それでは本編どうぞです。
「暑い…鎧だときついな」
「海流の影響なんだっけか?」
「とりあえず、ルートに別れようぜ。ここより中の方が涼しいだろ」
「そうね、そうしましょうか」
試験当日、皆より先に島に辿り着いたS級4人は8つに別れたルートのどこか4つで待つことになった。
「“運のいい”奴が誰なのか、面白そうだな」
『楽しんでおるな、ジンヤ。そんなに奴らと戦うのが良いのか?』
「ああ。この一年でどれだけ成長したか、正面から確かめるいい機会だ」
『ふっ、それもそうじゃな』
「さてと、誰が来るかねぇ」
まだ見ぬ挑戦者に想いを馳せ、気分を高揚させていた。
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「見えてきたぞ!」
「あれが天狼島!?」
「すげえ形だな。島の上に島がくっついてるような…」
「うぷっ、まだ…か…?」
「ナツ、もうすぐだよ」
島の近くで待機している船には選ばれた8人とそのパートナー、そしてマスターが乗っていた。
「あの島にはかつて妖精が住んでいたと言われている。そして初代マスター、メイビス・ヴァーミリオンの眠る地じゃ」
「そんな場所で試験をやるのか…」
「これより一次試験の内容を発表する。まずはあそこの煙が立ってる島の岸に行ってもらう」
少し離れたところには白い煙が一本、ゆらりと立ち昇っていた。
「あそこまで行った後、8つの通路のうち1つ選ぶんじゃ。ただし、1つの道につき1組しか選べん。そこを突破すれば合格とする」
地図を出すとそこには闘の文字と激闘の文字が浮かんでいた。その2つの違いが何なのか疑問に持つ者もいる。
「なぁ、そこに書いてある“闘”と“激闘”の違いってなんだ?」
「よく気づいた。この“闘”は別々に入ったメンバー同士で“闘”ってもらう。もう1つの“激闘”はS級魔導師とぶつかる最難関ルートという訳じゃ」
「邪魔をするってそういうことか。納得したぜ」
「この一次試験の目的は“武力”、そして“運”!」
その運という言葉に“そんなのありか”と言わんばかりに口をあんぐりと開けてしまう。
「さあ始めい!試験開始じゃ!」
そんな彼らを見てニヤリとほくそ笑みつつ、試験開始を伝える号令が下された。
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一方、島の方にも試験開始を伝える笛の音が聞こえてきた。
「……俺たちの出番って訳か。来い、挑戦者!」
「ふふふ、楽しみだ」
「誰が来るかしら?」
「久しぶりだな。胸が踊るぜ」
既に来ているS級魔導師4人も挑んでくるであろうペアが、いつ来るのかと待ち遠しく思っている。
「…一組目、来たか」
『ふむ、この声は雷神衆の男の方2人じゃな』
ジンヤの発達した耳には最初に来た2人を既に捉えていた。
「それにしても2組目と少し時間差があるな。術式でも使ったか…っと3組目も来たな」
外で水を弾き、砂を蹴る音が聞こえる。そのうちの1つがだんだんと近づきつつあった。手の届きそうな距離まで近づいてきたのはー。
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「すごい…魔力が溢れてる」
「大地からプレッシャーを感じる…」
島にやってきたのは2組目、レビィとガジルだ。フリードの作った術式をいち早く潜り抜けてやってきたのだ。
「どこのルートにする?」
「じゃあFで行くぞ」
「なんか理由でも?」
「直感だ」
ルートFを選んだ2人は薄暗い洞窟を抜けていく。少ししたところで洞窟が開け、明るくなってきた。
「あっ!道が開けてきた!」
「さあ誰と戦えるんだ?」
「…俺だ」
そこに居たのは難関S級魔導師の1人、獣人のジンヤ。レビィからしてみれば一番当たりたくなかったパターンだ。
「ええ!?」
「へっ、まさかテメェと殺りあえるたぁな」
「運がなかったな、お前ら。今回は俺が試験官を務めてやる」
果たして2人は無事突破できるのか!
はい、というわけでレビィ・ガジルペアと戦うことになります。
本格的に戦いを書くかはまだ未定です、はい。
S級が4人いる関係で“静”ルートは無しです