ボロボロと灰になって崩れ落ちていく。大地たる妖怪が“それ”を奪われた後に残るのは、崩壊のみである。

 

「蘭…僕は…!」

「修司…。私はね……」

 

 四肢が完全に崩れ落ちたところで、蘭が口を開いた。

 

「君に…会えて……本当に…」

 

 胸の辺りまで灰と化したが、まだ彼女の言葉は生きている。

 最期の気力を振り絞って、彼女は最期の言葉を彼に伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────幸せだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それが聴こえたか聴こえなかったか定かではないが、修司の耳にはしかとその言葉が届いた。

 

 

 

 

 言い終えた彼女の顔は、これまでに見たことが無い程輝いており、眩しい笑顔を咲かせていた。身体の水分を絞り出したかのように目尻から涙が一筋流れ、彼の手へと染みていった。

 

 その泣き笑いは、湖の湖畔に咲く蘭のようだった。

 

 

 

 

 蘭の身体が全て灰となって、修司の腕の中から零れ落ちた。サラサラと風に舞ったそれらは、この不毛な大地を駆け、空の彼方へと飛んでいった。

 

 爆心地に残ったのは、一人の偽善者と、彼を信じた少女の遺した刀と結晶。

 

「蘭……」

 

 刀と雫型の結晶を胸に抱いて、修司は静かに涙を流し続けた。

 

 

 

 

 

 

 

* * * *

 

 

 

 

 

 

 

 どれくらい泣いていただろうか。気付けば辺りは紫を通り越して、深く、暗い谷底のような暗闇へと変わり、太陽が地平線の底へと沈んでいった。地平線が見えるというのも、辺り一帯は何も遺っていないので、更地だからである。

 核が爆発したら、半径何十キロが焼けると言うが、どうやら本当らしい。修司は立ち上がって周りを見回してみたが、遠くに見える森の小ささからして、それが容易に予想出来た。

 

 さて、核が爆発したという事で、ここには高濃度の汚染された空気が充満している。本来ならば人間が即死するレベルの濃度なのだが、修司はこれを、『どんな薬でも創造する程度の能力』で創り出した薬で克服した。核の汚染に耐える事が出来る薬だ。辺りに物は無いので、自分の体力で創り出したのだが、そんなに体力を使わなかった。身体が受け付けないようにする系の薬ならば、そんなに体力を必要としないらしい。

 

 修司は『地恵を得る程度の能力』で、地中に埋まっていた鉱石を集め、墓石として、蘭が朽ちた場所に固めて造った。

 日本の墓でよくあるようなタイプの墓にし、墓石に文字を彫り込んだ。

 

 

──

 

 地代 蘭

 

 大地より産まれ、風に乗って大地へと還った地這いの妖怪。

 彼女の安らかな眠りを信じ、ここにその名を記す。

 

──

 

 

 腐蝕せず、そう簡単に壊れない特別な合金で造った特別製だ。僕の能力は能力の応用も理解した状態で取り込むので、蘭が難しいと言っていた事も普通に出来る。

 

「……………」

 

 造ったばかりの墓に手を合わせ、いくらか目を閉じてから立ち上がる。その目には、最早哀しみに暮れる男の面影は無く、墓石よりも固く、強い“意志”に燃える光りがあった。

 

 だが、それは何処か薄っぺらく、嘲笑を帯びていた。

 

 

 

 

 

 

 

* * * *

 

 

 

 

 

 

 

 雄也は途中で永琳に代わり、その光景を第三者として見ることにした。具体的には、永琳が雄也と代わったのは、爆発が収まってからだった。

 闇に呑まれる直前に、彼は最後の足掻きとして、一時的に『疑心』を押し退けて正常な精神状態まで戻した。その隙に蘭の最期の願いを聞き届け、何とか彼女の最期を“本当の自分”で看取る事が出来た。

 

「「「「「……………」」」」」

 

 蘭が死んで哀しいのが半分、修司が生き返って、尚且つ初めての信頼出来る人物に出会えた事が半分。喜びと哀しみが半々で、彼らはどうしたらいいのか分からない。唯々項垂れて、事実を呑み込む事に集中している。

 

 ただ一人、新入り()を除いては。

 

「なんだい…そういう事だったのか…」

 

 蘭は真っ黒に染まってしまった彼を見つめて、一人歯を食いしばって拳を握っていた。

 

 ────修司の身体は頭部まで全て、真っ黒に染まっていた。

 

 檻の中にいる彼は最早何も喋らない。檻の外で何をしても、絶対に反応する事は無い。蘭がここ(精神世界)にやってきた時、彼女の頭は全員の思考と共有されているので、すぐにここの全てを知る事が出来た。それ故、彼女は悔しがっていたのだ。

