FAIRY BEAST   作:ぽおくそてえ

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遅くなって申し訳ないです。原作を探すのに時間がかかってしまいました。
6月になって暑くなりましたね、熱中症には気をつけて過ごしましょう!それでは本編どうぞ!


第59話 真の戦いの幕開け

シッカから寝ずに全速力で走り、途中で盗賊の馬を強奪して破竹の勢いで進軍を続けること10時間、ナツたちに少し遅れるかたちで遂に王都を見下ろせる高台にまでやってきた。既に外は夜、雲で月も隠れて隠密には最適の環境だった。

 

「王都も真ん前、ここからは別れて突入だ」

「ラクリマは見つけたら俺がぶっ壊してもいいんだな?」

「魔法で頼むぜ。使えるんだろ?」

「ああ」

「そこの2人、止まれ!」

 

いざ行かんとしたところで王国軍、しかも一番会いたくないジェニファー率いる軍隊だった。今回は大きな複合武器を背に抱えての参上だった。

 

「ジェニファーよぉ、空気読んでくれよ」

「出来かねる。お前の隣にいる男、ガジルだな?そいつを王都内に入れる訳にはいかない!」

「こっちもそう易々と引っ込めねんだよ。ガジル、行け…時間稼ぎくらいならできる」

「今度会うときはマグノリアでな…」

「あっ、逃すな!」

「通さん!」

 

追おうとする兵を一掃し、立ちはだかるジンヤ。徐々に変わっていく体と月に照らされて銀色に煌めく体毛に足が竦む兵も出ている。

 

「暴行に逃走幇助か。今回ばかりは見逃す訳にはいかないね」

「こうなっては隠れる必要もないな。とっととこい!」

「ナメやがって!」「てめえなんざ、怖かねえ!」「かかれぇ!!!」

 

挑発に乗せられ、強気な者達が一斉にかかってきた。。片手を鉄さえ斬る爪へと変え、襲いかかる敵を流れるようにたたきふせては斬りつけていった。

 

「修羅の道に築かれし屍の如し…」

「へぇ、やるじゃないか。私とも一戦交えてほしいね…ん、どうしたの?」

「国王陛下からの伝言です」

 

連絡兵が焦燥しきった顔で近づき、耳打ちしていく。

 

「ドラゴンスレイヤー2人に女を捕らえたと?それにエクシードも。そうか順調に作戦が進んでいるみたいだね。すぐに戻ると伝えておいて」

「はっ!」

「(ナツたちか!くそ、何があった!?)」

「あんたの相手をしたいところだが、急用ができた。残念だよ。そいつを足止めしておきな。殺しても構わんとのことだ!」

「「「おーー!!!」」」

『逃げるぞ…鳥遁・夜雀の術』

 

身内の捕縛という悪報に敵は勢いに乗り、こちらは撤退を余儀なくされる。止むを得ず悟空の力を借りつつ、闇夜に乗じて王都に姿をくらますことになった。

 

翌朝、兵隊たちが慌ただしく行き交う大通りを変身して潜り込んだ姿があった。

 

「(空で大捕物があったみたいだな。なんかでけえ猫のラクリマが降ってきたし)」

『(ハッピーやシャルルと同じエクシードって種族らしいぞ)』

「(…いずれにしろ、城前の兵を抜けていく必要がありそうだな)さてと…行くか」

 

物陰より出た時には人型に戻り目指すは恋人と友の囚われている王城。そこに向かおうとしたら聞きなれた声に呼び止められた。

 

「待て、お前1人ではいかせんぞ」

「俺たちも連れてけよ。仲間だろ?」

「むっ…一緒に戦ってくれるのか、2人とも」

「急ごうか。事情は聞いている」

「よし、国崩しの始まりだ…」

 

ガジルの力で元に戻った2人と城の中へと突入した。国の崩壊が近づきつつあった。

 

==========

 

その頃王城地下のルーシィとハッピー、シャルルの3人はそれぞれを追うものから逃げていた。

 

「まさかエクシード全員をラクリマにするなんて…」

「なりふり構っていられないみたいね」

「魔力が有限だからか…なんか嫌だね」

 

猫の国エクシードにて堕天とされたハッピーとシャルル。逃げた2人を大量のエクシードが追っていたが、唯一この世界で魔力を持つエクシードを王国はあろうことか彼らをラクリマへと変えてしまった。

 

「神みたいに崇めてたのにいきなり叛乱だなんて」

「それくらい魔力がないってことよ。それよりウェンディたちの救出が先よ」

「ここから先には行かせん」

 

手に持っていた魔槍を使い、爆発で道を塞いだのは部隊長のエルザ。後ろからはもう1人の女性隊長、ジェニファーが軍を引き連れて挟み撃ちにしてきた。

 

「こんな時に…」

「この人、エドラスのジンヤなの?」

「まずいわね。この状況、どうにかしなきゃ…」

 

窮地の3人に背の武器を向けて威嚇しながらジェニファーはエルザに聞く。

 

「こいつら、確かアースランドの魔導師だっけ?」

「ああその通りだ。お前の知るジンヤだったか?あいつもそうらしい」

「へえ…私があっちじゃ男だったと聞いたときは驚いたよ。で、こいつら殺っても良いのかい?」

「構わん。作戦には支障は出まい」

「あんたらに怨みはないけど、ここで死んでもらうわ…武装解放!」

 

武器の砲台に魔力が集中し始めた。絶体絶命、もはや逃げられないのかと覚悟を決めた。

 

「「「「ぎゃああ!」」」」

「な、何事だ!」

 

両隊長の後ろで兵が突然吹き飛び、次々に倒される。そこには3つの影が見える。

 

「おい、こら。俺らの仲間って知っててやってんのか?」

「ギルドの仲間に手を出したものは何者だろうと決して許さない」

「テメェら…俺たちフェアリーテイルを敵に回したことを後悔しても遅いぜ」

 

エルザとグレイの復活とジンヤ本格参戦。フェアリーテイル反撃の狼煙が上がる。


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