FAIRY BEAST   作:ぽおくそてえ

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どうもお久しぶりです。ぽおくそてえです。今回から数回ほど番外編という名の短めのストーリーを出します。ナツ、エルザと出会った時の場面と、創設メンバー、そしてジンヤの最期を書きました。

それではまずナツとの出会いからです。


外伝 妖精と獣王の過去、そして彼の最期
番外編 その1 ナツと獣人の出会い


ルーシィとジンヤたちが出会う日から遡ること7年ほど前、マグノリアにある魔導師ギルド『妖精の尻尾(フェアリーテイル)』の前には2人の男が立っていた。1人はこのギルドをまとめ上げる老人で、聖十魔導師でもあるマスター・マカロフ。そして彼の隣にいる桜色の髪を持ち、白い鱗柄のマフラーを巻いている年端もいかない少年はナツだ。

 

「どうじゃ?これがワシらのギルドじゃ」

「スゲェ!なんかワクワクするよ!」

「そうじゃろう?」

 

連れてきた子の反応が良かったからか、満足そうにマカロフは笑みを浮かべる。ナツはまだ見ぬ冒険と興奮に目を輝かせ、嬉しそうに笑いかえす。

 

「妖精に尻尾はあるのかないのか?それは永遠に続く疑問。それ故に永遠の冒険、永遠のロマン…」

「それを知るのが初代の夢であり、ギルドを作るきっかけになった…だっけか?」

「あ?兄ちゃん誰だよ?」

「これ、途中で遮らんでくれんか」

 

仕事を終えて帰ってきたジンヤは右手を上げて謝りながらナツの前まで歩いてきた。180センチを越えようかという獣人とまだ幼い火竜の子は初めての対面を果たす。

 

「俺ぁここでS級魔導師をやってるジンヤってもんだ。よろしく」

「ナツ・ドラグニル。俺のことはナツって呼んでくれ!」

「おう。元気あって良いな、ナツ」

 

マスターの見守る中、お互いに手を取り握手を交わす。中へと進むとそこにはありとあらゆる魔導師が酒を飲んだり、喧嘩したりと大騒ぎだ。

 

「ナツ、このギルドは見ての通りどんな奴でも受け入れる場所だ。デケェ夢叶えてぇなら必死に働いていけよ」

「当たり前だ!」

「分かれば良い。じゃあ、新しい仕事行ってくるぞジイさん」

「気をつけて行けよ〜」

 

====

 

ナツの加入も滞りなく進み、1週間が経とうとした頃、ナツの初仕事をすることになった。

 

「…つー訳で、今日からしばらくは俺も同行する。基本中の基本だが危険な仕事ほど報酬が良くて、安全な仕事は報酬が低い。が、その分金以外の食い物とかを貰えることも良くある」

「へー…色々あんだな。危険なヤツってどんなのだ?」

「狩猟や退治系だ。ま、ナツの魔法ならそこらへんは大丈夫そうだが…習うより慣れろってな、早速行ってみるか」

「おっしゃあ、やってやらぁ!」

 

ボードから取ったのは魔物退治の仕事で200万というかなりの報酬が得られる仕事だった。

 

「じっちゃん!これ行ってくる!」

「早速仕事か。ジンヤと一緒なら問題なかろう、行ってきなさい。ジンヤ、頼んだぞ」

「出来る限りのことはしよう」

 

マカロフに見送られながら2人は依頼人に会うために駅へと向かった。いざ列車に乗ってみると、ナツがみるみるうちに弱っていく。

 

「お、おおお…」

「どうした?乗り物酔いか?」

「おおう…」

 

魔法の影響か、ただの体質か、ただの乗り物酔いにしてはかなり苦しそうにしていた。こんな状態で大丈夫かと心配しながらも、どうにか耐えて仕事場に向かった。

 

====

 

結果的には無事仕事を終え、ただの杞憂に終わった。ナツの乗り物酔いも降りたらすぐに復活し、仕事には大した影響は出なかったのが幸いした。

 

「まさかそんな弱点があったとはな…」

「なんでかわかんねぇけど、前からそうなんだよな」

「まあ、そういうこともあるさ。さて、帰ったらメシでも奢ってやる。初仕事成功のお祝いだ、遠慮しなくていいぞ」

「ほんとか!やったぜ!じゃあ、炎が食いてえ!」

「…ギルドに食える炎なんてあったかな?」

 

夕日を背に歩く2人はまるで兄弟のようだった。火竜の実力はこのギルドに入ってさまざまな人との出会いを通して強くなっていくが、それはまた別のお話。




次の話は明日です。

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