 

「どうして何も言ってくれなかったんだい!修司!」

 

 こうなる前に、何か打つ手はあった筈だ。八方塞がりで四面楚歌な状況でも、必ず突破口があるのと同様に、世の中の障害というものに、乗り越えられないものはないのだ。

 何故相談してくれなかった。何故他人を頼らなかった。何故…胸の内を見せてくれなかった。

 

 これに対する答えは至極簡単で分かり易い。

 ただ単に、修司に掛かった呪い()が強過ぎただけなのだ。彼には何の落ち度もない。

 

 それよりも、彼らにはもっと大変な問題があった。

 

 本心の修司が嘘の修司に呑み込まれた事で、完全に本心を無くしてしまった修司が出来上がったのだ。

 囚われている修司は信じる心だとすれば、闇は信じない修司。両方が生きていた頃は、行動こそ騙すが、内心では後悔するだけの良心があった。

 だが今の修司は、行動で疑い、心でも疑う。どんな時でも懐に刀を忍ばせて、いつでも相手を殺せるようにしておくのだ。裏切られるくらいなら自分から裏切る。これがこれからの彼のモットーとなる。

 

 雄也や永琳など、人格が適材適所で交代して修司を演じているが、精神とは即ち(うつわ)という意味合いが強く、身体を動かす為の動力源だと言える。人格がリモコンを持って修司の身体を操っているのではなく、精神という永久電池がエネルギーを供給して、身体が動いているような感覚だ。

 実際の行動選択は、元々の持ち主であった修司がしている。

 この精神世界に弾かれて存在している闇と本物の修司は、“信じる心”と“信じない心”が形となって顕現している状態。大元の修司の人格は、この精神世界そのものと言えるだろう。ここは彼の中なのだから。

 

 だが、精神がただの原動力かと言われれば違う。ここにいる精神達が交代する意味は十分にある。

 ここにいる人格達の影響を、少なからず修司は受けているのだ。

 それは、曾隊長の人格が担当した時に、何回か現れている。

 例へば、特隊のみんなにリーダーとして振る舞う為にリーダー性を発揮したのは、他ならぬ曾隊長のお蔭だ。彼の持つカリスマ性が、修司に少し反映されて、彼は堂々としていられたのだ。本当の彼は、本人も言うように、人の上にあまり立てない人だ。

 他にも、永琳に壁外訓練の予算を交渉した時も曾隊長のお蔭だし、戦争前に部下達を鼓舞した言葉を言えたのも、隊長のお蔭である。結構隊長は活躍しているのだ。

 

 そういうわけで、修司の性格に上乗せされる形で、少しだけではあるが、その人の性格が影響する。

 

 だが、彼らが心配しているのは、そこではない。

 

 信じる心が無くなったことによって、彼の精神に信用という感情が消え去った。これがどれほど重大な事か、分かるだろうか。

 

 一般的に、人が正常でいるための要素が一つでも欠けている状態の人間は、周りから“狂人”と呼ばれる。感情が一つ欠如してしまった彼は、正しくそれに当てはまるものだった。

 彼に限ったことではない。大切な人の死を目の当たりにして心に穴を空けてしまう人や、復讐などの強い感情に囚われて固執していまう人、更に、生活環境等の問題で人としての倫理が書き変わってしまった人も、“狂人”に部類される。

 

 そもそも、人の心には必ず陰陽があるのだ。明るい感情があれば、必ず暗い感情もある。普段は日向(ひなた)の感情が心を支配しており、陰たる闇の感情は、あまり力を持っていないので、その影響が外に出る事はほぼない。

 だが修司は、過去に起こった何かによって心の暗い部分である『疑心』を増幅させてしまい、対を為す『信頼』と精神世界でせめぎあっていた。

 結果はご覧の通り、『疑心』の圧勝。陽の感情として修司に構成していた“信じ、頼る心”は、反対の“疑う心”に呑み込まれ、消えてしまった。

 

 相手を信じるという、人の倫理に当たり前に組み込まれている筈の感情が壊された事により、修司の頭の中の信じるという概念が消去され、代わりに疑うという意識が根付くようになった。

 これは、彼の取り込んだ人格達ではどうする事も出来ない事だ。彼の心に直接干渉することは出来ないし、ここは彼の精神世界なので、彼らには何の権力も無い。ただそこにいて彼を“人間のように生きさせる”、道具でしかないのだ。

 

 

 

 

