「くそ、エルザがいる上にナツまでいんのか。胃に穴が開きそうだ」
「俺だって!で、なんでルーシィとジンヤも来てんだ?」
「「あんたら(テメェら)のお守りよ(だよ)!」」
「すごい息ぴったり」
エルザが帰ってから1日、集合場所に指定された駅で待ち合わせていたがあいも変わらず喧嘩しようとしたナツたちには疲れ果てていた。
「もぉ、ミラさんに頼まれなかったら来たくなかったわよ…」
「本当はきたかったんでしょ?」
「うるさい、ネコ!」
「ナツ、グレイ。そこまでにしとけ。来たみたいだ」
「すまない、待たせたか?」
「「「荷物多っ!」」」
何ヶ月旅行をするのだと言わんばかりに大量に持ってきたバッグに見慣れているジンヤ以外は驚きを隠せなかった。
「ジンヤが来てくれて嬉しいし、噂の新人もいる。今回は楽に行けそうだ」
「そう言ってもらえると嬉しいのですが多分出回ってる噂、ほとんどナツです…」
「それより良かったのか、さっきのナツとの約束」
「別に構わん」
「そうか」
エルザは列車に乗る前にナツとの約束(決闘)が行われていたのだ。列車に乗ると、お互いに紹介が終わって話題に入ることになった。
「さてと本題に入るぞ、皆についてきてもらったのには訳がある。昨日も言ったが、とある物について不吉な情報が入った。そいつらは"ララバイ"の解除をするらしい」
「なんだ?催眠術にでもかけるってのか?ちと厄介そうだがそこまでか?」
「最初は私もその程度の認識だったさ。しかし、ある名前を聞いた時ほど後悔した時はない」
「(この人怖っ!)」
自分のしたミスへの後悔と聞いた名前への怒りは隣にいたルーシィを震わせ、恐れさせた。冷や汗を流しながら、努めて冷静にしていたグレイが話を進めた。
「で、誰のなんだ…その名前って」
「お、おぉ」
「そいつの名は死神エリゴール。闇ギルド『鉄の森』リーダーで暗殺の仕事ばかりしているやつだ」
非合法な存在である闇ギルドが絡んでると聞いただけでルーシィは半ば諦めムードになり、帰りたい様子を見せ始めていた。
「ついてこなきゃ良かったかも」
「頼まれたのが運の尽き、諦めろルーシィ…(闇ギルドねぇ?何考えてんだか)」
「ううー、ジンヤのイジワル!」
「やつらは何かしらを企んでいるのは確かだ。それならば我々で止めるしかない。仕掛けるぞ!」
「面白そうだ」
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オシバナ
鉄の森壊滅に向けて早速、(約1名程除いて)闘志を燃やしていた。
「確かこの町にいるんだったな」
「あぁ。移動してしまうかもしれんから急ぐぞ」
「あっ!ちょっと待って、ナツがいないんだけど!」
さっきの列車でそのまま置いてきてしまったのだ… …街について早々に先行きが不安になった。
「私のせいで乗り物に弱いナツをおいてきてしまうとは!だから電車を止めてくれ!」
「そう申されましても」
「なんで無茶振りなのかしら」
「ああいう奴なんだよ」
手段を選ばないやり方にフェアリーテイルのメンバーが変わっていることがなんとなくだが、悪い方向に掴み始めてしまってるルーシィだった。
「おい、エルザ?その右手にあるのはなんだ?まさか下げないよな、頼むから…嗚呼、また始末書か…マスター、すまぬぅ!」
ジンヤの制止を聞くことなくエルザは躊躇せず非常停止バーを下げてしまい、始末書に追われることに恐怖と絶望を見たジンヤはその場でホワイトアウトしそうになった。
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一方ナツは、(エルザによって無理矢理)緊急停止していた電車でカゲと名乗る男とかち合っていた。
「さっきはよくも俺たちのギルドをバカにしやがったな!ボコしてやる!」
「調子にのるなよ、このハエが!」
が、喧嘩が始まって束の間、緊急停止信号が誤報と判明し、運転を再開してしまうアクシデントが発生してしまった。ようやく乗り物酔いが止まったナツにとっては最も不吉な放送が鳴り響いた。
「やべっ、逃げよ」「ふざけるな、逃がすか!」
「いつかぶっ飛ばしてやる!それまで待ってろ、うぷ...とう!」
