FAIRY BEAST   作:ぽおくそてえ

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どうもです、またしても遅れまして申し訳ないです。ぽおくそてえです。
それにしてもここ最近は梅雨に戻ったかのように雨が降ってますね。おかげで予定が狂ってます。早く晴れないかな。

それでは本編どうぞです!


第73話 『呪音』あらわる

「初代マスター、メイビス・ヴァーミリオン、そしてルミナ殿よ…」

 

2人の墓前でマカロフが語りかける。

 

「ギルド聖地たるこの島に敵を招く不祥事になんと失望させてしまったことか…」

 

数分前に上がった赤い信号弾に敵の侵入を知った彼は、己の不甲斐なさを呪った。

 

「罰はワシがいくらでも受けましょう。だから…ガキどもだけは守ってくだされ(貴女の曾孫のためにも、何卒…ルミナ殿)」

 

小さな巨人が静かに立ち上がった。それと同じ頃、森で仲間の捜索を行うエルザ達の耳には大きな音が聞こえた。

 

「なんかすごい音がしたな」

「爆発、でしょうか?」

「もう本隊とやらが攻めて来たのか。これからどうする?」

 

敵の迅速な行動に驚くものの、冷静に質問するエルザ。そんな彼女の質問に返したのはジンヤだ。

 

「ジュビアとエルザは引き続き捜索をしてくれ、俺は捜索をしつつ敵を叩きにいく」

「1人で大丈夫か?」

「大丈夫だ、問題ない。俺には相棒がいるからな」

「そうか…しっかり頼むぞ、悟空」

『任された!お主らも無茶だけはするでないぞ?』

 

それぞれの動きが決まり、早急に対応するために駆けていった。

 

====

 

「何をしたの?」

「爆発!?」

「戦艦が…あんな簡単に…」

「ぬぅ…うおおおお!」

「リリー!?」

 

謎の爆発に動揺するメストを横目にリリーは元軍人なだけあって、すぐに気持ちを切り替えてアズマへと突撃する。

 

「無謀な。『ブレビー』」

「ぬぉっ!この…オラァ!」

 

右手をかざすと、爆炎がリリーを包んだ。しかし、それでも怯むことなく前へと進んでがら空きの顎を殴り抜けた。

 

「まだまだ甘いね」

「なに?」

 

かなりの腕力で殴りつけたものの平然としているアズマ。彼の言葉の真意がわからないうちにまたしても爆撃を食らってしまう。しかも周りにいたウェンディやメストまで風圧で吹き飛ばされる。

 

「(剣さえあればもっと)」

「リリー!『剛腕(アームズ)×俊足(バーニア)』!」

「おおっ(体が軽い。これなら爆発魔法も躱せる!)」

 

ウェンディのかけた強化魔法のおかげで動きやすくなったリリーは『煉獄の八眷属』の1人相手に上手く立ち回る。敵がリリーに目線が行っている隙に、メストに協力を仰ぐ。

 

「メストさん、私たちに手を貸してください!あいつを倒しましょう!」

「何を言ってんだ!俺はお前達のギルドを潰そうとしてるんだぞ!」

「絶対潰させはしませんから!」

 

その強い決心の表れに、思わずたじろいでしまう。

 

「…分かった。とりあえずあいつの排除を優先しよう。ただ、今回だけだからな」

「はい!」

「俺はどうすれば良い?」

「では…」

 

策を伝えているうちにもアズマとリリーは激しい攻防を続けていた。

 

「リリー、上空に行って!」

「…うむ!」

「どこに逃げても無駄だね」

 

シャルルの指示で上空に逃れたリリーを追撃せんと、腕を空へと向ける。

 

「(ダイレクトライン!後ろは貰った!)」

「(このゼロ距離なら…天竜の咆哮!)」

 

ガラ空きになった背後をメストの瞬間移動でゼロ距離に詰め、ウェンディの最強魔法でカタをつけようとした。しかしー

 

「つまらんね。それではダメだ…『タワーバースト!』」

「「「「うわぁあぁあ!!」」」」

 

まるで来るのが分かっていたように全員を巻き込む爆発魔法を発動した。塔のように登る広範囲の爆炎に逃れる術なくやられていく。

 

「くっ…(戦闘モードも、時間切れか)」

「このギルドは女と猫ばかりなのかね?期待は出来そうにないな」

「(コレが…煉獄の八眷属の実力か。フェアリーテイルには…勝ち目はないのか!?)」

 

全てを片付け、去る背中を見つめることしか出来なかった。

 

====

 

「さっきから爆発の回数が増えてるな」

『誰かとぶつかっておるな。ウェンディとメストとやらが相手しておらねば良いがの』

 

聴覚の優れるジンヤの耳にも微かながらも何度か爆破の音が漏れ聞こえてくる。

 

「急いで向かわねえと…うおっ!」

 

急ぎ足で向かおうとした時、凄まじい震動と轟音、そして森にいても目立つほどに立ち昇る爆炎が見えた。あまりの衝撃に思わず手をついてしまう。

 

「(何があったんだ…)」

『…上じゃ!』

「えっ?なんだこりゃ?」

 

遠くに向けていた視線を上にやると、なぜか人が大量に降ってきていた。

 

「これが本隊か」

 

その頃、他のメンバー達もグリモアハートに取り囲まれていた。

 

「空から人が降るなんて…天気予報見とくんだった…」

「多分無理だろうぜ。それより…あれが全員敵なのかよ!」

「なんて人数だ」

 

それはミラとリサーナのいるテントや道中の様々な場所に現れていた。

 

「ミラ姉、協力して倒そう」

「もちろん。貴女は私が守るわ」

 

道中のエルフマンとエバの周りやエルザ達の近くにも当然現れている。

 

「漢たるもの侵略者は許さん!」

「なんでこうも面倒ごとが起こるのよ…」

「凄まじい数だな」

「まだ来ますね。ジンヤさんは無事でしょうか?」

 

中には先行したアズマを除くすべての八眷属も混じっていた。

 

「やれやれ、騒々しい連中の到着か」

「ヒャッホー!」

「捧げよ妖精の(サクリファイス)

「任務開始。妖精の殲滅とゼレフの回収を優先」

「う、ウーウェ。なぜ自分だけこうなのでありますか?」

「ゼレフ…この島にいるのね」

「あの猿が居るなら、この手で必ず…」

 

悪魔の軍勢は妖精を食らわんと、遂に本土決戦に駒を進めた。

 

====

 

「全員の首取ったるわぁ!!」

「「「うあああ!!」」」

 

巨大なゴリラに変身し、周りにまとわりつく有象無象を片っ端からその拳で蹴散らしていく。

 

「うははは!こんなもんか!」

「つ、強い」「噂以上だな」「俺たちじゃ…」

「最強のグリモアハートの軍勢相手に良くやるわね。全員戻りなさい、あなた達でどうにかできる男じゃないわ」

「ユマ姐さん!」

 

下っ端達の間を抜けてやって来たのは煉獄の八眷属『呪音のユマ』。

 

「来たか…」

『ほう…中々の別嬪さんやのう』

「惚けてる場合か悟空」

「悟空…?(まさかこいつがお母様の仇?)」

 

不穏な気が流れるなか、2人の魔道士は戦いに向かおうとしていた。




はい、というわけで『呪音のユマ』をオリキャラとして出しました。能力に関してかなり悩みました。なんか、ロスト・マジック縛りみたいなのがあるんですよね、グリモアの煉獄勢。とりあえず次回も頑張って書きますのでどうぞよろしくお願いします。

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