 故に彼らは泣いた。

 自分達の無力さを苛み、罵り、彼を救えなかった事実に号泣した。

 優しく、お人好しで、面倒見が良く、人当たりが良い彼。

 落ち着かながらも周囲と同様に笑い、楽しみ、一緒に心を揺らす事が出来る彼。

 

 これまで彼らが見てきた修司と、これから生きていく修司には何の差違もない。

 ただ、どれたけ親しく話そうと、どれほど楽しく笑おうと、内心では周囲に全く心を許せなくなってしまうだけだ。

 しかも、それは本心から来る感情なので、決して自分を取り繕っているとか、そういうのではない。なので、誰にも見破れない。

 誰にも気付かれずに周りを疑い、誰にも気付かれずに裏切る準備をする。そこに善悪は無く、ただあるのは、「君達はどうせ僕を裏切るんだ」という卑屈な感情のみ。

 

 彼らに出来る事は皆無。

 

「……巫山戯るな…」

 

 だが、それでも諦めない妖怪が一人いた。

 

「絶対に助かる!」

「新参者に何が出来る!」

 

 蘭の言葉に老人が反応する。

 

「この世界に新古で違いは無い筈。ここで違うのは、修司に与えられる影響力だけでしょ?」

 

 蘭の言う事は確かに正論だ。老人は言葉を迷わせ、視線を泳がせる。

 

「ぐっ…確かにそうだが、それでもお主に出来るかはまた別問題じゃ!」

「いんや、出来るね」

 

 彼女は、老人だけでなく、全員に聴こえるように声高らかに説明した。

 

 曰く、彼は既に壊れてしまったが、まだ回復する可能性は十分にあるらしい。

 彼は、彼女の全てを受け取り、“継ぐ”と言った。彼の根底には復讐があるが、同時に贖罪の意識もあり、彼女の意志や記憶や思想を全て取り込んだ彼は、彼女の目指していたものが分かっている。

 それを目指すようになれば、彼にはきっと、“救い”が巡ってくる。それを支えるために、彼女は彼を演じるのだと。

 

「それに、この中で性能が良いのは間違い無く私だろうし、基本は私が担当してもいいと思うんだけど」

「基本って事は、要所要所で担当を変えていくつもりだって事だな?」

 

 彼女の説明を聴き終えた皆の中で最初に発言をしたのは、彼の親友である雄也だった。

 まだ彼女とそれほど知り合って間もないので疑うのは当然だろう。彼女は首を大きく縦に振り、肯定の意を示した。

 それを見た数人が、人垣から数歩前に進み出て、蘭の前に立った。

 

「それならば、リーダー性が必要な場合は俺がやろう。妖怪なりの統率法では不備があるからな」

 

 そう言ったのは、部隊長、曾史郎。

 

「みんなを元気付ける時は俺だ。修司のような性格だと上手く乗せられないからな」

 

 続いて出た大男は、親友、蔵木雄也。

 

 他にも数人、固有スキルに特化した人達が名乗りを上げ、蘭の周りにはいつしか“エリート”が揃っていた。

 

 蘭に反論する奴はおらず、皆彼女の説得に折れたようだ。いつの間にかこの場にいる彼らは皆、彼女に付き従うような視線を送っていた。

 

「……なんだい修司、良い奴なら、ここに沢山いるじゃないか」

 

 足りない部分を足りてる人が補い、秀でた者が劣っている部分を支え、全体を構成していく。

 自分が出来る事は自分が担い、不足している箇所はそこが出来る人に助けてもらう。

 

 目尻に光るものを宿しながら、蘭は、“待ち受けるこれから”に備え、彼の為に、その心を揺らした。

 

 




 


 上手く纏まっているかな?違和感無く無事に序章を終えられてホッとしています。
 15話もかかったのは正直予想外で、本当は10話程度でサラッと終わる予定だったんです。それが装飾をつけて美化させている内にあれよあれよと延びてしまいましたw。

 さて皆さん。ここで疑問は残っていませんか?そう、何故、雄也達は待っていたのに、ロケットが発射され、核が撃たれてしまったのでしょうか。

 次回は一章ではなく、閑話として裏話的なのを二話放出しようかと思っています。一つ目は雄也サイドで、もう一つは『あの人』サイドです。
 それを出した後に、人物紹介と説明を書いた話を出して、やっと一章スタートです。

 本当、一週間に一話のペースでこれが進んでいると考えると、これの終わりがいつになるのかついつい計算せずにはいられませんw。
 目標は矛盾なしにスムーズに完結させること。気合入れていきましょう!!


 ご愛読ありがとうございます。ではまた来週にお会いしましょう。


 

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