再び走り出した列車から飛び降りたナツの目の前にはようやく追いついたメンバーの乗った魔導四輪、しかも屋根に乗ってたグレイと正面衝突するという事故まで起こしていた。
「ナツ!」
「なんで飛んでんだよ!」
「あぶねぇな。まあ、無事で何よりだが」
「無事じゃねぇよ。さっき変な奴に絡まれたし…たしかアイゼンヴァルド?のカゲ、だったかな」
「バカモノォ!」
「んがあ!?」
ナツはエルザの強烈な一打を受け、ものの見事に車両3つくらい吹っ飛んでいき、あまつさえ見覚えのないことで説教まで受けていた。
「なんで話を聞いてないんだ、私達はそいつらを追っているんだぞ!」
「(見事な平手打ちだ、痛そ)無理言うな,列車の中じゃ聞こえてねぇよこいつは」
「今はあの中にいる奴を追うのが先決か。どんな奴だった?」
敵と遭遇したとなればなるべく目が離れないようにしたい。後を追おうとナツからなるだけ情報を聞き出す。
「あんま、特徴なかったな。変な三つ目の笛を持ってたけど」
「もしかして…。笛、ララバイ、呪殺魔法…。やばい、その笛がララバイよ!集団呪殺魔法ララバイ!」
「っ!くそっ…なんかいやな予感がしてたんだよ!」
「なんてことだ…皆乗れ!間に合わなければ被害は甚大だ!」
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「駅を占拠したみたいだぞ、あいつら。」
「何で駅なんて?」
「列車はスピードはでるし、大人数で長距離移動が可能だ。その上、ここの駅は交通の要所。ま、こんなもんだろ」
「なぜ脱ぐ…」
闇ギルド『
「エルザ、一回交代しろ。いくらお前でも魔力が足りなくなって、あっち行った時にバテるぞ!」
「構わん。多くの市民の命を守れるなら…」
そう言って残り少ない魔力を込めてさらにスピードを上げ始めた。
「ルーシィに何か渡そうと思ったんだけど、なんだっけな?うーん。ルーシィ、変、魚、おいしい。ルーシィ、変…」
「変って何⁈」
変な会話が行われてる中、一行は人をかき分けながら駅の入り口に進み、奥に目的の人物の目撃情報を得た。
「奴らは駅の中だ!死神相手じゃおそらく軍隊は勝てやしねぇ!」
「待って、早過ぎ!ナツが逝きかけてる!」
「しょうがないよ。電車→魔導四輪→ルーシィ三連コンボだよから!」
「あたしもかい!」
ナツが限界を超えつつある中、広場には大量の魔導士が待ち受けていた。
「まってたぜ、ハエ共」
「お出ましか、死神エリゴール。一つ聞く。何故黒魔法なんかに手を出したよ。死神も地獄の底まで堕ちたか?」
「ふん、ハエが何を叫ぶ。俺の高尚な考えなど分かるまい!これは我々の権利を奪った者達への罰なんだよ、処刑なんだよ!」
空を飛ぶエリゴールがこの世の全てを恨むが如く叫ぶ。
「俺たちから仕事を奪ってのうのうと生きている馬鹿どもが許せねぇんだよ!野郎ども、俺は笛を鳴らしに行く。こいつらを止めておけ!」
一通り叫び終えて、どこかに目的でもあるのか窓から外へと出ていった。
「行かせてはまずい!ナツ、グレイ、ジンヤ!先に行って止めてこい!」
「やっぱこうなるか…2人とも行くぞ!」
「ルーシィ、やつらは我々で倒すぞ」
「えっ!女の子2人であの人数を⁉︎」
「徹底的に行く。悪は栄えない、それを分からせるだけさ」
どうもこんにちは、ぽおくそてえです。
今回は鉄の森編二話目です。いつもより1000文字近く多めになってます。
さて、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますがこたび新しい小説を書くことになりました。もう少し先の予定でしたが、自分の書きたいという願望が「いいや、限界だ!」といわんばかりになりまして早めに出すことになりました。つきましては、この小説が若干ですめばいいですが亀化、レベル低下の懸念があります。それでも「かまわん、やれ」とおっしゃっていただける方はこれからもお願いいたします。
それではまた次回
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2017/9/6 地の文追加です。文章も少し直しました。