FAIRY BEAST   作:ぽおくそてえ

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遂に50話まできたっす!一時期一ヶ月ほど空きましたがそれ以外は投稿間隔が10日以内くらいに収まっているな、て感じですね。
今回は久しぶりに2000字超えです。ちょっと長くて読みにくいかと思いますがどうぞ。


第50話 進むは無辺の闇か折れない光か

「なんてことだ…遅かったか!」

「初めましてとでも言っておこうか。それともまた会ったな、かな。俺はゼロ、このギルドのマスターだ」

「あ?マスターってブレインじゃねえのか?」

「何を勘違いしている?まぁ無理もないがな。テメェも俺のギルドを随分荒らしてくれたみたいだなぁ。きっちり受けた借りは返してやる」

 

ゼロの周りの空気が突然黒く染まっていき、邪気が強まっていくのが感じられる。

 

「死んで詫びろ!」

「がっ!?ゴフッ!(速えし、重い!)」

「壊れゆけぇ!」

 

手から黒い幽鬼を放ち、壁に打ち付けられたジンヤに追い打ちをかける。

 

「んがっ!クソッ…開け、『仙法・獅子奮迅』!」

「ほぉ…まだ力を隠してたのか。だが何も変わりやしない。俺を前にして形を残したものは一人として居ねえからな!」

「いくぞぉ!」

「ここで終わりにしてやる!」

「斉天の…剛腕!」

 

========

 

その頃、ジンヤより先に行っていたはずのウェンディがようやくやってきたのはエルザたちのいる場所だった。

 

「エルザさん!ジェラール!」

「ウェンディ。無事だったか」

「君は!?」

「え?」

 

初めて会うかのような言い方をする彼を不思議に思った。しばらく一緒に旅をしていた仲なのだ。

 

「ジェラールは記憶が混乱していてな…私の事も君の事も覚えていないらしい」

「そう、ですか」

「まさかこのニルヴァーナの壊し方まで忘れたとか言うんじゃないでしょうね!?」

「自律崩壊魔法陣は破れた。もう俺には手立てがないんだ。すまない」

「それじゃ私たちのギルドをどうするのよ!!もうすぐそこなのよ!?」

 

シャルルの激昂を他所に、動きを止めた古代都市は、少しずつ揺れを激しくしていく。

 

「な、何をする気だ」

「さっきより揺れて…」

「まさかニルヴァーナを撃つつもりか!」

「辞めてぇ!!」

 

叫び声を打ち消し、無情にも轟音が轟く。そのまま無慈悲な砲撃がギルドを飲み込むかと思われた。

が、その一撃は僅かにそれて建物の端を掠める程度で済んだ。皆驚いていた、そのままいけば確実に地図から消えていてもおかしくなかったからだ。それを防いだのは上空からの一撃が軌道をずらした影響だ。

 

「どうなってるんだ」

「ん?まさか…あれはクリスティーナか!」

「わぁ!」

 

『誰か、応えてくれ!』

「ヒビキか!私とウェンディ、一夜は無事だ!」

『エルザさん!ウェンディちゃんも無事でよかったよ。それに先輩まで』

 

上空に所々壊れながらも飛ぶ姿に勇気づけられながらも1つ疑問が出てくる。最初に一度墜落され木っ端微塵に近い状態にさせられているのになぜか飛んでいるのだ。

 

「クリスティーナは一度堕ちたはずだろう?どうして…」

『みんなが翼や砲台の役割を補ってくれたからさ。でも…それももう、限界だ』

 

皆の魔力ももう残っていなかったのだろう、ガクンという音と共に再び墜落していった。

 

『僕もいつまで念話をつないでいられるかわからない。その前にニルヴァーナの破壊方法を伝えておくよ!遂に見つけたんだ!』

「本当か!」

『それの脚の付け根の内部に巨大なラクリマがあるんだ。それを同時に壊してくれ!そうすれば機能が停止する』

「同時なんてどうやって!?」

『タイミングを計りたいけど、そこまで持たない。だから…これを使ってくれ』

 

その言葉と共に頭の中に地図とタイマーがアップデートされた。脚の部分に7つの番号がふってあり、『20分後に攻撃する』というタイミングが設定されている。

 

『その地図とタイマーに従って行動してくれるかな?』

「分かった、ありがとう」

「早速別れようではないか。私は…」

『無駄なことを…』

 

一夜の声に被さるように聞き覚えのある声がいきなり割り込んできた。ブレインのもう1つの人格、ゼロだ。

 

「こいつ…」

「ブレインってやつだ!」

『僕の念話に介入したのか!?』

『俺の名はゼロ、オラシオンセイスのマスターだ。俺はこれから全てを破壊する!手始めにてめえらの仲間を壊してきた。サラマンダー、造形師、星霊使い…そして獣人だ』

「メェーン、彼らが負ける訳がなかろう!」

「そうだよ!そんなデタラメなんか!」

『そして俺は7つのラクリマの1つの前にいる。フハハハハ、これで同時に壊すなんて不可能になったな!諦めるがいい!』

 

一方的に話すだけ話して念話を強引に切っていった。その時、更に絶望的なことが発覚する。

 

「待って!!ラクリマの壊せる魔道士が7人も居ないわよ!」

「してやられたか…」

「あ、あの。私、破壊魔法とか苦手で…」

「くっ、こっちは3人だ!誰でもいい、立てるものは居ないのか!?」

 

========

 

「(俺は…負けたのか。闇に…)」

 

ゼロとの戦いに敗れ、ジンヤの意識が闇に沈んでいく。やれることはやった、ここまでの存在だったのだろうと諦めの感情が湧くなか、手を差し伸べるように一筋の光明が差し、そこから声が聞こえる。

 

「(…声?)」

『グレイ、立ち上がるんだ。お前は誇り高きウルの弟子、こんな奴等に負けるな!』

『私、ルーシィのこと嫌いですわ。でも…死んだら嫌いになれませんわ。後味悪いから返事しなさいよ!』

『ナツさん、私は信じてます。必ず皆さんの期待に応えてくれるって。だから…目を覚ましてください』

『ここで別れるなんて私はしたくない。皆と一緒に帰るぞ!ジンヤ!』

『四人とも…僕たちの声が…』

 

「「「「聞こえてる!!!」」」」

 

連合最後の反撃が始まる。




関係ないですが、21歳になっちゃったよ。
1つ歳をとりました。

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