FAIRY BEAST   作:ぽおくそてえ

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どうもです、ぽおくそてえです。一応今回アクノロギア戦なんですが、思ったよりあっさり終わってもうた感じです。
それでも良いよ、というかたは本編どうぞです!


第91話 絶対強者

黒竜の来襲により、撤退を余儀なくされた皆を逃がそうと、マカロフは老い先短いその身を盾にして立ち向かう。

 

「何の目的で来たか知らんがなぁ、ワシの後ろにはガキどもがおるんじゃ!そう簡単に行かせるか!」

『グオオ…ガァアアァ!!』

「ぶはっ!ぬあぁあ!」

 

しかし傷と老いからか、アクノロギアのパワーに勝てず押し返され、そして倒されてのしかかられた。

 

『グァアオオァ!』

「うおあああ!!」

 

アクノロギアの全体重をかけて押しつぶしてきており、マカロフの体からは骨の折れる音が響き、あまりの痛みに気絶するほど叫び声を上げてしまう。しかし、その顔はやがて笑みに変わった。

 

「(最後の最後で、ようやっと親らしいことが出来たわい。もう思い残すことはなかろう…ルミナ殿、親父、今そっちに…)」

 

死を覚悟し、受け入れるだけだと目を閉じようとした時、隣を大猿が走り抜けて黒竜目掛けて拳を振り抜いた。

 

『オラァァア!』

『グオアァアアァ!』

 

白い毛並みを持つ猿の脇腹には柘榴色に目立つギルドのマークがある。そう、ジンヤだ。

 

「何故、何故戻ってきた!」

『テメェの親を見殺しにするほど、俺らは冷たかねぇんだよ。ほれ』

「皆の者、ジンヤに続けぇ!」

「「「「おおおお!!」」」」

 

ジンヤの後ろからはエルザを筆頭に、ナツやグレイたちが大切な親父を救わんと立ち向かっていく姿があった。もちろん、ラクサスもそこに居た。

 

「俺は反対したんだがな。だがよ…あんたのギルドの連中は老いぼれを置いていけるような奴らか?」

「この…バカたれどもが…」

 

親を想う子の心に打たれたマカロフの顔には涙が流れ、そして笑顔を浮かべている。

 

「テメェらぁ、こいつを蹴散らしてギルドに帰るぞぉ!続けぇ!」

 

ラクサスの号令と雷撃を合図に、それぞれの魔法をありったけの力でぶつけていく。火を放つ者、氷の矢を射る者、剣で切り裂く者に拳を使う者と様々だ。

 

『グルルルル…ガァッ!』

「うおっ!?」

「きゃあ!」

 

アリを吹き飛ばすように群がる魔導師をなぎ払い、風圧で魔法を打ち消した。しかもアクノロギアの体には目立った傷が見えず、まるでダメージを受けていないかのように佇んでいる。

 

「打ち消すなんて…そんな…」

「効いてねえのか…」

『まだ諦めんな。少しだけだが確かに効いてやがるぜ。しかし、傷が消えるのは何故だ?』

「あやつ、魔力を吸収してるように見えたが…」

 

マカロフの確かな観察眼では大きな傷が消え、しかも口から少しずつエーテルナノや放った魔法を食べているように見えた。

 

「そうとなれば…皆の者、魔力を温存せよ!ジンヤは先頭に立って戦ってくれ!ウェンディは彼の援護を!」

「はい!」

『任された!』

「他の者は防御魔法の展開と補助だ!」

「「「おおおお!」」」

 

逆境に立たされても、ここで折れたら負けると決意を固め、迅速に指示を飛ばすエルザの言葉に呼応して一致団結していく。

 

『ウェンディ!!』

「はい!アームズ×アーマー×バーニア!!」

『ガルルルルァ!!』

 

突撃してくる巨体を迎え撃つため、ウェンディの強化魔法をかけてもらう。黒竜の口が目の前まで迫るが、強化してもらった速度と持ち前の筋力を武器に顎を下から殴りぬけ、打ち上がった顎を持ったまま更に地面へと叩きつけた。

 

『オオォラァアァ!』

『グ、ガァァァ!!』

「今度は持ち上げやがったぞ…」

 

倒れ伏したアクノロギアを背中から持ち上げ、一気に跳び上がった。

 

『落ちろォォ!』

 

弱りながらも足掻き続けるのをよそに、そのまま相手の頭を下にして回転しながら落下し、見事に大ダメージを与えた。

 

『ガル、グアウァア…』

 

頭に伝わった痛みと衝撃で足元がおぼつかなくなり、酷い目眩に襲われるアクノロギア。口からは血を吐き、痛みからか魔力を取り込みにくくなっていた。それでも追撃してくるジンヤに数撃加え、小さなブレスを浴びせていく。

 

『案外しぶといな、テメエは…』

『雑魚が…よくも我を追い込んでくれたな。もう遊びでは済まさん!我の一息で全員蹴散らしてくれるわ!ウオォォオ!』

 

あまりの痛みとジンヤの物理的なダメージに耐えられず、激昂しながら上空へ逃げて骨が折れるのも構わず強引に息を吸い込む。

 

「ブレスだと!?」

「島ごと壊すつもりか…」

「防御魔法を更に固めろ!急げぇ!」

 

それのダメージを少しでも相殺しようと防御魔法を展開して応戦する構えをとる。しかし、いつまで経ってもそのブレスが打ち込まれない。

 

「…こねぇぞ」

「つーか、あいつ落ちてきてねぇか?」

「さっきの攻撃が効いたのかしら?」

 

無理が祟ったのか、少しずつ姿が変わりながら下降していく。皆が警戒する中、人間になったアクノロギアが地に降り立ち、少し苦しそうにしていた。

 

「くっ、我としたことが…」

「何故この島に来たのじゃ?お主の答え次第では容赦せんぞ」

「気まぐれよ。それに、血と死の臭いを感じたからな」

「こいつ…」

 

怒りのあまり剣で切ろうとしたエルザをマスターが抑える。静かに睨む彼にアクノロギアは3人に捕らえられながらも、尚も強い眼差しで返す。

 

「反省の色なしか……3つ数える猶予を与える。態度を改めるなら今ぞ。1つ…」

「我は我だ。ここに来て何を変えろと?」

 

絶体絶命ながらも狂気の笑みを浮かべ、血走った目をする。そんな彼を見下ろしながらマカロフの手には小さな光の玉が出来始めていた。

 

「2つ…」

「例え我1人が死のうと闇は消えぬ!ただの虫ケラに何が出来ようか!」

 

声を荒げ、唾を吐き捨てて語気を強めていく。それを無視するように光には更に魔力が集まり、最後の警告を発する。

 

「3つ…」

「いずれ第二、第三の我を前にひれ伏す時が来る!その時を地獄で見ていてやるぞ!」

「そこまで…フェアリーロウ、発動」

 

手を合わせた瞬間、あたりに敵を容赦なく攻撃する聖なる光が灯った。その光は邪を滅し、アクノロギアを跡形もなく消し去った。

 

「…例え何年も生きようと、目指す道を踏み間違えることは許されんのじゃ」

「哀れだな、この男も。こいつもゼレフの被害者だったのかね?」

「…さあのぅ」

 

いくつもの闇がこの天狼島で歴史から姿を消すことになった。聖なる加護が降り注ぐ、妖精の住まうと言われるこの島で…。




とりあえずこれで敵全員倒したのでその内エピローグ入れると思います。

長かった…長い長い、道のりでした。もう少しで終わると思うと少し寂しいですな。

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