今話は大して進みませんが、キリのいいところまで書きました。
多分次回かその次がエピローグでとりあえずの最終回になります。
それでは本編どうぞです!
脅威は全て去り、この島に平穏が再び訪れる。黒竜も、伝説の魔導師も、悪魔も退けた。陽だまりに包まれた天狼島では各々集まって話す姿があった。
「まさか本当に来るなんてな、ラクサス!」
「これで雷神衆も復活ね」
「おい、俺はそんなつもりねぇぞ…」
雷神衆の3人はラクサスの来訪を喜び、楽しそうに過ごしていた。そこに歩み寄って来たのはウェンディだ。お互いにギルドに出入りした時期がずれた為、初めての対面になった。
「あ、あの…」
「ウェンディか。どうした?」
「えっと、ラクサスさんにご挨拶をと、思いまして…」
ファンタジアの事で色々噂を聞いているのだろう、おっかなびっくり近づいていく。
「そういえば初めてだったな。知ってるとは思うが、俺はマスターの孫で雷竜のラクサスだ。よろしく」
「天空の滅竜魔法を使うウェンディです…えっと、よろしくお願いします!」
こうして頼れる兄貴分と1人の少女は出会う事になった。
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船のある砂浜に先に来ていたナツやグレイは常夏の島を楽しんでいる。
「試験は中止になったし、敵も倒したから遊ばねえとな!」
「あいさー!!」
「漢ならどんな時でも全力ぅ!」
少し離れた場所ではマカロフとジンヤ、そしてギルダーツが遊ぶ者たちを眺めながら今後のことを話していた。
「これで無事に帰れるな」
「天の時、地の利、そして人の和…それが我らに味方したのが大きかろう」
「帰ったらやることが増える。せめて今この時を楽しむとしようぜ」
ナツたちが喧嘩を始めたのを見て、この平和を噛みしめるマカロフは自分の老いから、ようやく次のマスターを決める決断をとった。
「ジンヤ、少し席を外してくれ。女子たちを呼び戻しに行ってくれると助かる」
「…分かった」
ジンヤが離れ、少し経ってから隣にいるギルダーツに重い口を開いた。
「ギルダーツ、今日この日を持ってワシは三代目を降りることにした」
「っ!?……長らくお疲れ様だったな。それで、次は誰にすんだ?」
「我がギルドの四代目は…ギルダーツ、お主を指名したい」
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一方その頃、テントから少し離れた場所ではウェンディとエバーグリーンを除く女性陣がルーシィを中心に集まっていた。
「なんか嬉しそうだねぇ、あんた。良いことでもあったのかい?」
「そんなに嬉しそうに見える?」
「さっきからずっとにやけているぞ。そのお守りが理由なのか?」
ルーシィが手にあるお守りはこの島に来た頃には持っていなかったので、尚更興味が湧くのだろう。
「ま、まぁそうだね〜」
「それ誰から頂いたものなんです?ジュビア、気になります」
「確かに。ナツとかエルフ兄じゃなさそうだし」
「そ、それ話さなきゃダメ?恥ずかしいんだけど…」
「ルーちゃん、少しくらい良いじゃん」
「そうそう。話した方が楽よ?」
色恋沙汰ほど知りたいものはないと言わんばかりに皆して1人に詰め寄る。しかし、それも草むらから現れたジンヤによって打ち切られてしまう。
「ここに居たのかお前ら」
「ジンヤか。どうしたんだ?」
「もう帰るぞ。お前ら以外、全員船に乗ってんだ。急いで船まで行け」
ルーシィの秘密を聞き出せずに不満そうな顔をするメンバーだが、仁王より恐ろしい視線に渋々船まで歩く。
「ったく、手間かけさせやがって…(ここに次来るとしたら来年か。ま、挨拶はもう良いだろ)」
空を見つめると墓にいる2人の霊の声が聞こえる気がした。そしてしばらく見上げた後、名残惜しそうに歩みを進める。
『そろそろ帰るぞ、皆が待っておる』
「そうだな相棒。ルーシィ、行くぞ」
「うん!」
自分の守った大切な人と並んで歩く。陽だまりと葉陰のトンネルをくぐり抜け、歩んだ先にはマスターが待ち受けていた。
「ようやっと来おったか。待っとったぞ」
「済まねえな。そういやぁラクサス乗せて良かったのか?」
「後のことはあっちで決める。それに彼奴のことを決めるのはワシじゃない」
「…頑固なのは昔のままだな」
「言っとけ」
全員を乗せ、長く短い戦いを終えた戦士たちは自分の家、
X785年、この年の初めに魔法界では大きな変化が訪れた。黒魔道士と黒竜の死、そして