課題がひと段落ついたので投稿です。真夏なのにクリスマスの話です、はい。原作の時期的にクリスマスなんです。
それでは、中身の薄い話で恐縮ですがどうぞ。
第66話 それぞれのクリスマス
「あ、雪だ!」
「今日は積もりそうだな」
窓の外を眺めると辺り一面に雪が覆っている。ジンヤの家から街を眺めてもマグノリア全体が色めきたっているのがわかる。
「なんかロマンチックね」
「オレん家でまったりしながら言うセリフじゃない気がするが…まあいいや」
炬燵で暖まりながら食後のお茶を啜っている2人は外の寒さを気にせず談笑していた。
「今年は色々あったな。ルーシィがギルドに入ったり、死神退治したり悪魔の島に行ったり、ファントムの襲撃受けたり、楽園の塔で死にかけたり……ろくな思い出じゃねえな」
「でも楽しいこともたくさんあったし、こうして2人で過ごせるんじゃない。私は好きな人といられて幸せよ」
「そうだな、今までで一番幸せなクリスマスだ」
「今日くらいはいい思い出にしましょ!」
こんなに充実している一年を過ごしたことは滅多になかった。この時期は1人で修行をする日々を過ごしていたこともあった。
「じゃあ私からは、はいこれ。メリークリスマス!」
「手作りクッキーか」
「は、初めて作ったから自信ないけど」
「後で頂くよ。俺からはこれだ」
「これ、私が欲しいって言ってた本…」
エドラスから帰ってきた後に探していた本だ。お金がなくて買えないと嘆いていたのを聞き、こうしてプレゼントとして渡したのだ。
「ありがとう。嬉しいな」
「欲しいものがあればいつでも言ってくださいよ、お嬢様」
「そうさせてもらうわね、ナイト様?」
2人でゆったりしてる頃ギルドでは宴会が開かれており、みんな思い思いに過ごしていた。
「ねぇナツ、私の作ったケーキ美味しい?」
「ウメぇ!サンキューな、リサーナ!」
「がっつかないの。まだあるから」
「マジか!よっしゃあ!」
こちらではナツとリサーナがいちゃいちゃしており、周りのみんなから嫉妬と羨望の眼差しが向けられていた。
「シャルル、オイラの魚いる?」「いらないわよ」「仲良いのか悪いのかわからんな、お前たちは」
「凄いです、私もグレイ様と…」
「なんであの2人だけ楽しそうなんだ!俺なんて、俺なんてぇ!」
「泣くなよエルフマン、酒飲む?」
「(僕もビスカといつか…)」「(どうやったらあんなに積極的に…)」
「仲がいいのは素晴らしいことだ」
そんな言葉をよそに2人は楽しく過ごしていた。
「こういう時の酒は格別だなぁ」
「確かにそうだな。若いモンを眺めながらおじさん同士、今日は静かに飲むか」
「たまには悪くないかな。それじゃ、来年の幸せを願って乾杯といくか」
ギルダーツ、ワカバ、マカオの3人は喧騒から離れた場所で固まっていた。
「ワシも良いかの?」
「お、マスターも混ざるか?良いぞ」
「皆楽しそうなのに、俺ときたら。嫁もいないしロメオもウェンディと遊んでるし、酒しかやることねぇよ」
「まだ金と時間があるだけマシだぞ、マカオ。俺の嫁と子供はプレゼント寄越せってうるさくて…」
酒が入り、次第に愚痴が漏れはじめていた。
「ラクサスは無事に過ごしているだろうか」
「あいつなら心配いらねぇよ。それに今日はクリスマスだ!しけたツラしてっと怒られるぜ、フリード」
「そうよ、今日は呑まなきゃ!ミラ、もっとお酒ちょうだい!」
「はーい、ちょっと待ってて」
雷神衆もギルドにいることが増え、楽しい雰囲気を楽しんでいた。前までは考えられないほどイベントなどに顔を出すようになっていた。
「ギルドは楽しいものだな」
「あら、だいぶ丸くなったじゃない。誰の影響かしらね」
「う、うるさい!」
「こうして来てくれて嬉しいわ。これからは仲良くやっていきましょ、3人とも」
明るいギルドの中で一人でいたガジルの側にレビィが駆け寄ってきた。
「ガジル、隣いい?」
「あ?何の用だ?」
「ジェットもドロイも今いなくてさ…それに前に助けてくれたでしょ?そのお礼をしたくて」
数ヶ月前のラクサスの件で助けてもらったことのお礼をしにきたみたいだ。
「礼を言われる筋合いはねぇ、勝手にやったことだ」
「それなら礼を言うのも私の勝手でしょ?ほら、受け取って」
「変わってるな、お前」
「あんたにだけは言われたくない」
今日はクリスマス。寒い冬に絆を深めて過ごす温かい1日である。
多分次回からS級試験の話に入れると思います。