FAIRY BEAST   作:ぽおくそてえ

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六魔将軍編本格突入。色々とわかりにくくなっていたら申し訳ないです。それではどうぞ!


第45話 希望のち厄災

「化けるとは一体…」

「こいつからは人とは別の匂いがすんだよ。それに…一夜はもっと香水のきつい匂いがしているはずだ。鼻の利く俺相手に匂いまで完全にコピーしなかったのは失敗だったな、なあ?エンジェルとやら」

「まさかバレるとは思わなかったゾ」

 

皆が出ていった方角から現れたのはオラシオンセイスの1人、エンジェル。どうやら作戦のコピーとあわよくばジュラの戦意喪失を狙っていて、先ほどの一夜は星霊が化けたものらしかった。

 

「俺を甘く見ないほうがいい。なんだったらここで潰してもいいんだぞ!」

「そちらから現れたなら、ここで叩くのみぞ!」

「こっちの仕事はもう終わったから無駄に戦うくらいなら帰るゾ」

 

そういうとあらかじめ隠してあったのだろう魔導二輪で一気に去っていってしまった。

 

「チッ、逃げやがって!」

「仕方あるまい、我々も後を追おう」

「その前に一夜も連れてこう。トイレにいるはずだ」

 

 

いつの間にか傷だらけになっていた一夜を抱え、ナツたちの走っていった方角に向かうと、既に味方は全員、敵6人に為す術なくやられていた。

 

「おい、こりゃあどういうことだ?」

「ジンヤ…あいつら…ウェンディを」

「ほう、こいつらが獣人ジンヤと岩鉄のジュラか。だが、遅かったな、天空の巫女は頂いた!そして死ね、ダークロンド!」

「む!岩鉄壁!」

 

ブレインの持っている杖から広範囲に魔法が放たれた。それをジュラが防いでいるうちに敵の姿は既に消えていた。

 

「消えた?何故…」

「おい、お前ら。何があった?」

「そ、それが…」

 

一夜の痛み止めの香り魔法などで傷の介抱をしながら皆から情報を聞き出したところ、何かしらの目的でウェンディとついでにハッピーを捕らえて連れ去ったこと、エルザが敵の毒にやられ、弱っていることが判明した。

 

「どう?その毒どうにかなりそう?」

「完全な解毒は無理だな。簡単な治療と時間稼ぎしかできん。高度な魔法があればやりやすいんだが…」

「でもそんな魔法、持ち合わせてないぞ!」

「私のパルファムも効果がないとは…メェーン」

 

その毒の対処法で騒ぎを止めたのは1つの静かな声だった。

 

「ウェンディなら治せるわよ」

「っ!!なんか知っているのか!」

「ウェンディは解毒以外にも解熱や痛み止めができるわ」

「メェーン。私のアイデンティティが…」

「おい、もしかして天空の巫女ってのは…」

「ええ。あの子は天空のドラゴンスレイヤー、天竜のウェンディよ」

 

その言葉に周りもざわついた。ドラゴンスレイヤーがナツやガジル、ラクサス以外にもいたのかと驚くメンバーが多かった。

 

「…何はともあれ、そうとなればやることは1つだな」

「そうだね、ウェンディちゃんを助けるんだ」

「エルザの為にもな」

「ハッピーも忘れずにね」

「よっしゃあ、やってやろうじゃねえか者ども!仲間を何としてもとりもどすぞ!」

「「「おおー!」」」

 

仲間の危機に対して、一致団結して当たろうと手分けしてウェンディたちの捜索に出始め、残ったメンバーも手当の為に早速行動に出た。

 

「ここら辺にある鎮痛作用のある植物をなるだけ多く集めてくれ」

「なら、僕の出番だね。僕の魔法、アーカイブの情報を使えば効率的に集められるはずさ」

「分かった。ルーシィ、できる限り彼と行動するように。2人とも頼んだぞ」

「「了解!」」

「さてと、こっちでできることをやるとするか!」

 

暇なうちに自分にできることをやっておこうと毒の吸い出しと駄目元の血清作りにとりかかった。

 

「ちいと痛むが許せよ、エルザ」

 

 

その後合流したルーシィとヒビキの協力もあり、毒のまわりが抑えられていた。

 

「さてと、あとは誰かがウェンディたちを連れてくるのを待つだけだな」

「でも、ここ分かるかな?」

「心配ないよ、僕がここの位置をみんなに知らせてるから。帰れなかったら意味がないしね」

「仕事が早いな。この任務に選ばれた理由がわかった気がするよ」

 

やれることはやりきったと、大人しく待っているとやってきたのは気絶しているウェンディとハッピーを連れた(正確には担いだ)ナツがやってきた。

 

「やっと着いた!頭の中に変な地図が出て凄かったよ」

「おう、ご苦労さん。ちょっとその子の力を…」

「そうだ、おいウェンディ!起きてくれ!」

「ちょっと!揺さぶったらダメでしょ!」

「う、ううん?」

「目覚めたか」

「ご、ごめんなさい!」

「今はあのことはいい!頼む、助けてくれ!」

 

ようやく目を覚ましたウェンディはなぜか怯えていたが、ナツやジンヤが頭を下げてまでエルザの治療を頼んだこともあり、すぐに治すことができた。

 

「よし、これで後顧の憂は無くなったな」

「エルザさんが目覚めたら反撃の時だね」

「ニルヴァーナは渡さないぞぉ!」

 

後は敵を叩くのみ、そう思った瞬間、遠くに黒い光の柱が昇るのが見えた。

 

「おい、あの光って…」

「まさか…ニルヴァーナか!」

「まさか先を越されちゃった!?」

「!!…あの光、ジェラールがいる!」

「どういうことだ!?奴は海に叩き込んだはずだぞ!」

「あいつはエルザに会わせるわけにはいかない…潰してやる!」

「わ、私のせいで…」

 

災厄の復活、そしてこの地で目覚めたジェラール。波乱に満ちた戦いの真の幕開けである。




ジェミニってどこまでコピーできるんだろ?匂いとか癖までコピーできんのかな?

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